(報道官)一つご報告があります。外務省が文化外交の一環として予定してまいりました「世界文明フォーラム2005(World Civilization Forum 2005)」がいよいよ今日から3日間の予定で東京で開催されます。ノーベル経済学賞を受けられたアマルティア・セン:ハーバード大学教授を議長として、内外の有識者、学者、政治家、いろいろな方々にお集まり頂き、世界の文明の現状、それから特に若い人たちの間の相互理解をいかに広めていくかといったことについて、突っ込んだ話し合いをして頂こうという催しです。今日、都内のホテルで顔合わせの夕食会があります。明日は、国連大学で非公開の会議を開き意見交換をした後、明後日、公開のセッションを開き、内外の有識者がそれぞれの考え方を、3つのテーマに分かれて話し合いをするということになっています。是非ご関心をお持ち頂けたらと思います。詳しいことについては、広報文化交流部で担当していますので照会ください。私の方からは以上です。
(問)北朝鮮ですが、先ほど朝鮮中央通信が六者協議が始まっても日本とは向き合わないという談話を出したのですが、とはいえ、やはり日本としては日朝協議を目指す方針に変わりはないのか、いかがでしょうか。
(報道官)6者協議の場において核の問題は極めて重要な問題ですし、我が国はこの6者協議がまず核問題を解決するための協議の場であるということを認識して、核問題について解決案に向かって他の参加国と共に積極的に向かい合っていきますが、この他に日本としては、ミサイルの問題、また拉致をはじめとする人権の問題についても極めて重要な問題と認識しておりますので、会議の場で日本側のこうした考え方を表明することを考えています。この点についてはすでに、6者協議に加わる他の国々、特に米国、韓国、中国等については日本側の考えをお伝えして一定の理解を得ていると認識しています。北朝鮮のそういうコメントがあったということは承知していますが、我々としてはこの問題は避けて通ることのできない問題、日本にとって、また日朝の国交正常化に向けても極めて重要な問題であり、当然何らかの形で触れるということは、しなければいけないことと考えています。
(問)同時期にラオスのビエンチャンでASEANとかARFの一連の会議がありますが、その場で北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相が町村外相と会うという考えはあるのか、この辺はいかがですか。
(報道官)町村外務大臣は機会があれば北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相とお目にかかりたいという考えを表明していますが、まだ日朝間で具体的にそうした会談があるのかないのか、そうした打診が軽く行われている段階とは承知していますが、結果については私はまだ承知していません。町村外務大臣としては、そうした場でお目にかかる機会があれば是非お目にかかって話をしたいと希望しているということは承知しています。
(問)こちらから申し入れて、返事がまだ来てないということですか。
(報道官)私の承知しているところでは、日本側の考えが北朝鮮側にしかるべく伝わるような方法はとったということは聞いていますが、その結果がどうなったのかについてはまだわかりません。
(問)六者協議の機会を通じた日朝の会談というのはもう既に申し入れられているのでしょうか。
(報道官)私が今述べたことも含めて、日本側としてそういう希望を持っているということは北朝鮮側には十分伝わっているということであり、先ほど述べたビエンチャンでの日朝の外相の接触も含めて、様々な形で北朝鮮側との接触を持ちたいということは北朝鮮側にも然るべく伝わっていると承知しています。
(問)最初に質問がありました北朝鮮の声明というのはそれに対する返答との見方になるのでしょうか。
(報道官)北朝鮮側との接触のルートは決してそういう形でのやり取りということではなくて、外交的なルートもあります。我々は北朝鮮側との接触の回答は然るべきルートを通じて行われるものと理解しております。今回、北朝鮮側のマスメディアを通じて考え方の表明というのがあったことは承知していますが、それが特定の問題に対する北朝鮮側の回答といったような趣旨のものではないと考えています。
(問)安保理改革の関係ですが、ナイジェリア外相がむしろ柔軟に歩み寄るべきはG4側であるという趣旨のことを言っていますが、現段階でAU側との交渉はどういう形になっているのか。G4側からAU側に譲歩する考えはあるのかお聞かせください。
