記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成24年12月)


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外務大臣会見記録(平成24年12月28日(金曜日)10時02分~ 於:本省会見室)

冒頭発言

【岸田外務大臣】閣議後の定例記者会見は初めてです。改めて、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

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日中関係

【朝日新聞 二階堂記者】当面の課題として、尖閣周辺で領海・領空に接近を続ける中国との緊張緩和をどう図るかという課題があると思います。政府内の連携が必要だと思いますが、関係閣僚の協議など、今後どのような体制で臨むお考えでしょうか。

【岸田大臣】そうした問題に対して、政府内で緊密な連絡を取りつつ、しっかりとした対応をしていかなければいけない。これは当然のことです。従来の体制もしっかり確認しながら、また、工夫の余地があれば工夫を加えていく。より良いものを絶えず検討していかなければいけないと思いますが、まずは、そうした連携が重要であるという基本的認識の下に対応していく、それに尽きると思っています。

【朝日新聞 二階堂記者】その連携というのは、官邸と外務省で改めて何か会議をつくるとか、関係閣僚会議があると思いますが、何か改めて会議を設置して対応を取るとか、そういうのをお考えでしょうか。

【岸田大臣】今のところ、具体的な何か形をつくるということまでには至っておりませんが、まずは、基本的な共通認識に対する従来の認識を共有するということが、平素から重要だと思っています。その上で、具体的にどう対応するか、これは今後、必要があれば検討していきたいと思っています。

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日韓関係

【時事通信 松本記者】昨日、大臣、韓国との外相会談を電話でなさいましたけれども、電話会談では、未来志向の日韓関係と双方から言及がありましたが、竹島とか歴史認識問題について、昨日の会談の中でお互い言及があったかどうか確認させてください。
 あと、来年2月25日に就任式が韓国では予定されていますけれども、これに対する日本側の対応、現時点でどうお考えなのかということと、あと、安倍総理が先日おっしゃっていた額賀代議士の特使派遣の現在の準備状況をあわせてお聞かせください。

【岸田大臣】まず、昨日の電話会談においては、今、御指摘があった点に触れた部分があるとしたならば、隣国関係の中で個々の課題において、いろいろと議論が起こるということは当然あり得る。そういったものを乗り越えて、ぜひ、しっかりとした関係を築いていきたいという表現で触れさせていただいたと記憶しております。
 大統領就任式につきましては、先方からの御招待等も確認しなければなりません。この対応についてはそれからだと思っております。
 額賀先生の派遣の話ですが、日程については現在調整中だと聞いております。韓国との関係、最も重要な隣国関係だと思っております。緊密な意思疎通を図ること、大変有意義だと思っておりますので、ぜひ、そうした思いで引き続き調整をしていかなければいけないと思っております。

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慰安婦問題

【朝日新聞 藤田記者】河野談話と村山談話についてお伺いいたします。菅官房長官の御発言ですけれども、村山談話については歴代内閣の立場を引き継ぐと。ただ、河野談話についてはそうはおっしゃらないものですから、海外では、安倍内閣は村山談話は引き継ぐのだけれど、河野談話はそうではないのではないかというような反応も生まれています。
 実際にそういうことなのかどうかというところを、外交の担当閣僚として御説明をいただけないでしょうか。

【岸田大臣】村山談話について、まず内閣の方針は、官房長官が述べたとおりだと思っています。この問題については、政治問題、あるいは外交問題化させるべきではないということ、こうした考え方については私(大臣)も共有をしております。それに尽きると思っています。

【朝日新聞 藤田記者】河野談話について、村山談話と同じような言いぶりをされないというのは、認識が違うということなのでしょうか、政府の立場を引き継ぐという点において。

【岸田大臣】この政府の立場については、官房長官談話についての政府の考え方ですので、官房長官の言いぶり、そして、説明に尽きるというように思っています。そして、その中における政治問題化、外交問題化させないという点、これが重要だと、外交を預かる立場からは強く思っております。

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日露関係

【北海道新聞 安藤記者】本日、一部の報道で総理とプーチン大統領の電話会談を本日やるというような話がありました。その事実確認をさせてください。もしやる場合はどういう内容をお話したいか、検討状況を伺えますでしょうか。

【岸田大臣】その事実関係、私(大臣)自身、今、把握しておりません。確認します。

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その他

【日本テレビ 菊池記者】米国で活躍されていた元ヤンキースの松井さんが本日引退表明をされましたけれども、海外で非常に活躍されていた日本人ということで、何か個人的な思いも含めて、御感想があればお聞かせください。

【岸田大臣】その報道につきましては私(大臣)も、朝、テレビ等で拝見させていただきました。
 日米両国にわたって大活躍をされた松井選手が引退されるということ、プロ野球ファンの一人としましても大変さみしい思いがいたします。一方で、この両国にわたって活躍されたこと、この二つの国の野球ファンを勇気づけ、そして、湧かせたその功績は誠に大きいものがあったと思います。そして、その成績・成果を上げるにあたっては、ご本人の大変な御努力があったものと想像いたします。こうした成果に対しては心から敬意を表し申し上げながら、一国民、あるいは一プロ野球ファンとして感謝を申し上げたいなと思っています。
 こうした成果、そして、経験も踏まえて、今後もまたご活躍されますことを心から御祈念申し上げます。

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外務大臣会見記録(平成24年12月27日(木曜日)1時38分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-就任の挨拶について

【岸田外務大臣】大変遅くまでご苦労さまでございます。このたび外務大臣を拝命いたしました岸田文雄でございます。この霞クラブという名前につきましては、今までいろいろなところで聞かして頂いて来ましたが、この有名な霞クラブの皆様と、こうしてお付き合いをさせて頂くことを大変光栄に思っております。今後ともよろしくお願い申し上げます。冒頭発言、先ほど官邸でも発言いたしましたので、簡単に触れさせて頂きたいと思います。
まず、アジア太平洋地域におきまして、日本の国益を守り、地域の平和と安定の発展のために貢献していく。このために、三つの柱があるということを申し上げました。一つは日米同盟の強化であり、二つ目は、近隣諸国との協力関係の重視、そして、日本の経済再生のための経済外交の展開、この三つの柱を軸に、大局的・戦略的観点に立って、外交を進めていきたいと考えております。
その中で、日米関係につきましては、早期に総理の訪米を実現し、同盟強化の方向性を出していきたいと考えております。
また、領土・主権の問題につきましては、自国の領域を守るとの断固たる意志を持って、腰を据えてしっかり取り組んでいきたいと考えております。
北朝鮮問題につきましては、断固とした姿勢で臨んでいく所存です。特に一日も早い拉致問題の解決に取り組んでいきたいと考えております。
更に、経済外交の話ですが、自由貿易の推進は日本の経済外交の柱です。国益に即して、積極的に経済連携を進めていきたいと考えております。TPPについても、この方針の下、まずはTPPの交渉について、今日までの経緯、そして協議の内容を、現政権におきまして確認をすることから始めなければならない。確認をし、そして把握をした上で、国益にかなう最善の道を求めていきたいと考えております。
そして、先ほども申し上げましたが、私(大臣)自身、広島の出身ということもあります。核軍縮につきましては積極的に取り組んでいきたいと考えております。
そして、アジア太平洋地域の戦略環境に適切に対応していくためには、各国の外相との意思疎通を図っていく、緊密な意思疎通を図っていくことが重要だと考えております。その観点から、私(大臣)自身の外国訪問につきましては、可能な限り、早期に開始し、そして、精力的に行っていきたいと考えております。

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日中関係

【NHK 及川記者】日中関係について、2点お伺いしたいと思います。一つ目は、安倍政権が発足したことで中国国内では歴史認識などを踏まえて右寄りではないかという懸念・指摘などがある中で、日中関係の改善という問題がより取り組みやすくなったか、取り組みにくくなったのかが1点目。
 2点目は、先ほど大臣が各国の外相との意思疎通が重要だと強調されましたけれども、そういう観点から、日中外相会談のために中国を訪問する、あるいは外相会談を行う、その辺りのプランというのはどのようにお考えなのでしょうか。

【岸田大臣】日中関係に、安倍内閣の発足によって、どういった影響が出てくるかということですが、まず日中関係は重要な二国間関係ですし、戦略的互恵関係、こうした関係にある大切な関係であると認識しております。そうした中にあって、領土・主権の問題等で大きな課題も存在いたします。こうしたものについて、領土・主権の問題については毅然とした態度を我が国としても取っていかなければいけないと考えていますが、一方でこうした大切な二国間関係についてしっかりとした意思疎通を図っていかなければならない。これもまた、事実であります。ぜひ、こうした外交関係において幅広い、そして大局的な、戦略的な観点からの対応を我が国もしていかなければいけないと思いますし、中国においてもしっかりとした冷静な対応をお願いしていかなければならない。こうした新政権の誕生によって、前向きな二国間関係が進んでいく、こうした結果に結びつけていきたいと考えております。
 そして、そのために外相会談等についても考えていかなければいけないと思いますが、ただ時期等につきましては、相手のある話でもありますし、また、総理の外交日程等ともすり合わせをしていかなければいけないと思いますので、ぜひこれから具体的な日程等については検討していきたいと思っています。

