記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成24年9月)


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外務大臣会見記録(平成24年9月21日(金曜日)11時50分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-国連総会出席について

【玄葉外務大臣】私(大臣)は、諸般の事情が許せば、一般討論が行われる来週、ニューヨークに出張し、国際社会の諸課題について、日本が一層積極的に貢献していくとの決意を伝えたいというように考えています。
 これは国連総会ということでありますけれども、例えば、国際社会から日本に対して変わらぬ厚い信頼が寄せられている開発のような問題、また、日本がリードしてきた軍縮・不拡散の問題、安保理改革、さらには、国際紛争を処理し、国際関係をつかさどる上での国際法の重要性等々であります。
 どれをとっても、国際社会で日本が地道に知恵を出して、汗をかくことで日本自身の国際的な地位を強化する一歩となります。
 もちろん、ニューヨークで各国の外相らと会う機会等を通じて、領土にかかわる我が国の立場をしっかりと説明して、国際社会の理解も求めていく考えであります。
 今回の国連総会への出席が、日本の国際的地位の強化のための有意義な機会となるよう、しっかりと準備していきたいというように思っております。

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オスプレイの日本配備

【日本テレビ 菊池記者】本日、オスプレイの試験飛行が始まっておりますけれども、地元からはそれに反発する意見もまだございます。今後の地元への対応も含めて、今後の対応を改めてお聞かせください。

【玄葉外務大臣】21日以降、そういった、いわば機体の機能を維持するための、いわば運用ですか、さらには操縦士の習熟のための運用が行われるようになるだろうという連絡は受けていたわけでありますけれども、本日始まったということで、改めて我が国としては、特定の機種・装備では世界に例のないような形で、日本政府自身が主体的に安全性を確認し、かつ日米合同委員会でその運用について、一定の十分な合意が得られましたので、そういう意味で飛行運用が始まったということだと思います。
 これも重ねて申し上げますけれども、日本の安全保障、東アジアの安全保障にとってオスプレイは不可欠です。なぜならば、海兵隊の中核となる装備だからです。今までの速度、CH46Eと比べたら2倍、積載量3倍、そして航続距離4倍ということでありますので、まちがいなく抑止力の向上につながるということになりますので。しかも安全性という観点を見ても、やはり、これもいつも申し上げることですけれども、CH46Eというのは古い機種なので、20年前に製造を終えています。これをずっと飛ばし続けると、長期的に見たら、やはり安全性の観点からも好ましくないというように言えると思います。それに変わる機種というのは結局オスプレイしかない。それ自身、その運用も安全性も日本政府として最大限の努力を行って、確認をし、運用後についての合意をしたわけでございますので、何とかご理解をいただきたいというように思っています。

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日中関係

【日本テレビ 菊池記者】尖閣問題に関連してですが、先ほど、国連総会で各国の外相と会談をしたいということでしたけれども、改めて中国との外相との会談を想定されているのか、また今後、国連総会以外にも対話のチャンネルをどう担保していくのか、そこら辺についてお考えを伺いたいと思います。

【玄葉外務大臣】国連総会でのバイの、日中を含めた会談は全て、調整を今している最中なので、どうなるかわかりません。ただ、日中に関して言えば、対話は非常に大切であります。この事態を平和的に沈静化することがとても大事だと思います。そのためには、既に意思疎通を行っています。以前もそうでありますが、既に行っていますが、外交ルートもさらに意思疎通を強化しようというように考えています。あわせて、もちろん状況やタイミングを見ながら、私(大臣)自身が何らかの形で対話なりということを行っていくということだって、当然それはあり得るだろうというように思います。ただ、外交ルートに限らず、総理もおっしゃってますけれども、様々なチャンネルを活用した意思疎通、これは大事だと思います。

【日本テレビ 菊池記者】尖閣の問題に関連して、例えば、今、自民党の総裁選では、一部から日本の海兵隊を創設しろとか、わりと対中強硬論みたいなものが出てきております。こういった動きについてはどうご覧になっていますでしょうか。

【玄葉外務大臣】対中強硬論というお話でありますけれども、それも内容によっていろいろあるのではないかというように思います。私(大臣)自身は、この間も申し上げてきましたけれども、これまで4つの基本文書がつくられていますので、あの4つの基本文書というのを、やはり大事にするということは、私(大臣)は大事だと思っていますし、あわせて言えば、中国は重要な二国間関係であります。最重要の一つというように申し上げて良いと思いますので、いつも戦略的な互恵という言い方をしますけれども、お互いにとって、お互いの国がそれぞれ発展するために、しっかり協力し合えるような関係でありたいというように思っております。

【毎日新聞 横田記者】昨日、中国側が税関検査を強化するということを一部の日本企業に伝えたという話がありますけれども、事実関係を把握している点と、あと対応と、尖閣に対する対抗措置というような認識かどうかというところをお願いします。

【玄葉外務大臣】さまざまなことに備えなければならないということはまず一つ言えると思います。他方で、経済は相互依存関係であります。御存じのように、日本にとって最大の貿易相手国は中国です。中国にとっても確か貿易相手国、一番は米国ですけれど、二番目は日本であります。また、中国にとって見た時に最大の投資国というのは日本です。また進出企業数も日本が一番多いというように思いますので、やはり、いろいろなことはもちろん考えられるのですけれども、この相互依存関係、経済面でやはり大事なので、今回の事態でできる限りそういう経済的な措置が取られないように、この日中関係の安定的な発展を阻害することのないように意思疎通をしていかなければならないと思います。ただ、いろいろなことに備えなければいけないと思います。

【毎日新聞 横田記者】事実関係としては外務省としても把握しているということでしょうか。

【玄葉外務大臣】正確にはいくつかの説がありますので、申し上げられない。

【読売新聞 松浦記者】尖閣の関係ですけれども、昨日、日本のEEZの中で中国の漁業監視船が中国漁船の取り締りを行ったと、漁業管轄権の侵害だということで外務省としての抗議をされたという報道が一部あります。この事実関係と今後の対応について教えてください。

【玄葉外務大臣】それは抗議をしました。

【フリーランス 上出氏】この何日間かで明らかに中国側の対応が改善されたとか、非常に大切な相手と言っておられますけれども、具体的に何かそういう兆候なり、あるいはこちら側の努力で今言えるものはありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】まず一つは、暴力はどういう理由があっても許されないということを、この間も重ね重ね要請してきたところであります。反日デモ、あるいはその反日デモが一部暴徒化するということについて、まだ予断することはできませんが、やや収束されてきている感もある、まだわかりませんけれど。
 ただ、先般申し上げましたけれども、全体的な状況というのは残念ながらそんなに簡単に収まるということではないと思いますので、これは何とか平和的にこの事態を沈静化させていくというために、全力を尽くしたいというように考えています。

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オスプレイの日本配備

【琉球新報 問山記者】本日、オスプレイの試験飛行が開始されたのですが、地元沖縄では非常に厳しい状況だと思うのですが、沖縄への配備、本格運用というのは地元の合意というのが前提条件になるのでしょうか。それとも、もし沖縄側が反対するままでも、オスプレイを普天間飛行場に移動させるということというのがあるのでしょうか、お願いします。

【玄葉外務大臣】例えば岩国について、今回明確な同意があったのかと言われれば、どうもそうではなかったのかなという感じがします。ただ、日本の安全保障上の要請ということについて御理解をいただいたものというように私(大臣)は考えているのですけれども、沖縄の皆さまにもできる限りそういった理解を求めていく努力を今後とも続けていきたいと考えています。

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日中関係

【ロイター通信 竹中記者】東シナ海の中国海軍の動向について、いろいろメディアで伝えられるところもございますが、それに関して日本が把握していらっしゃること、対応に関して今言っていただけることはありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】ありません。関心を持って情報収集しております。

【毎日新聞 横田記者】尖閣の関係で先ほど平和的な事態の鎮静化という話をされていましたけれども、問題解決の方策についてですが、政府としては領有権問題は存在しないということだと思いますが、一方で先日、大臣は外交上の問題はあるというようにおっしゃっております。法に基づいた平和的解決の在り方としてICJを活用する、具体的に日本から提訴する、または中国から受けられれば提訴を受けて立つと、そういうような可能性、その二つの可能性については今どのようにお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】法の支配の重要性というものを私(大臣)は強調したいというように思いますし、日本国政府としてその法の支配の強化に貢献をしてきたということがまず一つあります。
 それと、国連憲章の理念だと思うのです。つまりは、紛争があったら国際法に従って平和的に解決する。これは一般論として私(大臣)は非常に大事なことだというように思っています。
 今、尖閣の話をされたのですけれども、尖閣について申し上げれば、いつも申し上げているところがありますが、国際法上、歴史上、疑いのない我が国固有の領土ということで一片の疑問もありません。そういう中あで、現時点において、今おっしゃったようなICJ云々という必要性は感じていないということです。

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外務大臣会見記録(平成24年9月19日(水曜日)15時25分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

日中関係

【トルコ国営放送 ムラット・ハン記者】質問が2つございまして、1つは、日本の近隣諸国からの領土問題に対するプレッシャーにより、日本としては独自の軍隊を強化するつもりはありますか。2点目、尖閣諸島の問題が現在及び将来の日本と中国の経済に及ぼす影響はありますか。

