記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成24年10月)


INDEX













外務大臣会見記録(平成24年10月31日(水曜日)10時49分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

沖縄基地問題

【読売新聞 松浦記者】4日に告示されます那覇市長選挙では、現職の翁長雄志氏、保守系を含めて、基地の全面撤去を訴える事態になっています。日米安保を揺るがしかねない危機だと思われますけれども、政府としては、オスプレイを含めて沖縄の基地問題に早急な手当が必要だと思いますが、どのようなお考えがあるでしょうか。

【玄葉外務大臣】まず、首長選挙のことについてコメントするのは控えた方が良いというように思っています。ただ、オスプレイについて、沖縄の皆様がその安全性について懸念を持たれているということです。御存じのように、日本として安全性について、確かな評価をしたわけでありますので、それを踏まえて日本政府としてでき得ることを最大限行っていく必要があるということで、私(大臣)として提案していることもございます。
 また、あわせて、あの許し難い悪質な米兵の暴行事件がございましたので、それについて、これまでのような綱紀粛正・再発防止を申し入れるなどというレベルではなくて、真に実効的な措置等が担保されるようにするために、日本政府としても、先般も日米合同委員会終了後に具体的な提案をしていますし、今も、私(大臣)としては、強い指示を担当者に対して、リバティ制度の見直しにあたって、二度と繰り返すことがないような措置にできるように、日本政府として全力を尽くすということを、今、行っているところであります。そういったことを行いながら、沖縄の県民の皆様の信頼を得ていくこと、一歩一歩、一つ一つやっていくしかないというように考えています。

【琉球新報 問山記者】今の質問の関連ですが、昨日すでに行われているのですが、オスプレイの夜間飛行が実施されているのですが、昨日、騒音防止協定で(午後)10時から(午前)6時まで飛行しなというのがあるのですが、すでに昨日10時以降に普天間飛行場に戻るというような、合意違反ではないかという指摘が県内からあがっています。こういったものも含めてすでにオスプレイのその合意した事項に違反しているという声もたくさんあるのですが、それを大臣としては、こういった合意違反があるというようにご自身として認識されているのか。以前の会見で、ひとつずつそういった証拠というのを集めて、合同委員会で提起していきたいというお話もあったのですが、現在のところそういった調査というのはされているのでしょうか。

【玄葉大臣】今それは当然ながら、一つ一つ集めている最中でありますので、それらが、先般最小限にしていくのだ、可能な限り最小限にしていくのだということに対して、果たして実態がどうかということを照らし合わせて、言うべきことは当然言っていくということになります。

目次へ戻る

尖閣諸島

【朝日新聞 二階堂記者】ASEMで、国際社会に向けて、尖閣に対する日本の立場をアピールする機会だと思いますけれども、どのようにアピールするのが有効だとお考えでしょうか。

【玄葉大臣】私(大臣)の欧州訪問もそうですけれども、どうも、欧州訪問そのものについて、最大の眼目は戦略対話であったわけですけれども、そう捉えられないところがございました。今回も同じです。つまり、ASEMというのは、元々どういうフォーラムであるかということを、ぜひ一緒に考えていただきたいと思っているのです。どうしても、メディアの関心事は、尖閣になりがちでありますけれども、ASEMというのは、アジアと欧州をつなぐ唯一の対話のフォーラムであります。
 そして、最大の眼目というのは、経済・財政の問題です。特に、アジアと欧州ということであれば、この欧州の経済危機を含めて、日本がこれまで取ってきた対応、そして、アジアと欧州で共にとるべき対応について、共通認識を得るというのが最大の眼目であります。そして、そのことに対して、日本は積極的な貢献をしてきたということがございます。それがまず第一ではないかと。私(大臣)は、心底そう思っています。
 同時に、地球規模課題全般もあるわけであります。ポストMDGsもありますし、原子力の問題などもあるわけですね。ですから、地域情勢ももちろんございますけれども、そういったことに対して、特に、しっかりと発言していくということが一番大事なことです。あわせて言えば、戦後、日本がまさに平和国家として歩んできて、国際社会全体、アジアと欧州も含めた全体の秩序を形成する中で、特に、平和と安定のために積極的に貢献してきたということをしっかり訴えていくというか、理解をしていただいていると思いますけれども、さらに、その理解を深めていくというのが、私(大臣)は最大の眼目ではないかと思います。
 もちろん、その地域情勢において、いわゆる秩序形成とか、あるいはルールづくり、私(大臣)がいつも言うところですが、そういったことについて触れていくということにはなろうかとは思いますけれども、そこのところは、ASEMそのものの目的ということを、やはり、常に考えた上で臨まなければいけないのではないかと、私(大臣)は思っています。

【香港フェニックステレビ リー記者】先日、中国の張志軍外務次官がメディアに対して尖閣に関する発言がありました。その内容が、今まで全ての責任は日本側にあり、そして、日本側の対応次第で中国も強行的な対抗措置をとる用意があるといった発言がありました。この発言に関して、大臣はどのように受け止めていらっしゃるのか。
 そして、もう一つ今までこの釣魚島、いわゆる日本で尖閣の問題で日本側に何か反省すべきところがあるのかどうか、今まで日本は主権問題が存在しないといった立場があると思うのですけれども、この立場に関しては変更、あるいは修正する検討をされる予定があるのかどうか教えてください。

【玄葉大臣】いつも申し上げておりますけれども、日本の基本的な立場を維持しながら不測の事態を回避すること、そして、平和的に事態を沈静化すること、経済・文化・人的な交流を安定化させていくために、日中双方とも冷静に対応して、どうすればよいのかということについて、日中双方とも考えていかなければならない、日本側も当然考えたいというように思っています。
 なお、本日の新聞報道に、広報は強化するのですけれども、ただ、北神総理補佐官が外遊してどうだこうだと書いてありましたけれども、そういう計画は全くございません。せっかくの機会なので、申し上げておきたいと思います。

目次へ戻る

日米地位協定の改定

【共同通信社 斎藤記者】先ほど、大臣は質問に対して、これまでのようなとは違った再発防止策をしっかり考えたいという話がありました。そうすると、やはりどうしても考えなければならないのは日米地位協定そのものだと思うのですが、前回の記者会見で、やはり日米地位協定そのものについては、これは非常に改定には時間がかかるし、米国には米国の主張があるということで大臣はどちらかというと慎重な立場を示されたというように理解しています。さはさりながら、今、これまでとは違う再発防止策というようにおっしゃったわけですが、そうするとやはり日米地位協定という問題が浮上せざるを得ないようにも感じるのですけれども、この点はいかがお考えになりますでしょうか。

【玄葉大臣】斎藤さんは、非常に長年霞クラブにいらっしゃる方なので、わかっておられると思いますけれども、そういう言葉ですけれども、私(大臣)がイメージしているのはそういうことではありません。
 特にリバティ制度の見直しに踏み込んでいく、そして沖縄の皆さんと直接私(大臣)が会話する中でも、すごく事情を御存じなのですね。例えば、先ほど夜間飛行訓練の話が出ましたけれども、米兵のそういったリバティ制度そのものについても、こういう制度になっているのだけど、実際は守られていないとか、詳しく御存じの方が多いのです。ですから、実効的な措置、実効的な担保、実効性を担保する、そのことをまずきちっとやらないといけないということです。そして、日米地位協定は御存じのように今回の事件と直接関係するわけではないのですね。ただ、潜在的に関係するのではないかという議論があるのは十分承知をしています。地位協定については、私(大臣)はその見直しについて絶対だめだとか、そういうことを申し上げているのではなくて、さまざまな分野についての進展を見ながら考えたいということを言っているわけです。率直に申し上げて全否定しているわけではありません。
 ただ、今回のような事件に対してきちっと対応するとすれば、地位協定ではないのです、直接対応するとすればです。だから、まずそういう具体的な問題を一つ一つ、この間も申し上げましたけれども、きちっと解決をしながら、また米軍の再編の状況について、嘉手納以南の土地の返還についてしっかり見通しを立てて、そして、グアム移転も見通しを立てて、あと普天間の固定化もあってはならない話でありますから、これも大変なことであることは重々承知しているのですけれども、やはりこういったことに対して進展をしっかりさせつつ、同時に考えたいということであります。

目次へ戻る

領土問題への対応

【朝日新聞 藤田記者】先ほど、ASEMでどう訴えるかというところを、ちょっと角度を変えてお伺いをしたいのですが、要するに周辺各国と抱えている領土問題については、この間総理も国連演説では個別の島の名前などには触れませんでしたし、所信表明でも同様でした。要するに、今後、マルチの場で日本から主張をする場合、相手がどう言ってきたことにどう反論するかというのはまた別の問題だと思いますけれども、日本から主張していく時は個別の島の名前には触れずに平和的に国際法に従ってというような主張をされていくという考えで、基本姿勢でいいということでしょうか。

【玄葉大臣】地域情勢というと北朝鮮の問題もあるし、あるいはシリアとかミャンマーとかアフガニスタンの問題もございます。そして、おっしゃるように一般論として、法の支配であるとか、いわゆる平和的アプローチ、そういったものは大変重要な観点に当然ながらなります。今の藤田さんの質問に直接お答えすることはできませんけれども、つまり、ASEMで具体的にどう何を言及するか、今決めているわけではありませんから。ただ、いわゆるそういった普遍的な観点というものは、私(大臣)は日本としては大事にするべきであるというように考えています。

【朝日新聞 藤田記者】個別の問題に触れないでということですか。

【玄葉大臣】そこはまだ決まっていません。

目次へ戻る

日中関係

【読売新聞 伊藤記者】中国との対話ですけれども、大臣は以前から対話の継続の重要性をおっしゃっていますけれども、先ほども出ましたASEMで野田総理が行くことになれば、そういった対話の場もできますし、来月はASEM、ASEANと国際会議の場もあります。そういう場での対話の可能性及び政治レベルという点で大臣御自身の中国との対話というのは今どのように、首相、外相レベルの対話というのはどのように今お考えになっていますでしょうか。

【玄葉大臣】まだ機は熟していないと思います。ちなみに、ASEMとその後のマルチの会合は私(大臣)は現時点で出席する予定はございません。

【読売新聞 伊藤記者】機は熟していないという点で、昨日も尖閣の領海の方にまた中国の船が入ってきたりと、なかなかこれも、中国船の進入も非常に長期化していますけれども、そのタイミング、機というのをどのように見られていますでしょうか。

【玄葉大臣】意思疎通の内容について、申し上げるわけにいきませんので、少なくともまだその機は熟していないという認識であります。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月30日(火曜日)10時38分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

尖閣諸島

【日本テレビ 菊池記者】尖閣諸島周辺の接続水域に中国船の侵犯が続いていますけれども、改めまして、中国への対応をどうされていくのかお聞かせください。

【玄葉外務大臣】領海に侵犯があったという際は、当然ながら抗議をし、自制を求めています。これからもその都度、抗議をして自制を求めていきたいと思います。あわせて、平和的に事態を沈静化するということが大事ですし、不測の事態を回避しなければなりませんので、そのための意思疎通というものを御存じのように、様々な形で行っているというのが今の現状です。

目次へ戻る

今後の外交課題

【日本テレビ 菊池記者】昨日から国会が始まりました。野田政権としましては、厳しい国会運営・政権運営を迫られているわけですけれども、外交としましては、引き続き北朝鮮問題、日露交渉、12月に総理の訪露もあるかと思いますが、政権の求心力が非常に弱まる中で、どう外交の成果を出していこうとされるのか、外務大臣としてのお考えをお聞かせください。

【玄葉大臣】様々な課題が外交、あると思います。今、御質問いただいた中国との関係、若干時間がかかるかもしれませんけれども、やはり、粘り強く根気強く、先ほど申し上げたように事態を沈静化させていかなければなりませんし、経済も文化・人的交流も安定化させていかなければならないと思っています。
 韓国やロシアといった所信表明演説に書かれた、いわば近隣諸国との関係、これはこれで非常に大事です。韓国は、特に、大統領選挙等々もございますので、ハンドリングを間違えないようにしなければならないと思っています。
 日露については、全般的に肯定的な雰囲気の中で、今、二国間関係が推移しているというように思っています。ロシア側も恐らくそういうように感じていると実感として感じています。先般、御存じのように、安保会議との対話のチャンネルが確立しました。11月はシュワロフ第一副首相、つまり経済の責任者の訪日がございます。日露間のあらゆる分野についての協力関係を進めることができるのではないか。その中で、最大の懸案の領土問題についても、なんとか進展に結びつけたいと思っています。
 また、先般もスピーチでも申し上げましたけれども、やはり、今の状況というのが、このアジア太平洋、ひいては国際社会全体の平和と安定、繁栄のためのルールをつくる、秩序を形成する、そういう中で非常に大事な時期だと思っていますので、この1年2か月、特に、このアジア太平洋、ASEANとの関係を含めて、そういったルールづくりを日本として主導してきた、一定の役割を果たしてきたという自負がありますけれども、そういったルールづくりに対して、これからも貢献をしていこうというように思います。
 また、なんといっても日米同盟の問題、これを具体的に2+2、4月に共同発表したわけで、あれである意味、再度、日米が軌道にしっかり乗ったというところがあると思いますので、そういう意味で、嘉手納以南の土地の返還を含めて、グアム等への海兵隊の移転も含めて具体化をさせていかなければならないと。
 焦眉の急の話としては、米兵のあの悪質な許し難い暴行事件に対しての対応も含めて、やるべきことはたくさんあると思っていますので、一つ一つ、北朝鮮の問題もそうでありますけれども、結果を出していければと思っています。