【時事通信 松本記者】今、大臣は領土問題について断固たる意思で臨まれるというお考えをお示しになっていますけれども、自民党の政権公約の中に尖閣問題について、尖閣への公務員の常駐化が明記されておりますが、この常駐化検討を今後どう扱われていくのか。また、常駐化に対して、中国の反発も予想されますけれども、その辺、大臣はどうお考えでしょうか。

【岸田大臣】尖閣諸島をどのように維持・管理していくかということについては、具体的な方法については、これからしっかり検討していきたいと思っています。どういった具体的な方法が好ましいのか、国益に資するものなのか、これはしっかり検討をしていかなければいけないと思っています。ですから、具体的な内容については、関係省庁とも連携しなければいけませんし、これからしっかりと検討していきたいと思っています。

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米軍再編問題

【琉球新報 宮城記者】2点お伺いします。1点目は、米軍普天間飛行場移設問題に関する岸田外務大臣の方針と解決に向けた今後の進め方をお伺いします。
 2点目は、相次ぐ米兵の事件を受けて、沖縄県民からは日米地位協定の改定を求める声が強まっていますが、改定を米国政府に求めていくお考えはありますでしょうか。

【岸田大臣】まず、在日米軍再編の問題につきましては、一つは抑止力の維持強化を図っていかなければいけない。そして、もう一方で沖縄の負担の軽減を図っていかなければいけない。この二つをしっかりと大事にしていかなければいけない。要は抑止力の維持・強化を図りつつ沖縄の負担の軽減をしていく、これが基本方針だと考えています。
その中にあって、この普天間の固定化についてはあってはならないと思っています。ただ、前の政権でのさまざまないきさつ、やり取りを見ておりまして、改めて沖縄の皆さんの声によく耳を傾けて信頼関係をしっかりと作っていく、この辺りから丁寧に進めていかなければいけないのではないか、このように思っています。
 それから、2点目の地位協定の見直しにつきましては、前政権におきましても、この運用等において改善が図られているというように認識をしております。その辺りもしっかりと確認・検証した上で、今後については考えていかなければいけないのではないか、そういうように思っています。

【琉球新報 宮城記者】普天間移設については、安倍総理が名護市の辺野古移設について進めていきたいというお考えをおっしゃっておりますが、その点についてはどうでしょうか。

【岸田大臣】総理のそういった方針についても、しっかりと我々は受け止めながらも、まずは、先ほど言いました前の政権でのいきさつを見る限り、私(大臣)自身としては、今一度しっかりとした信頼関係の構築から始めないと、これはなかなか物事が進まないのではないか、丁寧に沖縄の皆さんの声を聞いていく、この辺りから進めていかなければいけないのではないか。更には、この地元の負担等についても特別な配慮、こういったことも考えていかなければいけない。
こうしたことを積み重ねながら移設問題を進めていく。この普天間の固定化だけは絶対に避けなければならない、そのように思っています。

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日露関係

【北海道新聞 安藤記者】日露関係について伺います。安倍総理は先日の会見で、領土問題を解決して平和条約を締結したいというようなお考えを示されました。前政権でも、野田前首相はプーチン大統領との首脳会談に向けた訪露の約束まで出来ていましたが、自民党政権として今度ロシア訪問についてのスケジュールをどのようにお考えでしょうか。
また、北方領土の問題解決に向けて前政権でも経済とか安全保障での交流をロシアと進めてきました。自民党政権では今度どういうような領土問題に向けた他の経済等の協力を進めていきたいか、お考えを伺えますでしょうか。

【岸田大臣】首相の訪露については、先日18日に当時の安倍総裁も前向きに訪露について考える旨の発言をされていたと記憶をしています。そして、前の政権においても、12月に一度訪露を検討したといういきさつについても聞いております。こういった状況ですから、ぜひ検討をしなければいけないとは思いますが、相手との調整もありますし、具体的にはまだその辺は確定していないと聞いております。ぜひ、これは調整をしっかり進めていきたい、そのように思っております。
そして、現政権において日露関係をどう進めていくのか、様々な課題があり、そして北方領土問題もその中の大きな課題ではありますが、日露関係はこの地域における大切なパートナーであります。ぜひこうしたロシアとの関係、北方領土問題も含めて経済あるいは文化等々幅広い分野で様々な課題を取り上げ、そして進めていく、そしてロシアとの関係を深めていく、こうした大局的な視点が重要なのではないか、こうした戦略的、大局的な見方で日露関係を進めていくことが大切ではないか、そのように感じております。

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竹島及び集団的自衛権

【西日本新聞 吉田記者】竹島問題について、ICJの単独提訴について準備が整っていると思いますが、これについてどういうように考えているかが1点。
もう一つ、集団的自衛権について先ほど首相の会見では連立合意が優先というようなお話でしたけれども、集団的自衛権の行使・容認について憲法解釈の変更を、今のところ政権として変更する考えがないのかというのが2点目。
もう1点、3本の柱を外交でおっしゃいましたが、民主党政権もほとんど同じような3本の柱だったと思います。自民党は民主党政権の外交の敗北だと言ってきましたけれども、民主党政権と何が同じで何が違うのか、この3点お願いします。

【岸田大臣】まず最初に竹島の話ですが、竹島問題は法に則り、冷静かつ平和的に紛争を解決する考えに基づいて、提訴の問題、これは検討準備はしていかなければならないと思いますが、ただ今後、この情勢、総合的に判断して適切に対応していかなければならない、そのようには思っております。
それから集団的自衛権の問題につきましては、安保法政懇、前の安倍内閣で発足して福田内閣で報告した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」、この議論を踏まえて、ぜひ日本を取り巻く安全保障環境にふさわしい対応、これを明確にしていかなければならないと思いますが、その集団的自衛権について具体的な進め方については総理の考えもしっかり確認させて頂き、また関係省庁ともしっかり調整をしながら、これから検討していきたいと思っております。
それから民主党政権、外交敗北だと言った、ほとんど変わらないのではないかということですが、やはり民主党政権時代、確かに項目だけ挙げると似たようなことになるということなのかもしれませんが、まず一つは日中関係とか日韓関係にしましても、それだけに集中してしまって周りが見えてなかったのではないか。やはりこうした大事な二国間関係を考える際に、例えば米国ですとか、周辺諸国ですとか、周辺の国際環境等にも思いを巡らし、こうした大局的な見方をしていかなければならなかったのではないか、どうもこの見方が狭かったのではないか、こういった点は我々教訓として進めていかなければいけないと思いますし、そして何よりも一番大切な日米同盟について信頼関係を損ねた。こうしたことについては、この民主党政権時代の外交は厳しく批判をされてしかるべきなのではないか、我々はそうした失敗をしてはならない、このように思っています。ぜひこの日米同盟を基軸としながら強化を図っていく、近隣諸国との間で大局的・戦略的観点から外交を進めていく、そしてASEANやインド、オーストラリア等こうした国々との間においても戦略認識を共有して、関係強化を図っていく、こうしたことを進めていかなければならないのではないか、このように思っています。
更には、民主党政権で外交関連の予算、あるいは人員が単に横並びで削減されてきた、こうした指摘があると認識をしています。この外交をしっかりと取り戻すためにも、外交基盤の再強化、この基盤の再強化みたいなものは重視していかなければいけないのではないか。こんな点においても、前の政権の失敗は教訓としないといけないのではないか、こんなことを考えています。

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米軍再編問題

【朝日新聞 倉重記者】先ほど大臣は冒頭で総理の訪米、早期実現について意欲を示されましたけれども、訪米の成果物として、前政権中に辺野古移設に向けたアセスの評価書の補正作業が完了しまして、次のステップとして埋め立て申請に向かうわけですが、この1月中の埋め立て申請の可能性というのをどのように考えていらっしゃるのかということと、訪米の成果物について沖縄の負担軽減でどのようなことを考えていらっしゃるのかということを具体的にあればお願いします。

【岸田大臣】ちょっとすいません、負担申請の手続きの手順とかスケジュールについて、私(大臣)は具体的なものを把握していないので、ちょっとそれは確認をさせてください。
 それからあとは負担軽減についてですが、これは私(大臣)もかつて沖縄担当大臣をやりましたが、この沖縄における地元の負担というのは、本当に幅広い、精神的なものから具体的な負担から物理的な負担も含めて、本当に幅広い負担が存在すると思います。そうしたものに対して、丁寧にこの負担について考え、この心を寄り添わして対応していく、こうした積み重ねが大切だということを考えています。これをやれば負担軽減だなどという乱暴な、簡単な話ではないということ、こうしたこのデリカシーのある対応が求められているのではないか、こんなことを従来から感じておりました。そうした丁寧さをしっかりもって考えていきたい、そのように思っています。

