記者会見

上川外務大臣会見記録

(令和6年9月3日(火曜日)11時31分 於:本省会見室)

(動画)上川外務大臣会見の様子

冒頭発言

国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会

【上川外務大臣】私(上川大臣)から1件ございます。
 本日、国際社会の持続可能性に関する有識者懇談会第4回会合が開催されました。有識者の皆様から中間とりまとめをいただいたところであります。
 この有識者懇談会でありますが、これはSDGsの期限年であります2030年以降を見据えながら、我が国の持続的成長と、そして国際社会全体の持続可能性の確保の在り方について、クリエイティブに検討を進めるべく、立ち上げたものでございます。
 私(上川大臣)自身、これまでの懇談会におきまして、自由闊達な御議論を通じまして、新たな視点、様々な気づきを多くいただくことができました。とりわけ、我が国の持続的な成長と繁栄に関する多くの課題が、国際社会全体の持続可能性の、この達成における課題と密接につながるっているということを、改めて深く認識をする機会となりました。
 国際社会全体の持続可能性に向けた取組が大きな困難に直面する中にありまして、我が国は、自らの課題に、着実に取り組むことによりまして、経済・社会を再構築し、成長と、そして持続可能性を同時に実現できるモデルを築き上げ、国際社会をリードしていかなければならないと考えております。
 中間とりまとめにおきましても指摘をいただいたところでありますが、私(上川大臣)自身、アフリカ開発会議、すなわちTICADで、多数の外相会談を行う中で、日本の技術に対する高い御期待を実感したところであります。例えば、科学を人やコミュニティと結びつけ、より大きな形で貢献していく、こうしたビジョンを示すことができれば、国際社会における我が国の役割の拡大にもつながるものと考えております。
 中間とりまとめで示されました様々な視点でありますが、今後の外交活動にしっかりと活用してまいりたいと考えております。
 以上です。

外務大臣就任から1年

【読売新聞 上村記者】大臣御自身のことでお伺いします。大臣は、今月で、外務大臣就任から1年を迎えます。この間の成果と課題について御自身の評価をお聞かせください。
 また、大臣は、総裁選、自民党総裁選の出馬を目指しておられますが、この外務大臣としての経験が、総理・総裁の資質を備える上でどのように生きるか、お聞かせください。

【上川外務大臣】第1問目の質問ということで、申し上げたいと思いますけれども、外務大臣就任から、本当にまもなく1年がたちます。この間、のべ43か国・地域を訪問いたしました。その中には、日本の揺るぎない支援の姿勢を示すべく訪問したウクライナ、また、情勢の緊迫化を受けて訪問したパレスチナ、これも含まれているところであります。同時に、日本にとりまして、G7議長国でありましたし、また、国連の安保理の理事国としての大きな役割を担う重要な時期でもございました。
 とりわけ、昨年5月のG7の広島サミット、これは被爆地である広島で開催をされたものでございます。核兵器のない世界に向けまして、取り組んでいく決意、これを首脳間で共有をし、そして核軍縮に関するG7広島ビジョン、これを発出いたしました。私(上川大臣)も、その成果、これを引き継ぎまして、「ヒロシマ・アクション・プラン」、これを着実に実践していこうと、この大きな決意の下で、国連などの様々な場面で、これを実践してきたところであります。
 現在、既存の国際秩序が挑戦にさらされ続けている状況であります。まさに、ウクライナ、そして、中東、ガザ情勢、こうした国際社会、政治・経済、あるいは人々の生活にも大きな影響を及ぼしていると理解しております。そして、安全保障の裾野は、サイバーや、また、経済、様々な領域に拡大しているというのも事実でございます。さらに、地球規模課題、これは毎年、非常に、温暖化の影響で自然災害も含めまして、深刻な影響を各地で、各国で、及ぼしている状況でございます。こうしたことは一国で解決することができない。その意味では、協力し、また協調しながら、また未然に防ぐべく、事前の努力も続けていかなければならないと思っております。
 この地域全体の紛争状況、あるいは、自然災害も含めましての温暖化の動き等も含めまして、価値を共有する同盟国、また、同志国、こうした国々との安全保障協力の、この強化ということが不可欠であると認識しております。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中にありまして、あらゆる国との間におきまして、対話と、そして、協働、対話と協働、これを通じ「共に創る」、共創するパートナーとして、関係を維持・強化してきたところであります。
 こうした観点から、私(上川大臣)は、7月に、米国及びフィリピン、そして8月にはインドと、それぞれ「2+2」を実施いたしました。今週は、豪州、オーストラリアと併せまして、この2か月の間で、4か国との「2+2」を開催したところであります。厚みを増す我が国のこの安全保障政策、これを体現してきたところでございます。
 この1年間でありますが、私(上川大臣)自身、肌で感じたところは、戦後80年、歴史的な状況の中で、日本の歩みが、本当に先人たちの努力によりまして、信頼と、そして期待、この大きな国際社会における信頼と期待につながっていることを強く実感してきたところであります。私(上川大臣)としては、こうした状況に応えるために何をすべきかということに、しっかりと方向性、照準を合わせる形で、WPS「女性・平和・安全保障」、これも含めまして、これに世界の平和と協調に資するための取組、こういった外交努力につなげていきたいと、こういう思いで展開をしてきておりまして、多くの国々から御賛同と、そして、共感を得ることができたと思っております。
 日本外交の大きな財産であるこうした信頼、また期待、これは未来の若い世代に対しまして、この「法の支配」と「人間の尊厳」と、この二つの極めて重要な理念に基づきまして、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」の維持・強化の実現に向けまして、今後も邁進していくということが重要と考えております。
 続きまして、外務大臣としての経験ということをベースにしたということのお話がありましたが、私(上川大臣)自身は、日本外交の顔として、外交の最前線で取り組んでまいりました。分断と対立が深まる現在の国際社会であります。各国との首脳や外務大臣との個人的な信頼関係、個人的な信頼関係が、これまで以上に、様々起こる国際社会における出来事に対しまして、しっかりと議論をし、そして決断していくという場面の中で、極めて重要であるということを認識しているところであります。
 安全保障環境が一層厳しさを増すところでもございますので、日本の外交の舵取り、これを行っていくためにも、私(上川大臣)は、こうして築き上げてきた経験や信頼そのものが、大きく生きてくると思っております。
 もとより、外交と内政は表裏一体の関係にありまして、内政の自信、そして内政において国民の皆様から理解をされ、そして支持を得ることができること、そのことが、大変重要であると、私(上川大臣)自身、所信のときに申し上げてきた3点目の方針でありますが、国民の皆様に理解され、支持された外交こそが、大きな力を発揮するという思いで取り組んでいたところでありますが、実績が相まって、外交の真価が発揮できるということを考えております。
 私(上川大臣)は、外務大臣として、アフリカ、そして、インド、中南米といった世界各地を回る中におきまして、女性や若者の皆さんが、目を輝かせて、それぞれの地域で活躍されている姿を目の当たりにいたしました。まさに、今までの常識の枠組みを越える、この越えて飛び出していこうと、こうした大きな力強いエネルギーを実感したところであります。こうしたことを国の中にも取り込んでいく、そして国を造っていくんだと、こういう思いを、そうした若者の、その目から強く感じたところであります。
 これからは、課題山積な状況でございますが、今、1年間、私(上川大臣)自身、外務大臣として、日本の外交の顔として動いてきた。このことを、これからも最大限生かして活動してまいりたいと思っております。

