(報道官)私から二点申し上げます。最初は、今、記事資料をお配りしましたが、アナン国際連合事務総長の来日についてです。アナン事務総長は夫人及び随員と共に9日から12日まで外務省賓客として来日します。アナン事務総長は滞在中、小泉総理大臣、安倍官房長官、麻生外務大臣等と会談し、国連安保理改革をはじめとする国際社会の諸課題について意見交換を行う予定です。今回のアナン事務総長の来日を通じ、わが国の関心事項等についての国連の理解を深めるとともに、わが国と国連の協力関係が一層進展することが期待されます。
二点目は、在外被爆者に関連する在外公館の活用です。これまで在外被爆者は被爆者援護法に基づく健康管理手当等各種手当て及び葬祭料の支給申請については、日本で行わなければならないこととなっていました。11月30日よりこれらの支給申請の受付が在外公館で実施されることになりました。外務省としては、人道的な観点にも留意しつつ、健康管理手当等の支給申請を在外公館で受け付けることを可能な限り早期に実現することが望ましいとの考えの下、厚生労働省とも緊密に連絡を取りながら協議・検討してきました。この度、実務的に在外公館を経由することが可能であるとの結論に至ったこと、及び、本30日、厚生労働省所管の改正政省令が施行されたことから、本日付で手当て等の支給申請の受付業務を在外公館で実施することとなったものです。私からは以上です。
(問)最初にアナンさんのお話をお伺いしたいのですが、アナンさんの今回の来日の目的はどういうものなのかということと、総理や官房長官、外務大臣といつお会いになられるのでしょうか。
(報道官)まず、いつ具体的に会うかというのは承知していません。もしも判明していればまたご説明します。目的は、国連安保理改革等についての意見交換です。アナン事務総長については、ご承知の通り、昨年の2月、あるいは2002年の1月、また2001年の1月、私どもにとっては非常に光栄なことですが、かなり頻繁に、1年に1回あるいは2年に1回日本を訪問して頂いていますが、またこの機会にも国連を巡る諸問題について意見交換をするということが目的です。
(問)この時期に来日するという、その時期的な意図というのはあるのですか。
(報道官)そこはやはり両方の調整の結果この時期になったと考えています。先程申し上げましたように、これまでも比較的頻繁に訪問されていますが、2004年は1月でしたし、またその前も1月、割と最近では冬場が多いようですが、11月とか、アナン事務総長のいろいろな日程の中で訪問の時期を考えたのだと思います。
(問)在外被爆者ですが、だいたい想定される対象人数、それから在外公館の数はどんな推定をしていらっしゃるかということと、そのそういう対象となる方たちへのそういうお知らせはどのようにやるのかという点をお聞かせください。
(報道官)まず、どのくらいの数の方、今回対象となるのは被爆者手帳を持っている方なのですが、理論的には、今、被爆者手帳を持っている方というのは在外に約3660人いまして、そのうち既に手当てを支給されている方が2390人います。従って、理論的には約1300人の方が今度の措置の対象となりうるわけですが、ただ実際にはこの1300人の方々の中でも、亡くなられている方もおられるとかいろいろな状況がありますので、実際に対象となる方はもう少し少ないのだと思いますが、だいたい今申し上げた数が我々が今想定している人数です。在外公館がどちらかという話がありましたが、特に今人数が比較的多いと思われるのは韓国と米国、ブラジル等でして、これらの公館が特にこういう業務を実施することになると思います。また、一つ付言すれば、地方自治体、それから厚生労働省の実務担当の方々も特にこの韓国、米国、ブラジルには行って頂いて、業務の支援・指導というものを行って頂くことにしています。
(問)今日、中国の外務省のアジア局長が、東アジアサミットの際に日中の首脳会談はないということを言明しているのですが、これは中国側とどのような折衝になっているのか、どういう状況なのでしょうか。
(報道官)クアラルンプールでの閣僚会議、それから首脳会談等ありますが、この会談の際の日中の協議というのはまだ何も決まっていないことは事実です。まだ何も決まっていません。それが今の状況です。
(問)日本政府としては引き続き実現に向け働きかけていくということなのですか。