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竹島

【山陰中央新報 藤原記者】竹島の領有権問題についてですけれども、竹島の場合、実効支配を許しているわけですけれども、ICJの単独提訴、今準備はしていると、適切な判断をしたいということだったのですけれども、提訴をしないという選択肢があるのかどうかというのが1点と、自民党の政権公約の中で政府主催の式典について実施をするということだったのですけれども、来年の2月に関しては、どうも見送る方針であるというようなことも聞いておりますが、この式典の開催を含めた啓発・啓蒙体制のあり方について見解をお聞かせください。

【岸田大臣】まず、提訴しない選択肢があるのかという聞かれ方をしましたが、検討、準備はしています。その準備をどのように使うのか、これについては総合的に判断する、これは先ほど申し上げたとおりです。ですから、その総合的な判断というものについて、これは提訴しないと言えば、これはそれで一つ結論になってしまいますから、総合的な判断をこれからしていきたいということを申し上げておりますので、それに尽きるというように思っております。
 啓発については、「竹島の日」につきましては、これは種々の状況を踏まえて慎重に検討していく、こうしたことになるのだと思いますが、こうしたものも含めて、啓発についてはこれはしっかりと取り組んでいかなければいけない課題だと思います。啓発については、日本国民全体に対して、どのように啓発していくのか、これはいろんな切り口、手段が考えられると思います。ただ、啓発について前向きに取り組んでいかなければいけない、これは大変重要な点だと思っています。

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北朝鮮関係

【共同通信 斎藤記者】北朝鮮問題で端的に2点お伺いします。
 1点は核・ミサイル・拉致問題を抱えているわけですが、これに対してどのような方法で早期解決の道を模索するのか、基本的な認識をお伺いします。
 2点目は、安倍総理はこれまで圧力と対話の中でも圧力に軸足を置くと受け止められるような発言をされておりますが、制裁強化をして果たして拉致被害者が帰ってくるのかどうか、少なくともこれまでの追加の経済制裁が拉致被害者の救済につながったという実績はないわけで、そうすると果たして今後それを繰り返すことによってどのような勝算があるのか。その点、どのように受け止められているのかご認識をお伺いしたいと思います。

【岸田大臣】北朝鮮問題について、まず、この拉致、核、ミサイル、こうした問題については、六者会合あるいは安保理での議論を踏まえながら、我が国としても対応していかなければいけない。こうした関係諸国との連携の下に考えていかなければいけない。こうした課題だというように思っています。
 そして、もう1点の圧力と対話の話ですが、この圧力と対話、これは両方とも重要だと思っております。そして、このバランスについては、我が国の国益、そして問題解決に向けて、どの手段が最も友好的なのか、これをしっかりと考えていかなければならないと思います。これは先ほど、圧力を続けても成果が上がっていないのでないかといった指摘がありました。こうした指摘があるとすれば、これもまた検討していかなければいけない。我々としては、この拉致問題をやはり一日も早く解決をさせなければいけない。そして、日本の国益を守っていかなければいけない。こうした目的に向けて、最も効果的な対応はどうなるのか、対応はどうあるべきなのか、こうしたものを絶えず現実的に考えていかなければいけないというように思っています。

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TPP

【日本農業新聞 玉井記者】TPP参加についてお伺いします。国益にかなう最善の道とおっしゃっていましたけれども、国内にはTPP参加によって影響を受ける分野というものが考えられているのですが、国益というのは何をもって国益なのかということと、その最善の道をどのようなプロセスで決めるのか、お考えをお願いします。

【岸田大臣】国益の中には、農業をはじめとするそうした大きな影響を受ける様々な分野、これはもちろん当然のことながら入って参ります。これを守るためにどう進めるのか、先ほども申し上げましたが、まずは前政権で今日までこの問題に取り組んできました。我々、新政権において、協議の実情をしっかり把握する、そしてそれを検証する。その上で、先ほど申し上げた国益にかなう最善の道を探っていく、順番としてはそういうことになるのだと思っています。まずは検証した結果を踏まえて、具体的なものを考えていく。これが順番だと、道筋だと思っています。

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外務大臣会見記録(平成24年12月27日(木曜日)0時55分~ 於:官邸会見室)

冒頭発言

【岸田外務大臣】このたび外務大臣を拝命いたしました岸田文雄でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。冒頭、私(大臣)の方から発言をさせて頂きたいと存じます。
 今、アジア太平洋地域の戦略環境は、大きく変化し続けております。この中にありまして、日本の国益を守る、そして地域の安定と平和に貢献するためには、新内閣の外交の基軸は、まずは日米同盟の強化であると考えています。そして二つ目として、近隣諸国との協力関係の重視、そして三つ目として、日本の経済再生のための経済外交の展開、こうしたものを考えていかなければいけないと考えています。この三つの柱を軸に、大局的、また戦略的観点を持って、外交に取り組んでいきたいと考えております。
 まず、日米関係ですが、日米関係につきましては早期に総理の訪米を実現し、同盟強化の方向性を出していきたいと考えております。
 そして、近隣諸国との協力関係ということにつきましては、韓国、中国、ロシア、更にはASEAN諸国、インド、オーストラリア等、こういった国々との間で大局的・戦略的観点を持って、協力関係を増進させていかなければいけない、このように考えております。
 国にとりまして死活的に重要であります領土・主権の問題でありますが、この問題につきましても、自国の領域を守るとの断固たる意志を持って、そして腰を据えてしっかり取り組んでいきたいと考えております。
 また、北朝鮮問題ですが、断固した姿勢で臨んでいく。特に一日も早い拉致問題の解決に取り組んでいきたいと考えております。
 更に、自由貿易の推進は、日本の経済外交の柱であります。国益に即して、積極的に経済連携を進めていく。特にTPPにつきましては、こうした方針の下、これまでの経緯ですとか、協議の内容をきちんと確認し、把握した上で、国益にかなう最善の道を求めていきたいと考えております。
 なお、私(大臣)自身、広島の出身であります。そういうこともあり、核軍縮に関しては積極的に取り組んでいきたいと強く考えております。
 アジア太平洋地域の戦略環境につきまして冒頭申し上げましたが、こうした戦略環境の変化に適切に対応していくためには、各国外相との意思疎通をはかることがなによりも重要であり、不可欠であると考えております。この観点から、私(大臣)自身の外国訪問に関しましては、可能な限り、早期に開始し、そして積極的に、精力的に行っていきたいと考えております。

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尖閣諸島

【ニコニコ動画 七尾記者】前政権の尖閣諸島国有化に対するご見解と、この国有化による今後の外交への影響につきましてご見解をお願いします。

【岸田大臣】国有化につきましては、この国有化の進め方ということについて、しっかりとした準備、そして環境整備、手続き、こういったものをもって進めていかなければいけない、このように思っています。そして、前政権の進め方について、今一度しっかりと確認をし、そしてそれを評価した上で、現政権において、どういう今後の対応を進めていくのか、現実的にしっかり検討していきたい。そのように思っております。

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日中関係

【朝日新聞 二階堂記者】日中関係についてお伺いします。尖閣問題で悪化した日中関係を今後どのようなアプローチで修復するお考えでしょうか。また、大臣から早期に各国と外相会談をという発言がありましたが、日中の外相会談についての見通しについても教えてください。

【岸田大臣】まず、日中関係は我が国にとりまして、大変重要な二国間関係であることは言うまでもありません。その中にありまして、尖閣問題、領土・主権に関わる問題につきましては,尖閣列島が歴史的に、そして国際法的にも我が国の領土であることについては間違いないと考えております。この領土・主権の問題をしっかりとした、断固たる態度で臨んでいかなくてはいけないと思っています。ただ、一方で、この日中関係は、多くの互恵的な関係が存在致します。この大切な二国間関係につきまして、ぜひ外相間におきましてもしっかりした意思疎通を図っていかなければいけない、丁寧に対応していかなければいけない、そのように考えています。

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外務大臣会見記録(平成24年12月26日(水曜日)9時51分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-離任の挨拶について