目次へ戻る

沖縄米兵暴行事件

【朝日新聞 二階堂記者】先ほど、大臣がおっしゃった米兵対応ですけれども、先日、大臣は、具体的な考え方を伝えていきたいというようなことをおっしゃいましたけれども、これはいつぐらいを目途に米側に伝えて、なおかつ日米合同委員会、ないし、それ以外のどういう場所で伝えていくというお考えでしょうか。

【玄葉大臣】これは既に伝えてございます。日米合同委員会の枠組みでやるというよりは、あの時も、というのは先般も日米合同委員会の後、具体的な考え方を伝えたりしています。これからも伝えていきます。
 御存じのようにリバティ制度という制度の見直しが今行われていますので、欧州を訪問中に私(大臣)が申し上げたように、単に再発防止、綱紀粛正と毎度繰り返される言葉、それを越えた改善策というものをとっていかなければならないし、それに対して実効性の担保というのが、沖縄の皆さまは日々直面していますから、いろいろな報告を聞いても直接電話で話しても、沖縄の方とも電話で話すのですけれども、すごく詳しいですよ、いろいろ、リバティ制度そのものについても詳しい方はたくさんいらっしゃって、結局守られていないという話があります。ですから、実効性の担保というのをどういうようにするのだということも含めて、やはり日本側としては、言うべきことはきちっと言って、日本側としても納得のいく結論が得られるように全力を尽くしたいと考えています。

目次へ戻る

尖閣諸島

【フリーランス 上出氏】尖閣で、何度も繰り返されるということを言っておられましたけれども、いろいろな形で中国と話し合いをしているということですけれども、基本は尖閣の領土問題は存在しないという立場を貫く限りは、いろいろな点で限界があるのではないですかということは、外務省の元高官の方とか外交の専門家の方とか、いろいろな方々が指摘をしております。その辺も踏まえた今の交渉の進展というのがどの程度見込まれるのか。そういう問題を日本が棚上げした形で、やり方は難しいと思うのですが、その辺がネックになっていると言う人も随分多いのですけれども、いかがお考えでしょうか。

【玄葉大臣】日本政府として、基本的な立場というものを維持しながら、どのようにしたら平和的に事態を沈静化させることができるのかということについて考えていますし、日中双方とも冷静に、そのことについて努力すべきであるというように考えています。

【フリーランス 上出氏】胡錦濤さんが野田さんに発信した合図を見逃したという批判がいろいろな形で出ておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。

【玄葉大臣】ずっとずっとずっと前から丁寧に説明をしておりました、中国側には。

【フリーランス 上出氏】一切それはその後も変化はないと、そういうことに関しての見解の変化はないということでしょうか。

【玄葉大臣】はい、ありません。

目次へ戻る

総理との協議

【読売新聞 松浦記者】先ほど、総理のところに大臣は入られていましたけれども、どのようなお話をされたのか、教えていただけますでしょうか。

【玄葉大臣】それは申し上げられません。

目次へ戻る

日朝関係

【テレビ朝日 花村記者】日朝が動かないまま10月も終わろうとしていますけれども、北朝鮮をこちらに呼ぶといいますか、協議にのってきてもらうために、さらにどういう努力をされるお考えですか。というのは、多分ずっと北京ルート内でやっていると思いますけれども、全く動いていない現状をどう打破していこうとお考えでしょうか。

【玄葉大臣】とにかく、協議をすることで結果が得られなければ、私(大臣)は何もならないというように思っていますので、そういった見通しが立つまで、こちらで当然、自発的な努力をいたしますけれども、待つべきは待たなければいけない部分もあるので、タイミングを間違えないようにしたいというように思っています。

目次へ戻る

日韓関係

【朝日新聞 野上記者】先ほど、日韓関係について大統領選もあるので、ハンドリングを間違えないようにしなければならないとおっしゃいましたけれども、ICJとの絡みでどういうハンドリングが求められるというようにお考えか、大臣のお考えをお願いします。

【玄葉大臣】ICJの単独提訴の話は、これまでどおりのことで申し訳ありませんけれども、淡々と準備を進めていて、それ以上でもそれ以下でもないということであります。引き続き、韓国側の日韓間に横たわる困難な課題についての対応を注視しているということでございます。

目次へ戻る

日中関係

【毎日新聞 吉永記者】来週5日と6日にASEMがありますが、2年前、中国側と緊張関係にあった時は、菅総理と温家宝首相と直接話をして、それで緊張緩和に結びつけたということがあるのですが、今回ASEMの方は温家宝首相も出席されるということですけれども、ASEMのための、どういうように日中関係の緊張緩和に生かそうというように考えられているのか、模索されているかというようなことは。

【玄葉大臣】調整するかどうかも含めて、何も決まってないということでありますし、先ほどから申し上げているとおり、さまざまな意思疎通をしているわけでありますけれども、そういった首脳の会談というのを行うかどうかというのは、効果とか、すべて見極めた上でタイミングが非常に大事であって、ASEMがそのタイミングなのかというと、それはまだよくわからないというところではないでしょうか。

目次へ戻る

内政

【フジテレビ 長谷川記者】昨日、総理の所信表明演説が行われたその日に、民主党の議員が二人、離党届けを提出されるという事態になったということについての受け止めと、今後更に離党者が増えるのではないとも言われていますが、そのあたり大臣はどういった危機感を持っていらっしゃいますでしょうか。

【玄葉大臣】離党者が出ているということについては、大変残念です。やはり、選挙が近くなって自分の選挙のことだけを考えて行動するというのは私(大臣)は本来の政治家ではないというように思いますので、そういった自分の選挙のことだけを考えて行動する、そういう議員が今後出ないことを望みたいというように思います

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月26日(金曜日)10時56分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

石原都知事新党結成

【テレビ朝日 花村記者】昨日、石原都知事が新党を結成して国政に復帰する考えを示されました。まず、お聞きになって率直に、どのような感想を持たれたかということと、
影響についてお伺いします。特に、中国・韓国は、政府はまだですけれども、メディアは早くも警戒・懸念の声を出しています。そして、石原都知事自身も昨日の会見の中で、引き続き尖閣諸島周辺の船だまりの整備を意欲的に進めていきたいという考えを示しています。
 政府は、今、悪化した対中関係の改善について、対話の継続を進めていると思いますけれども、その中で、石原都知事のこの動きはどのような影響を与えるか、その辺、お考えをお聞かせください。

【玄葉外務大臣】まず、新党をつくると。そして、その新党がどの程度の勢力になるのかということについて、全く未知数ではないかと思います。東京都知事でいらっしゃった方が影響力を行使しやすいのではないかとさえ感じています。そもそも、私(大臣)は石原都知事とは会ったこともなければ話したこともありませんので、あまりコメントするのは適当ではないかなとも思っています。

【テレビ朝日 花村記者】中国等への影響については。

【玄葉大臣】先ほど申し上げたようにこの新党がどのくらいの勢力になっていくのか、総選挙後、どの程度の数を確保できるのかにも、当然よってくるのではないかと思います。

目次へ戻る

日米合同委員会

【テレビ朝日 花村記者】昨日行われました日米合同委員会で、米兵の事件を受けて、今行われています夜間の外出禁止令について、数週間程度ということを米国側が伝えたという報道がありますけれども、そのような時期についての話はあったのでしょうか。

【玄葉大臣】どのくらい、今の一律の夜間の外出禁止令を続けるかということについては、まだ決まっていないというように思いますし、そういう報告を受けています。昨日も、合同委員会が終わった後、この悪質で卑劣な事件について、二度と繰り返さないためにどのようにすべきかということについて、日本側の意見などを話をしたところでありますけれども、これから、日本側としても、やはり、納得のいく結論を得ていかなければいけないと思っていますので、引き続いて、具体的な申し入れをしていきたいと思っています。

目次へ戻る

石原都知事新党結成

【朝日新聞 二階堂記者】石原都知事の件ですけれども、石原さんは尖閣とか在日米軍基地に関して、対外的に強い姿勢を示している中での国政進出について、外務大臣としてどのようにお考えでしょうか。
 尖閣とか在日米軍基地について、対外的に石原知事も強い姿勢を示しているのですけれども、それについて日本の外交について影響とか出るのではないかと思うのですが、どうお考えでしょうか。
 
【玄葉大臣】それも本当に総選挙後の数に、ひとえによるのではないかというのが私(大臣)の率直な思いです。本当に話したこともないし会ったこともないので、あまりコメントしない方がいいと思っていますが、ただ、東京都知事時代の言動・振る舞い、これを例えば国家の責任者、国家のトップに仮に置き換えた場合は、私(大臣)はその言動・振る舞いにいわば不適切な部分があるなというように思っています。

目次へ戻る

在韓国大使館火炎瓶投てき事件

【産経新聞 杉本記者】靖国神社を放火した中国人容疑者の身柄引き渡しについてですが、韓国で今、拘束されておりまして、中国も強制送還を求めています。     
 日韓間では条約が締結されていて、本来であれば日本に送還されるというのが普通だと思うのですけれども、韓国側は条約であるとか国内法に加えて、人道的な要素を加味して判断していくというコメントをしておりますけれども、こういった韓国側の対応について大臣としての見解を教えていただいてもよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】その案件は、結局、韓国にある日本大使館に火炎瓶を投下して、韓国で逮捕されたということですよね。自供で靖国神社に放火したという話だったと思います。ですから、放火の件については日本の警察で、今、捜査中ということです。
 今おっしゃった案件、当然に関心のある案件でありますけれども、身柄の引き渡し云々につきましては、コメントは控えたいというように思っています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月24日(水曜日)16時42分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-日韓国交正常化交渉関連文書の情報公開訴訟について

【玄葉外務大臣】日韓国交正常化交渉関連文書の情報公開に関する訴訟でありますけれども、判決を踏まえて、私(大臣)のほうから開示可能なものは原則開示するようにという指示をした上で、約2万ページに及ぶ膨大な対象文書を精査いたしました結果、当初、外務省として不開示とした部分について可能な限り開示することにいたしました。
 また、判決で、当初の不開示決定、開示しなくてもいいということ、開示しないということが適法とされた部分につきましても、可能な限り開示することといたしました。
 一方、判決で、開示が命じられた部分であっても、開示されれば国益を損なうと判断される部分につきましては、引き続き不開示処分とするのが妥当であると判断をいたしまして、それらにつきましては控訴をすることといたしました。
 特に、本件の情報開示請求に関しましては、将来の北朝鮮との国交正常化交渉への影響というものを十分考慮する必要がございます。日韓の交渉は、1965年に決着をいたしましたけれども、北朝鮮との間では類似の課題につきましての交渉を今後行うわけですので、その際に我が方に不利益をもたらす恐れの高い情報を開示することは適切ではないと考えています。
 外務大臣就任以来、外交記録の公開について積極的に行うように指示をしてきています。その結果、移管・公開した外交記録ファイルは、以前は年2,000冊程度でありましたけれども、この1年間で6,475冊に達したところです。
 今回の日韓国交正常化文書の公開にあたっても、今時の判決を受けて、可能な限り開示をすることとした次第です。
 なお、おおよそで申し上げますけれども、今時判決で開示命令がなされたのが268か所であります。そのうち約3分の2程度は、全部開示をするということになります。また、控訴する箇所につきましても、その一部は部分開示をすることとしております。また、裁判所によって不開示決定が適法とされた部分114か所についても、20か所程度につきましては全部、または部分開示することになる予定です。

目次へ戻る

日韓国交正常化交渉関連文書の情報公開訴訟

【朝日新聞 二階堂記者】開示する部分については、いつまでに開示するような予定なのでしょうか。また、先ほど、北朝鮮の国交正常化の交渉を考慮すべきとありましたが、これは竹島に関しても何か影響があるというようにお考えで非開示にすると、控訴するということなのでしょうか。

【玄葉大臣】基本的には、将来の北朝鮮との国交正常化交渉というのがベースです。1点目につきましては技術的な問題なので、あとで事務方から説明をさせていただきたいと思います。

目次へ戻る

日米地位協定の改定

【共同通信 斎藤記者】民主党政権は、2009年の衆院マニフェストで、御案内のとおり日米地位協定の改定を提起すると公約しているわけですが、これに関係してお伺いすると、民主党政権はなぜ日米地位協定の本体の改定を提起する必要があると考え、このマニフェストに盛り込んだと考えるべきなのか。そして、もしこの改定をするとすれば、どこを改定すべきだと考えるかという点を1点目にお伺いしたいと思います。   二つ目が、民主党政権、自民党政権から通して、これまで米国に対して、この本体の改定を明確に申し入れてきた経緯があるかどうか。対米交渉を通じて、この改定を申し入れてきた経緯があるかどうか。申し入れていないとすれば、その理由についてお伺いしたいと。
 ラスト1点ですが、森本防衛大臣が先日の記者会見で、今回の米兵事件について、現時点では地位協定を改定するという考え方は政府内にはありませんと明言しているわけです。これは、協定改定を提起した、この衆院マニフェストに合致した発言と言えるのかどうかという問題だと思うのですが、この点について認識をお伺いしたいと思います。