(報道官)今回のケースということではなく、一般的な日本政府の立場というのはこれまでもご説明しているとおりであり、我々は日中関係というのは我が国にとって最も重要な二国間関係の一つであると考えています。政府としてはこれまでも中国との間で個々の分野で意見の相違があっても個別の問題が日中関係全体の発展の支障にならないよう、あらゆるレベルの対話が必要だと考えてきましたし、そういう対話を通じて相互理解、相互信頼を深化させ、幅広い分野における協力の強化を通じて日中間の共通利益を拡大していくことは良いことであるという立場は従来から表明しています。この立場には変わりはありません。これは一般論として申し上げているわけですが。クアラルンプールで日中の間で何か会談が行われるか否かという点については、今申し上げましたようにまだ何も決まっていないというのが事実です。
(報道官)まず最初に3点、私からご報告します。
第1点は、第52回「国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール」の開催についてです。これは先程記事資料を配布しましたが、11月24日(木曜日)11時00分より、国連大学エリザベスローズホールにおいて、第52回「国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール」中央大会が日本国際連合協会の主催により開催されます。特賞を受賞する4名の方については、明年3月、わが国政府の事業である「奥・井上記念日本青少年国連訪問団」のメンバーとしてニューヨークに派遣され、国連本部、各国代表部への訪問、米国学生との交流を行う予定です。これは取材が可能ですので、是非ご関心を持って頂ければと考えています。
第2点は、「ヨーロッパ秋まつり in 日比谷」についてです。これも今、記事資料を配付しましたが、麻生外務大臣は11月12日(土曜日)11時より日比谷公園で開催される「ヨーロッパ秋まつり in 日比谷」開会式に出席します。開会式では、欧州連合側を代表し、フライ駐日英国大使、およびツェプター駐日欧州委員会代表部大使が挨拶を行います。この秋まつりは、「2005年日・EU市民交流年」の終盤を飾るイベントとして、12日(土曜日)および13日(日曜日)、日比谷公園において開催されます。このイベントではEUに加盟するヨーロッパ25カ国の情報、食、文化が紹介されます。来場者がヨーロッパとの交流を体験できるようになっています。この催しが日本と欧州との交流の新たなひとつの楽しい契機となることを期待しています。
第3点は、フジモリ・ペルー元大統領のチリにおける拘束についてですが、この点について私どもの考え方をご説明申し上げます。本件は、チリにおいて、既に司法手続きに入っている問題で、日本政府としては、基本的に適正な手続きを経て判断が行われるように、その進展を見守りたいと考えています。同時に、フジモリ元大統領が日本国籍を有していることを踏まえて、通常海外で日本人が拘束された場合に行う必要かつ可能な範囲の対応を行う考えです。日本政府の具体的対応としては、チリ時間7日、小川駐チリ大使よりウォーケル・チリ外相に対し、フジモリ元大統領が日本国籍を有していることを伝達の上、拘束の事実関係、容疑等について照会するとともに、同元大統領が適切な待遇を受け、適正な手続きを経て判断を受けるよう申し入れを行いました。また、チリ時間8日、在チリ大使館よりチリ外務省に対し、領事面会の申し入れを行っています。この問題については、いろいろご質問があるので、改めてわが方の政府としての考え方をご説明します。
(問)領事面会の申し入れに対して、現時点でチリ側からの返答はいかがでしょうか。
(報道官)まだ返答はありません。
(問)いつごろ返答が来る見通しでしょうか。
(報道官)いつ頃来るかはわかりません。
(問)7日にその事実関係などを問い合わせたときのチリ外相からはどういう反応があったのか。
(報道官)基本的にはチリ外相の発言というのはわが方の説明を聞くと同時に、この問題については既に司法手続きに入っている問題であるので、この司法手続きに従って対応したいということでした。
(問)適切な手続き、適切な判断というのは、チリにおける司法制度に則った適切なという理解でよろしいのでしょうか。
(報道官)そういうことです。いわゆる、外国人であるからといって差別されたり、そういうことがないようにということです。
(問)フジモリ氏は出国の時に日本の旅券を使ったのですか。
(報道官)私どもは承知していません。
(問)それは言えないということですか。
(報道官)それはプライバシーの問題でもあるので、私どもとしてはどういう旅券を使ったかというのは明らかにしていません。
(問)チリの外相が訪日を中止するような話もあるのですが、それについては。
(報道官)我々としてもいろいろと背景というものは考えていますが、いずれにしてもチリ側からは他のいろいろな問題が生じたので今回は訪日できなくなったという説明を受けていますし、そういうものとして受け止めています。