【玄葉外務大臣】最後の記者会見になりますけれども、御出席の記者の皆様にも大変お世話になりました。先ほど、野田総理が482日間だったというお話がございましたけれども、1年4か月、野田政権の外交を担わせていただきました。まさに国際社会の秩序とか、ルールとか規定するようなこの局面で、私(大臣)なりに日本の国益を最大化をする、そして、まさにこれからの国際社会、そしてアジア太平洋の発展に向けた秩序をつくる、ルールをつくる、そのための日本にしていくということで全力を尽くしてまいりました。
 特に印象的だったのは、まず一つは、日米の問題でございます。鳩山さんによって一時、揺らぎが出たと言われましたけれども、私(大臣)は、日米関係は立て直したというように考えております。先般も、米国の議会でグアムの移転予算というものが通りましたけれども、ある面、いわゆる海兵隊のグアム移転と嘉手納以南の土地の返還の二つと、普天間の進展を切り離したひとつの効果ではないかというように思っています。ただ、普天間の固定化というのは、絶対にあってはなりませんので、引き続き、どのような立場になっても普天間の移設に向けて努力をしたいと思います。
 また、日米の地位協定、見直しまではできませんでしたけれども、ただ、地位協定のいわゆる改善ということで、改定まではできませんでしたけれども、二つ行いました。実質の見直しだと申し上げても、私(大臣)は過言ではないのではないかと思っています。
 これから日米関係を立て直すという表現を使っている、これから誕生するであろう新政権が何を具体的にどう立て直すのか、よく見ていきたいというように思っています。基本的な素地はもうできていて、2+2でも日本が更なる役割と責任を果たすというように言っているわけでありますし、あの2+2で、実際に、極めて大事な計画検討なども実質的に進んでいますので、何を具体的に指して言っているのかということが、私(大臣)にはまだよくわからないと。集団的自衛権のことなのかもしれませんけれども、それは若干時間がかかるのではないかと思っています。
 それと、アフガン東京会合とか、あるいはミャンマーで道筋をつけた、特に1月から円借款を再開するとか、ODAも15年ぶりに、ずっと減少してきたので、反転の端緒を開いたと思っているのですが、また、来年度予算でも71兆枠の中でも、何とかその端緒を端緒で終わらせずに増やそうという思いでやっていたのですけれども、今度、枠が取っ払われるということでありますから、少なくとも、ODAのこの反転はしっかり、まさに端緒に終わらせずに反転させてもらいたいというように思っています。
 日露もさまざまなことがありました。私(大臣)のときにも、首相が北方領土を訪問したという事態になったわけでありますけれども、御存じのようにチェルノムイルジンの北方領土訪問というのが1993年にあったわけで、あの後、東京宣言になっているわけです。ラヴロフ外相とも6回、またプーチン大統領とも1度、ソチでお会いをしましたけれども、あらゆる分野での協力関係を進めながら、双方受入れ可能な解決を領土問題で図っていく、そして、平和条約を締結するという課題について、一定のレールは敷けたのではないかと思っています。
 北朝鮮の問題についても、これは、ミサイル発射が4月にありまして、すぐさま議長声明を出して、日本は一定のリードができたと思っておりますけれども、その後、御存じのような日朝の対話というものを始めたわけであります。ただ、また、非常に残念で、とても容認できない話でありますけれども、ミサイルの発射というのが行われたということで、国際社会として、断固たる対応を取りつつ、この間行われてきた日朝の対話というものは、どこかで、私(大臣)は、活きてくるというように思っているところであります。
 日韓につきましては、私(大臣)は個人的な要因にかなりよるのではないかと思いますが、李明博大統領の竹島上陸というのがあった。それについてICJの共同付託というものを国際法に則ってしたわけであります。今、単独付託というカードをあえて次の政権のために残したようなところがございます。やはり、日韓の関係というのは非常に大事であって、これは基本的な価値観を共有しているわけでありますし、戦略的な利益も共有しているわけでありますから、まず、日韓をしっかりとしていくということが大事だろうと思います。この間も、かなり地ならしというか、金星煥長官とは行ってきました。韓国も政権の交代がありました。大統領も代わりましたので、私(大臣)は、そういう環境というのは、十分つくり得るのではないかというように思います。
 日中につきましては、9月の尖閣三島の取得というまでは、少なくとも、戦略的な互恵関係の深化ということで、着々と進んでいたわけでありますけれども、御存じのような尖閣を巡る事態になっているわけであります。そのこと自体、日中関係に大きな影響を与えたことは事実だと思いますけれども、日本としては、基本的な立場をしっかりと維持しながら、冷静にかつ適切にこの間対応してきたと思っております。
 いつも申し上げておりますけれども、この問題は、日本も中国も大局的な観点を見失わずに、お互いにとって大変重要な二国間関係の一つでございますので、戦略的な互恵関係の深化に努めていく。尖閣を巡る事態は、我が国の基本的な立場というものを維持をしながら、平和的に事態を沈静化させていくための意思疎通を、現在も行っているところであります。いわば、事を収めていくための下ごしらえをしてきていますので、どこかの段階で、しっかりと事を収めていくということが必要だと思っています。
 いずれにしても、記者の皆様にも1年4か月ずっとお付き合いをいただいた記者さんもいらっしゃいますし、新しくいらっしゃった方々もいらっしゃるわけでありますけれども、さまざまな叱咤激励をいただきまして、本当にありがとうございました。お世話になりました。

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米軍再編問題

【琉球新報 問山記者】昨日、森本大臣の会見で、「軍事的に沖縄でなくても良いが、政治的に考えると沖縄が最適な地域」という発言がありまして、地政学的な観点というよりも、政治的に受け入れる土壌が沖縄にあるということで普天間の移設先として決定したというような発言があったのですが、この発言に対して大臣がどうお考えになっているかという1点と、地元の名護市や県知事、今回の衆院選で当選した当選者も全て県内移設に反対しています、先ほど大臣は最後の話で、普天間移設の努力をしていきたいという話もあったのですが、いまの現状から県内移設、辺野古移設は可能だというようにお考えでしょうか。
 それと、この任期中、先日補正された環境影響評価の評価書が県に提出されましたが、この普天間の移設問題が進展したというようにお考えでしょうか。3点お願いします。

【玄葉大臣】まとめてお答えいたしますけれども、私(大臣)は日米安保、そして、その負担というのは、全国で分かち合うべきであるというのが持論でございます。ただ、今、沖縄に負担を担っていただいている、その大きな理由はやはり地政学的な理由だというように私(大臣)は思ってお願いをしているということです。ただ、抑止力を維持しながら、負担を軽減するということは可能だというように考えておりまして、そのためにこの間も嘉手納以南の土地の返還に熱心に取り組んできたつもりです。まとまるところまでだいたい来ているわけであります。
 先ほど申し上げたように、グアムへの海兵隊の移転も、普天間の問題が全く進まなければ移転はないというのがこれまでだったわけでありますけれども、それはそれで進めるということで、いわば負担の軽減を先にしていくということを行ったわけであります。私(大臣)は、これからその実はあがってくるのではないかというように思っています。
ですから、そういう軽減の努力をどのような立場になっても引き続き行いながら我が国の安全保障の観点も見据えつつ、沖縄の皆さまの理解を得られるように、また別の立場になっても努力していきたいというように考えています。

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民主党の外交政策

【朝日新聞 二階堂記者】玄葉大臣御自身、今後、外交・安全保障の分野に関してどのようにかかわっていくお考えでしょうか。また、民主党の外交政策、いろいろ批判もありますけれども、どのように立て直すというか、お考えでありますでしょうか。

【玄葉大臣】どういう形でかかわっていくのかは、まだ何か党で、どういう立場でということが、この直近で何かということが定まっているわけではありませんけれども、言うまでもなく、この外交・安全保障の問題には、これからも深くかかわっていきたいというように思っています。
 政権が与野党で交代した3年3か月前からこの間における一つの良かった点というのは、やはり与党と野党、少なくとも与党第一党と野党第一党との間で、外交・安全保障政策に大きな違いがなくなったと。もちろん差異というのは当然あっていいのですけれども、大きな違いであってよいのかどうかというと、私(大臣)はそうではないのではないかというように思っていて、やはり外交・安全保障政策はリアリズムの観点に立脚したものでないと、私(大臣)はいけないと、もともとそう思っておりますので、そういう意味で民主党の外交・安全保障政策をまたしっかりとこれまでの蓄積を踏まえた形で構築をしていきたいというように思っています。

【産経新聞 杉本記者】先ほどの御発言で、外交・安全保障政策に与野党の大きな違いがあってはならないということでしたけれども、3年3か月の中で民主党政権であるからこそできたといったようなことについて、どのように考えていらっしゃるのかということと、鳩山政権時代に揺らぎがあったという御指摘があったと思うのですけれども、この3年3か月の間の民主党の外交政策の反省点について、大臣としてどのように考えていらっしゃるか、二点お聞かせいただきたいと思います。

【玄葉大臣】外交・安全保障政策に限らず、私(大臣)は3年3か月を反省するとか総括するとかというよりも、むしろ3年6か月とか3年7か月を反省し総括した方がいいと思っているのです。
 3年3か月の成功と失敗、特に負の部分ということの大半は、見通しの甘いマニフェストによるものであったわけで、そのマニフェストの作成過程を含めたその部分をむしろ反省すべきだと私(大臣)は思っているのですね。あの時に民主党全体でしっかりとした議論が行われたわけでもありません。そういう中で出来上がったマニフェスト、私(大臣)は、あのマニフェストで政権交代が行われたともあまり思っていない、率直に申し上げて。ですから、そういった3年3か月というよりは3年6か月、3年7か月を振り返った方が私(大臣)は正しい総括ができるのではないかというように思っています。
 他方、情報公開の分野でも外交分野で進んだところが当然ございますし、経済外交などもなかなか自民党が進めきれなかったところを進めることができた。実際に日中韓のFTAもRCEPも交渉開始です。EUも事実上始まります。TPPもかなりのところまで行っているわけで、日米の問題、あるいはこれから日本の国力という問題を考えた時に、特にこの少子高齢化社会、労働力人口の減少がある中でTPPをどうするのかということを新しい政権がしっかり解が出せるのかどうか、むしろ注視をしたいというように思っています。ですから、直接の答えになっていないかもしれませんけれども、民主党としてはあのマニフェストで、これは正しいと思ったところはしっかり行って、これはむしろ財源の見通しが甘かったとか、これはちょっと言い過ぎたとかというところについては、率直に誤りを政権途中で認めて、そこは正直に進めてきたと。税と社会保障の一体改革もそうだと思いますし、「最低でも県外」の問題もそうだったのではないかというように思います。