【玄葉大臣】一つは、2009年の選挙のときのマニフェストで提起すると言っていたではないか、どこを直そうとしていたのかというのは、これまで民主党が具体的に提言してきた、少なくとも野党時代に提言してきた内容を御覧になっていただければと思います。その当時、なぜそういったことについてマニフェストに書いたのかという問いだったと思いますので、当時、少なくとも担当者等、あるいは党の責任者が描いたのは、当時、まさに具体的にそういった議論をしていたわけでありますから、そのことを想定して書いたのだろうと思います。
 その後、与党になって、それらが例えば修正されたとか、ブラッシュアップされたとかということは聞いていませんけれども、基本的には、その当時、どうしてマニフェストに書かれたのかと言われれば、その当時の議論を反映したということだと思います。
 申し入れの経緯はあるのかということでありますけれども、もしないのであれば、なぜなのかということであります。これまでも申し上げてまいりましたけれども、私(大臣)も外務大臣になって、地位協定の運用の改善を二つ行いました。結局、具体的に一つ一つの問題を解決していくことの方が早道ではないかという思いがございます。もちろん、私(大臣)は、沖縄の皆様が地位協定の改定に関して、強い要請をされている方々がいらっしゃるということは存じていますし、そういった声にも耳を傾けていかなければならないと、私(大臣)は考えていますけれども、実際に、御存じだと思いますけれども、例えば、私(大臣)は日米の方が優れた地位協定だと思いますが、米韓、もっと正確に言えば、それぞれの分野で優劣というか、若干違いますけれども、米韓の地位協定の改定のときにどれくらいかかったかというと、たしか6年くらいかかったのではないかと記憶しています。つまりは、時間が非常にかかります。米国は米国で、米国側の主張を当然言います。ですから、その間、どうするのかという問題が当然あるわけでありますので、まずは、具体的に一つ一つの問題について解決していくということで、この間やってきました。今回もやはり、一つ一つの問題を解決しなければならない局面でもあると思っていますので、やはり、あの悪質で卑劣極まりない、絶対に許せない事件を受けて、そういったことが繰り返されないためにどうすれば良いのかということについて、単に再発防止とか綱紀粛正とかということを字面だけ並べるのではなくて、真に実効性のある措置を取っていくということが大事だと考えていますので、そういった観点で、米側は迅速な措置を取りました。あわせて、引き続き、どういう措置を取ればより実効性が高まっていくのかということについて、日本として、日本国政府として具体的な提言・申し入れをしていこうというように考えているところであります。
 そういう意味では、最後の森本防衛大臣の質問にもお答えしたかなと思いますが、森本防衛大臣に関連する御質問は、つまりは、政府内では地位協定について改定する気持ちは全くないという気持ちが共有されているということについてどう思うかということだと思いますけれども、それについては、これまでも繰り返し私(大臣)が申し上げてきているとおり、米軍の再編などの進展、日米同盟の深化、もちろんそもそもが関連するのですけれども、党の進展などを踏まえながら、あわせて考えていきたいというように思っています。矛盾するかどうか、これは、私(大臣)はある意味、ずっと考えて行く問題であるというように思っています。継続的にですね。

目次へ戻る

日韓国交正常化交渉関連文書の情報公開訴訟

【東京新聞 五味記者】冒頭の発言のことに関連しまして、文書公開について外務省は、これまであまりにも秘密主義ではないかという声もありました。今回はできる限り可能な限り開示するということで喜ばしいことだと思いますが、これまでの開示の仕方に問題点があったとか、そういうような認識はございますでしょうか。それと、インカメラ審理と言われまして、裁判官が公開文書について見ることができるという制度を導入したほうがいいという声もあるのですが、そういう制度を積極的に取り入れていく必要性があるというようなこともお考えでしょうか。その二点お願いします。

【玄葉大臣】まず情報公開に対する姿勢の問題だというように思いますけれども、やはり、当時政権交代をし、岡田外務大臣が、ある意味政権交代しなければできないという観点から、情報公開というものを推進したというようにも思います。もちろん国民の知る権利に応えていく、国民と共に歩む外交でありたい、そういった観点も当然あると思いますけれども、そういった本来あるべき姿の外交がなかなかやはり政権交代のような機会を経ないと情報公開というのはしにくいだろうということで、私(大臣)は岡田外務大臣が突破口を開いてくれたというように思っています。
 そういう意味で、先ほど申し上げたように、かなり外交記録の公開というのを行うようになりましたし、また更に岡田さんとも時々相談をしていますけれども、今年一年で、先ほど申し上げたように6千冊以上にわたるファイルを公開したと。更に今回も、ともすれば単純に控訴と、こういうようになってしまうと思うのです、今までだったら、ざっくばらんに申し上げるとですね。ですけれど、これは2万ページですから、事務量はすごいのですね。一つ一つ精査するということは、相当若い人たちが頑張ったということなのですけれども、担当者がですね。私(大臣)は、一つ一つ大変だけれど精査するようにという指示をしました、その結果として、どうしても不開示と、国益から判断してそういう部分が出てくる、これはもう仕方がないことだけれども、またそれは国益上妥当なのだけれども、やはり一つ一つ精査して知る権利に応えていくために、開示すべきだと判断する文書というのはあるはずだと。私(大臣)も全部ではないのですけど、いくらか土日に見たのですけれども、これはできるな、でもこれはできないなとやはり思いましたので。ですから、そういう意味では、今回外務省の担当職員が努力をしてくれて大分開示することができるようになったというように私(大臣)は自己評価しています。

目次へ戻る

与党議員の訪朝と日中次官級協議

【読売新聞 松浦記者】一部報道で、民主党の参議院議員の有田議員が北朝鮮を訪問されたということの事実関係と評価ですね。もう一点、21日に河相次官が上海で中国の外交当局と会談されたという話があります。これについて事実関係等、教えてください。

【玄葉大臣】政府としては、北朝鮮につきましては国会議員も含めて渡航自粛を求めてきているということでございます。そういう意味で、自粛ではあるのですけれども、政府与党に相談なく、与党の議員がこうして訪朝するというのは残念だと思っています。
 あと、河相次官の報道ですが、日中のひとつひとつのやり取りを明らかにすることは控えたいというように思っています。これは外交の現場ですので、もちろん話の内容を明らかにすることができない場合もあることは言うまでもありませんし、あったかどうかも含めて申し上げることを差し控えた方が、相手国との関係もあり良い場合もございます。日中間の意思疎通というのは、水面下で公表されない形で行われる、あるいは行われている場合もあれば、公表して行っている場合もございます、一般論として。

目次へ戻る

欧州訪問

【フリーランス 安積氏】15日から18日まで外遊されましたけれども、この時に尖閣についての日本の立場の御説明を相手国にされたということですが、竹島、日本海呼称、慰安婦について、韓国と我が国の間ではいろいろな問題がありますけれども、これについて言及されなかったと聞いております。また、先日の国連安保の非常任理事国の選挙で韓国に投票した、これは非公開ということですけれども、そういう報道がありました。これは尖閣とか北朝鮮について韓国の協力を得たいということの日本の政策の結果だと思うのですけれども、これはかえって何も言わないということで、韓国に間違ったメッセージを与える危険性というのはお考えにならないのでしょうか。例えば、昨日ですけれども、韓国の国防委員会のメンバー15名が竹島に上陸するなどしておりまして、竹島についてより積極的な態度を示しておりますが。

【玄葉大臣】訪欧中に韓国、特に竹島の問題について言及したかどうか、あるいは意見交換があったかどうかという話がございましたけれども、あった国もあったと思います。確かすべてそれぞれフランス、イギリス、ドイツといった中ですべての国の外相と、日韓関係について詳しく意見交換をしたということではありませんけれども、何人か、一人か二人の外相とは、そういう意見交換をしたというように思います。私(大臣)の記憶ですけれども、記録を後で見たいと思いますけれども。
 それと、誤ったメッセージを送ることに今の態度がなっていないかということでありますけれども、私(大臣)はそうは思っておりません。まさに総合的な判断の上でさまざまな決定をしているということでございます。

目次へ戻る

尖閣諸島

【香港フェニックステレビ リー記者】2点お伺いしたいです。一つはこの釣魚島、日本でいわゆる尖閣の国際広報に関してですけれども、一部報道では大臣が直接外務省の部署に対して、尖閣のパンフレットを作るようにといった指示が出ているという報道がありました。これはまず事実関係を確認させてください。 
 それから、最近、中国の一部の報道では、日本政府の高官がこの尖閣の領有権問題が存在すると初めて認めたといった報道が出ています。これは改めて今の日本政府の立場をお聞かせください。

【玄葉大臣】まず尖閣の問題についてのいわゆる国際社会における情報発信については、私(大臣)から情報発信の強化について指示をいたしましたけれども、事細かにパンフレットをどうだこうだとかということは私(大臣)から申し上げたとか、指示をしたとかということではございません。
 また、日本政府の高官が領有権のいわゆる領土問題は存在しないという立場ではない立場を言ったという話でありますが、私(大臣)はそのことは承知しておりません。

目次へ戻る

日露関係

【北海道新聞 安藤記者】昨日のロシアのパトルシェフ書記との会談と覚書の署名について伺いたいと思います。二点伺えればと思います。
 まず1点目は、協定を結ぶことによって12月の総理訪露、それに続いて行われる北方領土の交渉にどういう影響を与えるか、大臣の印象を伺えればと思います。
 2点目は、昨日の覚書ですが、内容については公開をされておりません。これは何か理由があるのでしょうか。将来的に公表をする予定があるかどうか、それを伺えますでしょうか。

【玄葉大臣】昨日の覚書をなぜ公表しないのかということでありますが、これはロシア側が安保会議で日本以外の他の国と、こうした覚書を結んでいるケースがいくつかございますけれども、その場合も非公表としているということで、ロシア側との関係もあって公表しないということでございます。
 昨日のパトルシェフ書記との対話でありますけれども、あるいは覚書への署名でありますけれども、総理訪露との関係で言えば、まさに安全保障分野における、総理訪露に向けた重要なステップというように申し上げても良いのではないかというように思います。日本は広く安全保障というところを外務省が所掌しているというところがあるのかもしれませんけれども、仕組みが違うので仕組みの説明から入りましたけれども、かなりワーキングディナー含めて、掘り下げた本音の話し合い・意見交換ができて大変有意義であったというように思っていますし、昨日ぶら下がりで申し上げたように、まさに日本政府、あるいは日本の外務省とロシアの安全保障会議の対話のチャンネルがこれで確立したというように申し上げてもよいのではないかと考えおります。

【北海道新聞 安藤記者】安保会議との覚書署名が領土交渉に与える影響というのを伺えますでしょうか。

【玄葉大臣】覚書そのものが直接影響を与えるかと言えば、それは何とも申し上げようがありませんけれども、もちろん、マイナスの影響はないと思います。あってもプラスの影響だと思いますけれども。昨日のやり取りの中でも、もちろん領土の問題の議論はいたしました。さまざま、機微な問題についてもいたしましたけれども、これは相手との関係もあるので、そのやり取りは明らかにしないということでございます。

目次へ戻る

日中関係

 【共同通信 仲井記者】先ほどの質問にもありましたけれども、週末の次官級の会談については、あったかどうかも含めて控えた方がいいということだと思いますけれども、それを置いたとしても、外相御自身もニューヨークで楊潔チ外相と会談されたり、その後も、杉山局長が羅照輝局長とお話をしたりであるとか、一定程度のコミュニケーションを取ってきているかと思いますが、これまでの意思疎通を振り返って、日本側としては大局的な観点に立った日中関係の改善に向けて、お互いに理解は深まっているのかどうかという点については、一見するとなかなか、必ずしもそう簡単に深まっているとは見えないと思うのですけれども、いかがでしょうか。

【玄葉大臣】やはり、意思疎通を維持・強化していく必要は、私(大臣)はさらにあるというように考えています。ただ、意思疎通を行う中では、やはり、一定の時間が必要になるなというようには考えています。大事なことは、いつも申し上げていることの繰り返しになりますけれども、日中双方とも大局を見据えて、冷静に対応することです。不測の事態を回避して、平和的に事態を沈静化して、経済・文化・人的交流を安定的に展開できるような状況にしていくということが大切だと思っています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月23日(火曜日)10時56分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

内政

【テレビ東京 山口記者】田中慶秋法務大臣が辞任されました。まず、この受け止めと総理の任命責任についてお願いします。

【玄葉外務大臣】田中大臣については、特に、私(大臣)からコメントすることはありません。また、その立場にもないと思っています。

【テレビ東京 山口記者】田中大臣の辞任ということになりますと、拉致問題担当大臣としては民主党政権以降、7人目の大臣になったわけですけれども、拉致問題に与える影響というか、そういったものはどういうように御覧になっているでしょうか。