【玄葉外務大臣】まず、2点目の方からお答えしたいと思いますけれども、この尖閣諸島を巡る事態などによって経済に及ぼす影響はないかということでありますけれども、今回もご存じのように反日デモとか、あるいは一部暴徒化などによって日系企業に損害・被害が生じたところでありますから、そういった意味で、そのこと自体、当然影響を受けているわけであります。ただ、でき得る限り経済に対して影響を与えないようにしていく努力をお互いがすべきではないかというように思います。
 先般の反日デモによる、あるいは一部暴徒化による日系企業への被害などは、本来は当然あってはならない話であります。いかなる理由があっても、いわゆる暴力はいけないということだと思うのです。それが結果として国際社会に対して報道されて、その結果として中国への投資というものが日本企業だけではなくて遠のくということもありますから、中国にとっても損であるというように思います。
 ですから、これだけ相互依存関係が日中関係である中で、特に経済に与える影響をできるだけ少なくしていく努力というものを当然ながら行っていかなければならない。それは日中双方ともということではないかというように思います。
 1点目の防衛力の整備に関しては、領土問題ということもさることながら、やはり私(大臣)は、本来、我が国の守りというのは我が国自身がまず行うべきものであって、その次に同盟関係というのがくるのであると私(大臣)は思っています。ですから、やはり我が国は我が国の力できちんと守るという観点からしたときに、防衛力をより適切な形で整備していくということは、これは専守防衛の我が国ですから、他国に武力行使をするというわけではありませんから、我が国を守るための防衛力を適切に整備していくということは、私(大臣)は必要だというように思っています。

【毎日新聞 横田記者】尖閣諸島の問題について基本的な認識を確認したいのですけれども、中国政府は、1978年に来日した鄧小平副首相がそのときの会見で、国交正常化の際と平和友好条約交渉の中で両国はこれに触れないと約束したといったことを踏まえて、日中両政府間で棚上げの合意があるということを言っておりまして、今回の日本政府による国有化でこれが崩れたということを一つの批判の根拠としております。日本政府として、これらの交渉の際に棚上げに合意したという認識があるかということが一点と、もしないとすれば、これらの過去の交渉で尖閣諸島の扱いの議論について、また歴史的な疑義の経緯についてどのような認識を政府として持っていらっしゃるか、お願いします。

【玄葉外務大臣】今のご質問の関連部分について、今、手元にございます。日中国交正常化交渉でありますけれども、田中総理から「尖閣諸島についてどう思うか、私のところにいろいろ言ってくる人がいる」もうこれは公表されています。「周総理は、尖閣諸島問題については今回は話したくない。今、これを話すのはよくない。石油が出るからこれが問題になった。石油が出なければ、台湾も米国も問題にしない」と言って次の話題に入っています。これをもって合意があると言えるかどうかということだと思います。いうまでもなく、我々の立場は、合意はないという立場であって、中国側の立場は、合意があるという立場、主張を行っているということであります。先ほど申し上げたように、そういう意味で我が国の立場は、合意はないということであります。

【朝日新聞 松村記者】中国が反日デモですとか、対抗措置を行う一方で、国連に尖閣諸島海域を自国の領海内とする海図を提出するなど、外交戦も活発化させているという状況にあると思うのですけれども、昨日、自民党の部会で杉山局長が対外的な発信を強化するということをおっしゃっていましたけれども、具体的に、日本の立場をどのように国際社会に訴えていかれるかのお考えをお聞かせください。

【玄葉外務大臣】まず、おっしゃるように、例えば海図などを中国側が国連に提出をする、こういったことがあるのは当然、承知をしているところでありますが、そういった場合には当然、我が国として異議を正式に国連に対して表明をするということになるということであります。それは大陸棚も同じであります。その上ででありますけれども、この間、一つは先ほどもお話がありましたけれども、反日デモなどがあったときには邦人保護であるとか、あるいは暴力の即時停止要求などを再三にわたって、重ねがさね行ってきたところであります。これは、先ほど申し上げたとおり中国のためにもならないのであるというように思います。暴力はいかなる理由があってもあってはいけない。
 国際社会の発信は、おっしゃるとおり強化しております。まず、数日前から私(大臣)の訓令、指示で在外公館、つまりは各国首都で我が国の立場を発信強化をしております。
 それは、これまで我々は領有権の問題は存在しないという立場でありますから、いわゆる独自の主張があったときにそれを行ってきたという経緯があるわけです。今回、中国独自の主張が各地で表明されているわけでありますから、しっかりと我が国としても国際社会に向けて発信を強化しなければならないということで、在外公館を通してそれを行っているところであります。また、同時に本日午後、在京の大使館向けに我が国の立場のブリーフを実施する予定でおります。

【朝日新聞 松村記者】今の国際社会、国際世論への訴えかけですが、一番、各国の首脳に対して直接訴えかけるという、メディアに訴えかけるという意味でも、来週の国連総会での総理の演説でしっかり主張されるというのも一つの手なんじゃないかと思いますけれども、そのあたりのお考えはいかがでしょうか。

【玄葉外務大臣】今、国連総会での総理の演説は、私(大臣)も入って練っているところであります。ただ、個別の案件を入れるかどうかということは、率直に言えばあると思うのです。それを一般論として言うのか、個別の案件として言うのかというのは率直に言って課題ではないかというように思います。

【毎日新聞 横田記者】昨日、総理が日中関係の沈静化に向けた必要なこととして、チャンネルはより広く、大きく持っていたほうがいいというように述べられております。来週、大臣も国連総会に行かれると思いますけれども、中国の外相も来られる予定があると思います。外相会談を行う考えがあるかどうか、現時点でお願いいたします。

【玄葉外務大臣】外相会談そのものについては、現時点で何ら決まっておりません。ただ、私(大臣)は、中国との間で意思疎通を維持・強化していかなければならないという立場であります。それは、やはりこういった事態を踏まえて、一貫して対話を通じて平和的に事態を安定化させていくという努力を我々としては行っています。ですから、そういう意味では私(大臣)のみならず、様々なレベルで意思疎通を強化したいと。その結果として、いわゆる誤解とか判断ミスなどで事態をエスカレートしていくということを減じることができるというように思っていますので、そういう意味で緊密な意思疎通を今後とも図っていきたいし、強化していきたいというように考えています。

【共同通信社 仲井記者】先ほど対外発信を強めていかれるということでしたけれども、現時点でのことですけれども、中国側はこうした今回の事案の発生はすべて日本に責任があるという趣旨の発言をしている人もいます。一方で日本側は、冷静に大局に立った日中関係ということも合わせて、抗議するとともにそういったことも合わせて訴えられていると思うのですけれども、こうした日本の姿勢というのは現時点で国際社会、アジア各国、欧米その他各国に理解されている、支持されているという認識はございますでしょうか。

【玄葉外務大臣】まず、国際社会に対して、我が国の立場、つまり固有の領土であること、歴史上、また、国際法上それは疑いのない事実であることをしっかりこれまでの経緯を踏まえて説明をしていくということがまず必要だというように思います。
 その上で、今のご質問でありますけれども、我が国としては、これまで官房長官等も述べてきたとおり、長期的に平穏かつ安定的な維持・管理をするための、いわば現実的かつ最善の策をとったのであるということを、経緯を含めて具体的に私(大臣)は在外公館、あるいは各国には説明をしようというように思っています。そういう指示を出しています。
 そういう意味では、まだまだ知られていない部分もあると思いますので、そこは説明しようと思っています。

【共同通信社 仲井記者】平穏かつ安定的な維持・管理に関して、こうした対外発信を続けることがそれに資するのかどうかというのは、どのように資するのかというのは、対外発信を強めることによって平穏かつ安定的な維持・管理というものが逆効果というものが出てこないのか、もしくはそういった考えはできないのかという点についてはどうでしょうか。

【玄葉外務大臣】特に逆効果になるとは思いません。

【フリーランス 小山氏】対外発信をしているということですが、国内発信の方もされているのですか。日本国民にきちんと説明していますか。
 
【玄葉外務大臣】これまでの経緯とかですか。

【フリーランス 小山氏】なぜ日本の領土であるかという説明ですね。それと、棚上げの合意はないということですが、そういうことは外交ルートを通じて中国に説明してあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】まず後者の方でありますけれども、当然それはその度毎に説明を、この間、そういったことがあった時にはしております。
 それと、国内向けのこれまでの、確か以前も質問があったと思いますけれども、いわゆる歴史的にも国際法上も、我が国固有の領土である。その中身について説明をしてきたのかということでありますけれども、そういう意味では確かにもっとより詳細にわかりやすく説明する努力はもっとあってもいいと思います。
 以前、確か質問を受けた時に、無主地先占の話をしたと思います。1895年1月の閣議決定、沖縄県編入ですね。あれは、別に日清戦争以前、確か10年位前から、その1895年の10年も前から正にどこにも属してないよねということを詳細に現地調査をして、その上で1895年に編入しているということです。
 あわせて、それらについては、その後の例えばサンフランシスコ平和条約などを見ても我が国の放棄すべき領土には尖閣諸島というのは含まれていません、また、沖縄のいわゆる返還の時の経緯を見ても、私(大臣)は明らかであると思います。ただ、今のご指摘のように、これをもう少しわかりやすく、もともと領有権の問題は存在しないと言っていたという経緯もあって、例えば竹島とか北方領土とかのように、パンフレットを作ってとか、そういうことは必ずしもしてはなかったかもしれないですね。そういう意味では、ご指摘はそういうところがあると思います。ですから、国内向けにももっとわかりやすい説明をしていく必要はあるというように思います。