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日中関係

【朝日新聞 倉重記者】大臣お疲れ様でした。改めてちょっとお答えにくいかもしれないのですが、対中政策について、民主党は一貫して冷静、慎重な対応ということで、自衛隊等の、検討ということで総理もおっしゃっていましたけれども、極めて中国が挑発行為を続ける中で、冷静に対応してきました。一方、自民党安倍政権は公約で公務員の常駐の検討と、より強行な態度を示しているのですが、中国の尖閣に関するアプローチの仕方で、民主党がこれまでとってきた慎重姿勢の評価と、今後どういうようなアプローチを取るべきであるというようにお考えであるかお聞かせください。

【玄葉大臣】挑発もしなければ、挑発にも乗らないという姿勢を続けるべきだというように思います。私(大臣)は多分に、公務員の常駐検討というのは、検討という言葉に象徴されているように選挙対策の面が強いというように思っています。譲れないものは譲れないと、先ほど申し上げたように、基本的な立場をきちんと維持した上で、意思疎通を維持・強化して、事を納めていくということが、やはり求められるというように思いますので、おそらく今の下ごしらえをした路線を、これから歩むのではないかというように考えています。

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日米関係

【西日本新聞 吉田記者】2点お願いします。日米安全保障条約はよく議論になるのですが、大臣は日本と米国で片務的だと今思ってらっしゃるのかというのが1点、もうひとつ、先ほどの日米安保の負担は全国で分かち合うべきだというお話ですが、その中で象徴的な普天間でさえ県内移設ということになっておりますが、抑止力を維持しながら、普天間も含めて負担軽減を全国でできるのであれば、「最低でも県外」と一時期言っていた民主党ですから、野党時代に具体的にどういうふうに全国で分かち合うのかという案を示すべきではないかと思いますけれども、その2点お伺いします。

【玄葉大臣】象徴的な普天間ですらと、こういう話でありましたが、普天間だから難しいという側面が、私(大臣)は特性からいってあるのではないかというように思います。ただ、今おっしゃったように全国で負担を分かち合うと言った時に、何をどう、より具体的に分かち合うのかということについては、これは野党になったら野党になったで、それこそリアリズムの観点に立ちながら、しっかりと検討していきたいというように思います。これは大事なことだと思います。もっと言えば、タイムスパンも含めて考える必要はあるだろうというように思います。
 日米安保条約が片務的か双務的かというのは、外務大臣としては双務的だと、こういうふうに当然言うわけであります。ただ、やはり日本として日米安保において、安全保障だけじゃないのですけれども、今の国際社会のパワーバランスを考えた時に、さらなる役割と責任というものを日本として果たしていかないと、新たな国際秩序、安定したかつ平和的な国際秩序というのはつくりにくいというところがあると思っていますので、そのさらなる役割と責任というところについて、よく与野党とも議論する必要があるのではないかと思っています。

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外務大臣会見記録(平成24年12月21日(金曜日)10時51分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ゴラン高原における輸送業務等の終了について

【玄葉外務大臣】昨年来、悪化の一途をたどるシリア情勢がゴラン高原地域にも深刻な影響を及ぼしておりまして、UNDOF(国連兵力引き離し監視隊)の活動にも支障が出ています。
 このような状況におきまして、我が国の要員の安全の確保と、安全を確保しながら意義のある活動がなかなかできないと、困難だという認識に至りまして、国連との調整を経て、撤収を決定したところであります。
 UNDOFにおける我が国の活動をこのような形で終えるというのは残念なことでもありますけれども、これまで現地で厳しい任務を果たしてきた自衛隊員の皆様に敬意を表したいと思います。我が国の活動に協力をいただいた国連や関係国にも感謝申し上げたいと思います。

(2)米国国防授権法について

【玄葉大臣】米国の議会にて、国防授権法案の内容が実質的に固まりました。2点評価を申し上げたいと思いますが、一つは海兵隊のグアム移転であります。一昨年の国防授権法では計上されなかった海兵隊のグアム移転関連の工事費が復活をしております。
 そして、我が国が米国に提供したグアム移転関連資金の凍結解除というものが一部なされているということで、グアム移転の促進、つまりは、抑止力を維持しながら沖縄の負担を軽減するということについて、一定の進展であるというように評価をしています。いわゆる普天間の切り離しというものが、ここへ来て功を奏してきたというように思います。
 次に、尖閣についても「議会の意見」というのが盛り込まれています。日米安保条約に対する米国の強いコミットメントを議会として表明するものでありますから、歓迎をしたいというように思います。

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日韓関係

【TBS 西川記者】韓国大統領選が終わりまして、朴氏が当選しました。このことの受け止めと、今後の日韓関係の展望をお聞かせください。

【玄葉大臣】日本と韓国の関係、これは韓国の大統領が代わろうとも日本の首相が代わろうとも、アジア太平洋、そして地域全体の平和と安定の軸であると。この日韓の連携というのは、非常に大事だということに変わりはないと思います。特に、基本的な価値というものを共有していますので、そういう意味で、日韓の関係をこの機に、これまでも外交当局としては、御存じのような困難な問題がある中で、できる限りのマネージメントをしてきたわけでありますけれども、特に、朴槿恵新大統領予定者は選挙期間中も日韓のEPA等に言及するなどしておりますから、北朝鮮のミサイル発射もありました。安全保障、経済、その他さまざまな共通の利益、戦略的な利益というものを共有していますので、そのことを踏まえた日韓関係の構築というものが必要だというように思っています。

【TBS 西川記者】竹島問題など、まだ解決されていない問題がありますが、政権の交代を機に、またこれはひとつの大きなチャンスになるとお考えでしょうか。

【玄葉大臣】古今東西、政権交代という機を活かすというのは大事なことなので、それぞれ困難な問題はありますけれども、適切にマネージしていくと。もちろん言うべきことは言う。しかし、適切にマネージするということが、特に日韓の場合は、地域の平和と安定の軸なので、そのことをきちんと意識をしながら関係を構築していくということが大事だと思っています。

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日露関係

【北海道新聞 安藤記者】ロシアのプーチン大統領が、昨日記者会見をされまして、安倍総裁の発言を受けた形ではあるのですけれども、北方領土交渉に向けて建設的な対応をしていきたいというようなお話をされました。そういうようなプーチン大統領の発言に対してどう受け止めていらっしゃるか。また、民主党政権下でも、ロシアとは経済・安保の協力を深めてこられたと思います。総理の訪露の直前まできたところですが、この民主党政権でやってきたことを踏まえて、新政権にどういう日露関係、北方領土交渉を望むか伺えますでしょうか。

【玄葉大臣】民主党政権下で、それぞれ評価はあるかもしれませんけれども、日露の関係というのは、非常に良い関係になっていると思います。つまりは、戦略環境が変わっていく中で、両国が共に関係を強化することが大事だという認識に至っているという状況をつくり出したと思っています。したがって、本年も、私(大臣)も相当、ラヴロフ外相とは話し合いましたし、特に経済の分野などで具体的に話し合いが持たれているのは御存じのとおりだし、安全保障の分野でも初めて日露間で緊密な協議が行われたということで、当然ながら、北方領土問題を解決して平和条約を締結するということを、互いに目指していかなければならない。あらゆる分野での協力を進展させながら、北方領土問題を解決して平和条約を締結するといった路線は継続してほしいと思いますし、それしか道はないと思います。

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米軍再編問題

【琉球新報 問山記者】嘉手納以南の施設の返還に関する統合計画についてお伺いします。大臣はこれまで、基地は沖縄の負担につながるということで、嘉手納以南の返還に非常に取り組んできました。12月には計画ができるというように伺っているのですが、計画ができるかどうかの見通しと、もしそれが年明けにずれ込むのであれば、その理由というか、日米で必要な課題というのがどういうのがあるのかというのをお聞かせください。

【玄葉大臣】これはおっしゃるように、私(大臣)も熱心に取り組んできましたし、かなりはっぱをかけて事務方の尻も叩いて、また政治レベル、高いレベルでもこの問題に取り組んできました。進展はあるというように思います。その中で、最後の段階は時期の特定なのです。

【琉球新報 問山記者】返還時期ということでしょうか。

【玄葉大臣】はい。やはり時期が特定されないと、私(大臣)は駄目だと言って尻を叩いています。ですから、そのことの最終調整を今、しているということです。いつになるかというのは、まだ明確には申し上げられないのですけれども、先般も申し上げたのですが、嘉手納以南の土地の返還だけを取り出して示すのかという問題もあると思うのですね。ですから、これから政権移行が行われる中で、いわゆるそういった新しい関係者とも、ここは相談するのが筋だろうというように思っています。