(問)日韓首脳会談が正式にセットされたということですが、これについての受け止め方は。
(報道官)先程発表しましたが、日韓首脳会談が18日に行われることになりました。ご承知のように、韓国との関係はわが国にとっては最も重要な二国間関係の一つであると考えており、今回、首脳会談が実現することは、日韓関係を未来志向で前進させていく上で極めて有意義なことと考えています。
(報道官)まず私から1点、ギー・ヴェルホフスタット・ベルギー王国首相の訪日についてご報告します。ギー・ヴェルホフスタット・ベルギー王国首相は、11月8日(火曜日)から9日(水曜日)までわが国を訪問されます。同首相の訪日は、1989年、2001年、2003年に続いて4回目です。ヴェルホフスタット・ベルギー王国首相は、滞在中に、小泉純一郎総理大臣との間で首脳会談を行う予定です。この訪日により、わが国とベルギー王国との友好関係が一層強化されることを期待しています。以上です。
(問)先程、日韓電話首脳会談があったようですが、これについて2点。まず、麻生さんから電話をされたのかということと、その中で靖国参拝について言及があったのかどうかということをお聞かせください。
(報道官)電話会談について、先程承知したのですが、どちらから電話したのか、大臣からだと思いますが、その点は追って確認してまたご報告します。歴史認識の問題については、この日韓外相会談についての貼り出しの通りです。
(問)日中ガス田協議ですが、先月中に行うことを目指していたと思うのですが、月が変わったわけですが、日本政府としての今後の対応はどういうものでしょうか。
(報道官)この局長級協議については、私どもとしては依然としてできるだけ早く開催したいという気持ちです。引き続き中国側とは早期開催という方向で協議を続けていきたいと思いますが、ご指摘の通り、今の段階で具体的にいつ協議を行うのかということは決まっていません。
(問)明日から日朝の実務者協議が始まりますが、今回の協議で日本側が目標とされていることは何か、特にこの今回の協議でこういったことを成果を得たいということがありましたら教えてください。
(報道官)この協議は、ご承知のように、日朝平壌宣言を履行すべく、諸懸案、特に拉致問題、核・ミサイル問題、また過去の清算についても議論することになると思いますが、こういう問題について包括的に、率直に議論していきたいと考えています。この政府間協議を通じて、私どもとしては、日朝平壌宣言に基づいて日朝正常化の協議に繋げたいという気持ちでおりまして、そういう観点からも、率直な意見交換を行いたいと考えていますし、また、わが国としては特に拉致の問題について北朝鮮側の誠意ある対応を強く求めていきたいと考えています。
(問)協議は2日間なんでしょうか。
(報道官)今の段階で何日間ということは決まっていません。
(問)安倍官房長官が先程の会見で日朝協議について、北朝鮮が誠意ある対応をしない場合はいろいろなことを考えなくてはならないと。この質問は経済制裁についての質問だったんですが、この点について政府の見解を改めてお願いします。
(報道官)この問題については従来から、対話と圧力ということで北朝鮮との関係に臨んでいるわけですが、今の段階では、まず明日から政府間協議が行われますし、その政府間協議をふまえて、今後ともどういう措置をとることが政府として最も効果的かという観点から考えていくことになると思います。とりあえず明日は協議が開始されますので、その協議をふえてまた考えていくことになると思います。
(問)とりあえず今日に関しては日朝の接触は行われないというご認識でいらっしゃいますか。
(報道官)今日の段階では日朝の接触が行われたとは聞いていません。
(問)六者協議の方ですが、9日開催で中国が打診しているという報道が出ていますが、この事実関係はどうですか。
(報道官)前回の協議で合意したように、11月の上旬開催ということで、今、中国側が調整の努力を続けていると思います。私どもとしても、11月上旬の開催を希望していますが、まだ中国側から日程が確定したという連絡には接していません。
(問)月曜日に麻生新大臣が就任されまして、まだ日が浅いですが、その第一印象といいますか、印象と、特に何か期待されることがあればお聞かせ願いたいのですが。
(報道官)私どもとしては、麻生大臣の下で、いろいろ外交課題もたくさんありますし、これから11月、12月といろいろな外交日程がありますので、これからも麻生大臣の下でできる限り諸懸案に対応していきたいと考えています。