自民党総裁選

【NHK 五十嵐記者】関連して、自民党の総裁選挙の関連で伺います。大臣は、立候補に意欲を示されていますが、来週12日の告示が迫る中、最新の推薦人の確保状況についてお伺いします。また、明日からは、オーストラリアへの出張なども、公務もありますが、立候補表明の時期がいつになるのかも併せて伺います。

【上川外務大臣】総裁選に関しての御質問ということでありますが、総裁選に関しましては、今、推薦人の最後の調整ということで、少し目処が立ってきたなと思っております。最終の詰めを行っていかなければならないということで、これも丁寧に、一つ一つ、お一人お一人とお会いをしながら、続けてまいりたいと思っております。
 立候補に関する準備ということについても、加速している状況でございます。表明についてでありますが、これは、どこでやる、あるいは、どういう時間帯でやるかと、あるいは、いつやるのかと、こういうことについて、まさに応援いただいている議員の先生方と、よくよく相談をしながら、このことについても調整をいただきたいと思っておりまして、これについてお願いしているところでございます。
 私(上川大臣)は、この間、活動しておりまして、強く感じるのは、私(上川大臣)自身が今動いている、この総裁選に向けての活動そのものが、自民党が新しく変わる、あるいは、日本の政治が変わるということを、ある意味で象徴するようなことではないかなと思っております。一人一人の思い、私(上川大臣)の思いを聞いていただき、また、聞かせていただきながら、一緒に作り上げていく、このプロセスを大事にした政治というのは、これから国民の皆さんのいろいろな夢や希望を叶えていくためにも重要だと考えておりますので、その意味で、このプロセスそのものを大事にし、更にそういう姿勢で臨んでいきたいなと思っております。
 海外からも、日本の顔がどうなるのか、というのを注目してもらっているなということも同時に思っておりまして、これから日本の顔が、どういう新しい顔に変わるのかということについて、このことも、もちろん大事にしながら、これから、今日も、そして、努力してまいりたいと思っております。

【朝日新聞 松山記者】重ねて総裁選の関係で伺います。同じ旧宏池会の林芳正官房長官、本日午後に、総裁選出馬に向けた会見を行う予定ですが、林芳正官房長官の推薦人や支持者において、旧宏池会からあまり幅が広がってないという指摘もあります。大臣は、以前、派閥の枠組みで考えない総裁選を行うというふうにおっしゃってましたけれども、同じ旧宏池会御出身として、今回の林芳正林官房長官の御動向、出馬会見に向けた準備状況について、どのように見てらっしゃるか、御見解をお願いいたします。

【上川外務大臣】今回の総裁選は、志のある一人一人が、その思いで立候補するための推薦人、さらには、その先の活動ということでスタートしているところでありますので、また、候補者が、どのような思いを持って取り組んでいるのか、また今おっしゃったようなことがどうなのかということについて、お一人お一人のコメントについては差し控えさせていただきたいと思います。
 私(上川大臣)は、先ほど申し上げたように、私(上川大臣)自身の、お一人お一人と、思いを伝えながら、そしてチームを編成して、昨日「チーム陽子」と名前をつけていただきまして、漢字だそうですので、そういう中で、取り組んでいくという、このチームの輪を広げていく、このことが、私(上川大臣)自身の大変大きな力になっているなと思って、感謝しているところでありますが、こうした動きを作ることによって、新しい形の総裁選への立候補ということにつながるように、精一杯、最後のギリギリまで頑張っていきたいなと思っております。

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