【新華社通信 郭記者】領土問題に関して、日本政府の立場について改めてお聞きしたいと思いますが、先ほどおっしゃった1972年の日中国交正常化交渉の時、田中総理は自らこういう問題提起を中国側の指導者にしていたのですね。それは日本側が領土問題は存在しないという立場に矛盾していないのでしょうか。どうして田中総理は自らそういう問題提起をしていたのでしょうか。

【玄葉外務大臣】率直に言って、なぜその時、田中総理が、おっしゃるように田中総理から「尖閣諸島についてどう思うか、私のところにいろいろ言ってくる人がいる」こういうように語りかけたことは事実だと思います。他方、先ほど申し上げたように、周総理は、「尖閣問題について、今回は話したくない。今、これを話すのはよくない云々」という話をしているわけです。ただ、これをもって合意と言えるかどうかということだと思うのです、問題は。我々は、この間、今回だけではなくて、中国側とこの問題で議論するときにそういった合意はないということは、先ほどの質問にもありましたけれど、伝えてきているわけです。だから、そこは解釈が違うという状況にあるのだというように思います。

【新華社通信 郭記者】領土問題は存在しないという日本側の立場は、日中の外交対話の門が閉じられてしまうという障害の一つになるという論調が日本の大手新聞の報道とか社説にもよく見られるのですが、そういうことは大臣はどのように思っているのでしょうか。

【玄葉外務大臣】我が国固有の領土であって、歴史的にも国際法上も疑いのない事実、領有権の問題はそもそも存在しない、その領土問題はないのであるということについて、さまざまな意見があることは承知をしておりますけれども、私(大臣)は今あるのは、いわば外交上の問題、これは存在しているというように思っていますけれども、領有権の問題は存在しないというのが我が国の立場であるということであります。

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オスプレイの日本配備

【西日本新聞 吉田記者】本日、オスプレイの運用の安全性を確認したということだったのですが、事故が起きた時の責任は日本側もとるという認識でよろしいのかというのが一点、もう一点は沖縄の理解が得られないまま本格運用する構えだと思うのですけれども、在日米軍施設の専用施設74%を負担する沖縄側の理解が得られないままだと反発が更に大きくなり、逆に日米安保を揺るがす事態になる恐れはないのか、その点についてお願いします。

【玄葉外務大臣】なかなか仮定の質問には答えにくいですけれども、もちろん、仮に安全宣言をして事故があったとしたら私(大臣)は責任を感じますね、それは。私(大臣)自身は、率直に言って。ただ、日本政府として、専門家の異論も全くなく今回安全であると。ただ、人的ミスがあった。その人的ミスについて、やはり、どういったらそういった人的ミスを無くすことができるのかということも含めて、今回日米合同委員会で私(大臣)は議論してもらいました。結果として、一定の合意を得られたというように思っています。
 また、沖縄の皆さまの理解ということでありますけれども、大事です、大事なのです。大事なのですが、まさにCH46Eをこのまま飛ばしていくということは、長期的に見たら、私(大臣)は安全性の観点からも好ましくないと思います。そういう意味で、日米合同委員会の合意も難しい作業だったのですけれども、私(大臣)なりには全力を尽くしたつもりであります。それは特に沖縄の皆さんの気持ちに少しでも応えたいというように思ったからです。
 それと、74%の米軍専用施設が集中している、まったくそのことは申しわけなく思います。ですから、全国で負担を分かち合うべきであるというように、私(大臣)自身、いつも申し上げているとおりです。ですから、今回のオスプレイの訓練も沖縄以外で、これは沖縄以外で行うというのは、結局オスプレイという足の長い機種になるからできるという側面もあるわけです。そういう意味では、沖縄の皆さんだけにこのオスプレイの運用に関わっていくということではなくて、全国でそういう意味では私(大臣)は負担を分かち合うという部分も、今回の日米合同委員会の合意には盛りこまれているというように理解をしています。
 具体的に言うと、沖縄への配備後、日本国内の沖縄以外の場所での飛行運用を行う可能性を検討していくということを入れたのです。それは、やはり沖縄ばかりにそういう意味で負担というか、そういうことをかけてはいけないという思いもあるからであります。

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日中関係

【読売新聞 松浦記者】反日デモの今後の展望についてお伺いしたいのですけれども、本日、北京市が市民向けにメールを通して、もう日本大使館前には来ないようにという内容のメールを流しました。このことについての分析評価と今後の影響について教えてもらえますか。

【玄葉外務大臣】これは、まだわかりません。それは誰も正確には予想できないというように思います。ただ、私(大臣)は、今回の尖閣をめぐる事態にあってさまざまな動きがこの数日間続いているわけでありますけれども、残念ながらこのような事態はしばらく続くのではないかというように思っています。ですから、今、大切なことは大局的な観点を見失うことなく冷静に対処していくことに尽きるのではないかと思います。

【読売新聞 松浦記者】そうしますと、このメールをもって少しでも沈静化するというようには思われていないということでよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】沈静化することを当然期待しています。我々はこの間、法と秩序を守ってほしいということを再三にわたって要請してきた経緯がありますので、そのことは強く期待をしています。

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外務大臣会見記録(平成24年9月19日(水曜日)9時30分~ 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-オスプレイの日本配備について

【森本防衛大臣】ご承知のとおり、オスプレイの運用上の安全性について、政府として確認作業を続けて参りましたが、政府としての一応の作業が終了いたしましたので、本日これを皆様に公表することとします。ご承知のとおり、米国が海兵隊のCH-46をオスプレイに換装する計画を作った後、4月にモロッコで、6月にフロリダで事故が起き、このことによって日本の国内に大変な心配、ご懸念が広がったことはご承知のとおりで、我が国政府としてはこのことを大変重要に受け止め、米国側と協議をして日本政府が安全性の確認作業を終了するまで一切の飛行を行わないということを合意したところです。米国はこの2つの事故について、事故調査を進め、我が国としても独自にこれを確認する必要があると考え、防衛省・外務省で独自の分析評価チームを編成して、2度にわたってこの事故調査結果を米国側から説明を受け、我が国としての独自の分析評価を行ってきた結果、この2つの事故は人的要因によるものであるが、機体のシステムあるいは機体の機械的な問題によって起こったのではないということを我が方として確認したところです。しかしながら、オスプレイを運用するということになりますと、その2つの事故の原因究明だけでは不十分なので、運用上の安全性を確認するため、再発防止策を別途我々として考え、また日本の国内でオスプレイを運用することに係る安全性を確保するため、日米間で日米合同委員会を通じて鋭意協議を続けて参りました。この合意については日米間で署名をされ、これによって飛行の安全性が担保され、国民の方々の生活に最大限の配慮が行われてオスプレイの運用が行われるというふうに我々は考えております。また、この間、日本政府としても閣僚レベルで様々な協議も行い、日米間でも閣僚からあらゆるレベルで緊密な協議を行い、おおよそ2か月にわたる協議の結果、日米合同委員会の合意に至るまで米国側は異例とも思える各種の協力をしてきたと我々は受け止めております。また、一般の方々が懸念をしておられるオートローテーションや事故率という問題についても、我が方として別途の確認作業を行いました。以上をトータルでこの問題を考える際、そもそもオスプレイを日本に配備することの真の意味は何であるかということを改めてその必要性、意義、有用性について確認をし、更に今申し上げたように最大限の安全が図られるための再発防止策を我が方としても考え、日米合同委員会を通じて安全性が確認できるということが一応確保できたと我々は見て、この日米合同委員会が誠実に遵守され、かつ飛行の安全性に関して国民の皆様方に最大限の配慮が行われるということを前提に、政府としてはオスプレイの運用上の安全性を確認するに至り、米国側にオスプレイの運用を開始させるということにしたところでございます。具体的な内容については、事務方がこの後すぐに皆様に細部をご説明するという段取りになると思います。

