(報道官)本日は副大臣会見の予定の日ですが、両副大臣共に日程の都合上、会見を行うことが出来ませんので、私が代わりに行います。私の方から申し上げることは今日は特にありません。
(問)G8グレンイーグルス・サミットでのバイ会談の調整状況ですが、ブッシュ大統領との会談はどのような状況でしょうか。
(報道官)いくつかのバイ会談をすべく調整はしていますが、日米の首脳会談については今回予定していません。
(問)予定されていない理由は。
(報道官)特にありませんが、今回は双方の時間も限られているということもありますし、それ以上に小泉総理とブッシュ大統領は度々話し合いをする機会を持っているわけですし、特段の議題もありませんし、同じ場所にお二人がおられるわけですから必要であれば立ち話でもできるであろうということで、今回は所謂形をつけての日米首脳会談というのは予定しないということで双方が了解し合っているということです。
(問)特段の理由はないということですが、例えば常任理事国入りに向けての支持の協力の要請、北朝鮮問題などはどう位置づければよろしいのでしょうか。
(報道官)既に両国間で、例えば外相レベルでの話し合いが行われていますし、そうした問題のいくつかについてはG8サミットの場でも話し合われることになろうかと思います。特に今回は日米の両首脳が席を改めて話し合いをしなくてもいいであろうということになったと聞いています。
(問)日米以外のバイ会談は何を調整しているのですか。
(報道官)いくつかの計画があって今調整していますが、まだ確定していませんので今この場で述べることは控えたいと思います。
(問)一部では日中首脳会談は行われないという報道がありますが、日中首脳会談の可能性はどちらですか。
(報道官)とりあえず今の段階でこれはないであろうということを私から述べられるのは日米についてで、既にいくつか報道でも推測の形で出ていますが、確認したところ日米の首脳会談は今回予定しないということです。その他については今まだ申し上げる段階に至っていません。
(報道官)夏休みシーズンを迎え、外務省では今年もまた7月の1ヶ月間、「海外安全キャンペーン」を行うことになりました。今年は2006年のトリノオリンピックに出場が内定されているモーグルスキーの上村愛子さんに協力をお願いしてポスターを作りました。「安全旅行宣言」というのが今年のテーマで、外務省の海外安全情報などが入っているホームページを開いていただきますと、上村さんが映像で出てきて話をされます。また、7月3日(日曜日)午後2時、新宿東口のステーションスクエアで、上村さんのビデオメッセージと冬季オリンピックの勇者でありました萩原兄弟の弟、次晴さんのトークショー・イベントなどを計画しています。またJALとANAの国際線の機内で、考古学の吉村作治先生が海外での事件や事故に巻き込まれないように具体的なメッセージを呼びかける「海外安全ビデオ」を放映することも予定しています。このところ日本人旅行者の犯罪被害が増えています。今回の「安全旅行宣言」ではこうした犯罪被害を防ぐために、旅行者一人一人がまず自分の身は自分で守るという意識を高めていただくことを目指しています。また最近、団体旅行の方々は旅行会社が随分こうした点を詳しく伝えていただいているために幸い被害がそれ程増えずに済んでいるのですが、逆にバックパッカーや個人旅行の方々の中での被害が増えています。そこでこうした方々を主な対象として、海外では自分の身の安全を守る為に、例えば危ない所には近づかないとか、あまり目立った格好をしたり金持ち風に見えたりしないようにするとか、身の回りのものはきちんと自分が管理できるように手近な所に置いておくといった事を、常に心がけていただきたいということをお伝えするのがこのキャンペーンの趣旨です。7月の1カ月間で様々な形でP Rを行って、少しでも日本人の犯罪被害を防ぎたいと考えています。
(問)韓国で靖国神社にある「北関大捷碑(ほっかんたいしょうひ)」の返還を日本側に正式に要請したという報道が出ていますが、何か把握されていらっしゃいますか。
