(報道官)冒頭、二つ報告致します。一つは、日本とマレーシアの経済連携協定(EPA)ですが、今日、東京で行われた小泉総理大臣とマレーシアのアブドゥラ首相との会談で大筋合意に達しました。この協定は、日本とマレーシアの間の貿易投資分野における協力、また自由化促進を通じて、両国間により緊密な経済関係を築き、戦略的なパートナーシップの新しい時代を刻もうというものです。両国首脳は、この協定ができるだけ早く発効するよう、協定の条文の確定作業を迅速に行っていくことを確認しました。
二つ目は、我が国はスーダン政府とスーダン人民解放運動(SPLM)双方の国際協力に関する実務を担当する行政官10人を対象に、5月30日から6月10日まで、「国際協力セミナー」を開催することとしました。このセミナーはJICAが研修事業として行うものです。スーダンの南北双方の国際協力に携わる関係者に対して、紛争を終結させた国の復興開発、平和構築に関する基礎的な考え方を学ぶ機会を提供して、今後スーダンにおいて日本がODA事業を実施するにあたって必要な理解を促進することを目的としたものです。これにより日本とスーダンの二国間協力に関する政策立案能力を関係者の方々、特にこのセミナーに参加する方々に高めて頂き、両国関係の推進に貢献してもらえることを期待するものです。私からは以上です。
(問)呉儀副首相が帰国された件ですが、当初、中国の在京大使館、あるいは中国外務省も一部声明を出していますが、緊急の公務であるという理由を日本側に伝えてきたのを、昨日、説明をひっくり返した形になっていますが、これについては当然説明を求めるべきだと思いますが、外務省としての取り組みについて教えてください。
(報道官)外交チャンネルを通じ、中国側にその間の事情の照会を行いました。それに対する中国側からの説明ですが、緊急の公務であったということは事実だそうです。また、中国側に様々な形で不満があるということも事実だということで、そうした説明を受けたところです。
(問)外交チャンネルを使ってというのは、日本でという理解でいいのですか。
(報道官)具体的にどのようなチャンネル、またどういう内容のものであったかについての詳細を申し上げるのは控えたいと思いますが、ただ、日本側の考え方としては、今回、小泉総理大臣との会談が突然キャンセルされたということについては、何度も申し上げているように、外交儀礼上問題だという風に考えています。従って、その説明を求めて、そうした説明を受けたということです。
(問)公務の具体的な内容についてはどういう説明があったのですか。
(報道官)あまり細かく立ち入った説明をする立場にありませんが、公務であったということと、中国側に今の日中関係、特に日本側について不満がある、という2つのことが事実であるということを我々としては掴んだところです。
(問)不満というのは具体的に靖国問題というようなことか。
(報道官)いろいろと想像することはできると思いますが、コメントは控えたいと思います。
(問)日本側からは外交儀礼の問題であるという認識は伝えたのですか。
(報道官)これはきちんと伝わっているものと思います。
(問)では抗議と考えて宜しいのでしょうか。
(報道官)基本的に日本側の考え方が相手側に伝わり、従って事実関係についての照会をするのだといって、向こう側から返事があったということだとご理解頂ければと思います。
(問)返事があったのは今日ですか。
(報道官)詳しいことは申し上げませんが、そう遠くない近い過去にありました。
(問)日本側からは抗議の内容を問い合わせているのですか。
(報道官)いえ、つまり、二つの異なる説明と思われるものが、中国側から出ているのでどうなっているんだろうかと照会したということです。
(問)向こうは公務はあったが不満もあったと、ではその公務とは何だという問い合わせはしたのですか。
(報道官)詳しい説明は控えたいと思いますが、基本的にそういう説明を受けたということです。
(問)今後この問題で何らかの説明を受けるなり、こちらの考えを新たに伝えるということは考えていますか。
(報道官)我々としてはこの問題をこれ以上議論することは決して生産的ではないだろうと考えています。日中関係の今後の大局を考えた場合に、今の質問を含めてお答えすること、またそれについて議論することはこの際控えたいと思っています。
(問)昨日、孔泉・報道官の会見で緊急の公務はなかったという趣旨の発言があったのですが、今日の説明と食い違っていますが、これはどっちを信じればいいんですか。
(報道官)外交チャンネルを通じて私たちが受けた説明は、緊急の公務はあった、それは事実であるということと、それから、中国側に今の日中関係を巡る日本側の様々な出来事、発言等を含めて、不満があるということも事実だという説明を受けているということです。
(問)副首相は緊急の公務で北京ではなく大連に向かったと、これについて何か情報はありますでしょうか。
(報道官)詳しい内容についてはお答えするのは控えたいと思います。
(問)韓国で谷内事務次官の発言が報道で大きく取り上げられており、日本政府に対して谷内次官の発言についての抗議をしたという報道があるようですが、事実関係について教えてください。