【玄葉外務大臣】森本大臣が大半をお話されましたので、重ならないようにできるだけお話をしたいというふうに思います。先程合同委員会の署名について総理に私からご報告をいたしました。オスプレイにつきましては、今、森本大臣がおっしゃったように、事故があってこの間長い時間かけてあらゆるレベルでこの安全性に対する強い懸念を払拭するための作業というものを行ってきたところであります。今、お話がございましたけれども、この日米合同委員会の合意につきましては、過去に特定の装備の導入でそういう合意というものを作成したことはありません。ですから、率直に申し上げて非常に難しい交渉だったと言えます。森本大臣は勿論でありますけれども、私自身からも事務方にかなり強い指示を何度もいたしましたし、またルース大使あるいは在日米軍司令官などにも直接働きかけなどを行ってきたところであります。重ならないように申し上げるとすると、この合同委員会の合意の主要点をいくつか申し上げたいと思います。一つは低空飛行訓練でありますが、天候等の安全上の理由がある場合を除いて、地上500フィート、これは約150メートルということでありますが、以上の高度を飛行するときや、飛行することということ、それと史跡とか人口密集地域、学校、病院などの上空は避けて飛行する、こういうことを合意したということです。再発防止策は先ほど森本大臣がおっしゃったとおりです。騒音は、特に夜間飛行訓練を必要最小限に制限をする、シミュレーターの使用などによって夜間飛行訓練による普天間飛行場の周辺コミュニティーへの影響というものを最小限にしていくということなどで合意をしたところです。また、いわゆるモードのことなのですけれども、通常は米軍の施設・区域内でのみヘリモードで飛行して、転換モードで飛行する時間を出来る限り減少するということで、移動の際に可能な限り海上を飛行するということで合意をしたところということでございます。私は初めからスケジュールありきということではないということで、この間ずっと一貫して申し上げて参りました。したがって、結果として時間がかかりました。当初はおそらく10月に入ってすぐにでも、いわゆる本格運用が始まるというふうに言われていたわけでありますけれども、結果として遅れることになったわけでありますけれども、これはもう仕方がないと。丁寧に作業を行った結果だし、十分な日米合同委員会の合意を得られないなら、飛ばすわけにはいかないということで言ってきましたので、そういう意味で十分な合意に至ったと考えております。これで安全性の確認作業が一通り終了ということでありますので、岩国における準備飛行をはじめとする本格運用に向けた準備が始まるということです。最後に、実際の運用に際して、安全性への最大限の配慮を払うよう米側に求めていくとともに、この合意の実施につきまして、合同委員会を通じて、きちんとフォローしていこうというふうに考えていますので、また何か課題が生じるということであれば、すぐまた合同委員会を開いてしっかりフォローしていく、協議していくということになります。

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オスプレイの日本配備

【記者】玄葉外務大臣、森本防衛大臣の両者にお伺いします。今回の日米合同委員会の合意と先の日本独自の事故分析結果をもって安全性は確認されたというようなご認識でよろしいのでしょうか。またそれはどういった点においてそのようなご認識になっているのでしょうかということと、今後のスケジュールについて、試験飛行そして普天間での本運用のスケジュールについて、今現時点で可能な限りお知らせください。

【森本防衛大臣】私の方から、まず後の方について、日本政府が安全性を確認した後、岩国で海兵隊が具体的にどのような飛行計画を持っているかというのは、本日合意ができたところなので、米国はおそらくどの時点で合意に署名されるかというのは現場の部隊というのは必ずしも知らなかったと思います。本日以降、実際の運用計画を作ってやっていくと思うのですが、我々が米国側から説明を受けているところは、2か月以上機体を動かさないで今まで来たので、非常にコンピューター化されたシステムである機体の機能が、きちっと動くかどうかということは、地上で今までランアップといって、一応システムそのものは動かしているわけですが、実際に飛行してその機能を確認するための飛行というのが1つと。もう1つは、パイロットも相当長く乗っていない者については、本土に戻して訓練をして、また戻してきてということを繰り返してきたのですが、パイロットもこの機体そのものに乗って行う習熟訓練、この2種類に加えて、我が方は米国側と現在、日本側の方から体験搭乗という言葉は非常に良くないのですが、このシステムそのものの安全性を確認するに必要な飛行をやらせてくれということを話し合って合意ができていますので、このためのフライト、その3種類のフライトをやって、それから沖縄に順繰りに飛んで行き、更に沖縄で部隊として運用するに必要な環境に慣れるための慣熟飛行をやった後に、外務大臣のご説明のように、部隊としてこの飛行機を使って、任務を遂行できる完全な能力、米国で言うとフルオペレーション・ケイパビリティというか、完全な運用能力を補備ということになる時期、これを我々は配備の時期と国会でも説明してきたとおりです。それが、何月何日になるのかということは、さっき申し上げたように米国の飛行訓練がどういう手順で、毎日どれくらいの飛行をやるのか、天候の手順もありますし、それからシステムそのものをチェックしながらやっていくので、何月何日ということは、我々は運用計画を持っていませんので、米国側と話していくということになると思いますが、その後の予定は我々にはよく分かりません。多分、10月のどこかということですが、当初から考えていた10月の初旬に全ての能力を補備するという状態には少し無理があるのかなということだと思います。

【玄葉外務大臣】大体お話しされたと思いますけれども、日本政府が自らの専門家をともにチームに入れて、独自に分析・評価をして安全性を判断したということが1つと、もう1つは、先ほど申し上げたように運用に係る問題で、最大限、安全に対する配慮が払われることになったということで、日本政府としては安全性に係る作業を終了したということでございます。いうまでもないことでありますけれども、オスプレイはまさに海兵隊の中核となる装備であります。CH-46Eと比べると格段に性能が高いことはご存じの通りで、日本の安全保障そして東アジアの安全保障上も必要不可欠であると思います。CH-46Eはもう自衛隊でも退役している、製造もしていない、そういう観点からすると、長い目で見ると、むしろCH-46Eの安全性に対する懸念の方が強まっていくと思います。そう考えると、やはりオスプレイに変わるものはオスプレイしかないわけで、我々としてきちんと安全性を確認できたということから、このオスプレイの配備に向けた準備をこれから始めなければならないと思います。

【記者】毎回同じようなことを聞いて恐縮なのですけれども、今回の合意をもって、地元に向かわれるわけですが、理解は得られるとお考えでしょうか。

【森本防衛大臣】今から、まず本日は岩国市並びに山口県に1日かけてご説明に参ります。それから戻ってこないといけないので、改めて沖縄には今、日程を調整していますが、沖縄県知事それから宜野湾市長をはじめ沖縄の関係市町村の首長の皆様に丁寧に今回の経緯、日米合同委員会の合意の内容、その持っている意味合いというのを丁寧にご説明して回ろうというつもりで予定を今組んでおります。

【記者】理解が得られなくても、飛ばすということでしょうか。

【森本防衛大臣】日本側と米国側で、予てより日本政府として安全性を確認するという作業が終了した段階で、岩国における飛行の運用を再開させるという合意が日米間でできておりますので、それに基づいて米国の飛行運用が始まることになると思います。

【記者】事故が起きたときに大臣は責任がとれるのでしょうか。

【森本防衛大臣】事故の責任というよりか、むしろ今回はオスプレイの飛行運用の安全性というものを確認する作業をしたということです。細部は、後で説明を聞いて頂きたいのですが、我々がやった作業というのは、あくまでどうすれば日本の中で、このオスプレイを運用するときに、運用上の安全性を確保するかということに努力を集中させて日本政府としても作業を行い、日米間でも協議を行ってきたということでございます。

【記者】先ほど地元の理解が得られなくても運用するのかということですが、沖縄に関しては今配備に反対していて、理解を得られる状況にはないのですが、沖縄に関してはどういうふうにお考えですか。

【森本防衛大臣】沖縄については、依然として非常に厳しい状態にあることは今まで3回沖縄に参上して状況を説明して分かっておりますが、今回は、政府として安全を確認する作業が終了しましたので、その経緯と、今申し上げたように、どのようにして日米合同委員会の合意が遵守され、知事がおっしゃっているようにそれが確認できるか、この手立てについて知事に丁寧に説明に参ろうと、このように考えております。

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外務大臣会見記録(平成24年9月17日(月曜日)11時20分~ 於:大臣接見室前)

冒頭発言-パネッタ国防長官との会談について

【玄葉外務大臣】パネッタ国防長官との間で,地域情勢を中心に,その他,在日米軍再編,オスプレイなど日米安保に関連する双方の関心事項について意見交換を行いました。私(大臣)とパネッタ国防長官との会談は,この1年間で3回目となります。米国のアジア太平洋重視戦略が実施の段階に移る中で,日米の閣僚同士が日米同盟を更に深化・拡大させるための効果的・効率的・創造的な方策について緊密に意思疎通を行うことは重要であり,その意味でも本日は有意義な会談ができたというように考えています。
 地域情勢について,パネッタ長官から,この後の中国訪問の予定や目的,そして米中関係の状況についてお話を伺いました。私(大臣)からは,目下の日中関係について,我が国の方針を説明するとともに,大局的な観点から冷静に対処していくとの考えを伝えた。
 また,韓国についても,私(大臣)から,日韓間で難しい問題があるけれども冷静に対処していくということ,日韓,日米韓三ヶ国の連携は引き続き重要であり,安全保障分野での協力を停滞させてはならないということを伝えて,この点でパネッタ長官と認識を共有したところです。
 オスプレイについては,私(大臣)から,安全性について地元の強い懸念があることを改めて伝えるとともに,安全性確認のための事務レベルの協議が,先般,ルース大使と在日米軍の司令官に来てもらったときからは大きく進展をしてきましたので,そういう意味でその点を確認して,詰めの作業を行うように,双方で事務方に指示をするということにしたところです。

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パネッタ国防長官との会談

【フジテレビ 長谷川記者】大臣から日中関係についてパネッタ長官に話をされたということですが,長官からはそれに対してどのようなご発言があったのかをお聞かせください。