(報道官)私たちのところに正式な形ではまだ伝わっていないと承知していますが、既に日本政府としては韓国に対して、これは北朝鮮も絡んでいる話ですから南北間で話がついて、韓国側から正式に返還の申し入れがあれば日本政府としては、その碑を保管している靖国神社に話をして然るべく返還の手続きを取るようにするということは述べたところです。従って正式な申し入れがあればそうした作業に取りかかることになると思います。
(報道官)冒頭、私からいくつか報告があります。まず、南米のボリビアの情勢について外務報道官談話を発表することになりました。ボリビアは先月以来暴動が続いており、今月9日になってメサ大統領が辞任され、その後ロドリゲスという新しい大統領、最高裁判所の長官をなさっていた方ですが、この方が憲法の秩序に則って、平穏裏に大統領に就任されました。そして、今日までに組閣を終えられたという連絡を受けています。日本政府としては、このボリビアの新しい大統領の就任、そして、様々な新手続き・新政権の樹立が憲法の秩序に則って平穏裏に行われたことを歓迎すると共に、今後とも、政治経済、社会各層の協力の下で、ボリビアがいろいろな課題に対する国民的な合意の形成に向けて努力して行くことを強く期待するという談話です。今までの所、私たちの所に届いている情報では、この新しい大統領の就任で、先月以来続いていた暴動も収まっており、国内は平穏と伝えられています。是非こうした状態が今後とも続いていくことを期待したいと思います。
次の報告は、実際には昨日の段階になるのですが、外務省のホームページ、英語の部分と日本語の部分の両方に、日本の教科書検定制度を紹介するページを設けました。これは教科書検定制度を巡って、一部諸外国においても、また日本国内においても十分な理解を得られないまま、誤解に基づく反発・批判があってみたり、また教科書検定制度それ自体が、言葉としては知られていてもなかなか内容が理解されないということもありますので、日本国内だけでなく、広く諸外国の方々にもこの検定制度を知って頂きたいということで、文部科学省の協力を得て、外務省のホームページにこれを掲載したものです。今のところ日本語と英語ですが、できるだけ早く、中国語と韓国語でもご覧いただけるようにしようということで今準備を進めています。内容は、日本の学校の教科書がどのような形で作られ、どのようにして学校で使用されるようになるか、また、その検定の趣旨、方法、更に教科用図書検定基準の内容、これは膨大な内容になりますので、その要約を載せたところです。是非ご覧いただきたいと思います。尚、この教科書検定制度のページには、例えば、『戦後日本の歴史』という大きな見出しの所から入ることもできますし、昨日の日付でこれを載せてありますので『最新のニュース』の所からも、英語・日本語両方とも入って頂くことが可能です。
次にイラクに対する支援について御報告します。今から1、2時間前の話になりますが、日本が提供した発電機4台の設置が完了したことを受け、サマーワでこの完成式典が行われました。750kVAの小型発電機4台ですが、この発電機が設置された地域の500世帯、小学校、更に上水道のポンプなどが停電の心配なく電力を使えるようになるということです。更にサマーワのあるムサンナー県との間で、少し大型の発電機3台、変圧器3台を提供するという贈与契約を締結いたしました。日本はこの他、ムサンナー県に対して、大型の発電装置を提供するということを最近決めましたが、この大型の発電装置が出来るまでに、実は2年半程時間がかかります。そのこともあって一日10時間という非常に長い停電に苦しんでいるムサンナー県の、特にサマーワ中心部の方々に役に立って欲しいということで、当座の措置としてこの小型発電機を提供したものです。
また、イラクに関して既にご紹介いただいているところもあるようですが、今週金曜日、6月17日から22日まで、イラクの国会議員10人とスタッフ4人の合わせて14人を日本に招いて、イラクの新しい憲法を制定する為の支援セミナーを東京で実施することになりました。このセミナーですが、日本が戦後いかに民主主義を国内で確立するために努力したのか、どんな問題を乗り越えてきたのか、また、日本の憲法の理念はどんなものかといったようなことを知っていただく他、国会などの関係機関、更に地方も見ていただこうということになっています。またイラクはイスラム国でもありますので、アジアのイスラム諸国からも専門家を招いて、イスラムという共通の土台の上で意見交換をしていただこうということになっています。イラクでは8 月に憲法案が作られることになっていて、10月には国民投票も行われるという政治プロセスが予定されています。これに是非役立てて頂きたいというのが日本側の願いです。
