記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年12月24日(火曜日)10時40分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-平成26年度予算(政府案)の決定

【岸田外務大臣】平成26年度予算についてですが、外務省予算は平成9年をピークに減少傾向にありましたが、今回の予算は対前年度比で1割近く増額いたしました。また、総領事館の廃止なくして3大使館の新設、そして、定員45名の純増が認められました。
これは積極的平和主義の推進にふさわしく、自民党の外交を取り戻すという選挙公約を着実に実現していくためのものであります。

南スーダン(韓国隊への弾薬の譲渡)

【TBS 井本記者】南スーダンに派遣中の陸上自衛隊が韓国軍に銃弾を提供しました。初めてのことですけれども、昨日、会議を開かれて、どのような経緯からこういう決断に至ったのでしょうか。

【岸田外務大臣】南スーダンにおきましては2011年に国ができてから後、我が国としましては、国連南スーダン共和国ミッション、UNMISSの枠組みで国造りに貢献をしてきました。自衛隊が現地で活動をしていたわけですが、今般、南スーダンの国内情勢が急激に悪化しました。そして、その中にありまして南スーダンのジョングレイ州ボルに韓国軍の施設部隊が宿営をしていたわけですが、この宿営地に騒乱行為により発生した避難民、約1万5千人が受け入れられている、こういった状況にありました。そして、この韓国の部隊から、こうした緊迫した情勢を受けて、ぜひ韓国隊の隊員、および避難民の生命、財産を守るために必要な弾薬の譲渡をお願いしたいという要請を受けた次第です。ただ、正確に言いますと、これは国連UNMISSから要請があり、あわせて韓国側からも要請があった、こういったことであります。あくまでも、国連南スーダン共和国ミッション、UNMISSの枠組みの中で、こうした譲渡の要請がありこれに対応したということです。
 
【TBS 井本記者】これに対して野党側からは文民統制をないがしろにするものだ、武器輸出三原則に反するなど、ああだこうだと批判があるわけですけれども、これについては、どうお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】今回、今、ご説明したような事態の中で、たいへん緊迫した情勢の中にあり、韓国隊の隊員、および避難民の生命、財産を守るために人道的見地、また緊急性ということを考えた際に、我が国としては対応をすることが必要ではないかという認識のもとに、この例外的措置として、武器輸出三原則等によらないこととし弾丸等を無償譲渡する、こうした判断をした次第であります。

【TBS 井本記者】提供しないという選択が事実上なかったということでしょうか。

【岸田外務大臣】今回に事態を判断するに当たりまして、緊急性、人道性、更にはUNMISSの枠組み内において、韓国隊が使用する弾薬と共有できる弾薬を、現実問題、所有していたのは我が自衛隊だけであったいう事態も確認されました。こうした緊急性、人道性、そして、そうした技術的な問題、これを総合的に判断した上で今回の判断に至ったということです。

普天間飛行場の移設問題

【TBS 井本記者】沖縄の問題で、政府として年内に負担軽減策を沖縄の方に伝えるかと思うのですが、いつ、どのような形で行われると承知しているのでしょうか。
 
【岸田外務大臣】安倍内閣にとりまして、沖縄の負担軽減は最優先、最重要の課題の内の一つであります。先日の17日の沖縄協議会におきましても、仲井真知事から直接負担軽減を含む5項目の要請を受けております。総理も、これをしっかり受け止めて検討するようにという指示を関係閣僚に出しております。現在、こうした要請、更には総理の指示を受けて、関係閣僚が努力を続けている最中であります。具体的に、これをどう公表するかについては、まだはっきり決定したとは承知しておりません。情勢を見ながら、これから具体的な公表の時期とか方法については、決められていくものだと思っております。
 
【TBS 井本記者】要望には地位協定の改定がありますが、大臣としてはどうしたいのでしょうか。
 
 【岸田外務大臣】要請に中に、ご指摘の点も含まれていることは承知をしております。しっかり受け止めなければならないと思っていますし、あらゆる可能性については検討すべきだと思っています。ただ、具体的な対応等につきましては、相手もある話しですので、現時点では明らかにすることは控えたいと思います。
 
【TBS 井本記者】大臣にとっては米国も沖縄もどちらも大事だと思いますけれども、いわば板挟みの中で、どういう結論が望ましいとお考えですか。
 
【岸田外務大臣】沖縄の負担軽減は、沖縄の現状を考えた際に最優先、最重要の課題だと認識をしております。一方で、この負担軽減は日米同盟をこれからもしっかりとした安定したものにするためにも必要な課題だと思っています。この大切な課題について関係者の理解を得ながら、しっかりとした結論を出していかなければならないと思っています。
そういった思いで、今現在努力を続けております。

南スーダン(韓国隊への弾薬の譲渡)

【朝日新聞 菊地記者】南スーダンに関してお伺いします。今回、緊迫性、人道上の観点からやむを得ないという判断をされたと思いますが、今後、警護ですとか、PKOの活動範囲を巡って、もしくは更なる武器の輸出対応というように、三原則の例外規定がこういう理由からどんどん広がっていくという懸念はないでしょうか。

【岸田外務大臣】今回は先ほど申し上げました現実があり、そして、様々な条件等を勘案した上で総合的な判断を行ったということです。今後の議論については、また改めて冷静にしっかりとした議論を積み重ねていかなければならないと思っています。

 【朝日新聞 菊地記者】冷静に積み重ねるというのは、今回武器輸出三原則の例外としましてけれども、抜本的に三原則を見直すということもお考えになるのでしょうか。

【岸田外務大臣】今回の件は、あくまでも国際平和協力法第25条に基づく物資協力の枠組みで譲渡する、これが基本であります。ご指摘の大きな議論については、今後、引き続きしっかりとした議論をしていかなければならない課題だと思っています。

【NHK 渡辺記者】今の話の関連ですけれども、今後、そういった歯止めということも議論されてくると思うのですが、大臣はその点どう考えていらっしゃるでしょうか。緊急性と例外を積み重ねていくということと、何らかのどこかで歯止めをかけなければいけないということがあると思うのですけれども、その辺の議論はどうあるべきだとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】今回の事態については、あくまでも緊急性、人道性、そして、我が国の現地の自衛隊の所有していた弾薬の共用性、こういったものを勘案し、あくまでも国連平和協力法第25条に基づく物資協力の枠組みで譲渡する判断を行った次第です。
 今、歯止め云々の話については、より大きな議論を冷静にしっかりとしていかなければならないことだと思っています。今後の議論を待ちたいと思いますし、しっかり議論を行っていきたいと考えています。

【NHK 渡辺記者】その後、韓国政府からは、今回の日本の対応について、何らかの連絡、外務省を通じてあったのでしょうか。

【岸田外務大臣】現地において謝意の表明がなされたと承知しております。

【NHK 渡辺記者】現地の部隊から現地の自衛隊にということでしょうか。

【岸田外務大臣】現地において、韓国側から正式に謝意が表明されていると承知しております。

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