【玄葉外務大臣】とにかく,地域情勢につきましては,日中関係も含めてそうなのですけれども,日米は同盟国でありますので,その情勢認識等も含めて不断に協議をしていく必要がありますし,改めてそのことを確認し,同時に日中関係が大きく損なわれることのないように日米間で協力をしていくことで一致をいたしました。

【フジテレビ 長谷川記者】日米安保条約第5条に関する言及というのはあったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】はい,今日は敢えてそのことは申し上げませんけれども,もちろん,この条約がいわば適用されるということについて,日米間で認識は一致をしているということであります。

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日中関係

【フジテレビ 長谷川記者】そもそもの話で,改めて伺いたいのですが,週末,中国で相次いで反日デモが起きて,日系の企業などは襲撃されて破壊されたり,略奪されたり放火されたりと大変大きな被害がでています。日本人の活動であるとか生活であるとか,経済活動にも多大な影響が出ていると思うのですが,こういった状況をどのように受け止めていらっしゃるかということと,日本政府のこれまでの対応として,これからも明日もまた更に大規模なデモも予想されていますので,今後の対応についても改めてお聞かせください。

【玄葉外務大臣】おっしゃるように,反日デモがこれまでにない規模で拡大をしている,その中でも一部暴徒化して日系企業に多大の損害が出ているということは,誠に遺憾なことであります。
重ねて中国政府に適切な対応を求めていきたいと,やはり法と秩序を守ってもらいたいということを重ねて要請していきたいと,今も邦人保護,そして,在外公館の安全のために,かなりそれぞれの地域ごとに中国の公安当局とは密接に連絡を取り合っていますけれども,更なるそういった意思疎通の強化,要請強化というものを図っていきたいと考えています。

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パネッタ国防長官との会談

【TBS 西川記者】オスプレイの具体的な配備の時期について,パネッタ長官から言及があったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】いえ,今日はありません。オスプレイについては,以前も申し上げましたけれども,ルース大使と在日米軍司令官のときに私(大臣)は具体的に言いましたので。ただ,その点についての進展がかなりありました。ですから,そのことを確認をした。その上で,これからやはり日本自身が安全性を最終的に判断をし,またその前にやはり日米合同委員会が最終的に決着しなければならないということを伝えました。ですから,若干繰り返しになりますけれども,これから大きく進展し始めた,この合同委員会の合意をしっかり得なければならないと思います。そして日本政府自らが安全性をきっちりと評価をして,その上でそれが確認できれば,地元の皆様に丁寧に説明をしていくということになろうかと思います。

【朝日 土佐記者】オスプレイについての大きな進展について,具体的に言えば,大臣がルース大使に働きかけて勝ち得たものを,もし今言えるのであれば教えていただきたいのが一点と,もう一つ,パネッタ長官が日本に来る機内でメディアに対して,日中政府に対してだと思いますけれども,判断ミスが大きな取り返しのつかない,エスカレートさせてしまう事態になる,両国に対して冷静な判断をというようにと言っておりましたけれども,今の会談でそういった具体的な言葉で,懸念なり冷静な判断をという言葉があったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】一点目は,先般,あえて個別には申し上げませんけれど,特にあの時,私(大臣)が言及したのは,低空飛行訓練,再発防止策等という言い方をしたと思います。それ以外も大事なのですけれども,やはりそういったところで大きく進展があったというように考えています。
 それと,おっしゃるように,日中関係で大事なことは,誤解とか判断ミスがないようにすることです。ですから,これから外交ルートを始め,政府全体で意思疎通を強化をしていかなければならないと考えています。やはりエスカレートさせてはいけないというように思っています。

【朝日 土佐記者】それは,そういうようにパネッタ長官もおっしゃったということですか。

【玄葉外務大臣】いえ,今日は様々な形で意見交換を致しましたけれども,パネッタ長官の言葉云々ということは,外交上のやりとりで差し控えたいと思っています。

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日中関係

【香港フェニックステレビ リー記者】中国では,週末色々な反日デモがありました。今100都市以上に及んでいるということなのですけれども,この現状に関して,大臣から中国の国民に何かお伝えしたいメッセージがもしあれば教えて下さい。

【玄葉外務大臣】是非これは日中関係の大局に鑑みて,冷静に対応してもらいたいということを申し上げたいというように思います。

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パネッタ国防長官との会談

【ロイター 竹中記者】先ほどの日米安保に関する,日米安保条約第五条が適用されるという認識で一致というご発言は,尖閣諸島に関するものということですか。

【玄葉外務大臣】そういうことです。

【毎日 横田記者】パネッタ国防長官から言及があったのかという質問に対して,大臣は,あえて今は申し上げないと回答されたが,国防長官から言及がなかったということでしょうか。

【玄葉外務大臣】私(大臣)は,あえて今日は,この場で,言わない方がいいと思っているということです。完全に認識は一致しています。

【毎日 横田記者】「あえて今日は言わない方がいい」という判断とはどういうことでしょうか。

【玄葉外務大臣】それは想像してください。

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日朝関係

【朝日 土佐記者】朝鮮中央通信が,日朝平壌宣言について,既に全て解決した拉致問題を日本政府が引き続き執拗に持ち出して,不純な政治目的に悪用しているというような論評を出している。日朝協議がこれから本格化する中で,拉致問題は解決済みというようなメッセージが出されていることへの受け止めをお願いします。

【玄葉外務大臣】先ほどの横田記者の質問は,あえて先ほどのこと以上のことは言いませんが,一言だけ付け加えるとすれば,私(大臣)は,とにかく,事態をエスカレートさせることは不適切であると考えているということです。
 土佐記者の質問については,ご質問のとおり10周年ということですので,これを一つの機会と捉えて,拉致の問題を含めて日朝間の様々な諸懸案について進展,解決を図るために全力を尽くしたいと考えています。そのために,引き続き,次の協議の日程の調整を行っているということです。

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西宮駐中国大使の逝去

【NHK 大谷記者】西宮駐中国大使が昨日お亡くなりになりました。これに対する受け止めと,こうなると後任人事も考えなくてはいけないと思いますが,見通しをお聞かせください。

【玄葉外務大臣】西宮大使については,本当に残念で,心からお悔やみを申し上げたいと思っています。全快を祈っていたのですれども,残念ながら帰らぬ方になってしまいました。これから新大使の人選について,調整をしていきたい,または調整をしているという最中です。

【NHK 大谷記者】後任人事はできるだけ早いほうがいいというご認識でしょうか。

【玄葉外務大臣】それはそうです。早いほうがいいとは思っていますけれども,この一日二日で決まるという状況ではありません。

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外務大臣会見記録(平成24年9月13日(木曜日)16時06分~ 於:大臣接見室前)

冒頭発言-ルース駐日米国大使との会談について

【玄葉外務大臣】先ほど、ルース大使及びアンジェレラ在日米軍の司令官と会談を行って、MV22オスプレイの我が国への配備について率直な意見交換を行ったところです。
 オスプレイの我が国への配備につきましては、本日も翁長那覇市長、そして佐喜真宜野湾市長など、沖縄の皆様から9日の県民大会の決議文を受け取ったところです。こうした地元の懸念も踏まえて、スケジュールありきということではなくて、日米が協力して安全性をしっかり確認をしていく作業が非常に重要であるということを、私(大臣)もこれまでたびたび申し上げてきたところでありますし、あらゆるレベルで米側にも伝えてきたところであります。
 現に、これまで相当の時間をかけて日米両政府で安全性の再確認のための作業を行っているところです。特に、本日は私(大臣)から直接、日米合同委員会で難易度の高い交渉になっているものですから、やはり低空飛行訓練であるとか、再発防止策であるとか、そういったいくつかの点について直接働きかけを強く行ったところであります。大使、そして司令官との間で地元の懸念を可能な限り払拭できるような形で合意できるようにということで、お互い事務方に指示をするというところで合意をしたところであります。合意というか、確認をしたという方が正確かもしれません。
 また、先月、那覇市で発生した米国の海兵隊員による強制わいせつ致傷事件、これも私(大臣)から大変遺憾であること、絶対にあってはならない事件であること、極めて悪質、卑劣な事件ですから、そのことを強く言いました。単なる綱紀粛正という言葉ではすまされない、やはりしっかりとした再発防止の処置をとってもらわないといけないということを米側に伝えたところであります。
 さらに、会談では地域情勢などについても意見交換を行いました。