(問)昨日、森前総理大臣とプーチン大統領との会談の中で、プーチン大統領の方から来日についての時期を話されたようですが、これについて感想と今後外務省としてこれを踏まえてどういう準備をされるのですか。
(報道官)森前総理大臣がサンクトペテルブルグでプーチン大統領と会談をされて、その際、プーチン大統領の方からAPECの前後いずれかの機会を捉えて日本を訪問したいと考えているという意思表示があったということは、プーチン大統領訪日がようやく固まってきたということで私たちも喜んでいます。実際のプーチン大統領の訪日に向けては既に日露間で様々な形での準備作業が行われていますが、実際に日程が固まってきたということでこの準備作業を更に加速させたいと考えています。またその準備作業の中では、日露両国の所謂共同作業計画に基づいて具体的にこういうことをするのだというような文書の取り纏めを進めています。また平和条約、更に北方四島の問題もあるわけでして、こうした点について出来る限り、事務当局間で話し合いをしたいと思っています。必要であれば町村外務大臣とラヴロフ外相との会談も考えに入れつつ、準備を進めるということになろうかと思います。
(問)町村大臣がモスクワに行ってという可能性もあるということですか。
(報道官)特に具体的にどこでいつといったところまではまだ行っていませんが、可能性としては日露外相会談がもう一回あっても別に驚くことではないと思っています。あくまでもその準備の過程としてそういうこともあり得るということで、決まったものではありませんがそうしたことも考えつつ準備を加速させて行くということだと思います。
(問)APECが11月の半ばだと思いますが、基本的には11月半ばを中心に調整するということでいいのでしょうか。
(報道官)ロシア側からというよりもプーチン大統領自身からそういう日程の提示があったということですから、私共としてもそれを頭の中に入れながら、ロシア側と具体的な日取り、日程についての話し合いを詰めていくということになろうかと思います。
(問)20日にソウルで日韓首脳会談が行われると思いますが、実務的な会談ということでノーネクタイでうち解けた雰囲気でされてきたと思うのですが、今回も同じような形を考えていますか。
(報道官)日韓首脳会談は、両首脳の間で胸襟を開いて率直に日韓両国間の問題、更に日韓を取り巻く国際情勢について意見交換をしようということで始まったもので、既に去年の段階で1回目は韓国、2回目は日本で行われています。その際、正に胸襟を開くことの現れとしてノーネクタイでということでスタートしていますので、多分今回もそのような形になるのではないかと想像しています。たまたま場所がソウルということですけれども、会談の趣旨そのものに何ら変わりはなく、両首脳がざっくばらんに意見交換をすることが最も大事だと考えています。
(報道官)一つ報告があります。スマトラ島沖大地震及び津波被害ですが、今まで安否不明、行方不明になっておられる方々が8人ということを申し上げていましたが、そのうちの一人、この方はインド方面で安否不明になっていたということで、いろいろと調査をしていたのですが、昨日になって出入国記録などを調べた結果、この方は地震や津波の被害には遭っていない、無事であるということがわかりました。この結果、行方不明の方は一人減って7人ということになりました。また、これまでに死亡が確認されている邦人は36人ということになっています。