【玄葉大臣】いずれにしても、拉致の問題については、それぞれ外務省、そして拉致の本部というか拉致対策担当大臣、それぞれから官邸の方にすべての情報が上がっていますので、官邸の方で集約して判断をしている状況にありますので、影響を最小化していかなければならないし、影響がないようにしていかなければならないと考えています。

目次へ戻る

沖縄米兵暴行事件

【テレビ東京 山口記者】米軍兵士による集団強姦致傷事件がありましたけれども、米軍は再発防止策を発表されました。この受け止めと、日本時間の本日未明に仲井眞知事がワシントンで米国政府の高官と会って、直接抗議をしたわけですけれども、高まる沖縄の反発の声に対して、これから政府としてどう向き合っていくかお願いします。

【玄葉大臣】これは悪質な事件ですから、絶対あってはならない事件なので、私(大臣)も欧州出張中でしたけれども、吉良副大臣から報告を受けて、その場で厳しい対応を取るようにというか、具体的にあの時に、出張者を含めて夜間の外出禁止という措置をまず取るべきだということを言いました。米側としても迅速に、まずその対策を取ってくれたという意味での評価はあります。ただ、これから、やはり、引き続き具体的な考えを日本側としても申し入れていく必要があるというように思っています。やはり、この事件をなくしていく努力をしっかり行わないと、単に綱紀粛正・再発防止という言葉だけではだめだというように思っています。
 リバティ制度の見直しということが行われています。いわゆる勤務時間外行動の規制の見直しというのですか、公務外の自由時間の規制について、今、いろいろと米側も考えているところなので、日本側としても、いろいろな注文というか、具体的な考え方を伝えていきたいなというように思っています。

【琉球新報 問山記者】特に、大臣が考えられる具体的な対応策としては、どういったものがあげられるのでしょうか。

【玄葉大臣】週末に戻りましたので、さっそく昨日から、私(大臣)なりに担当者を呼んで、いろいろと議論しています。どういうことを具体的に米側に伝えるかという話を、今まだこの場で申し上げられる段階ではありませんけれども、沖縄の方々の考え方などにも耳を傾けながら、やはり、日本側として引き続き、しっかりと対応することが大事だというように思っています。

【琉球新報 問山記者】スケジュール的にはいつ頃、そのリバティカード制度の見直しを含めた追加的な対応策というものが発表される見込みですか。

【玄葉大臣】まだ、それはちょっと申し上げられる段階ではありません。

【沖縄タイムス 銘苅記者】昨日、下地大臣にお会いされていると思いますが、その中でも話があったかと思いますが、外出禁止令の恒久化とか、その間の地元の経済振興策などを下地大臣がおっしゃっていたと思いますが、その考えについては、どういうように評価されていますか。

【玄葉大臣】いろいろな提言とか、そういったことも含めて議論をして、結局、その効果とかも含めて、良く精査をして、その上で米軍に、あるいは米側にしっかりと日本側として言いたいというように思っています。

目次へ戻る

日露関係

【北海道新聞 安藤記者】本日、ロシアの安全保障会議のパトルシェフさんと会談すると思います。安全保障会議の方と外務省の話し合いというのは初めてだと思うのですけれども、プーチン大統領の側近でもあるあの方との会談をどういうようにとらえていらっしゃるか。外交・防衛当局となると日米安保協議とか今までやってきたと思うのですけれども、安全保障会議と日本政府との間の協力というのはどういうことが可能か、今お考えがあれば教えていただけますでしょうか。

【玄葉大臣】安全保障会議というのは、議長がプーチン大統領です。そのプーチン大統領と極めて近いと言われる方が、本日訪日をされるパトルシェフ書記であるということです。その安全保障会議と外務省が、いわば対話のチャンネルというのを確立するという意味合いは非常に大きいというように思います。これは長きにわたって大きいというように思っています。短期的には総理の訪露に向けた安全保障上の重要なステップに当然なるということになりますので。今、皆さんはどうご覧になっているか、日露の協力というのは、私(大臣)は順調だと思っています。そういう順調に協力が進んでいく中で、この安全保障の分野でも具体的な議論をこうして開始し、いわゆるプーチン大統領が議長の安全保障会議と、こうして対話のチャンネルが確立され、国際情勢も含めてさまざまな意見交換を掘り下げた形で行うという意味合いは私(大臣)は大きいというように考えています。

目次へ戻る

安全保障対策

【朝日新聞 二階堂記者】その安全保障で、中国周辺のロシア、昨日もインド、オーストラリアと、この辺で中国の周辺の国々との安全保障について強化していくという考えについて、この意義付けというか狙いというのはどういうのがあるのでしょうか。

【玄葉大臣】特に特定の国を念頭に何かを考えるということではなくて、やはりアジア太平洋全体、もっと言うと世界全体が戦略環境が変わってきている、その戦略環境の変化の認識というものをまず共有しなければいけないというように思います。それはロシアともインドとも、いえ中国とだって認識を共有しなければいけないということだと思います。その上で、まさに日露間の安全保障、防衛等々の協力の在り方を具体化していくということは非常に意義のあることであると思っています。

目次へ戻る

国連安保理非常任理事国選挙

【産経新聞 杉本記者】国連の非常任理事国入りの選挙について2点お伺いしますけれども、1点目はまず日本がどこに投票したのかということ、2点目は韓国に投票したと報じられておりますけれども、日本政府の表向きの立場としては、これまでも秘密投票で行ってきたので明らかにしないという立場だと思うのですが、経緯は経緯として、8月以降、日韓関係がいろいろあって、国民的な関心も深まる中で、民意の支持を受けた外交を展開する上で、今回の投票報道について従来どおり非公表にするといったことが適切かどうかということを大臣のお考えをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

【玄葉大臣】これは従来から杉本さんがおっしゃるように秘密投票で、これはいろいろな国が立候補しています。そういった関係国との関係もありますので、これはやはり基本的には公表しないということだというように思っています。
 総合的に判断をして、どこに入れるかを決めるということだと思います。

目次へ戻る

欧州訪問

【新華社通信 郭記者】欧州の歴訪について伺いたいのですが、3か国の会談相手は日中の対立について日本の立場に理解して、あるいは支持するという発言は得られたのでしょうか。

【玄葉大臣】もうすでにご存じだと思いますけれども、それぞれ3か国とも国際法に則って平和的に事態を処理していくということで一致をしたということであります。それは、我が国の方針でもあるということでありますし、我が国の立場については、内々さまざまな議論を掘り下げた形で行いました。突っ込んだ意見交換の結果、さまざまな発言もございましたけれども、それは公の場での発言ではありますけれども、公表できるのは、先ほど申し上げた国際法に則って平和的に事態を処理していくということで一致をしたということでございます。そういう意味では、我が国の立場とそれは変わらないということであります。

目次へ戻る

日米地位協定の改定

【西日本新聞 吉田記者】沖縄から日米地位協定の改定の見直しを求める声がまた一段と強まっています。民主党はマニフェストで地位協定について言及していたと思うのですが、大臣の現在の考え方についてお願いします。

【玄葉大臣】それは米兵の事件に関してですか。

【西日本新聞 吉田記者】関してといいますか、もちろん関してですけれども、今回の事件は別に日米地位協定が直接かかわっていないことは当然わかっている上で聞いています。

【玄葉大臣】おっしゃるように、直接かかわるわけではないのですよね。ですから、その意味するところ、意義、そして、効果というものを十分勘案して、またそれによって得られる成果というものを勘案をして、時期を見定めなければならないというように思っています。

【西日本新聞 吉田記者】時期を見定めなければならないということは、改定を(するということですか)。

【玄葉大臣】今までも申し上げてきたと思いますけれども、今まで申し上げてきたことは、いわゆるこれまで在日米軍の再編を進めてきているわけでありますけれども、そういった進展状況等を勘案しながら、日米地位協定の改定の問題について考えていきたいということを申し上げてきたと思いますので、そういう意味では基本的に変わるわけではありませんけれども、先ほど申し上げたような観点でよく考えていきたいと思っています。

目次へ戻る

尖閣諸島

【NHK 坂本記者】尖閣の関係で、昨日パナマとの外相会談がありましたけれども、その中で尖閣について何かやり取りがあったかということは。

【玄葉大臣】一定のやり取りはありました。

【NHK 坂本記者】ASEM,ASEAN、今後ありますけれども、それの中でも尖閣についての理解を各国に求めるというような考えは。

【玄葉大臣】まだ決めていません。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月12日(金曜日)11時10分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)フランス、英国及びドイツ訪問について

【玄葉外務大臣】15日(月曜日)から20日(土曜日)まで、フランス、英国及びドイツを訪問いたします。
 訪問先におきまして、フランスでは、ファビウス外相との間で第2回の外相間戦略対話を実施いたします。
 また、英国では、ヘーグ外相との間で、初めてになりますけれども、外相間の戦略対話及びワーキングディナーを実施いたします。
 さらに、ドイツにおきましては、ヴェスターヴェレ外相との会談及びワーキングランチを行います。
 東日本の大震災以降、これら3か国からは、首脳や外相が相次いで訪日されているわけであります。これら3か国は、民主主義であるとか、法の支配、あるいは市場経済、自由貿易等の基本的価値を共有する関係にございます。我が国にとって重要なパートナーであり、またG8の仲間でもございます。さらに申し上げれば、強い国際世論形成力を有しているというように思います。これらを踏まえて、今般、私(大臣)が各国を訪問して、首脳レベルで確認した二国間関係の方針というものを具体化して、戦略対話の枠組みを活用して、突っ込んだ意見交換を行いたいというように考えています。
 今回の訪問の機会に、東アジアの情勢、欧州の経済をはじめ幅広い問題について意見交換を行って、日本と欧州との関係をさらに前進させたいというように思います。また、結果として、我が国にとって望ましい国際世論の形成につながればというようにも考えています。
 加えて、この機会に、EU側で年内の交渉マンデートの取得に向けて山場を迎えている日本とEUのEPAについても、改めて働きかけを行う考えであります。

(2)マダガスカル共和国暫定政府との関係について

【玄葉外務大臣】 マダガスカルでは、2009年3月にクーデターが発生して以来、政治的に不安定な状況が続いていましたが、本年8月、2013年中の大統領選挙実施が発表される等、民主化プロセスが進んでいます。
 これを受けて、我が国はマダガスカルとの友好関係の継続を、マダガスカル暫定政府に通報することにいたしました。
 この旨、本日の閣議において私(大臣)より発言をしたところです。

目次へ戻る

日中関係

【テレビ朝日 花村記者】昨日、日中の局長級の協議が行われて、早期に次官級の協議を開催していくことで一致をしたということですけれども、これの受け止めと、一方で昨日、中国の外務省の副報道局長が会見で、先日の大臣の発言について、1960年の地図は荒唐無稽といいますか、支離滅裂だというような発言をして、主張は平行線のような気がするのですが、今後、どのように関係改善を図っていく考えか、改めてお聞かせください。

【玄葉外務大臣】国連の場で、日中外相会談を行いました。そのときに、意思疎通を継続していくということで一致をしたわけであります。やはり大事なことは、譲れないものは譲れない。しかし、不測の事態を避けること、平和的に事態を沈静化をさせること、そして、若干時間がかかっても経済・文化・人的な交流が安定的に行われるようにしていこうと。そのためにどうすれば良いのかということを、日中双方が冷静に考えていく必要があるということです。まさにその一環だと私(大臣)は考えています。

【テレビ朝日 花村記者】関係改善に向けて動き出しているという解釈でよろしいでしょうか。あと、次官級の協議はいつぐらいを目指したいということはありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】事は簡単ではありません。ただ、先ほど申し上げたような観点で、意思疎通をまさにしっかり行っているということであります。次官級の協議の時期でありますけれども、それは現在、調整をしているということであります。行われることは間違いありません。

目次へ戻る

竹島問題

【テレビ朝日 花村記者】竹島についてですけれども、昨日、吉良外務副大臣が会見で、竹島の領有権を巡るICJへの提訴について、「単独提訴についていいかどうか、これから検討していく」ということをおっしゃいまして、単独提訴に向けて政府は動いていると解釈しているのですが、これを単独提訴しない、もしくは少し時間を置くということも、今後、検討される可能性はありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】ICJへの単独提訴のことでありますけれども、淡々と政府としては準備を進めているということであります。他方、一言あえて付け加えれば、韓国側の対応というものを、私(大臣)として注視しているというところはございます。ただ、淡々と準備を進めている。それ以上でもそれ以下でもないということであります。

目次へ戻る

内政

【読売新聞 松浦記者】国会の関係ですけれども、開かれない状態が続いています。外務省としては、ハーグ条約など重要案件をたくさん抱えておられますけれども、今の状況についてどのように対応したいとお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】ハーグ条約はもちろん重要なので、今、継続審議されているということになっております。できるだけ速やかに条約を通すことができればというように思っています。
 ただ、国会の審議、もちろん大事なのですけれども、多分通常国会もこの間どうなのでしょうか、これまで最長の期間、審議をしているのではないでしょうか。
 もっと言えば、この間文藝春秋で提案が出ていましたけれども、他の先進国と比べて、はるかに5倍から10倍というとちょっと大雑把すぎるかもしれませんが、首相、外相の国会出席日数が多いことが問題であるという提言まで出ている中で、どういう審議のあり方が良いのかということを、虚心坦懐に与野党越えて考えるべきではないかというようにも一方では思います。
 ただ、私(大臣)はもちろん、これは一般論であって国会のあり方について外相という立場で具体的に物事を申し上げるということは避けたいと思います。