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ルース駐日米国大使との会談

【テレビ東京 山口記者】大臣はこれまで配備計画についてはスケジュールありきではないという話を一貫しておっしゃってきましたけれども、日米合同委員会の協議がなかなか難航する中で、配備が少し遅れるのではないかという中でルース大使の方から配備計画の見通しだったり、あるいは配備時期について具体的言及というのはあったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】いつも申し上げていますけれども、初めにスケジュールありきでは駄目だと。ですから、日本が主体的に安全性を確認する作業を行いました。特にモロッコはしっかりと確認をした。そして、フロリダは最終的に確認をしている。日米合同委員会で十分な合意が得られなければいけないということは、私(大臣)から本日も伝えました。やはりその上で、配備というのが行われる、あるいは岩国での飛行運用の開始というものが、あるいは慣熟飛行というものが行われるということであって、やはり丁寧に進めていく必要があると。結果として、丁寧に進めてきた結果、結局フルオペレーションでもともと運用を開始する予定だったのが、「沖縄で」でありますけれども、10月2日とかその辺りだったと思うのですけれども、現にそれはもう間に合わなくなっていると思います。やはり結果として出てくるものだと、私(大臣)はそう思っています。
 ただ目安とか、昨日も申し上げましたけれども、目標というものは常にないとまとまるものもまとまらないので、そういう目安とか目標というものは常に持って、だから最初の目標がいわば10月2日が目標だったわけですよね。それがこういう作業を行った結果、10月2日というわけにはいかないという状況になっているというのが、今だと思います。今だって、ひとつの目標や目安は持っています。

【テレビ東京 山口記者】今回のやり取りの中で、パネッタ国防長官が17日に訪日するという話があると思うのですけれども、そういった話についても言及はあったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】オスプレイの話のことをお聞きしたいのかもしれませんけれども、パネッタ長官の訪日は今調整中です。もし月曜日に会談が行われるということになれば、オスプレイについても話をいたしますけれども、オスプレイがメインではなくて、むしろ2+2の話であるとか地域情勢であるとか、そういったことになるだろうと。まったく話さないということはないですけれど、実際のところ、進捗状況の確認とかそういったことはあるかもしれませんけど、いずれにしても2+2とか地域情勢については、私(大臣)は話したいなと思っています。

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西宮在中国大使の緊急搬送

【テレビ東京 山口記者】西宮駐中国日本大使が今朝倒れて、意識不明だというような状況ですけれども、受け止めをお願いします。

【玄葉外務大臣】入院中なのですね。非常に心配しています。それ以上はまだ、状態も含めてコメントは差し控えたいと思います。非常に心配しています。

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ルース駐日米国大使との会談

【毎日新聞 横田記者】先ほど、今もひとつの目安・目標を持っているというお話でしたけれども、現時点での目標というのは10月中という理解でよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】それも含めて、とにかくスケジュールありきということではないので、誤解を与えやすい問題ですから、あくまで我々なりに目標を持ちながら、十分な合意が得られるように努力しているところであるということを申し上げたいと思います。

【朝日新聞 土佐記者】本日、ルース大使に求めたことは、17日のパネッタ長官には求めるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】結局、状況次第だと思うのです。つまりは、本日、「最大限努力します」と言ってくれていますので、これから日米合同委員会で本日の指示、本日指示が下りるでしょうから、その指示が下りてどこまで日米合同委員会で交渉が進むかどうかによると思います。

【琉球新報 問山記者】本日という時期に会談が設定された意義というのは何かあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】一番大きいのは、合同委員会が難しい交渉になっているということです。
 それと同時に、先ほど申し上げたような、あってはならない事件があったものですから、これはいずれかの時に、できるだけ早く私(大臣)から言わなければいけないと思っていましたから、そういう意味で合わせて言ったということです。

【沖縄タイムス 銘苅記者】米兵暴行に関しての大臣の言葉に対して、米側はどういう反応でしたか。

【玄葉外務大臣】一件もあってはならない話だとルース大使は言っていました。やはり、更なる措置をとっていかなければいけないというような話をしていました。

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西宮在中国大使の緊急搬送

【毎日新聞 横田記者】中国大使というのは、非常に重責で負担も重い職責だと思うのですけれども、状況によっては交代を検討されるということも考えるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】今はもうとにかく入院しているわけですから、回復することを私(大臣)としては心から願っています。

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ルース駐日米国大使との会談

【共同通信社 小西記者】ルース大使に対して、大臣の方からかなり技術的なことも含めてかなり具体的な要請をしたのでしょうか。

【玄葉外務大臣】今回は言いました。詳細は申し上げませんけれど、日米合同委員会の内容というのは比較的、確かに技術的・実務的なことが多いのですね。ただ、やはり沖縄の皆さまにとっては、あるいは沖縄だけではないのですけれども、非常に差し迫った大事な話なので、それが進まなければ駄目なので、私(大臣)から言ったということです。

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日中関係

【ロイター 竹中記者】中国の商務省の副大臣が、今回の日中関係の関係で政治だけの緊張ではなくて、経済的な関係、それから貿易の関係にも悪影響を及ぼすことは避けられないだろうと、本日午前中にコメントがありました。これに関して日本側の見方というのを教えていただければと思うのですが。

【玄葉外務大臣】いつも申し上げていますけれど、日中双方とも大局的な観点に立って冷静に対応することが大事なので、私(大臣)は今回の事態で日中関係が安定的に発展していく、これが阻害されてはならないというように思っていますから、中国側にも冷静かつ適切な対応を求めていきたいと思っています。

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尖閣諸島

【香港フェニックステレビ リー記者】本日、台湾の海岸巡防署の船が接続水域に入ってはいないのですが、ただこの台湾の海岸巡防署の船が出てきたということに関して、何か大臣から御見解をお願いできますか。

【玄葉外務大臣】出てきたということですか。

【香港フェニックステレビ リー記者】接続水域の近くまで来ていたということです。

【玄葉外務大臣】通常、接続水域に入るとか領海に入るとかといった時に、当然ながらそれはあってはならないことですから、申し入れをしたり抗議をしたりということをいたしますけれども、いずれにしても、そういった様々な状況については注視をしております。

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外務大臣会見記録(平成24年9月12日(水曜日)13時29分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-ウラジオストクAPECのロシア人ボランティアの来日について

【玄葉外務大臣】ウラジオストクAPECの際の日露首脳会談におきまして、プーチン大統領から、ウラジオストクAPECに参加している青年のボランティアが訪日する計画があって、日本側への協力要請がございました。これに対しまして、野田総理から最大限協力したいという旨述べたところであります。
 これを受けて、通常の所要の手続きに基づいて作業を行って、今般、来日するボランティア全員に対し査証の発給を完了いたしました。
 約500人のロシア人ボランティア一行は、9月13日(木曜日)、横浜港に入港する予定です。今回の来日がボランティアの皆さんにとって良い思い出になることを願っています。

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尖閣諸島

【共同通信 斎藤記者】日中関係をお伺いします。尖閣国有化を巡る中国の動きですけれども、最高指導者から政府関係者、メディアに至るまで尖閣の国有化について「違法」「無効」と批判した上で撤回を求めているということですが、この件について2点お伺いします。
 1つは、まず中国のこの撤回要求に応じて、既に決定したこの国有化を撤回したり、あるいは何らかの見直しの措置を講ずるの可能性を日本政府として考えているかどうか、これが1点ですね。同時に、中国のこうした対日非難とか撤退要求等の発言・言動は我が国の内政の干渉、主権侵害行為に当たるかどうか、この点についての認識を1点目としてお伺いします。
 2点目ですが、政府がこれまで繰り返して言っている「平穏かつ安定的に維持・管理する」という、この国有化の方針ですが、具体的にこれが何を指しているのか。同時に現時点で平穏かつ安定的に維持・管理されているのかどうか。されていないとすれば、どのように手を打つべきか、この点についてお伺いしたいと思います。

【玄葉外務大臣】まず、今の斎藤さんのご質問の1点目でありますけれども、これは言うまでもないことでありますけれども、尖閣は我が国固有の領土であります。国際法上も歴史的にも疑いのない事実であります。今回のことというのは、いわば平成14年度から政府が賃借をしている所有権の移動でありますので、今回の所有権の移動、いわば取得・保有というのを見直すということは、これはもうあり得ないということであります。あわせて日中間、大変大事な関係であります。最重要な関係の一つでありますので、この日中間の大局にこの事態が影響をできる限り与えないように最大限の努力をしたいというように思っています。
 干渉の定義、あるいは内政干渉の定義というのは、いわば強制的に従わせる行為を言うのであるのだろうと私(大臣)は考えていますので、そういう意味でそういった定義に当てはまるかといえば、当てはまるとは言えないと思います。ただ、先ほど申し上げましたけれども、中国は中国で独自の主張がある。独自の主張を行っているけれども、日中間というのは先ほど申し上げた大事な関係で、これは昨日も申し上げましたけれども、私(大臣)としては、1972年の田中角栄首相のときだったと思いますけれども、日中の共同声明、1978年の平和友好条約、これは福田赳夫総理のときだったと思います。1998年、これは小渕総理のときだったと思いますが、このときも日中共同宣言を出しております。福田康夫総理のとき、これは2008年でありますけれども、いわゆる戦略的互恵をうたった日中共同声明を出しているわけでありまして、これらの基本文書というものを遵守をしながら戦略的な互恵関係というものを深化をさせていく。具体的な協力関係を積み重ねていく。この基本的な考えに私(大臣)としては変わりありません。
 あわせて今回の所有権の移動、取得・保有ということにつきましては、まさに平穏かつ安定的な維持・管理を行うためであって、斎藤さんの質問は、今それが為されているのかということでありますけれども、私(大臣)としては、平穏かつ安定的に維持・管理は基本的には為されているものというように考えております。