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日韓及び日中関係

【フリーランス 上出氏】政権交代ということで、中国、韓国あたりのメディアを中心に強い反発をしております。今、取り組んでこられた、先ほどもありました竹島問題、尖閣問題について、その後、ここまでは前進しているというような到達点で引き継ぐという辺りの御認識はどこまでいっていて、これから新政権への期待・希望もあるでしょう、それを簡単に、玄葉大臣がやっておられる今の段階で両国の関係がどこまで改善されているのか、改善されていなかったのかお願いします。

【玄葉大臣】日韓は、元々戦略的な利益を共有する関係、基本的な価値を共有する関係でありますから、良かったと思うのです、8月までは。8月以降に残念な事態になっているわけです。いわゆる8月の事態について、あまりその意図等を私(大臣)が推し量るのは本来適切ではないけれど、かなり大統領の個人的な思いというものもあったのではないかというように思うのです。そう考えた時には、こういった政権が代わるということを契機に、そういった困難な問題について、より適切にマネージできる環境というものは作られる可能性はあると思うのです。しかも、この間、私(大臣)はICJへの提訴を含めて、やるべきはきちんとやって、かつ、特に金星煥長官とは頻繁に意思疎通を行って、いわばそういった竹島の問題以外は、かなりの程度、もう改善してきているというように申し上げても過言ではないと思いますので、そういった意味では冒頭申し上げたような平和と安定の軸だという意識を持ちながら、この日韓関係を進めて欲しいと思っています。
 それと、日中の問題は、これもいわゆる尖閣の事態が起きてからの問題というのがあるわけでありますけれども、これは、昨日もレセプションで申し上げたのですが、譲れないものは譲れないということです。基本的な立場を維持しながら、しかし、外交当局間で意思疎通を維持してきました。公表しているものも公表していないものもございます。やはり、お互いに知恵を出し合って、GDP2位と3位の国でありますし、これまた隣国でありますから、良い方向に導くようにしなければならないし、そのための下ごしらえというのは一定程度してきたというように思っています。

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北朝鮮による「人工衛星」の発射

【読売新聞 松浦記者】北朝鮮のミサイルが発射されまして、明日で10日になります。
これまで北朝鮮はミサイル発射後に核実験を行ってきた経緯があるのですけれども、今現在、日本政府としてどのような対応をされているのかということと、核実験が行われた場合、今後の日朝協議への影響についてはどのようにお考えでしょうか。

【玄葉大臣】まず、後者の核実験が行われた場合という話は、私(大臣)は、今申し上げるのは適当ではないと思います。まず、それを阻止しなければいけない段階です。
 そして、今、何をしているのかと言えば、御存じのように私(大臣)も必要な外相と電話で話をしたり、また、担当者レベルで関係国と話をしました。御存じのようにクリントン長官は体調を崩されているということでありますけれども、必要な協議を行って、かつニューヨークベースで、今具体的な形式・内容について調整が行われているということです。
 4月の段階は、議長声明で内容は強いというものをまとめたわけですけれども、今回、中国はキーでありますけれども、関係国ともよく連携をして、次の更なる発射とか核実験が行われないようにするためには、強い立場というものを国連安保理で出さないといけないというように思っていまして、そのための努力が現時点でも行われているということであります。

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外務大臣会見記録(平成24年12月18日(火曜日)10時52分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ハイチにおける自衛隊施設機材等の譲与について

【玄葉外務大臣】日本政府は、自衛隊のプレハブ式の建物等を、国連に対し譲与することを閣議決定いたしました。
 日本政府は、ハリケーンの影響による撤収作業の遅れに伴って、ハイチPKOへの派遣期間を2カ月間延長することを閣議決定いたしました。詳細は、内閣府の方に聞いていただければと思います。
 ハイチ政府の要請に基づく自衛隊の施設部隊の資機材の一部の譲与についても、実施する方向でハイチ政府との間で最終調整中でございます。
 本件の譲与が実現すれば、昨年12月の「防衛装備品等の海外移転に関する基準」についての内閣官房長官談話の下で初めて行われる防衛装備品等の海外移転ということになります。

(2)ダニエル・イノウエ米上院議員の逝去について

 【玄葉大臣】ダニエル・イノウエ米上院議員が、日本時間の本日早朝に逝去されたと聞いておりまして、深い悲しみに接しているところでございます。
 イノウエ議員は、皆さんも御存じのように、初めての日系上院議員で、50年以上にわたって日米関係の発展・強化に力を尽くしてくださった方であって、その功績は言葉では言い表せないほどのものであると考えています。
 アイリーン・ヒラノ夫人をはじめご遺族の皆様にも心から哀悼の意を表したいと思います。

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総選挙

【日本テレビ 菊池記者】民主党が、選挙で大惨敗となりました。政権運営の反省点と今後の党再生の取組についてお聞かせください。

【玄葉大臣】一番何が問われたのかというように、私(大臣)も選挙戦が終わって考えましたけれども、やはり、一番は、私(大臣)は党のガバナンスが問題だったと思います。やはり、ごたごたしているということが有権者の皆さんにそっぽを向かれたというところが、私(大臣)は主因ではないかというように、今のところ分析をしています。
 いずれにしても、民主党として土台をもう一回築き直しながら、捲土重来で再出発するということだと思います。

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米軍再編及び竹島問題

【朝日新聞 二階堂記者】民主党政権で残っているものとして、嘉手納以南の米軍基地の返還計画の策定について、年内にも予定しているとありましたけれども、これは民主党政権のうちにやるものなのか、やれないとすれば、その理由は何なのかというのと、同じように、竹島を巡るICJの単独提訴について、これはまだ判断されていないですが、これについて民主党政権でやるお考えがあるのかどうかお聞かせください。

【玄葉大臣】まず、前者は年内に実施をすべく準備はしています。ただ、問題は、この米軍再編全体の進め方と深く関わる話でありますので、今後、やはり、関係者と相談をしながら決めていかなくてはいけないのではないかと思っています。
 後者については、これも淡々と準備を進めていると。それ以上でもそれ以下でもないというのが、今の状況だということです。

【朝日新聞 二階堂記者】そうすると、この民主党政権のうちにいずれも判断はしなければいけないというものなのでしょうか。

【玄葉大臣】結局、当然ながら外交というのは一定程度継続性が必要だと思いますので、そこは、いつまでに何かをやらなければならないということでは、必ずしも後者について、ないのではないかというように思います。

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民主党代表選挙

【テレビ朝日 花村記者】民主党の代表選挙ですけれども、玄葉大臣御自身は出馬されるお考えはおありでしょうか。そして、どのような代表が、今、求められますか。

【玄葉大臣】私(大臣)自身は、今、一番強く思っているのは、2年半閣僚を務めてきて、福島の方々が全員とは言いませんけれど、最後の砦として頑張ってくれたという思いも持っていただいている方も多いと思いますけれど、最前線というか、現場に来てほしいと思っていると思うのです。
 つまり、事情を熟知した方に来てもらいたいというのは、私(大臣)が数少ない選挙区入りをした時にも大分言われましたので、私(大臣)自身もそのことに対しては強い思いを持っていて、福島の復興に全力を挙げるためにも、しばらくやはり現場に出かけたいというのが私(大臣)の強い思いです。
 それと、代表選そのものについては、22日と執行部の方で決めたということでありますので、短い期間ですから政策論争を国民の皆さんの前で繰り広げるというのはなかなか難しいというように思いますので、やはり、私(大臣)は野田政権、あるいは野田さんのやってきたことというのは間違えていないと思っておりますけれども、民主党の再出発に相応しい形とはどういう形なのかというのを考えながら向き合いたいなというように思っています。

【西日本新聞 吉田記者】選挙戦で民主党は、前に進むのか後退するのかというように訴えてきましたけれども、今後、自民党政権になって日本は後退するのか、あるいは自民党政権への期待というか、望むことはあるでしょうか。

【玄葉大臣】私(大臣)は、国益に適うことだったら当然協力をしていかなければいけないと思うのです。
 民主党は、これから是々非々だと思います。国益に適うことは協力するし、そうじゃないと思えば、きちっとチェックをするという役割を果たすということをしながら、同時にやはり民主党としての土台というものを築き直すという作業をしっかりやらないといけないというように思います。私(大臣)は、それはできると思います。

【日本テレビ 菊池記者】代表選への出馬は検討されているのですか。可能性はあるということですか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げたように、福島の現場に立ちたいと申し上げているわけです。

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外務大臣会見記録(平成24年12月12日(水曜日)12時17分~ 於:本省会見室)