次に、報告というかお願いがあります。昨日、領事局長と外務報道官名で報道各社に対して、ミンダナオ島での取材について危険情報も出ていることもあり、また、現地の警察からも危険度が高いという警告が出されているということもあり、できるだけ速やかにミンダナオ島の、特にジェネラル・サントス市付近からは撤収して頂きたいということをお願いしました。本日、マニラの日本大使館から私どもに届いた報告では、この要請を受けて、またそれぞれの独自のご判断もあり、かなりの社の方々が撤収の準備に入っておられ、また、実際に撤収されたところもあるようです。しかし、まだ何社か、またはフリーの方を含めて、何人かの方が現地に留まっている様子です。繰り返しになりますが、地元の警察もこの辺りは極めて危険である、特に武装グループの活動が活発化しているというような報告もありますので、できるだけ早く、速やかに現地から撤収して頂きたいと思います。皆様のご協力をよろしくお願い致します。私からは以上です。
(問)被害に遭われていないことが確認された方の性別と年齢をお聞かせ願えますか。
(報道官)申し訳ありません。私の方にもその情報は入っていません。また、特にそうした点については公表しておらず、行方不明者でインド方面ということでこれまでお伝えしてきました。
(問)本日、日韓歴史共同研究の報告書がホームページに公開されたのですが、改めてその公開の意義と共同研究の意義について政府としてどのように考えているのか聞かせてください。
(報道官)これは日本と韓国の間で、前回の日本の歴史教科書の検定問題を巡ってやりとりがあった中で、日韓間の相互の理解を深めるためということで、歴史共同研究を行うということにして、日本と韓国双方から研究者の方々に出て頂いて、研究を続けてきたものです。ようやくまとまり、報告書がそれぞれの言葉で出ていますが、私どもとしましては、できるだけ早く、韓国の報告書は日本語に、日本の報告書は韓国語にして、やはりウェブサイトに掲載し、皆様に広く読んで頂きたいと考えています。更に、これは一回だけの作業というよりも、やはり理解を深めるためには、今後ともこうした努力を続ける必要があるということで日本と韓国の間で見解の一致を見ていますので、できるだけ早く、新しい陣容で、新しい委員の方々によって、二回目の歴史共同研究のチームをスタートさせたいと考えています。そうしたことを通じて、少しでも日本と韓国の間で歴史認識についてのお互いの理解が深まり、これによって日韓間の相互の関係が益々深まっていくということを期待しています。その意味でも、本日ウェブサイトに掲載した報告書は、日韓両国関係の歴史の中で、極めて意義の深いものであり、是非これが広く利用され、また読まれることを私たちは希望しています。
(問)今日から、政府・国会などで夏の軽装を始めましたが、外務省の場合、外国からの賓客の方と面会されたりする機会も多いと思うのですが、そういった際の使い分けなどについて、報道官のお考えなどございますでしょうか。
(報道官)ご指摘の通り、外務省では、例えば外国の賓客をお迎えしての公式の会談、または交渉といったようなものもあります。その時々に応じて、それに相応しい服装をするというのは当然のことであり、相手に対する礼儀ということもあります。しかし基本的には、例えば本日から大臣室の入り口のドアに『ノーネクタイ・ノー上着で入室のこと』という張り紙が出るなど、できるだけ省エネルギーに外務省としても協力しようということを大臣自ら号令をかけて実施しているところです。因みに大臣室の温度設定は28度になっており、やはりノーネクタイ・ノー上着がちょうど相応しいのかなという感じです。それ以外の各局・課でも、そうした方向に動いていますが、やはり所によってはまだ十分に普及していないところもあるでしょうし、あまりこういうものは強制的にということではなく、それぞれの省員の意識もあることでしょう。ただ、本日は、見ていますところ、今までよりは随分と軽装で伸びやかに仕事をしているといったような雰囲気が感じられるように思われます。
(問)昨夜、日本の排他的経済水域内に韓国の漁船が入って、海上保安庁の職員がその船に乗り移ったところ、そのまま逃げたということで、今も韓国の排他的経済水域内で接触を続けているようですが、外務省として今把握している状況と今後についてお聞かせ願えますか。
(報道官)この点について海上保安庁の方で一義的に対応していますので、外務省の方から特に付け加えてコメントをする事態にはまだ至っていません。