目次へ戻る

日朝協議

【朝日新聞 二階堂記者】日朝局長級会談についてですけれども、先日、大臣は成果の見込みを立てて調整を進めるというようなお話をされました。北朝鮮側は今月中旬にも開きたいという話ですけれども、その可能性というのはどうなっているのでしょうか。

【玄葉外務大臣】これは先般も申し上げたとおりでございます。変わっておりません。あるいは、引き続き調整をしているということでございます。私(大臣)は成果の見込みが大事であると思っています。

【朝日新聞 二階堂記者】それは内容が拉致問題でもう少し詰める必要があるからという認識でしょうか。

【玄葉外務大臣】拉致の問題について、日本側として当然、重要視しているということです。双方の関心事項を幅広く協議するというのが、日朝の課長級協議の結論であったというように思いますけれども、日本として当然最大の関心事項だということであります。当然、ミサイルの問題、核の問題はじめ、さまざまな問題がありますけれども、それぞれ大事ですけれども、先ほど申し上げた点はこれまでも申し上げてきたとおりということです。

目次へ戻る

欧州訪問

【共同通信 池田記者】欧州の外遊の件ですけども、先ほど訪問先の各国は国際的な世論の形成力もあるということでしたけれども、領土を巡っていろいろ対立が続いています韓国と中国、要は竹島と尖閣について、そこで日本の立場について御説明をされる予定はありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】いわゆる、国連で演説したような内容について、当然説明することになると思いますし、日中関係も東アジアの情勢、これは例えば日中の関係というのはGDP2位と3位の国でありますので、東アジアの平和と安定だけではなくて、世界全体の経済にとって大変大きな影響を与えることでありますから、戦略的な対話でありますので、当然そういった議論を行って、我が国の立場ということも当然説明することになるでしょう。あわせて、やはりこの日中双方が大局を見失わずに冷静に対応していく必要があるのだという、これまで日本が冷静に対応してきた、そのことも含めて説明していくということになるというように思います。

目次へ戻る

日露関係

【北海道新聞 安藤記者】日露の次官級の協議の日程の調整状況、今月中旬ということだったのですが、いかがでしょうか。次官級の中では、どんなお話をまず初回として詰められればというようなお考えがあれば伺えますでしょうか。

【玄葉外務大臣】10月中旬に行います。まだ具体的には申し上げられません。さまざまなテーマについて話すことになります。長い時間かかると思います。

目次へ戻る

日中関係

【朝日新聞 倉重記者】確認をしたいのですが、尖閣について、大臣は常々領有権の問題は存在しないが、外交上の問題、これは存在するという話をされているのですが、ややもするとちょっと誤解を与えかねない言い方だと私は認めていまして、その真意を改めて説明していただきたいのですけれども。

【玄葉外務大臣】どういう意味で誤解を与えかねないのでしょうか。

【朝日新聞 倉重記者】要は外交上の問題という言葉を使うと、協議を日中間で問題を解決するために必要になってくると。

【玄葉外務大臣】それは、言うべきではないという意味でおっしゃているのでしょうか。

【朝日新聞 倉重記者】いや、大臣がどういうお考えでお話しされているのかというのを説明していただきたいと思いまして。

【玄葉外務大臣】外交上の問題というのは外交上の問題に尽きるのではないでしょうか。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月10日(水曜日)14時06分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

尖閣諸島

【朝日新聞 二階堂記者】明日11日、国有化から1カ月が経ちます。中国との対立は何らかの形で早期解決ができるというようにお考えでしょうか。それとも長期化するというお考えでしょうか。その上で外務省としての対応をお聞かせください。

【玄葉外務大臣】二階堂さんのご質問ですけれども、これまでも繰り返し申し上げてまいりましたけれども、この事態が日中の安定的な発展を損なうことがあってはならないと。そして、事態について平和的に沈静化をさせるということが大切であるというように考えています。ただし、譲れないものは譲れないと。したがって、その中で何が可能なのか日中双方の意思疎通を通じて、模索をしていかなければならないというように考えています。それは果たして短期なのか長期なのか。短期とはいつからいつまでを短期というのかということによると思いますけれども、これまでも申し上げてまいりましたけれども、簡単に収まる問題ではないというように覚悟してかからなければならないというようには考えております。
 ただ、私(大臣)としては、効果的な意思疎通を行いたいという意思を強く持っております。

【共同通信 斎藤記者】尖閣を巡る中国側の主張に合理性があるかどうかについてお伺いしたいと思います。ご案内のとおり中国は、国際社会に向かって、日本が中国から釣魚島を盗んだということを繰り返し宣伝しております。中国は、この独自の主張の論拠として、1885年10月21日に、当時の井上馨、これは外務卿ですが、山縣有朋に宛てた書簡を、これが日本が盗んだ証拠だとして何度も取り上げています。
 中国側によると、この書簡では、この井上馨は、「この時期に、にわかに日本国の標識を立てれば必ずや清国に猜疑心を抱かせてしまう」と述べて、標識設置を後日に回すよう提案したとのことです。つまり中国側は、井上馨を含む当時の日本の為政者は、尖閣、彼らの言うところの釣魚島が清国の領土であったと認識しているのは、これは間違いないと。故に、日本は故意に、1895年の秘密の閣議決定で、釣魚島を中国から盗んだのだと結論づけています。
 日本政府はこの書簡を確認していますでしょうか。そして、この書簡をもとに中国が「日本が盗んだのだ」という、この理屈が論理的に成り立つのかどうか認識をお伺いしたいと思います。

【玄葉外務大臣】今、外務大臣の書簡の話でございますけれども、その前に、まず1885年は、内務大臣から外務大臣に宛てた書簡というものがございます。それは、尖閣諸島に清国所属の痕跡、証跡というのが正確かもしれません。「証跡は少しもあい見え申さず」と明確に記載されています。その上で、いわば、外務大臣の所見を聞いたという文章ではないかと、私(大臣)は考えているのですけれども、いわば、編入手続きを行う過程の一つの文書ということで、そういった文書があるということは、私(大臣)も承知をしています。そこに、中国の国内の動向についての記述があるのは確かでありますけれども、この書簡というのは、むしろ当時、清国に、まさに尖閣諸島が属さないということを前提にして我が国がいかに丁寧に、かつ慎重に領土編入の手続きを進めていたかということを示すものだというように考えています。
 ですから、今、斎藤さんが指摘された中国の主張、つまりは明治政府が中国による尖閣諸島の領有権を認識していたということは、この文章からは、私(大臣)は全く読み取れないというように考えています。外務大臣が、実際にこの文章を読みますと「実地踏査をさせ」と書いてあるのですけれども、まさに実地踏査を指示しているわけでありまして、そのことからも、尖閣諸島を清国の領土であったというように考えていたということはないということであると思います。
 いずれにしても、この間、ずっと申し上げてきましたけれども、1885年から1895年まで、再三にわたって現地調査、及び現地に行った人たちからの聞き取り調査というものを行って、そこに清国の支配が及んでいる痕跡がないということを確認した上で、編入の閣議決定を行ったというように考えています。
 そもそも、もっと言えば、中国が領有権の主張をし始めたのが、ご存じのように1970年代に入ってからでありますし、中国が発行した地図、これは、私(大臣)の記憶では、手元にはございませんけれども、1933年とか1960年だったかと思いますけれども、中国の発行の地図にも尖閣諸島は日本の領土であるということが書いてあるというように私(大臣)は承知していますし、たしか1920年だったでしょうか、国会でも質問が出ましたけれども、当時の中華民国の長崎の総領事が出した感謝状にも、たしか日本帝国八重山郡尖閣諸島という記述があったというように思いますので、そういう意味で、先ほどのことも含めて、私(大臣)は、中国の主張は正しくないというように考えています。

目次へ戻る

尖閣諸島及びシリア情勢

【トルコ国営放送 ムラット・ハン記者】1つ目の質問が尖閣諸島に関して、その次はトルコとシリアの関係に関しての質問ですけれども、今回の尖閣諸島の国有化の影響がそれぞれの国との経済的影響が出ると思われますが、影響が大きくなっていった場合、それらの国以外の国との貿易を増やすことは考えられますか。要は、日本がリスクを分けることですね。
 次は、この間、トルコ国境にシリアの方からアタックされて5人亡くなられたということで、これに関しては、中近東を含めてシリアのことはどう思われますか。トルコのダーヴトオール外務大臣との連絡は最近ありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】中国は、ご存じのように世界で第2位のGNPを持つ国でありますから、まず中国経済そのものがどうなるかということは、当然、まず世界の関心事であるということが一つございます。日本と中国の関係で言えば、中国にとって進出企業数が最も多い国は日本であります。投資も一番は日本であります。雇用されているのは中国の方々でございます。貿易は、たしか中国にとっては米国が一番ですけれども、日本が二位だったのではないかというように思います。そういう中で、やはり日中双方とも経済にできる限り影響を与えないようにしていく、そのために冷静に対応していくということが大切だというように思います。
 先般の反日デモ等を受けて、日本のそれぞれの企業が、ああいったリスクというものをどういうように考えるのかということは、当然ながら、それぞれの日系企業にとって問われている問題であるというように思います。
 シリアとトルコの話でありますが、特に、ダーヴトオール外相と連絡を取っているわけではございませんけれども、たしかあの時、談話を出させていただいたはずでございまして、いずれにしても、シリア、一刻も早く暴力が停止をされることが何より必要だというように思っていますし、あわせて、今、国際社会の努力がございますので、それぞれの国際社会の努力を、今、ブラヒミさんが特別代表で任務を負っているわけでありますけれども、そういった努力を後押ししていく必要があるというように思っています。
 直接、私(大臣)とダーヴトオール外相が最近、この問題で意見交換したということは、事実関係としてはありません。

目次へ戻る

IMF・世銀総会の開催

【ダウ・ジョーンズ経済通信 マーティン記者】IMFによりますと、中国人民銀行総裁の周小川氏が現在開催されているIMF・世銀総会に出席せずに、代りにナンバー2の方が来るということですけれども、尖閣諸島の国有化による対抗措置であるという見方が強いと思うのですけれども、これに対する受け止めをお願いします。

【玄葉外務大臣】これはマルチの会合ですから、IMF・世銀総会というのは何を議題としているのかということではないかと思います。つまりは欧州の債務危機などを受けたさまざまな世界全体の経済の問題について議論をする場であります。そういった場にいらっしゃらないというのは、大変残念なことだし、日中の問題のみならず、世界経済全体にとってよろしくないと思いますし、更に申し上げれば中国にとって、国際社会がそういった行為をどう見るのかといったことに鑑みれば、プラスとは言えないのではないかというように思います。
 是非、これは冷静に大局を見失わずにお互い対応していかなければならないと思います。

目次へ戻る

復興予算

【TBS 西川記者】復興予算の使途についてお伺いします。復興予算を巡って自民党など野党から、いわゆる外務省が担当しているものも入りますけれども、アジア太平洋・北米地域との青少年交流72億円という事業があるなど、その使い道が適切なのか等の疑問の声が上がっているのですが、これに対して外務大臣としての受け止めをお願いいたします。

【玄葉外務大臣】いずれにしても、私(大臣)も被災地の出身でありますけれども、復興のための基本方針というのはできています。それに沿って必要な予算は要求をするということだと思うのです。
 私(大臣)も精査をしようと思いますけれども、ただ、例えば風評被害にどう対応するかというのは大事な課題になっているわけです。種々議論がありましたけれども、なかなか間違いなく安全であるというように考えられる工業品にしろ、いわゆる物産にしろ、なかなかまさに風評によって売れないといったケースなどが相次いだわけですよね。そういった中で、途上国等々に対して、間違いなく安全であるという大前提のもとでそういったことを、そういったものを供与するということは、私(大臣)は被災地にとってはありがたかったのではないかと、被災地出身の議員の一人としてそう思っています。
 あと、絆のプロジェクトのこと、いわゆる短期、長期の招へい及び派遣というのも、結局風評被害対策等々を考えると、被災地に来てもらうということは必要だし、なんか被災地ばかりじゃなくて、いろいろなところへ行っているじゃないかという話もありますけれども、それは被災地だけではなくて、どうも被災地の様子だけがテレビで映し出されるわけです、世界中で。それがすべて日本だというように見られるというところがあります。他方、現実に来てみると、被災地は被災地で懸命に努力をし、復興し始めている。では関西の方に行ったら関西で、もともとの活力ということもあるでしょうけれども、震災があってもこれまでどおり、あるいはこれまで以上に活力がある、そういう日本を見せるという必要は私(大臣)はあるのではないかというように考えています。

目次へ戻る

尖閣諸島

【フリーランス 小山氏】先日、大臣は、尖閣問題棚上げに関して、日中間には合意がないとおっしゃいましたが、栗山元駐米大使がこの間テレビで、暗黙の合意があったというように発言しているのですが、これはどのように解釈したらいいのでしょうか。