(報道官)ニューヨークで日本の大島国連代表も含めて、G4の国連代表とAU側の国連代表が既に会合を開いて話し合いを始めたと聞いています。その目的は先日のニューヨークでのG4とAU側の外相会談で示されたように、双方の決議案を一本化することを目指しての話し合いですので、当然双方が考え方を示し合って妥協点を探るということになろうかと思います。話し合いはまだ始まったばかりですので、今の段階でどういう結果になるか、どちらがどういう風に譲るかといったようなことは述べる段階ではないと思います。我々としては出来る限り22日までに国連常駐代表レベルでの話し合いで一本化の方向が示されて、これが25日の外相会談で正式に認められ、出来るだけ早く国連総会で採決に持ち込まれるということを期待しているところです。
(問)25日のG4外相会談は決まったのですか。
(報道官)どこに決まったということはまだ聞いていません。様々な説があってまだ決まっていないというのが正直なところです。
(報道官)冒頭、私からご報告があります。ウクライナのヴィクトル・ユーシチェンコ大統領とその夫人が、7月の20日から23日まで日本政府の招待によって日本を訪問されることになりました。ユーシチェンコ大統領は、滞在中に天皇・皇后両陛下とのご会見、また小泉総理大臣との会談を行う予定であり、愛知万博を視察され、広島を訪問される予定です。今回の訪日は、昨年末の大統領選挙の後、今年の1月にウクライナで新しい政権が発足してから初めての大統領の日本訪問ということで、これを機会に、我が国と新しい政権の下でのウクライナとの協力関係が一層深まることが期待されています。
もう1件ご報告ですが、本日から外務省は、日本に滞在する外国のプレスの方々との英語によるインターネットの記者会見を開始しました。日本の情報をできるだけ多く外国の報道機関に伝えたいということで始めたもので、一応、2週間に1回程度の割合で開催していきたいと思います。初日は午後4 時過ぎから40分ほど行いましたが、3件の質問を受け、それに対し答えました。参加していただける方々は、外国人記者証をお持ちの記者の方々ということになっており、質問・答えは両方とも英語で実施することになり、本日が1回目でした。私の方からは以上です。
(問)安保理改革ですが、アフリカ連合が今日、事務局に独自の決議案を提出しました。日本はAUからの得票を期待していましたが、こういう立場から見て、今回の提出をどう見られているのか、またG4としてどのように今後すり合わせをしていくのかお聞かせください。
(報道官)G4グループとAUとの接触はこれまでにも何回も行っていますし、また日本は先日もAUの首脳会議にオブザーバーとして外務省の河野アフリカ審議官等を派遣しており、そうした中でのやりとりを通じて、AU側がAU独自の決議案を国連総会に提出することは前々から聞いていました。従って、本日AU案が提出されたということは予定のことということです。我々が今まで聞いているAU決議案の内容はG4の考えとさほど大きく違っていることではない。非常任理事国の数、また拒否権の問題等でいくつかの相違点もありますが、話し合いの余地は十分あると考えており、今月の17日、ニューヨークでG4の外相会議を開く際にAUの代表の方と会い、できるだけこの決議案を一本化すべく話し合いをするという方針をとっています。この先更にコンセンサスグループからも決議案が出る可能性がありますが、いくつもの決議案が出るということは、結果として三竦み状態になってどれも成立しないというようなことになったりして国連改革そのものが止まってしまう可能性もあるわけであり、その意味からもG4案とAU案の一本化に向けての努力は大変に重要だと考えています。町村外務大臣自身がニューヨークに出向いてその話し合いに参加するということも、日本政府としてなんとか一本化、話し合いによる調整をしたいという意欲の表れとお考え頂けたらと思います。
(問)経済産業省が東シナ海の油田について試掘権を設定されましたが、今後の日中関係に及ぼす影響や外務省としての対処方針等をお願いします。
(報道官)ガス田についての日中間の話し合いは当初7月に予定されていましたが、中国側の都合でこの時期が先延ばしになっています。いずれにせよこのガス田の問題についてはこの話し合いの場を通じて、解決していくということは日中双方が合意をしているところです。今回、経済産業省の取られた措置は区域の設定、そして申請の受理といった一連の手続きの延長上にあるもので、かねてから予定されていたことが淡々と行われているということであり、日中関係に特に影響を及ぼすというようなことではなく、あくまでも日本側としては、問題は調べるべき事はきちんと調べるけれども話し合いによる問題の解決を図っていく。あくまでも、東シナ海を「対立の海」ではなくて「協力、協調の海」にしたいということが日本側の基本的な姿勢ですし、そうした方向でこれからも努力を重ねる所存です。