冒頭-北朝鮮による「人工衛星」の発射について

【玄葉外務大臣】日本を含む関係各国及び国際社会が、北朝鮮に対しまして、自制を繰り返し強く求めてきたにもかかわらず、今回、北朝鮮が「人工衛星」と称するミサイルの発射を強行したことは、日本を含む地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為であると言わざるを得ません。
 また、今回の発射は、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も行わないことを北朝鮮に義務づけた国連安保理決議第1874号を始め、第1695号及び第1718号といった累次の安保理決議に違反し、本年4月のミサイル発射の際に発出された国連安保理の議長声明と相容れず、2005年9月の六者会合共同声明の趣旨にも反するものであります。
 以上の観点から、今回の発射は、日本として容認できるものではありません。北朝鮮に対して厳重に抗議したところです。これは10時14分ということです。
 北朝鮮によるミサイル発射を受けて、西田国連代表部常駐代表は安保理議長、モロッコ常駐代表に対しまして、今回の発射について、安保理において速やかに協議を実施するよう要請する旨の書簡を発出したところです。これは10時15分の段階であります。
 今回の発射は、日朝平壌宣言にも違反します。北朝鮮との対話を通じた問題解決に向けた動きにも逆行するものであって、極めて遺憾であります。
 日本としては、北朝鮮に対して、関連する国連安保理決議の即時かつ完全な履行を求めます。また、この機会に改めて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けて具体的な行動をとるよう、北朝鮮に強く求めます。
 また、外務省としては、北朝鮮の今後の動向を含めた情報収集を一層徹底いたします。 また、国連安保理決議の明白な違反である今回の発射に対して、国連安保理が本年4月の議長声明を踏まえて然るべく対応をとることを含め、既に、米国、韓国と連絡をとっています。中国、そしてロシアを含む関係国との協力を強化し、国際社会との連携を更に深めてまいります。

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北朝鮮による「人工衛星」の発射

【共同通信社 斉藤記者】今後の安保理対応ですが、日本としてこれから関係国に決議を求めていくのか、あるいは議長声明の中身を更に厳しく詰めていく方向で求めていくのか、今後の方針をお尋ねします。

【玄葉大臣】一言で言うと、これからの安保理対応について予断できませんけれど、やはり4月に議長声明を出した経緯があるわけです。あの時にいわば議長声明では最後のパラで、北朝鮮による更なる発射又は核実験の場合にはこれに応じて行動をとる決意を表明すると書いてあるわけでありますから、そういった次元で日本としては対応していく、求めていくということになると思いますけれども、ただいずれにしても、これからNYベースを含めて米国、韓国、そして中国、ロシア、あるいは国連安保理の理事国とよく連携し、協議していきたいと思っています。

【朝日新聞 倉重記者】日本独自の制裁を含めた対応について具体的にお願いします。

【玄葉大臣】これは以前も申し上げておりますけれども、いわゆる制裁というのは日本独自で行う場合と国際社会全体で行う場合と大きく分けると2つあるということです。日本独自の制裁につきましては、政府としては不断に検討してきているということです。これは、総合的にこれからの動きも踏まえて判断する、つまりは総合的に判断する、これからの動きという意味は、国連安保理でどういう議論がなされ、どういう結論を出せるのかといったことも踏まえて対応しなければならないだろうというように思っています。
 他方で国際社会全体としてどういった制裁をということは予断できませんけれども、実効性という観点から考えなければならないのではないかと思っていまして、最も有効な措置とは何かという観点からよく検討したいと思っています。

【ロイター通信 チェン記者】国連安保理では、具体的には何をしてほしいのでしょうか。先ほど話し合うとおっしゃっていましたが、最も良い措置は何かを検討するとおっしゃっていましたが、日本の方では何をしてほしいのでしょうか。

【玄葉大臣】先ほど申し上げたとおりでありまして、議長声明で何を言っているかというのをよく読んでもらいたいと思っています。つまり議長声明で、更なる発射、核実験が行われたときには、安保理として、更に、これに応じて行動を取る決意を表明したわけです。とういうことは、どういうことかということは想像できると思いますけれども、つまりは形式・内容をその安保理の中でこれから議論するわけでありますけれども、我々として求めていくラインというものを、今申し上げたことで想像できるのではないかというように思っています。
 基本的には、やはり国際社会として断固たる対応を取らなければならないということを求めていくということです。

【ロイター通信 チェン記者】どういったような断固たる対応を取るのですか。

【玄葉大臣】ですから、先ほど申し上げているように、大体推測できませんか。議長声明でこういうことを言っているということは、どういうラインで日本として求めていくかというのは、議長声明以上で求めていくということは、容易に想像できるのではないでしょうか。ただ、結論がどのようになっていくかというのはまだ予断できないということです。

【日経新聞 桃井記者】先ほど、実効性のある措置、有効性のある措置ということをおっしゃいましたけれども、そういった措置は北朝鮮の体制にも影響があるということで、常に、これまで中国はそういった対応には反対をしてきたという経緯があります。今回も、どこまで中国が協力してくるかはわからない状況ですが、この段階で、中国に対してどのような姿勢で国連安保理に臨んでほしいのか、外相からメッセージがあればお願いします。

【玄葉大臣】これは、やはり、中国も含めて、先ほど申し上げたように、議長声明を発出しているわけでありますから、そのことを踏まえて対応していくということを中国にも求めたいというように思いますし、この間も、特定の国を指して申し上げるわけではありませんけれども、一般論として、国際社会として制裁措置を取るといったときに、なかなか実効性があがらないといったことがあったわけでありますから、やはり、実効性があがるような方法というものを考えていかなければならないと、私(大臣)は考えています。

【NHK 大谷記者】先ほどから、局長級とか事務レベルではやり取りが始まっているようですけれども、政治レベル、いわゆる外相級の各国とのやり取りというのは、もう既に行われたか、また、これから考えていらっしゃるのかというのをお聞かせください。

【玄葉大臣】もう既に、自制を求める段階から関係国と連携を取っていました。仮に発射された場合といったことも含めて、米国、韓国などとは連携を取っていたわけであります。まずは自制を求めるということでありますけれども、当然、既にもうオペレーションルームにいる間に、杉山局長から米国・韓国のカウンターパートとは連絡を取り合って、報告を受けたところであります。
 これからも、あらゆるレベルで米国、韓国、中国、ロシアと連携・協力をしたいというように思っています。外相レベルも、それはそれぞれあり得るけれども、どういう形になるかは、まだわかりません。

【共同通信 斎藤記者】報道では、韓国メディア、あるいは我々日本メディアを含めて、北朝鮮のミサイルが撤去されたという情報がある、あるいは解体するのではないかと、いろいろな報道が出ました。もちろん、情報はいろいろインテリジェンスがかかる部分で、明確に申し上げられないかもしれませんが、日本政府として、かなり、そういった情報を受けて、しばらく発射されないという認識を政府として持っていたのかどうか、あるいは持っていなかったのか。それと、その態勢が、一連の情報を受けて、若干、その態勢を解除するような動きが政府内であったのかどうか、その点について確認させてください。

【玄葉大臣】メディアで、かなりそういった、つまりは近日中は発射されないのではないかという報道、あるいは解説なども流れていたということは承知していますけれども、政府としては万全を期すということで、警戒のレベルを下げることはしないというのは、さまざまなインテリジェンスの情報によって、そう考えていたということであります。

【朝日新聞 倉重記者】昨日、解体して点検するという動きがあって、その翌日の本日午前中に打ち上げるというのは、場合によっては別の発射台から別のミサイルを発射したという可能性はどういうように見てますでしょうか。

【玄葉大臣】そこは確定的なことは、やはりどうしても推測で申し上げるわけにはいかないので、さまざまなインテリジェンスの情報からいろいろな可能性というものを我々としては考えていたということであります。

【朝日新聞 倉重記者】北朝鮮は、北朝鮮中央通信で軌道に入って成功したという発表をしています。これについて、日本政府として確認できているかどうかというのは。

【玄葉大臣】そこの発表も、報道は承知していますし、いろいろな断片的な情報も入ってきていますけれども、これも確定した段階でしか申し上げるわけにはいかないのではないかと。日本として、断定的にまだ軌道に乗ったかどうかということについて、少なくとも私(大臣)の立場で今のこの場で申し上げる状況にないということでございます。

【朝日新聞 倉重記者】あらためて日朝協議への影響について、大臣の方からお願いします。

【玄葉大臣】これも予断できませんけれど、まず北朝鮮自身が対話によって解決するのだという道を歩むことを強く期待をしたいというように思います。こういった日朝平壌宣言に違反するような行為を行ってはならないし、関連安保理決議に深刻に違反するわけでありますので、そういう意味で北朝鮮自身がまずこれまでの約束通り、それを具体的な行動で示して欲しいと考えています。
 これまで、だからといって日朝で協議してきたことが無駄だったかと言われれば、そうではないと思います。いずれの時にか生きてくるというように思います。

【朝日新聞 倉重記者】次の日朝協議の目途というのは。

【玄葉大臣】それはまだ申し上げられる段階ではないと思います。

【朝日新聞 倉重記者】可能性は否定されない、排除しないという方針で臨むということでいいでしょうか。

【玄葉大臣】そのことについては、まだ具体的にどうこうと申し上げる段階では、こういったミサイルが発射された直後で申し上げるというわけにはいかないと思います。また、そうすべきではないと思います。

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外務大臣会見記録(平成24年12月7日(金曜日)10時45分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