(報道官)谷内事務次官は今月11日に韓国国会国防委員会のメンバーの方々と非公式の意見交換を行ったということは事実です。それについて、韓国側で報道がなされているようですが、この会談における谷内次官の発言について韓国政府から別に抗議といったようなものではありませんけれども、見解の表明があったこともまた事実です。ただその中身について報告申し上げる立場にはありません。基本的には非公式の意見交換でしたので、特に具体的なやりとりを今ここで申し上げる立場にはありません。
(問)見解というのは不満というかそういったものでしょうか。
(報道官)韓国側からは谷内次官の発言について、こう考えるという見解の表明があったということです。
(問)確認ですが、非公式の意見交換で特に記録をとっているようなものではないということですか。
(報道官)谷内次官と国防委員会のメンバーとの非公式な意見交換です。話の内容というのは日米韓、六者協議の北朝鮮の核問題をめぐって三カ国が如何に協力をしあうか、というコンテキストの話であったという風に承知していますが、詳しい内容については、私もその場にいたわけではありませんので、承知していません。
(問)詳しいコメントを避けたいとおっしゃられた趣旨は、非公式だからということに関係しているのですか。そうではなく日韓関係を考えてのことなのでしょうか。
(報道官)基本的には非公式の意見交換です。例えば外交文書として記録に留めるといったような内容のものではありません。あくまでも意見交換が趣旨でしたので、自由な雰囲気で、ということでした。
(問)とすると、それに対する見解表明というのは非常におかしな話だと思うのですが、それについてはどのように考えられているのでしょうか。
(報道官)韓国政府としてお考えになったことだと思いますが、特に韓国政府のとった措置について、私の方からコメントする立場にはありません。
(問)見解表明というのは次官個人に来たのですか。それとも日本政府に対してきたのですか。
(報道官)外務省にあてて、そういう見解表明があったという風に聞いています。
(問)昨日ですか。
(報道官)いいえ。もっと前の話だったと思います。
(報道官)冒頭、外国要人の日本訪問について、いくつかご報告します。まず、シンガポールのリー・シェンロン首相が23日(月曜日)から28日(土曜日)まで来日されます。滞在中、小泉総理を始め、我が国の政府関係者と会談し、主に二国間関係や地域情勢について意見交換を行うほか、新聞社主催のセミナーに参加されます。また、愛・地球博を視察されるといった予定になっています。ジョージ・ヨー外務大臣が随行されると伺っています。
次に、マレーシアのアブドゥラ首相が24日(火曜日)から26日(木曜日)まで来日されます。小泉総理との会談などが予定されており、話題は二国間関係や地域情勢、更にリー首相と同様に新聞社主催のセミナーにも参加される予定です。
次に、既に昨日到着されていますが、中国の呉儀副総理が、昨日から24日までの予定で、日本政府の招待で公式訪問されています。呉儀副総理は、明19日に、万博で行われる中国のナショナルデーの式典に出席されるほか、我が国の政府要人との会見などが行われることになろうかと思います。我が国としては、日中間の親善関係を一層深めるものとして、心から歓迎します。この呉儀副総理もやはり、リー首相、アブドゥラ首相と同じセミナーに参加されると伺っています。
最後に、イランと日本の次官級定期協議が明日、東京で行われることになっています。核問題、イラク情勢、中東和平などについて意見交換が行われます。日本側からは田中外務審議官、イラン側からはアミンザーデ外務次官が参加することになっています。私からは以上です。
(問)大使会議が3日間にわたって行われたわけですが、はじめての企画で所期の目標を達成できたのか、評価を聞かせて下さい。
(報道官)会議の終了に併せて町村大臣から講評を行いましたが、その中でも述べたように、私達が予期していた以上の成功を収めたと感じています。特に焦点となった国連改革については、各大使から、実際にそれぞれの任地でそれぞれの国の政府との折衝が今どのように行われているのか、また、本国政府及びニュー・ヨークの日本の国連代表部からどんな情報が得たいのかというような具体的な説明、助言なりが行われました。時を併せてニュー・ヨークでは今、いわゆる枠組み決議案の内容がG4の国々の間でまとまって、各国に対し共同提案国になって欲しいという働きかけが始まったばかりです。更に、6月の総会での採決、更にそれに続く非常任理事国、常任理事国の候補となる国々についての投票といった一連のプロセスが始まる中で、これからが正念場という出発点であり、各国に駐在している大使と外務省との間の意思疎通が図れたという点で大変に効果があったと考えています。大臣も大変な成功を収めることができた、これによって、今、日本が外交上の最重要課題としている国連改革に向けて一丸となって進む体制ができたと大変喜んでいました。
(問)各国から状況の報告もあったと思うのですが、その点でいくと、その決議の可決に必要な多くの国の支持を得られるという見通しについてはどのような感触を得られましたか。