(問)局長級協議が延期されていることについて、中国側はどういう説明をしているのでしょうか。また今回の試掘権設定とは何か関係はあるのでしょうか。
(報道官)私共が承知しているのは、中国側として日程の都合上、7月開催は難しいのでという連絡を受け、先に延ばしたということであって、特段のそれ以上の理由については承知していません。特に今回の試掘権の設定、その他一連の出来事が協議の日程に影響したとは考えていません。
(問)実際、試掘権を設定したということでいつでも試掘が始められるという状況だと思うのですが、日本政府としては実際掘り始めるという開発行為はすぐにでも始める方針ですか。
(報道官)実際にどのような作業が行われるかについて外務省として承知をしていませんので、具体的なことを述べる立場にはありませんが、必要な手続き、また資金面、更に作業面などいろいろとまだすべき問題、処理すべき事項が大変多いと聞いています。従って直ちにその作業が始まるとは考えていません。
(問)今日ソウルで、六者協議の日米韓の局長級による協議が行われていますが、その後、佐々江アジア大洋州局長は中国に行って中国側とも協議をすると報道されていますが、そういった協議が行われる場合、これはどういった意味を持つのでしょうか。
(報道官)佐々江アジア大洋州局長は本日ソウルにおりますが、その後の日程はまだ確定していません。可能性としてはいろいろなことが考えられますが、特に今述べられたような中国側との協議が今の段階で設定されているということはありません。今日の日米韓の三者協議については25日からの週に設定された次の六者協議に向けて互いにそれぞれの考えを述べ合って、日米韓の連携を強めていき、お互いに協調し合いながら、北朝鮮の核廃棄に向けての努力を一段と強めるということです。佐々江アジア大洋州局長は本日とりあえず、その方向に向けて米国との個別会談、また韓国との個別会談をした後、三者の話し合いに臨むというところまで決まっていますが、その後の日程についてはまだ確定したものはありません。
(報道官)冒頭、私の方からいくつか報告があります。まずひとつは、米国のライス国務長官が、今月11日と12日の両日、日本を訪問することになりました。日本滞在中に日米外相会談等を行う予定ですが、まだ日程の詳細が固まっているわけではありません。まだ調整中ですが、日米外相会談はたぶん12日に開かれる見通しということです。今、最終確認をしているところです。
今月9日に、スーダンのハルツームで、スーダン統一暫定政府の宣誓式典があります。20年以上に亘って南北が対立し、内戦が続いていたスーダンに、今年の1月9日、南北包括的和平協定ができ、その後6ヶ月間の準備期間が続いていました。そして今月9日、いよいよ統一暫定政府ができあがり、その宣誓式典が行われるということです。私たちはこの南北包括的和平協定の成立を歓迎し、その後スーダンに対する支援をいろいろと考えています。また、今回の宣誓式典は、国際社会がこぞって祝福しようということで、国連のアナン事務総長も出席されると伺っていますが、日本からはアフリカ紛争・難民問題を担当している佐藤啓太郎大使が出席することになりました。我が国としては、この宣誓式典を経て、新しい統一暫定政府がスーダンの南北の対立を解消し、まだ様々な形で問題を抱えているスーダンの和平の進展に邁進されるように期待しているところです。
次に、化学兵器をなくそうという化学兵器禁止条約が1997年に発効し、現在169ヵ国が締約していますが、この条約に、かつて化学兵器を実際に使ったことのあるイラクが参加しようという動きが見られます。イラクの担当者9人が、今日から3日間、ハーグで開かれる化学兵器禁止条約のトレーニング・コースに参加することになりました。化学兵器禁止条約の一層の普及に力を入れている我が国としては、イラクがこのトレーニング・コースに専門家を参加させること、そして化学兵器禁止条約への加入を考えていることを心から歓迎し、このイラク関係者のトレーニング・コースへの参加費用およそ300 万円を我が国が負担するということにしました。我が国としてはこれからも、まだこの条約に参加していない、例えばエジプト、イスラエル、北朝鮮などに対し、早く条約に参加するよう求めていく所存です。