北朝鮮による「人工衛星」の発射

【フジテレビ 和田記者】北朝鮮が事実上のミサイル発射を予告してきたわけですが,この受け止めと政府の対応からお願いします。

【玄葉外務大臣】これは,いわゆる人工衛星と称するミサイルの発射は,関連の安保理決議に深刻に違反するというように考えています。特に,4月に表明した議長声明に違反をします。1718(号),1874(号)という国連安保理決議の深刻な違反でありますから,まず強く自制を働きかけるということで,日本としても,米国や韓国,そして中国,ロシアと連携して,今,自制を求めているところであります。
 先ほど申し上げましたけれども,仮に発射されれば,深刻な国連安保理決議違反でありますから,国際社会として適切かつ断固たる対応を取らなければならないと考えています。そのための緊密な調整を行っています。

【フジテレビ 和田記者】実際に予告通り発射された場合ですが,国連での動き,それから日本独自の制裁を含めた動きということになってくると思いますが,その辺のところをもう少し細かくお願いします。

【玄葉大臣】今は自制を求めているということでありますが,あわせて,おっしゃったとおり,仮に発射された場合の対応についても,既に協議をしているということであります。まず一つは,4月に議長声明が出されました。その時に,仮に更なる発射が行われた場合には,更に強い措置を取るということをその議長声明は言っていますので,当然それに従って,国際社会として,あの議長声明に基づいた対応を取るような,そういう働きかけを既に行っているということでございます。
 その上で,各論の一つで,おっしゃったような追加的な制裁措置もございます。追加的な制裁措置も大きく分けるとふたつありまして,一つは国際社会全体で制裁をする,もう一つは日本独自で制裁をする,ふたつあるわけでありますけれども,いずれにしても,最も効果的な措置が取れるようにしたいと考えて,そのための,今,調整を行っているということでございます。

【フジテレビ 和田記者】少し細かくなって恐縮ですが,日本以外の国の中には,今までの国連安保理決議に必ずしも従った制裁をしていなかったりということがあったり,日本の場合は逆に,制裁が出尽くした感というのがちょっとあると思いますが,いかがですか。

【玄葉大臣】おっしゃった通りだと思います。つまり,日本というのは,もう相当強い制裁を行ってまして,事実上,例えば日本と北朝鮮の貿易というのは,もうゼロなのです。他方,そうではない国もあるわけで,その制裁の実効性ということが,また今度問われるということではないかと思っていますから,その点も含めて調整をしたいと考えています。

【朝日新聞 野上記者】4月の発射の時は,大臣御自身が外相会談ですとか国際会議の場を利用して,自制の働きかけに向けて,他国と連携する場合が多かったと思いますけれども,今回,たまたま国際会議がないということもあってでしょうか,そういう場があまり見られないようですが,そうした点についての評価というのはいかがでしょうか。

【玄葉大臣】前回も,私(大臣)が事前に直接,電話会談等々を行ったということはありません。基本的には,担当局長レベルで事前の自制を求める働きかけ,及びその後の調整を行っていたと。
 ただ,おっしゃったとおり,当時は日中韓の外相の会合,あるいはG8の外相会合等々ありましたので,かなりのすり合わせが外相レベルでできたというところはあろうかと思います。ただ,あの時に出されたあの議長声明,非常に良いタイミングで良い形で出されたと思っていますけれども,今度も,仮に発射がされた場合,今申し上げたとおり,適切かつ確固たる措置が取れるように万全を期していますので,その点は全く心配ないと思っています。

【NHK 大谷記者】先ほど,4月の声明で,仮に発射された場合,更なる強い措置を取るという経過があったわけですけれども,日本として,これは決議を採決するよう求めていくという理解でよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】最終的に,どういうものがまとまってくるかということはありますけれども,やはり日本としては確固たる措置が必要だというように考えています。さまざまな国々がそれぞれの立場・意見がございますので,全く最初から,すべての関係国が一致した意見であるということは,前回も含めてそうではなかったわけで,最終的にどういう形でまとめていくかということは考えていかないといけないだろうと思います,タイミングも含めて,安保理の議長国はどこだとかですね。我々,残念ながら安保理の理事国ではないわけですけれども,いうまでもなく関係国ですから,これは日本としての働きかけというものをしっかりと行って,国際社会をリードしたいと思っています。

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総選挙

【フリーランス 上出氏】総選挙に関連して2点,もし可能であれば,今新聞では残念ながら大変厳しい状況で,これをどう受け止められているか。それともう一件,具体的に,外務省に関しては,民主党になって非常に情報公開が進み,政治の透明化が進み,密約問題なんかも公開されました。私たちフリーランスも入れるようになりました。そういったことが全く今,争点としてどこかに消えてしまいまして,新聞なんかにもあまり書かれておりません。仮に違う政権になった場合に,そういうことが後退するという心配も若干あるのですが,それについていかがでしょうか。

【玄葉大臣】後者の方は,民主党政権になって全般的に風通しが良くなったということは言えるのではないかというように思っています。政権が仮に変わった時にどうなるかというのは予断できませんけれども,ただ,民主党政権になって風通しが良くなったということは言えると思います。
 それと,全国的に劣勢が伝えられているということでございます。最後まで,全力を尽くさなければならないというように思います。
 税金の使い途,お金の使い方というのが一つの争点なのだろうというように思っていまして,昔の自民党の時代にお金の使い方を戻した時に,本当に景気が良くなるのかと言ったら,そうではないのではないかというように思います。過去10年,特に自民党政権の直近10年の平均の経済成長は名目でマイナス成長でありますから,かつての政権に戻した時に景気が良くなるというのは幻想だというように思います。やはり,90年代半ばから始まった労働力人口の減少にどう対応していくのか,そして技術革新というものをどう行っていくのか,あるいは経済連携というのをどう進めていくのか。こういったことが私(大臣)は,これからの持続可能な経済成長のために王道となる政策だと思います。もちろん,目の前の日銀と政府が一体となった対応というのは当然,必要ですけれども,それも適切に行われないとよろしくないということではないかと思います。

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米国での臨界前核実験の実施

【中国新聞 武河記者】米国で核爆発を伴わない臨界前核実験が行われたということが発表されましたけれども,これについての御所見と,オバマ大統領が再選を決めたばかりですけれども,「核なき世界」を訴えながらもこうした実験を続けていることについて,被爆地からかなり怒りの声が上がっているのですけれども,これについてお考えをお聞かせください。

【玄葉大臣】日本政府としては,オバマ政権が「核なき世界」というものを表明して,残念ながら,それに対して十分な実効性のある対応ができているという状況にはないと考えています。
 ただ,例えばNPDIであるとか,日本としては,理想を語るだけではなくて,現実的にこの「核のない世界」に向けて実質的に前進をさせていくための対応をリードしたというように考えていまして,ですから,例えば核の透明性の問題などで報告フォームを実際に日本自身が提案をして,実際に作成をして,今,NPDIの外相全体の連名で,これは私(大臣)の提案でありましたけれども,それぞれの核兵器保有国・核保有国に対して,今送っています。まず,そういう透明性をきちんと向上させるというところから一歩目をスタートさせるとか,やはり,具体的な前進,「核のない世界」といきなりやっても理想としてはよくわかるのですけれども,では具体的にどうやっていくのかということが,私(大臣)は問われていると思いますので,日本として,これまでとってきたアプローチを今後もしっかりとっていくべきだろうと思っています。
 関連ですけれども,被爆地というお話でありましたから,NPDIを広島に誘致をしまして,広島でまさに被爆地の原爆ドームなどもそれぞれ見てもらって,思いを新たにしてもらって,その上でさらにNPDIをより強いグループにしたいなというように思っています。

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北朝鮮による「人工衛星」の発射

【日本テレビ 菊池記者】ミサイルの話ですけれども,もし発射された場合,拉致問題の協議に今後与える影響をどう考えていらっしゃるのかという点と,あえて今回,日朝協議をやって,日本政府としてミサイル発射を自制するように直接訴えかけるという選択肢もあったと思うのですが,今回延期したという判断について,改めてどう評価されるかお聞かせください。

【玄葉大臣】この間の日朝協議自体は,無駄ではなかったというように思っています。何らかの形で今後に活きてくるというように確信をしています。その上で,直近の開催を延期したということについては,やはり,実際に開催をされた場合に,得られる実というか,果実というものは,率直に申し上げて見通しとして厳しいのではないかというように判断をしたということと,やはり,国際社会が一致した対応を取ることが大事でありますので,そういった一致した対応に隙を与えてはいけないというように思っていますので,私(大臣)は,今回の延期は延期で正しい対応であったというように確信をしています。

【日本テレビ 菊池記者】発射されれば,次の会議はしばらく先になるということでしょうか。

【玄葉大臣】それは予断できませんけれども,そんな簡単ではないと思います。

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総選挙

【読売新聞 鈴木記者】衆院選の関連で,劣勢が伝えられている中で,一方でこうしたミサイルの問題等々があって,党の幹部の方々を含めて応援もままならない状況になっていまして,そういうことも含めて,今の衆院選の現状についての御所見をもう一度お願いしたいのですが。

【玄葉大臣】応援がままならないのは,これは仕方がないと思います。やはり公務優先で,いくら総選挙中だろうと外務大臣の職責,あるいはそれぞれの職責をきちんと果たしていかなければなりませんから,国民の皆さんの安全に万全を期すというのは当然のことだというように思っています。

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