【玄葉外務大臣】私(大臣)はそのテレビを見ておりません。日本の研究者、あるいは外務省OBの方々にそれらしい議論を言う方もいらっしゃるというのは、私(大臣)も承知をしています。
 ただ、日本国政府として言えることは、あの第三回の首脳会談、この間ここでご紹介申し上げた首脳会談を踏まえれば、そこに合意が存在したというようには言えないというのが日本国政府の立場であるということでございます。

目次へ戻る

日米韓局長級協議

【日経新聞 桃井記者】日米韓局長級協議の開催を調整しているということですが、
このタイミングで開く狙いと、あと今回はどういった成果を期待しているかということをお願いいたします。

【玄葉外務大臣】これは、ニューヨークで日米韓の外相会合を開いたわけであります。当然、安全保障などを中心として日米韓が緊密に連携をとっていく必要があるということで一致をしたわけでありますけれども、それらを受けて、やはり局長級でもこの連携をより具体的なものに、あるいは実務的なものにしていく必要があるということで、そういった会合について最終的に調整を行わなければならないという段階であるということでございます。

目次へ戻る

尖閣諸島

【新華社通信 郭記者】領土問題について伺いたいのですが、日本のメディアが日本政府は今、中国の領有権主張を認識しているという妥協案を検討していると報じているのですが、そういう妥協案、あるいはその辺りの検討があるかどうか教えていただきたいと思います。

【玄葉外務大臣】冒頭も申し上げましたけれども、私(大臣)は譲れないものは譲れないけれども、何が可能なのかということについて、模索したいというようにこれまでも繰り返し申し上げてまいりました。その内容について、この場で何らか申し上げるということはとてもできるものではないというように思います。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月9日(火曜日)11時28分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

オスプレイの日本配備

【NHK 大谷記者】先ほどまで官邸で、仲井眞知事と関係閣僚の会見がございました。仲井眞知事の方からどういうお話があって、どういうようにお答えになったのか。特に、外務大臣の方からお答えになったことは何かありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】まず、オスプレイの運用の問題が一つございます。それと、私(大臣)の方から嘉手納以南の土地の返還の検討状況について説明をしたところであります。オスプレイにつきましては、これまでも日米間の交渉経緯、そして沖縄の皆様に合同委員会の合意が守られていない部分があるのではないかという声を踏まえて、私(大臣)としてもそういった事例があれば、しっかりと日米合同委員会を開いてフォローするという話をいたしました。
 また、知事から、先方の発言はあまり申し上げませんけれども、やはり、パッケージを外したという意味は非常に大きいのだということがありましたので、まさにそのとおりで、嘉手納以南の土地の返還について、県側とか関係市町村の要望を踏まえながら着実に進めて、目に見える形での負担軽減というものを図っていくと、全力をあげたいという話をいたしました。

【NHK 大谷記者】前半、オスプレイの運用について、合同委員会の合意が守られていないというお話は向こうの方からあったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】とういうより、要請書の中にありましたので、これは総理にも恐らくあったのではないかと推測いたしますけれども、そういったことを踏まえて申し上げたということです。

目次へ戻る

日朝協議

【朝日新聞 二階堂記者】局長級の協議が今月中にも行われるというような報道がありましたけれども、事実関係と、今後、どのように進めていくかという外務大臣のお考えをお聞かせください。

【玄葉外務大臣】これは、結論から申し上げれば引き続き調整中であります。ご存じのように、先般の課長級の協議で日朝双方が関心を有する事項について、幅広く議題として取り扱うということで合意したわけでありますけれども、その後、引き続き、局長級の協議について調整をしているところです。当然、我が方にとって関心を有する事項、また、北朝鮮にとって関心を有する事項、それぞれあるわけでありますけれども、やはり成果の見込みというものをきちんと立てながら調整を進めていく必要があると、私(大臣)は考えています。

【朝日新聞 野上記者】今月中旬にも開催したいという打ち返しが北朝鮮側からあったという報道もあるのですけれども。

【玄葉外務大臣】引き続き調整中です。

目次へ戻る

沖縄関係閣僚会議

【読売新聞 松浦記者】沖縄関係閣僚会議の件ですけれども、振興についてのお話もあったと思うのですが、それについては何か。

【玄葉外務大臣】振興についてございましたけれど、私(大臣)も発言した内容がありますが、私(大臣)から申し上げない方がいいのではないかと。官房長官とか、特に関係の深い閣僚の方から発言された方が適切ではないかと思いますので、敢えて申し上げないようにしたいと思います。
 ただ、言うまでもなく、沖縄の自立的な発展というのは非常に大事なことで、そのことに全力をあげていく、外務省、あるいは外務大臣という立場でも全面的にサポートしたいという思いでおります。

目次へ戻る

日台関係

【産経新聞 杉本記者】台湾との話ですけれども、漁業協定を年内にも交渉を再開したいというような報道がありますけれども、一方で中国が尖閣諸島を巡って台湾と共闘する構えを見せている中で、日本と台湾との関係について、どのように続け、どのように漁業協定を含めて処理していきたいか、大臣のお考えを伺ってもよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】杉本さんの今の日台、これは非政府間の実務関係、1972年の日中共同声明にしたがって、あくまで非政府間の実務関係でありますけれども、私(大臣)は今の日台関係、そして、これからの日台関係についてのメッセージを寄せたつもりでおります。
現在の事態を受けて、日台の良好な関係が阻害されるということは、私(大臣)はあってはならないというように思っていまして、日台関係があくまで良好な関係を維持できるようにしたいと私(大臣)は考えています。
 今、漁業協議という話がありましたが、私(大臣)は漁業協議についても、早期に再開されて建設的な話し合い、意見交換が進むことを期待しています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月5日(金曜日)10時56分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

日朝協議

【NHK 大谷記者】8月の日朝政府間協議の際に、内閣官房の拉致対策本部の職員が中国に渡って、独自に北朝鮮側と接触していたという一部報道があります。事実関係と、これが事実だとすると二元外交ともうつりかねないという指摘がありますが、どういうように外務省として捉えていらっしゃいますでしょうか。

【玄葉外務大臣】拉致対のやり取りについて、私(大臣)からはお答えしない方がいいと思いますが、ただ、当然、外務省も私(大臣)も関係省庁と連携をしております。ただ、機微な情報について外務省と拉致対が100%の情報共有することが良いのかどうかという、当然、議論もあるわけです。ただ、言えることは、すべての情報は官邸に集約されているということになりますので、統一的な指示の下、この拉致問題に対応していくということが非常に大切なことだというように考えています。

【NHK 大谷記者】拉致対の方から外務省の方に説明なりがあったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】それはもちろん、いろいろな連携は取っています。ですから、最終的にすべての情報は官邸に集約されていますので、その統一的な指示の下、当然、この拉致の問題に対して取り組むということが大切だということだと思います。

目次へ戻る

沖縄関係閣僚会議

【NHK 大谷記者】本日、官邸で沖縄関係閣僚会議がありました。外務省の方からどういうご説明があったのか、総理の方から新しい指示等は何かありましたでしょうか。

【玄葉外務大臣】総理は出ておりません。沖縄関係閣僚会議、新しく閣僚になられた方々もいらっしゃいますので、沖縄の負担軽減策、沖縄の振興策等々について意見交換を行いました。私(大臣)からも様々なことを申し上げましたが、官房長官が統一して、本日の会議自体についてはお答えをするということでしたので、それ以上のことは控えたいと思います。

目次へ戻る

日中関係

【朝日新聞 二階堂記者】中国海軍の艦船が、東シナ海から太平洋に航行したということで、外務省としての何らかの対応というか、大臣の受け止めを聞かせください。

【玄葉外務大臣】これは、領海に入ったとかということではありませんし、国内法・国際法に違反しているということでもありません。過去に7~8回あったのではないかなというように思いますし、今回の尖閣を巡る中国独自の主張との関係も、少なくとも私(大臣)は特にないというように考えています。

目次へ戻る

日朝協議

【産経新聞 杉本記者】先ほどの日朝の接触の件ですけれども、同じ北朝鮮側の相手に対して、こちら側の折衝の窓口が2つに分かれてしまうという、二元外交というような批判に関してはあたらないというような認識でよろしいのでしょうか。

【玄葉外務大臣】官邸ですべて集約していますので、統一的な指示で取り組んでいるというように、私(大臣)は認識しています。

【産経新聞 杉本記者】拉致対と連携を取っているという先ほどのご説明でしたが、あの時期にあの場所で同じ相手と拉致対の関係者が会うということは、事前に外務省の方に連絡はあったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】あまり、中でのやり取りについて、特に北朝鮮との接触について申し上げるのはどうかなというように思います。もちろん、情報の共有というのはしているのですけれども、ただ、100%かというと、それはお互いそういうところが、あるいは外務省だって正直100%言えるかというと、それはご存じのように、極めて機微な状況・情報といったものがありますから。ただ、確実に言えることは、結局、官邸にはすべての情報があがるわけです。例えば、総理にしろですね。その下でどういうように、場合によっては分担もあるかもしれないし、いや、少なくともあくまでこちらでやるのだということかもしれませんし、そういった統一的な指揮というのが非常に大事だと、私(大臣)は考えていますので、この間も、そのことは申し上げてきたということです。

目次へ戻る

日中関係

【香港フェニックステレビ リー記者】日本が尖閣の国有化から間もなく一カ月になりますが、今、日中の対立がますます深まっている中で、ほとんどの大規模な交流事業がキャンセル、あるいは延期されています。この状態をどのように打開していくのか、日本側はどのように見ていらっしゃるのか教えてください。

【玄葉外務大臣】これは、いつも申し上げておりますけれども、この事態、やはり大局的な観点というものを見失わないようにしながら、譲れないものは譲れませんけれども、ただ、事態を平和的に沈静化するために何が可能かということを模索していきたいというように考えています。
 文化交流とか人的交流とか、経済関係とかに関して、あるいは日中全体の安定的な発展を阻害することのないように、双方とも冷静に対応していく必要があるというように考えています。

【東京新聞 五味記者】中国大使の後任選びは、今、どこら辺まで進んでいるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】調整しております。人事についてはコメントいたしません。

目次へ戻る

竹島問題

【読売新聞 伊藤記者】竹島に昨日、韓国政府の斡旋で主要メディア等、海外メディアの方が上陸をいたしましたけれども、これに関しまして日本政府としてはどのように対応するのでしょうか。

【玄葉外務大臣】既に我が国の立場と相容れませんので、抗議をいたしました。

目次へ戻る

オスプレイの日本配備

【読売新聞 松浦記者】オスプレイの関係で週明けにも沖縄県知事が来られて大臣と面談されるということですけれども、今後、大臣として、また外務省として地元の理解に向けてやっていきたいことがあったら教えてください。

【玄葉外務大臣】昨日の段階で、日米合同委員会で、やはり合同委員会の合意を順守して欲しいということを言いました。そして、事例をまだ集められているわけではありませんけれども、先般申し上げましたけれども、しっかりフォローをしていかなければならない、このことがやはり大事だというように思います。
 あと、もう一つ私(大臣)自身考え方が実はあるのですけれども、それはまだ申し上げられる段階ではありません。

【産経新聞 杉本記者】先ほどの、日米合意を順守して欲しいという話ですけれども、これを要請したというのは、現在合意が守られていない、あるいは守られていない可能性があるという認識の元にそういう要請をかけたのでしょうか。

【玄葉外務大臣】そういう意見があるので、ある意味、まずは我々まだ事例を集めきれていませんので、昨日、そういう沖縄からの声があるから、よく守ってほしいということを言ったということです。
 これから、また事例を集めて、そういうフォローをしなければいけないと思います。

目次へ戻る

竹島問題

【北海道新聞 安藤記者】昨日、韓国のテレビが、韓国側の防空識別圏に入って竹島上空を海上自衛隊の飛行機が飛んだということで、抗議をしたというようなお話が9月の段階の話で出たのですが、事実関係について外務省としては確認しておりますでしょうか。

【玄葉外務大臣】これは確か、警告を受けたということはないと思います。防空識別圏というのは国内の法ですよね。確かあれは日露で再協定というか、捜索救難活動があって、ウラジオストクに向かっている公海上での話、公海上をずっと向かっていた時に、そういったことがあったのだけれど、確か私(大臣)の記憶では警告を受けたということはなくて、目的の照会はあったと聞きました。

【北海道新聞 安藤記者】入るときは事前に計画を出すというような話に、韓国側となっているのではないかと思いますが、その辺りはどうなのでしょうか。

【玄葉外務大臣】そうでしょうか。そういう決まりがあるのでしょうか。

【北海道新聞 安藤記者】韓国側が主張している、防空識別圏に入ったという認識はないということでしょうか。

【玄葉外務大臣】そういう事前に絶対に言わなければいけないという決まりがありましたか。

【北海道新聞 安藤記者】韓国側とそういう約束をしているというように認識していたのですが、そういうことはないのでしょうか。

【玄葉外務大臣】私(大臣)は、記憶ですけれども、少なくともADIZというのは当然あるわけですけれども、警告を受けたとか、そういうことではなくて、目的の照会があってというレベルの話だと思います。特に大きな話では私(大臣)はないと思います。