(報道官)実際に票読みをやる段階にはまだ至っていません。ただ、もうすでに120以上の国々が国連の改革、特に安全保障理事会で常任理事国・非常任理事国双方を増やす必要があるという意思表示をしているということも考えると、これからの働きかけで、我々が考えている国連改革が具体的に進むのではないかという期待を持たせるものでした。また、いわゆる「コーヒー・クラブ」と言われる国々、つまり常任理事国の拡大に消極的な国々もあることは事実ですが、そうした国々に対しても、積極的な働きかけをすることによって、少しでも理解を得るように努力をするようにという指示が今回の大使会議で具体的に示されました。これからはそれぞれの国で、今実際に折衝はどの程度進んでいるかとか、他の国々との関係で今何が必要かといったようなことがリアルタイムで各国に駐在している大使と東京の外務本省、そしてニューヨークの国連代表部との間でやりとりができる態勢を作ろうということになりましたので、そうしたネットワークを使いながら、これから本格的な働きかけを強めるということになるかと思います。
(問)齋藤氏の拘束事件は、今日はどのような、何か進展は特にありませんでしょうか。どのような情報収集活動とかやられたんでしょうか。
(報道官)齋藤氏を拘束したと言っている武装グループが、自分たちのサイトに全く別の襲撃事件の情報を新たに掲示しましたが、齋藤氏に関する新たな情報はそこには入っていませんでした。それ以外についても、いろいろな形で情報収集に努めているのですが、残念ながら今のところ新しい情報はありません。引き続き、齋藤氏は行方不明であって、我々としては、武装グループが、怪我をして拘束していると言った点に注目して、一刻も早い救出をと願いつつ、関係機関への働きかけ、また情報収集を進めているところです。
(報道官)まず、イラクの邦人行方不明事件に関する緊急対策本部会合ですが、5時半からオペレーションルームで開催することとなりました。この事件に関する情報については、その緊急対策本部会合が終わったあと、ブリーフィングの形でお伝えできるかと思いますが、今の段階でとりたてて新しい情報を申し上げることはありません。
更に2つ報告があります。一つ目は、インドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領が訪日されることになりました。夫人と共に5月31日から6月3日まで、実務訪問賓客ということで日本を訪問されます。滞在中、小泉総理大臣と会談をする他、政界、経済界の要人と意見交換を行うことになっていますが、特にこの小泉総理との会談においては、日本とインドネシアの経済関係、また、先般の大地震と津波に関連して、防災の分野における協力、更には地域情勢についても話し合いが行われることになっています。ユドヨノ大統領は昨年の10月に就任されましたが、小泉総理とは既に4回会談をされていると思いますが、実際にこうして日本を訪れるのは就任後初めてのことであり、これを機会に日本とインドネシアの親善関係が一層強化されることが期待されるところです。
もう1つのお知らせは、ここにポスターが貼ってありますが、アフリカン・フェスタという恒例の行事が、今年も「アフリカン・フェスタ2005」として5月21日(土曜日)、22日(日曜日)に、東京の日比谷公園で開かれることになりました。外務省が主催し、東京都や千代田区、また在京のアフリカ各国の大使館の後援を頂いています。今年は特に「アフリカの年」ということになっていますので、アフリカ問題への国際的な関心が高まっている中で、日本政府としても、例えばTICADなどの様々な努力をしているのに加えて、今年は一層アフリカの開発問題に積極的に取り組もうということです。このアフリカン・フェスタは、一般の方々、特に若い方、家族の方々といった皆様に集まって頂き、アフリカとの親善、また理解と支持の増進、そうしたものを、肌で触れて味わって頂けたらと思います。様々な音楽や催しも予定されています。できるだけ広く皆様の紙面や番組で紹介して頂いて、少しでも多くの方々にご参加頂けるようお願い申し上げます。
(問)斎藤さんが負傷されているという情報が入っていますが、そのへんはいかがなんでしょうか。
(報道官)現場でどのような状況だったのか、詳細がわかっていません。ただ、銃撃戦を含めてかなりの激しい戦闘だったということは事実のようであり、しかも行方がわからなくなっているということ、また、犯人側が重傷を負った斎藤氏を拘束していると発表していることから考えれば、怪我をされている可能性はかなりあるのではないかと思われます。弟さんが記者会見で述べているように、犯人グループに対しては、もし怪我をしているのであればきちんとした手当てをしてほしいと強く願っているところです。いずれにせよ、私たちとしては、斎藤氏が、言われるように実際に怪我をされて拘束されているとすれば、一刻も早い救出をめざして全力を挙げていくところですが、ただいかんせん、まだ具体的な事実関係がさほどわかっているわけではありません。どういう状況で斎藤氏がこの事件に巻き込まれたのかも含めて、事実関係のさらなる調査、そして救出に向けてのいろいろな検討を進めているところです。
(問)それはハート社の調査から斎藤さんが怪我をされたという具体的な情報があったのですか。
(報道官)ハート社とは、バグダッドの日本大使館員が、日本時間の昨日の夕方から夜にかけてじっくりと話を聞くことができました。その中で、ある程度の事件の概要というのはわかったのですが、いずれにせよ、怪我をされたかどうか、その後、斎藤氏がどのような状態に置かれているのかといった詳細についてはまだはっきりとしたところはわかっていません。ただ、怪我をされている可能性はかなりあるものと思っています。
(問)その怪我をした可能性というのは、具体的な生存者の情報などに基づいているのですか。
(報道官)様々な情報に基づいて、私たちはそのように考えています。