記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成27年11月24日(火曜日)10時18分 於:官邸エントランスホール)

ASEAN関連首脳会議における南シナ海問題の扱い

【NHK 立町記者】ASEANの一連の首脳会談なども終わりまして,大臣もその前の外相会談に行かれて,南シナ海の問題について日本として働きかけを強めてきたと思いますが,EASの議長声明はまだ出ていませんが,調整状況と日本としての成果と受け止めをお願いします。

【岸田外務大臣】EASにおいても,安倍総理の方から「海洋における『法の支配』の三原則」に触れつつ,海洋における航行,あるいは上空飛行の自由,こうしたものは基本的な権利で今後もしっかり擁護されなければいけないなど,我が国の考え方はしっかり示しました。
そして,その結果として参加した各国の首脳の間では,海の平和と安全を守り,航行の自由を確保するために,各国が国際法に基づいて責任を持って行動し,緊張関係を生み出す行動を厳に慎むことで強いコンセンサスを得られたと受け止めています。この点は大きな成果であったと考えます。
共通のルールの上に立って関係国が対話を重ねることによってこそ,信頼を培っていくことができると考えます。今後とも海洋における「法の支配」,「航行の自由」,こうしたものがしっかりと確保できるように米国を始め関係国としっかり連携をしていきたいと考えます。

国際テロ情報収集ユニット

【NHK 立町記者】次にテロ対策についてお伺いしたいと思います。「国際テロ情報収集ユニット」を総理は12月上旬にも設置したいという考えを示されましたが,当初来年の4月というような話もありましたが,今,予定が大幅に前倒しになるので,その準備状況,今後どういった形で進めていかれるか・・・。

【岸田外務大臣】まず,我が国の国際テロに関する国際情報収集能力を向上するために,本年5月ですが,国際組織犯罪等,国際テロ対策推進本部の決定を行いました。その決定に基づいて外務省に「国際テロ情報収集ユニット」を新設するとともに,拠点となる在外公館に国際テロ情勢,現地状況,そして語学に精通する適任者を配置し,情報収集体制を強化する,この様になっております。このために,外務省,大臣官房内に準備室を設置いたしました。そして,調整を行ってきたところですが,今回のパリでのテロ事件を見ましても,国際テロに関する国際情報収集能力をしっかり強化していく必要性は論を待たないと考えています。
そして,現在,新ユニットの詳細は在外公館に新たに配置する職員に関し,人数,定員等の方法,そして具体的な任務,また各機関との関係等について12月上旬の正式発足を目指して最終的な調整を行っているところです。

産経新聞前ソウル支局長の判決延期に関する報道

【毎日新聞 小田中記者】産経の前ソウル支局長の関係ですけれども,韓国司法側は当初の26日の判決を延期して,来月にするということになりました。日本政府として,改めて裁判について見解というか,立場等,延期になったということについてどの様に受け止められますか。

【岸田外務大臣】まず延期になったという報道は承知しております。ただ我が国は,政府としては,従来から本件につきましては,報道の自由,あるいは表現の自由,さらには日韓関係の観点から懸念を韓国側に伝えてきました。我が国としましては,引き続きこうした懸念を伝え,韓国側に適切な対応を求めていきたいと考えます。
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