最後に、今年の4月、町村外務大臣はアフガニスタンを訪問し、また先月のG8の外相会議でもアフガニスタンを巡る協議に積極的に参加していますが、こうしたことを受け、我が国は本日、アフガニスタンに対して総額37億5千万円ほどの援助を行うことを決め、本日中に書簡の交換をすることとしています。内容ですが、18億2700万円を紛争予防や平和構築を目指した地域開発計画のために援助します。例えば人材の育成とか、公共事業を行うことによって雇用を促進しよう、その結果、失業者が減って治安が良くなるとか、職業訓練をしようという計画があります。これは国連開発計画との協力で行うものです。また、10億2200万円を使って32の学校を建設し、特に小学校ですが、2部授業や3部授業、時には青空教室もありますが、こうしたものを解消してあげようというものです。また、5億円でユニセフを通じて1歳未満の乳児110万人に、ポリオと破傷風、BCGのワクチン投与を行うといった計画を実施します。更に、国連の人間居住計画(ハビタット)に対して4億円を提供し、ハビタットにアフガニスタンの都市コミュニティの再建計画を推進してもらいます。私の方からは以上です。
(問)G4の枠組み決議案ですが、7日にも提出するという方向でよろしいですか。
(報道官)できるだけ早くということで準備を進めています。インドの国連大使が7日に提出ということをニューヨークで述べたという報道があったことは承知していますが、私達としてはもう少し検討すべき要素があるのかなということで、7日という具体的な日付を決めたということを今述べる段階にはありません。ただ当初から今月中の採決を目指すということと、AU(アフリカ連合)、カリコム(カリブ共同体)の首脳会議の結果を見た上で採決をするということを今までも方針として決めていますので、G4全体で再協議をして比較的早い時期に提出ということになろうかと思います。ただその提出ということについては、事務局に文書を渡して、これを国連の公用語、例えばアラビア語、中国語、スペイン語などに翻訳してもらって、その上で正式に提出ということになりますので、どの時点をもって正式提出とするか、その辺の段取りも含めて現在まだ検討中というところです。
(問)インドの大使は事務局に提出するのが明後日7日にもという言い方だったのですが、それであれば同じお考えですか。
(報道官)速やかにということは、私も、事務局にまず出してということで述べているつもりです。つまりかなり早い時期に事務局に出すということで今準備をしつつあると了解しています。
(問)AUの方は結果が出た感じになっていますが、今後AU側とはどのような話をするのですか。
(報道官)AUの首脳会議での結論を目下分析をしているところですが、基本的にこれまでAUが言っていたことがそのまま結論として示されているようです。G4が考えている枠組み決議案と比較すると、例えば拒否権の問題や非常任理事国の数の問題で違いがあることは明らかです。しかし我々としてはAU側との話し合いの余地はまだ十分あり、国連改革、国連安全保障理事会の改革という大きな仕事を成し遂げる為には、調整することによってできるだけお互いの一致点を見いだして協力をしあって混乱なく進めていくということが必要であろうということで、AU側とも協議を今後とも続けていくという方針を取っています。
(問)AU側からG4に対して、G4と協議していきたいという意思表明というものはあるのでしょうか。
(報道官)今のところ私たちが承知しているのは、AUの然るべき方がニューヨークに行かれるという話が伝わってきていますので、AU側としてもAU側が決めたことを我々G4に対して示して考え方を説明する機会を持とうとしているのではないかと考えています。
(問)そうした一連の流れの中で、例えばG4の閣僚等が会合を持つことがあるとすると、それはどういった意味を持つのでしょうか。
(報道官)G4としても、例えば電話会談やニューヨークにおける大使クラスの会談、更に先日ブリュッセルであったような外相同士の会談といった様々なレベルでもって意見交換をしているわけですが、だんだん提出の時期が近づいてきているということと、AU側の考え方も示され、更にカリコムもまもなくカリコムとしての考え方を示すであろうということを考えると、意見交換をした方がいいかなということで、G4の外相レベルの会談を持とうかという話し合いも行われているということを承知しています。ただ、町村外務大臣が実際にそうした会談に出席するかどうかについては検討はしていますが、まだ最終決定には至っていません。
(問)それは意味合いとしては提出前にということではないということですね。
(報道官)先ほど述べたように、提出というのはいろいろな時期があるわけで、正式な提出というのはどの時点をもってするのかというのは、技術的な問題もあります。そうしたことも含めての検討ということになろうかと思います。