【トルコ国営放送 ムラット・ハン記者】日本が尖閣諸島を買い取ったことに対して、中国が抗議をしていますが、日本の対応はどのようにしますかということ。トルコのメディアでは、今、私、いろいろ新聞のコピーを持って来たのですけれども、山ほどのニュースが出ていまして、本当のことはどうなっているか、日本の対応はどのようにしますかということを質問としてお願いしたいと思います。

【玄葉外務大臣】これは先ほども申し上げましたけれども、尖閣に対する我々の考え方はもう繰り返しません。先ほど申し上げたとおりでありますけれども、あわせて大局かつ冷静にこの事態に対して、日中双方とも対応すべきであるというように思っています。日中関係は大事でありますので、不測の事態とか誤解というものが生じないように緊密に意思疎通を図っていきたいというように考えていまして、昨日も外交当局間での意思疎通がなされました。本日もそれらが行われているところであります。こういった緊密な意思疎通を続けることが非常に大切であるというように思います。

【トルコ国営放送 ムラット・ハン記者】数年前に、トルコとギリシャの間にこういう島の問題が出ていましたが、戦争まできたということで、皆さん、ものすごくトルコ側もギリシャ側もパニックになりましたけれども、戦争の話までというのはまずないですか。

【玄葉外務大臣】事態をエスカレーションさせてはいけないというように、私(大臣)はかたくそう思っています。しかも日中双方ともそういったことがないように、冷静に大局的観点から対応することが大変大事だというように思います。

【テレビ朝日 小野記者】本日、中国大使が抗議に来るとか来ないとかというお話は聞いていないでしょうか。

【玄葉外務大臣】聞いていないですね。

【産経新聞 杉本記者】政府は尖閣について国有化は決めましたけれども、灯台の改修であるとか、あるいはその他の施設整備については、現在のところしないという方針だと思います。
 こういった施設整備については、地元の要望であるとか、あるいは東京都の石原都知事からも要望があったと思うのですけれども、現時点でそういった整備をしない理由というのはどこにあるのかというのが一点と、一部報道で、総理が例えば灯台の改修などについては積極的であったけれども、玄葉外務大臣が反対をして見送られた経緯があるのだというような報道がありましたけれども、この点についての事実関係の確認をお願いしてもよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】これはもう、繰り返しになりますけれども、私(大臣)は、今回のいわば国による取得・保有というのは、あくまで平穏かつ安定的に維持・管理をする、長期的にそれを行っていく、そのためのものであるというように考えております。

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エネルギー・環境戦略

【毎日新聞 横田記者】エネルギー・環境戦略についてお伺いをいたします。
 本日も関係閣僚の方々が集まって、大臣も行かれていたと思うのですけれども、大臣の方から、米国が持っている関心ということについてどのようなものかということを、この会議の中で伝えていらっしゃるのかということと、米国の関心というのが今回の政府の決定に何らか影響を与えるというように考えていらっしゃるかどうかお願いいたします。

【玄葉外務大臣】米国の関心というよりは、率直に申し上げて、国際社会全体に与えるインパクトというのは、当然ながらエネルギー政策の見直しによってあるわけです。それは、具体的に想像していただければ、お分かりのとおりでありまして、例えば、ゼロにするというように決定した場合、仮定の話ですけれども、当然プルトニウムをどうするのかという問題が残るわけです。つまり濃縮再処理、青森との関係だけではなくて、濃縮再処理を続けるならばプルトニウムをどうするのかというと、国際的な不拡散の問題が当然ながら出てくるし、さまざまなマーケットに与える影響とかもあるわけでありますから、そういったことをきちんとやはり整理をしていく必要が当然ながらあるだろうというように思いますので、そういったことについては、まさに真剣に議論をしているという最中です。

【毎日新聞 横田記者】そうしますと大臣としては、米国が、今日本が検討している原発、将来的なゼロということも含めた検討について懸念をもっているという認識ではないということでしょうか。

【玄葉外務大臣】エネルギー政策ですから、当然主権国家として日本自らが決定するものであります。他方、米国に限らないのですけれども、これまでいわば約束してきたこと等々が国際社会の中であるわけです。そういったこととやはり整合的でなければならないし、そのあたりのところが整理できなければならないというように思います。ですから、さまざまな約束事をしっかり精査をして、最終的に決定していくプロセスが大事だということです。

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尖閣諸島

【NHK 大谷記者】尖閣購入を決めたことで、実際に海艦が尖閣諸島の周りに来たり、あと、反日デモについても各地で起きていると。こうした少なくとも中国政府の若干強行とも見えるような対応についてどう思うかということと、どういう対応を求めていきたいかということをお聞かせいただけますでしょうか。

【玄葉外務大臣】まさに一言で言えば、中国政府に冷静かつ適切な対応を求めたいというように思います。あわせて、在留邦人の安全確保を要請をしておりますし、あわせて、中国国内の邦人に対しての注意喚起なども行っているところであります。

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日朝協議

【西日本新聞 吉田記者】日朝協議ですけれども、17日を目途にという局長級会談の予定だったと思うのですが、現在の進行状況等、もし遅れているとすれば、その理由についてお願いします。

【玄葉外務大臣】おっしゃるように、一つの目安でありますけれども、ただ引き続き日程については調整中であるということであります。
 本日は12日ですから、遅れることもあるかもしれませんけれども、今、引き続き調整をしている段階であります。理由は申し上げられません。

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尖閣諸島

【共同通信社 仲井記者】尖閣での施設整備について報道などで何も整備しないという報道もありますけれども、こうした方針というのは関係閣僚間で確認をされているのかどうかということを伺いたいと思います。

【玄葉外務大臣】官房長官からのワンボイスの方が、私(大臣)は良いのではないかというように思います。先ほど申し上げたように、私(大臣)としては、今回の国による取得・保有というのは所有権の移動であって、長期的に平穏かつ安定的な維持・管理を行う、そのためのものであるというように考えています。

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オスプレイの日本配備

【沖縄タイムス 銘苅記者】本日、森本大臣が岩国に行かれてまして、普天間での本格運用の時期は、米側が当初言っていた10月初旬というのはちょっと間に合わなさそうだけれども、10月中には運用を開始できるだろうという見解を示されているのですけれども、大臣としても同じような認識かということと、その前提となる日米合意の時期についても来週か再来週と、森本大臣は言っているのですけれども、これについて大臣はどうお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】これも繰り返しになって申しわけないのですけれども、私(大臣)は最初からスケジュールありきではないのです。丁寧な作業が必要で、やはり日本が主体的に安全性を今確認をしているわけですから、そのことを分かりやすく説明すること、もう一つは今難作業になっている日米合同委員会、これはかなり頻繁に開いているのですけれども、昨日申し上げたとおり、十分な合意はまだまだ得られていないというところがあるのです。ですから、やはり低空飛行とか、騒音規制について十分な合意が得られるように、私(大臣)としては最大限努力したいと思っているのです。努力だけではだめだと思うのです、結果が出ないと。結果を出して、そして日取りが決まるのだと思うのです。
 ただ、何かをまとめる時に一つの目安というのがないと、なかなか日米合同で話し合っているわけですから、まとまるものもまとまらないというところがあるので、ですから、森本大臣がそういう日程感をおっしゃったのだろうというように思うのです。あくまで私(大臣)は結果として得られるものなんだと。ただ、やはり一つの目安がなければ、どうしてもまとまるものもまとまらないと。難交渉をまとめるためには、何らかのテコをいろいろ使う形でまとめ上げないといけないというところがありますから、そういうことでおっしゃったのではないかなと思います。

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日露関係

【北海道新聞 安藤記者】先日、APECの時の総理の内政懇で、今まで次官級、外相級、首脳級でやっていこうという協議の段階は合意していると思うのですが、総理のほうからは11月に外相会談をやるというような見通しが示されたのですけれども、そういうお話は出たのでしょうか。シュヴァロフさんとのお話の中で、経済委員会の方は11月というお話がでているかと思うのですけれども、すると例えば外相同士の会談も同時期にやるような可能性というのはあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】たしか11月は、シュヴァロフ第一副首相が11月ということだと思います。
また、例えばマルチの国連総会のような場での外相会談等はあり得るかもしれませんけれども、まだ、それはわかりません、率直に申し上げて。
 11月という数字は、おそらくシュヴァロフさんの話をされたのではないかなと推測しますけど。

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外務大臣会見記録(平成24年9月11日(火曜日)10時12分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-第4回日豪外務・防衛閣僚協議への出席について

【玄葉外務大臣】第4回の日豪2+2(外務・防衛閣僚協議)への出席でありますけれども、森本防衛大臣と共に、9月14日(金曜日)から15日(土曜日)まで、オーストラリアのシドニーを訪問する予定です。
 日豪2+2は、9月14日(金曜日)に、日本側からは私(大臣)、森本防衛大臣、豪州側からはカー外務大臣、スミス国防大臣が出席して、約2年ぶりに開催されます。この機会に、カー外務大臣との間で日豪外相会談を行う予定でおります。
 地域の戦略環境が変化する中で、基本的な価値と戦略的な利益を共有して、共に日本もオーストラリアも米国の同盟国であります。この日豪の安保協力というのは益々重要性を増してるというように思います。両国が普段より緊密に意見交換を行うことは重要であります。今回の協議では、変化するアジア太平洋地域の安全保障環境に関して率直な意見交換を行い、戦略認識を共有したいというように思います。
 また、最近、南スーダンPKOでの日豪協力が発表されましたけれども、災害救援、PKO分野での協力、ACSA、情報保護協定の署名、共同訓練等を通じて、両国及び日米豪は、二国間及び三国間の安全保障・防衛協力を急速に深化させています。こうした協力の積み重ね・経験を踏まえ、安全保障・防衛協力を更に強化することに合意したいと思います。協議の成果として共同文書を発出したいというように思います。