目次へ戻る

オスプレイの日本配備

【TBS 西川記者】オスプレイの話で、合同委員会の合意を順守して欲しいと外務大臣としておっしゃったということですか。

【玄葉外務大臣】昨日、日米合同委員会でそういう話を、私(大臣)が言ったのではなくて、合同委員会が開かれていますので。

目次へ戻る

尖閣諸島

【香港フェニックステレビ リー記者】尖閣に関してですけれども、日本が国際広報を強化していくということですが、具体的にこれから予定されている取り組みというのはどのようなことがあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】今まで申し上げてきたとおりであります。それぞれ、我が国の考え方といったものをしっかりとそれぞれの在外公館などを通じて、伝えていくということになります。
 同じように新聞広告を出すとか、そういったことをすぐ検討する、そういうことでは私(大臣)はないというように思っています。それは必要に応じて、真に必要になれば、そういうことも行いますけれども、ただ、今そういうことを考えているわけではありません。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月3日(水曜日)14時31分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

オスプレイの日本配備

【週刊金曜日 伊田記者】オスプレイの沖縄への強制配備についてお聞きします。1日、2日と地元の方では、さっそく日米合同委員会の合意は反故にされたと。つまり市街地上空の危険な飛行などが続いているというような報道がされていますけれども、それについてはどう思いますか。
 関連してですけれども、29日夜から30日まで、24時間、普天間飛行場のすべてのゲートが住民によって封鎖される。これは復帰後40年の沖縄の基地闘争の中で未だかつてない事態だと思いますけれども、こういった住民の敵意に囲まれた基地の安定運用が不可能であるということが実証されたと思いますけれども、このような日米安保体制を揺るがしかねない事態にまで沖縄の怒りを高めたことに対する大臣の政治的な責任についてはどうお考えでしょうか。2点教えてください。

【玄葉外務大臣】伊田さんのオスプレイに関するご質問でありますが、まず「強制」という言葉、これは私(大臣)は適切ではないというように思っています。その上で、合同委員会の合意が守られていないのではないかというご指摘がございました。ご存じのように運用に関して、大変難しい交渉の中で合同委員会の合意をつくり上げました。これは世界で例を見ない合意だったというように思います。その中で、さっそく守られていないのではないかというご議論かというように思います。仮にそういう事例があるとすれば、良く調べたいと思いますけれども、その場合、そういった事例をしっかりと集めて、当然ながら、また合同委員会の中でフォローアップする必要があるというように考えています。
 ただ、同時に、昨日も若干申し上げたのですけれども、たしかに「できる限り」とかという言葉使いが入ったりしているのですね。それは、かなり厳格に「できる限り」という言葉を使わないようにという議論もしたのです。ただ、結局、安全性という観点からガチガチにしてしまうことによって、かえって安全性が阻害されるというか、安全性にとってマイナスになる可能性というものが、どうも実際の運用を行っている担当者たちに聞くと、そういうこともあるのであるということであったので、あのような文言になっているわけです。ただ、いずれにしてもそういった事例を集めて適宜、日米合同委員会でフォローアップしていきたいというように思っています。
 その上で、日本政府として安全性を確認して、こういう形で普天間に配備をされてきていると。まだフルオペレーションになっていないわけでありますけれども、これは日本の安全、そして東アジアの安全保障にとって不可欠でございます。CH46が20年前に製造をやめている中で、これからもCH46を飛ばすということは、安全性の面から見ても長期的に好ましくないというように考えております。速度は2倍、積載量は3倍、行動半径4倍ということで、海兵隊の任務の中核となる装備であると同時に、いわゆる伝統的な、いわば揚陸艦などに垂直離着陸できますから、着艦できるということがあるわけでありますけれども、そういった伝統的任務以外にも災害の救援、人道支援、こういったものに活用できると思っています。
 明和の大津波というのが1771年にございました。石垣、八重山を襲った大津波でありましたけれども、やはり、今のCH46Eでああいう大津波に対応できるのかといえば、足が短くて、航続距離が短くてできないのだと思います。ですから、そういったことも踏まえながら、私(大臣)は、県民の皆様に何とかご理解をいただきたいというように思っています。まだ十分な理解が得られていない責任は当然、私(大臣)にもございます。そういう中で、理解を求める努力をしていきたいというように思います。
 そして、あわせて普天間の一日も早い返還が必要でありますし、負担の軽減も必要であると思っています。だから今回、オスプレイの訓練も全国で負担を分かち合うということで、わざわざ今回、文言としても入れたわけでありまして、そういったことを全国民で分かち合う姿勢を現実のものにしていくということが大事だというように考えております。

【週刊金曜日 伊田記者】2番目の質問で、普天間飛行場のすべてのゲートが住民によって24時間封鎖されたわけですが、おっしゃられるようなオスプレイの兵器としての有効性は理解したとしても、基地が安定的に運用されない限り、今も凧がかなりあがっているそうなのですけれども、新装備を移せないばかりか、普天間基地自体が有効に運用されない。住民団体はここを波状的に占拠を続けると、封鎖を続けるというように意思を表明していますので、こういった事態を招いたことの、先ほど、理解を今後も求めていくとはおっしゃられましたけれども、具体的にどう理解を求めるのか。また、この沖縄で反基地闘争がかつてないほど盛り上がっていることの政治的責任を教えてください。

【玄葉外務大臣】ですから、先ほどから申し上げているつもりです。責任は当然、私(大臣)にもございますし、あくまで、これからも理解を求めていくということです。

目次へ戻る

尖閣諸島

【共同通信 斎藤記者】尖閣について三点あります。一つ一つ明確に言おうと思います。
 一点目ですが、政府はご案内のとおりで平穏かつ安定的な維持・管理を目的に掲げているわけですが、具体的な定義がやはり国民からすれば分かりにくいという点があると思います。この平穏かつ安定的な維持・管理という言葉の中に、灯台や避難港を建設しないといった現状維持の意味は明確に含まれているのかどうか、この点を確認願いたいと思います。これが一点目です。
 二点目、野田総理は国連で国際法に基づく法の支配の重要性を指摘したわけですが、そこでお伺いしたいのは、もしどこかの国が、敢えて国名は申しません、我が国固有の領土について、独自の主張を展開し国際司法裁判所への共同提訴を提案した場合、日本は原則として、これに応訴すべきだと考えますか。敢えて国名は申しません、ある国が日本固有の領土でこれは自分の領土だと裁判に訴えると言った場合、日本として法の支配の理念に基づいて応訴するというのを基本的な構えとすべきかどうか、これが二点目です。
 三点目、中国の海洋監視船、連日のように尖閣周辺に出没し領海侵犯を繰り返しているわけです。このような状況下でも、尖閣は現に有効に支配しているという認識に立てるのかどうか。山口前副大臣は最後の会見で、「100%そうとは言い切れない」と、このように発言しています。どう受け止めますでしょうか。

【玄葉外務大臣】今の斎藤さんの御質問、それぞれ難しい質問だとお思いますけれども、一つは平穏かつ安定的な維持・管理の意味ということでありますけれども、尖閣諸島を巡って無用な混乱が生じることを避けて、我が国の有効な支配が妨げられないようにすることであるというように私(大臣)としてはそういう意味であると理解をしています。 

【共同通信 斎藤記者】現状維持については。

【玄葉外務大臣】私(大臣)はその点については、以前もお申し上げたと思いますけれども、現実に現在、平穏かつ安定的な維持・管理がなされているというように考えているということであります。
 法の支配の問題であります。これは、法の支配につきましては、これまでも総理が国連総会等々で一般論として、まさに国連憲章そのものに、紛争があった時に国際法に従って平和的に解決をするという、この法の支配というものを日本としては重視するのだということを繰り返し述べているわけであります。そういう中で、当然我々はこの法の支配というものを、ある意味アジア太平洋、それだけではなくて世界全体の一つのルール、そして、そのルールをしっかり適用していく、その先導役をやらなければいけないという立場にあるというように、私自身は考えています。
 そういう中で、今、斎藤さんの仮定の質問でありますけれども、一般論ですから申し上げれば、結局、強制管轄権、つまり強制管轄権を受諾しているかどうか、そのことを実は私(大臣)もまた総理も求めたわけですよね、国連総会で。今、確か67か国しか強制管轄権を受諾していなかったのではないかというように思います。67か国だと思います。つまりは裁判所の管轄を当然に受け入れる権利、これをまさに宣言をしているというのが67か国であると。やはり、それぞれの国々はこの強制管轄権を受け入れるべきだという主張をしたわけでありますから、当然、強制管轄権を受諾している国同士でそういった争いがあった、ICJに共同付託しようということであれば、それは一般論として言えば、それは基本的には応じていくというのが私(大臣)は普通の考え方だと思います。
 ただ、敢えて尖閣について言えば、現時点でその必要性を感じていないということが一つと、もう一つは強制管轄権というものを受諾しているのか受諾していないのかという問題が生じているということではないかと思っています。
 三つ目、有効な支配と言えるのかどうかと、こういうことでありますが、答えは私(大臣)は言えると思っています。では、理由は何かと言えば、まず警備・取締を実施しているということが一つあります。あと、大正島はもう既に国が取得保有しているわけでありまして、そういった意味で、既にというかもう三島もそうなのですけれども、かつてから大正島についてしっかり国としての管理がなされている、あるいは民有地も固定資産税というものを徴収している等々ありますし、過去、政府とか沖縄県が尖閣を調査した、いろいろな環境調査的なものですね、そういったこともあると思いますので、そういう意味で私(大臣)は有効に支配していると考えています。

【ロイター通信 竹中記者】石原都知事が尖閣に船溜まりを造ったり、電波中継塔をというような主張をされていらっしゃいます。総選挙の後の時の政権、どの政権であれ、その考えに賛同すれば集まった寄付を渡したいとおっしゃっていらっしゃいます。この実効支配を強めるためにあちらに建造物、建物を造ったり、人を配置したりすることに関して、政府の考えを教えていただけますでしょうか。

【玄葉外務大臣】先ほど来から申し上げていますけれども、平穏かつ安定的な維持・管理を現時点で行っているというように考えているというのが私(大臣)の答えです。

【NHK 大谷記者】本日の話ですけれども、また本日も領海内に3隻の海監が入りました。これで二日連続となりますけれども、受け止めと政府としてどういう対応をしているか。また、やはり一時期止んでいた動きがまた、領海侵入が続いていることについて、どういうように見ていらっしゃるかお聞かせいただけますでしょうか。

【玄葉外務大臣】もちろん、既に抗議をしているところであります。効果的に意思疎通を行うためにも、また、静かな環境で対話をするためにも中国側に自制を求めたいというように思っています。一時、その動きがなかったということでありますけれども、台風とか、そういうさまざまな条件だったのではないかというように思います。 
 残念ながら、事態はそんなに簡単に収まるとは思っていません。これを平和的に事態を鎮静化させなければなりませんので、譲れないものは譲れませんけれども、あわせて何が可能なのかということを模索していきたいと考えています。

目次へ戻る

日韓関係

【フリーランス 安積氏】国連総会への御出張について質問いたします。
 ニューヨークの方で滞在中に7か国の国の外相と会談されて、それから太平洋同盟の会談、それから日米韓の3国の外相会談と非常にご多忙だったと思いますけれども、この会談などで尖閣についての日本の立場をご説明されたというようなことは伝わっているのですが、例えば韓国との間の竹島についてとか、全米で建設されている慰安婦の碑についての問題等の日本の立場というのを、この外相会談で第三国の方にご説明されたのでしょうか。
 それと、もう一点、この国連で非常任理事国の選挙が行われる予定ということですけれども、韓国が立候補していますけれども、日本の立場としてはどういうようなお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】安積さんの今の質問は、尖閣については、特に日中の関係については各国とのバイ会談をはじめ、さまざまな場で日本の立場を説明をしたのではないか、しかし、竹島については説明をしていなかったのではないかということだと思いますけれども、基本的に尖閣、特に日中の問題についてそれぞれの国々に説明をしたというのが事実でございます。
 竹島については、日韓の外相会談等で当然話題になった。それともう一つは、ご存じのように竹島について、今、議論になっているのは、まさに我々が行っているのはICJへの提訴の話でありますから、それはまさに誰が見ても私(大臣)の演説もまた、総理の演説もそういったこととの関連性というものを、当然考えるということなのではないかというように思います。あわせて、日韓関係というのは、主張すべきは主張しますけれども、今大切なことは主張すべきは主張するが、やはり日韓の間で安全保障、そして、文化・人的交流、経済、こういった分野で協力を強化することも非常に大事な時期に来ているというように考えていますので、当然そういったことも全て総合的に判断をして対応しているということでございます。
 あわせて、非常任理事国入りの問題についてどうなのかということでありますが、これは検討中でございます。

目次へ戻る

尖閣諸島

【読売新聞 松浦記者】尖閣の関連と見られるのですけれども、北京の税関当局が、9月28日に東京から北京に配送された日本の新聞各紙の通関を認めずに没収していたという報道があるのですが、これについて把握されておられることと、今後の対応について教えてください。

【玄葉外務大臣】新聞の話は一部、耳にしておりますけれども、いずれにしても申し入れをすることになると思いますが、ただ、実態をまずきちんと把握してからということだと思います。ただ、いずれにしても日中の経済的な、あるいは文化的なこういった交流、あるいは依存関係というものを、これは双方にとって損なっていくことはマイナスでありますので、そういった大局に鑑みて冷静な対応を求めていきたいというように考えています。ただ、事実関係をもう一回、きちんと把握しなければならないと思っています。

【日経新聞 桃井記者】ニューヨークタイムズの論説委員のニコラス・クリストフさんの尖閣を巡る論評についてですけれども、本日、ニューヨーク総領事館の方で反論されたと思うのですが、こうした有力なジャーナリストが中国の立場に同調するとして、日本が尖閣を過去に奪い取ったかのような主張をすることは、日本にとっても少なからず不利な影響があると思いますが、これについて大臣のご見解はいかがでしょうか。
 また、これから尖閣についての対外発信を強めていくという方針でいらっしゃると思うのですが、こういった対外発信という意味では質・量ともに中国にかなり押されているのではという懸念があります。こうしたことについては、大臣はどうお考えでいらっしゃいますでしょうか。

【玄葉外務大臣】私(大臣)は大分変わってきたと思います。桃井さんがおっしゃるような方がいろいろと、敢えて刺激的にそういったことを書いているということは承知しています。それに対して反論もしています。ただ、私(大臣)が言うことで、かえって私(大臣)は、このことは彼を喜ばせることになると思いますので、私(大臣)は敢えて言いませんけれども、それぞれ各紙の報道は私(大臣)のところにかなり入ってきていますけれども、当初と比べると、かなり日本の主張、日本の立場というものを踏まえた記事が増えてきているというように思っています。だんだんまた増えてくるのではないかと。  つまり、冷静に立場を説明すればするほど我が国が国際法上も歴史的にも、極めて有利というか、我が国の領土であるということが明確になりますので、そういった意味での発信というものはしっかり行っていきたいと思います。ただ、新聞の意見広告みたいなことをやるかどうかというのは、適確にきちんと反論するということが必要であると同時に、同じ土俵でやるかどうかということはよくよく考えなければならないと。本当に必要性が生じれば、そういったことも含めて検討したいというように思っています。欧州も含めて、ぜひいろいろな各紙を見てもらいたいのですけれども、当初より、かなり日本の立場を理解した論調が増えてきているというように思っています。

【フリーランス 小山氏】このニューヨークタイムズの記者は中国寄りの記者で、あまり今回の記事に驚きませんけれども、東京特派員をやっているときに、モンデールに尖閣問題でインタビューをして、モンデール発言を間違って報道しまして、米国大使館から抗議を受けたにもかかわらず訂正文を書かなかったという記者です。
 質問ですけれども、ニューヨークタイムズの台湾の専門家の意見で気になったのは、日本の場合は何回も尖閣の調査をしているというように言っていますが、この台湾の専門家は19世紀の調査を一回しかやっていないような印象を与えることを書いているのですが、実際、日本側は何回ぐらい尖閣の調査をしたのでしょうか。

【玄葉外務大臣】先ほど、私(大臣)が斎藤さんに答えた調査というのは19世紀の調査ではなくて、まさに20世紀の調査の話です。たぶん、今のご質問は、いわゆる1885年から1895年までの間に何回調査したかと。ごめんなさい。何回と明確に、今、数字を言える資料をこの場に持ち合わせていませんけれども、私(大臣)が承知しているのは、10年間かけて丁寧にここは清国の支配が及ばない地域である、島であるということを幾度にもわたって調査をし、そして1895年1月に沖縄県に編入したというように聞いています。

目次へ戻る

日朝協議

【共同通信 仲井記者】日本と北朝鮮の政府間協議についてですけれども、課長級が開かれてから既に一か月以上経っていて、現状、次はいつ開かれるかという見通しと、なぜここまで次が開かれないのかという理由を教えていただけますか。

【玄葉外務大臣】理由については申し上げられませんけれども、鋭意先方と次の協議について、どういう形でいつ行うかということについて、内々協議をしているということでございます。

【共同通信 仲井記者】月内にやるということは。

【玄葉外務大臣】それはわかりません。つまり意味のない内容では駄目なので。内容が伴わないと駄目だと思っています。

目次へ戻る


外務大臣会見記録(平成24年10月2日(火曜日)14時15分~ 於:大臣接見室前)

尖閣諸島

【日本テレビ 長島記者】中国の船舶が本日も領海侵犯しておりますが、そのことについて、ひと言お願いします。

【玄葉外務大臣】これはもう、言うまでもないことでありますけれども、尖閣は我が国固有の領土ですから、すぐさま中国側に対して領海を出るようにということで抗議をし、申し入れをしているという状況です。やはり、静かな環境で対話を行う必要があると思うのです。効果的な意思疎通を行うためにも中国側に自制を求めたいというように思います。

目次へ戻る

内政(内閣改造)

【日本テレビ 長島記者】野田改造内閣が新たにスタートしますけれども、ご感想をお願いいたします。

【玄葉外務大臣】感想といっても、全般的な感想を申し上げれば、それはもう総理に聞いていただければと思いますけれども、野田内閣として課せられた諸課題に対して、スピード感を持って適切に対応するということに尽きるのではないかというように思います。私(大臣)自身はもちろん内閣全体、あるいは私(大臣)は福島出身なので、福島の復興の問題なども含めて目配せをしなければいけないと思っていますけれども、ご存じのように、外交課題が今ございますので、難局にあると私(大臣)は思っていますから、そういった難局に対して適切に対応しなければならないということで、常に緊張感を持って、私(大臣)自身対応しているという状況です。

【北海道新聞 安藤記者】内閣改造で大臣は留任されました。森本防衛大臣を含めて、特に外交・防衛への継続性というのは非常に大事だと思いますが、そういう意図であったかというのを伺いたいのと、副大臣、政務官の人事もあわせて本日発表になると思いますけれども、それは交代という話が出ているようですが、継続性という部分と副大臣、政務官交代との関係はいかがでしょうか。

【玄葉外務大臣】昨日も若干申し上げましたけれども、総理の思いは、引き続き難局にあたれということなのだろうと、私(大臣)自身は受け止めているのですね。私(大臣)も、実は閣僚を2年4か月もやっているので、いろいろな思いがありますけれども、ただ、この難局にあたって逃げるわけにもいかないということで、最終的にお引き受けをいたしましたけれども、恐らく、外交の継続性も含めて、総理は考えておられたのではないかというように思います。
 副大臣につきましては、あるいは政務官につきましては、これまでよく私(大臣)を支えていただきました。その観点からも、実のことを言うと、私(大臣)からも継続も含めて申し上げていたところが一部あります。ただ、人事ですから、特に、総理、幹事長を含めて相談された結果、大原則というものを、多分、つくられた中での対応だと理解しております。もし、というより、もう既に決まったのでしょうけれども、新しくそれぞれなるということであれば、良いチームをつくって役割分担もしっかりして、統率の取れた形でチームプレーでこの難局を乗り切りたいというように思っています。

目次へ戻る

尖閣諸島

【共同通信 池田記者】先ほど、静かな環境でとおっしゃっておりましたけれども、中国の方はいろいろ対外発信を強めている中で、大臣の方も領土問題はない中でも発信をしていこうと方針転換されましたけれども、本日、モンゴルの外相とも会談されていると思いますが、ここではどういったような取り上げ方をされたのか、反応も含めて教えてください。

【玄葉外務大臣】尖閣について、これまで領有権の問題は存在しないということもあって、これまでというのは、民主党政権になってからというよりも、それ以前も含めて、この間、特に国際社会に対して我々の主張・立場というものをより具体的に、かつわかり易く発信するということはなかったと思うのですね。ですから、私(大臣)は、今、いわゆる法律戦みたいなものが、あるいは情報戦みたいなものが行われている中で、これはやはり国際社会の中でわかり易く、我が国の立場は変わらないけれども、訴えていく必要があると。
 最近、私(大臣)は大分前に指示をしましたので、やはり欧州をはじめ、様々なメディアの論調が変わってきたように思います。最初はどちらかというと中国側の主張が流されていたというところがありますけれども、最近は、かなり日本側に国際法上、利があるとか、この間の経緯、例えば、都知事が買ったら大変なことになったからマネジメント上、日本政府としてやむを得ざる取った措置だとか、様々な紹介がなされるようになったなというのが率直な印象です。これからもそういう論調は増えるのではないかというように思います。
 モンゴルの外相会談でも、モンゴルとは戦略的パートナーということで、これまでも非常に良好な関係で、モンゴル国民も、最も親しみやすい国一位に日本という国ですから、まさにその良好な関係をさらに深化されるための会談になりました。昼食のときに、北朝鮮の問題もそうですし、現下の日中関係についても説明をして意見交換を行ったところです。

目次へ戻る

オスプレイの日本配備

【沖縄タイムス 比屋根記者】二日目になりますけれどもオスプレイについて、本日も引き続き飛来して地元ではまだずっと反対、抗議行動が続いている状況ですが、首長はじめ民意の反対・反発の声は大きく、理解を得られたという状況ではないと思いますが、現状をどのように受け止めて、どのように対応していかれるお考えか、お聞かせください。

【玄葉外務大臣】昨日6機、本日3機ですかね、普天間の方にということでありますけれども。昨日も申し上げたのですけれども、世界の中で例を見ない形で一つの機種の導入にあたって、合同委員会を開いて運用ルールを決めました。
 それに対して、決めても守られないのだという声も実はあるのは承知しています。ただ、あのように決めたということで、もし違う行為があればまた合同委員会を開いてフォローアップするということでありますし、でき得る最大限の交渉は行ったというように思っています。ご存じのように、この間非常に苦労しました、そういう中での合意でした。併せて日本政府としても安全性を確認しました。やはり、CH46と比べたときにも、20年前にやめたCH46が長期的に見れば、これはむしろ安全性という面から、本当にCH46で大丈夫なのかということもあると思うのですね。ここは日本の安全保障、東アジアの安全保障上、海兵隊の中核となる装備でありますので、なんとしてもご理解をいただきたいと。当然、普天間の一日も早い返還、これが必要だということだと思うのですね。それともう一つは負担軽減、これもまた必要だということだと思うのです。ですから、当然ながらこのことに全力を合わせて、これからあげていくということだと思うのです。
 このオスプレイというのは、御存じのようにもう聞き飽きていると思いますけれども、速度が2倍になりますと、航続距離4倍になりますと、そうなると行動半径が広がるということは足が長くなるということは、邦人救出とか災害救援とかにも役立つということなのです。CH46では無理だった災害救援等もできるようになるわけです。ですから、安全保障だけではなくて、そういった万が一何かあった場合、歴史上あったのですね、これまでも自然災害というのは。ですから、そういったことに対して適切に対応するというためにも、私(大臣)は必要だというように思っています。おっしゃるような、日々、私(大臣)もその反応は聞いています。直接、私(大臣)は電話で何人かの人とも話を、沖縄の方々ともしています。この土日もそうでした、日曜日かな、土曜日夜帰ってきてです。
 いろいろな苦悩もお聞きをしていて、本当に沖縄に集中している負担ということに対しては本当に申し訳なく思っています。だから、今回も訓練そのものも全国で分かち合うのだということで、わざと入れたのですね。ですから、その負担の分かち合いも含めて、また負担の軽減、普天間の一日も早い返還、やはりそちらに今度全力を挙げるということだと私(大臣)は思っています。
 沖縄の皆さまに安全性の懸念に対して私(大臣)なりに全力を挙げたつもりです。足らないところはあると思いますけれども、何とかご理解をいただきたいという思いです。

【TBS 西川記者】先ほど、お話の中で決めたけど守られないのだという声があることも承知をしているとおっしゃったのですけれど、大臣ご自身は日米合同委員会で決めた日米合意は守られて、運用について守られているというお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】ですから、そういう合意ができても、今の西川さんの指摘がどういう意味かよくわかりませんけれども、例えば、知事の御発言とかお聞きしても「残念ながら守られてこなかったんだよ、これまで」というが発言があるわけです。それは承知していますということなのですね。
 ですから、そういうことが守られるように、それともう一つは私(大臣)もいろいろ技術的なことを聞くと、完全に例えば施設区域でしか、こういうことをやってはいけないみたいな、でもできる限りというのをつけているとかというのは、私(大臣)も何とかならないのかと、いろいろさんざんやったのですけれども、どうもやはり技術的にはあまりガチガチにした時には、ガチガチにすればするほど逆に危ないというところがあるというのは、どうも実際のパイロットとかに聞くとそうなのですね。私(大臣)が直接パイロットに聞いたわけではないのですけれど、パイロットとかの話を聞いた話を担当者が総合しますと。ですから、かえって危ないことになってはいけませんから、その辺りはよくよく考えながら、しかしこの間もクリントン長官にも改めて、もうほとんど主題は尖閣の話でしたけれども、そういう中でもオスプレイのことはもう一回念を押したというのが、つまり最大限の安全面での配慮、そういった運用について、改めて念を押したということです。

目次へ戻る

このページのトップへ戻る
前月へ戻る |  目次へ戻る