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オスプレイの日本配備

【NHK 坂本記者】フロリダの事故について、日本の分析チームによる分析結果が公表されました。この中では、基本的には人為的ミスというものを追認するという内容ですけれども、その中で、また緊急着陸という事態も起きています。こういった中で、沖縄の人たちの地元への理解というのはきちんと得られるとお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】フロリダのCVの方ですよね。事故につきましては報告を聞きました。結局、乱気流、つまり入るべきではない乱気流のところへ入ってしまったというのが主な原因だというように承知をしていますけれども、日本として、しっかりと主体的に安全性を確認する作業が大事であるというように思います。
 その上で、緊急着陸も報告を聞きましたけれども、例えば自衛隊機などでもまさに予防的に行われるものなので、これは事故でないというように思います。ですから、いずれにしても、私(大臣)は、これまで初めにスケジュールありきという立場は取らないとずっと言ってきたのですね。ですから、しっかりと日本が主体的に安全性を確認していく作業をきちんとして、日米合同委員会、実はこれは率直に申し上げて、難しい作業になっています。こういうオスプレイの運用について委員会で協議するということはなかなか世界にも例を見ませんから、かなりの難作業に今なっているのです。
 ただ、やはり安全性をしっかり確認をし、その上で低空飛行訓練などについて、なるほどと思ってもらえるようにならないと、私(大臣)はいけないというように考えていますので、その作業を今精一杯やっているという状況であります。その作業を終えたら、また丁寧にご説明をさせていただくということになろうかと思います。
 ご存じのように、CH46はもう何十年も前に製造を終えています。自衛隊機でも退役しているわけです。ですから、これは古くなればなるほど、また危ないというところがありますので、だから余計にオスプレイに換装しているというところがあるので、日本の安全保障上も、あるいは東アジアの安全保障上もやはりオスプレイは必要だというように思いますので、安全性をきちんと自ら確認をしながら、自らの言葉で説明をしていくということをしたいというように思います。

【NHK 坂本記者】その関連で、10月配備はちょっと難しいのではないかという意見も中にはあるのですけれども。

【玄葉外務大臣】もともとたしか10月の最初に、いわゆるFOCというのでしょうか、フルでオペレーションするという予定が、たしか10月の2日とか3日とか、10月の最初の頃だったと承知をしていますけれども、とにかく、最初に申し上げましたけれども、初めにスケジュールありきじゃなくて、やっぱり丁寧に作業をやらないといけないですから、今、その作業をやって、結果として遅れたら、それは仕方がないと思っています。

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尖閣諸島

【NHK 坂本記者】尖閣の国有化が本日、閣議決定されましたけれども、中国側は非常に反発しています。こういった中で、日本としてどのように対応していかれますでしょうか。

【玄葉外務大臣】日本国政府として、尖閣については我が国固有の領土で、歴史的にも国際法上も疑いのない事実で領有権の問題は存在しないわけでありますけれども、あくまで平穏かつ安定的に維持・管理するという観点から、今回の決定に至ったということであります。
 日中関係、これは日本にとって最も重要な二国間関係の一つであります。この間、1972年、78年、98年、08年と、それぞれ共同文書等々が発出をされています。私(大臣)はそういった共同文書をしっかりと遵守をして、戦略的な互恵関係を深化させていくことが必要だと。
 今回の事態で日中関係の安定的な発展が阻害されることはあってはならないというように思っていますので、大局的にかつ冷静に対応を、双方ともしていかなければならないというように思いますし、やはり、誤解がないように、また判断ミスなどがないように、これまでも意思疎通を行ってきましたけれども、これからもしっかりと意思疎通を図っていかなければならないというように思っています。

【NHK 坂本記者】昨日、大使が外務省の方に抗議にいらっしゃいましたけれども、本日の閣議決定を受けて、また改めて何かそういった動きはありそうかどうか、いかがでしょうか。

【玄葉外務大臣】それはちょっとわかりません。

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松下大臣の死去

【NHK 坂本記者】松下大臣が、昨日、自宅でお亡くなりになりました。これに対して、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

【玄葉外務大臣】非常に驚いていますし、心からお悔やみを申し上げたいというように思います。
 私(大臣)が国家戦略担当大臣の時に、経産副大臣としてTPPについて共に作業を行いました。松下先生はかつてコメの問題、平成5年だったと思いますけれども、座り込みまでして、いわゆる自由貿易に反対をした立場だったのですけれども、やはりこの間の政治経験を踏まえ、また将来を見据えて、やはり、高いレベルの経済連携は必要だという立場で、いつも話をされていた大変見識の高い方だなと思いました。
 それと、経産副大臣という立場で、特に福島県、被災地に寄り添っていたのですね。私(大臣)が福島県出身なので、福島県民の皆さんに聞くと、県とか町村長さん方とか、みんな「松下先生のことは信頼できる」と、こういうように言っていたのですね。本当に夢中で仕事をされていた、本当に一心不乱に仕事をされていたと私(大臣)は思っています。
 本当、改めて、残念で仕方がありません。

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オスプレイの日本配備

【琉球新報 宮城記者】先日9日、沖縄県の方で、オスプレイ配備に反対する県民大会が行われ、主催者発表で10万人集まったと。それに対する御見解と仲井眞知事がメッセージ参加ということで県民大会自体には参加されませんでしたが、それの受け止めを含めてご所感をお願いします。

【玄葉外務大臣】多くの方がお集まりになられたということに対して、しっかりと受け止めなければいけないというように思います。また、知事のメッセージ、あるいは出席されなかったことについては、特に私(大臣)からはコメントを差し控えたいと思います。
 いずれにしても、先ほど申し上げましたけれども、私(大臣)は、はじめにスケジュールありきではないと最初から言っていたと思うのです、覚えておられると思うのですけれども。そういう中で、丁寧に作業して、自ら、何回も申し上げて恐縮ですけれども、自らやはりわかりやすい言葉で安全性を評価した上で説明できるようにしないといけないし、そもそも、その前の段階で本当に安全なのかどうかをきちんと日本政府自身が評価するという作業をやる必要があるということだと思います。それを行って、そして、今、難しい作業になっていますけれど、日米合同委員会、私(大臣)もこれから頑張らなければいけないと思っているのですけれども、合同委員会でしっかりと、世界で例はないと思いますけれども、日本側の主張するところをきちんと主張して、そして、こういう形で運用されるのだというのがわかるようにしたいなというように思っています。

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外務省人事

【共同通信 池田記者】本日付で幹部人事が行われましたけれども、駐米大使に佐々江事務次官を充てたりですとか、改めて大臣の方から狙いについてお伺いできますでしょうか。

【玄葉外務大臣】一言で言えば適材適所で、私(大臣)もずっと一年間、じっと見てきましたので、ベストな人事をしたいという思いでおりました。一部、民間の大使の人事についての評価がいろいろあるようでありますけれども、私(大臣)は、民間の大使というのはこれからももちろんあっていいし、あるべきだというように思っていますし、場合によっては政治家出身だって私(大臣)は、本当に適任者がいたら、そういった人事があったっていいとさえ思っています。

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外務大臣会見記録(平成24年9月7日(金曜日)9時20分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)ロシア・ウラジオストク訪問について

【玄葉外務大臣】野田総理が8日(土曜日)から9日(日曜日)までAPECの首脳会議に出席する予定でありますけれども、私(大臣)もAPECの閣僚会議に出席して、昨日帰りましたけれども、首脳会議の機会に、野田総理がロシアなどと二国間の首脳会談を行います。例えばロシア、非常に大事な首脳会談でありますけれども、そのほかにもシンガポールとか豪州とか調整をしております。その他いくつかの国、あるいはヒラリー・クリントン国務長官の表敬もあるというように思いますけれども、そういった場に同席をしたいと思っていますし、首脳会議の夕食会に同行している各外相もあわせて出席をするということになりましたので、様々な形で意見交換を行うために、本日夕方、またウラジオストクに行きたいというように思っています。
 日本の場合はこういう例はあまりないのですけれども、国によっては必ず首脳に外相が同行するという国は多いのですけれども、我が国の場合はあまりありませんけれども、今申し上げた理由、さらには私(大臣)としてロシアを非常に重視を以前からしております。そういう意味で、先般もソチを訪問したところでありますし、あまり報道してくれていませんが、シュヴァロフ第一副首相、非常に良い会談を行ったというように思っています。そういった中で日露首脳会談が開かれますし、当然、ラヴロフ外相も同席します。ウラジオストクでも3~4回、ラヴロフ外相といろいろ立ち話をいたしましたし、あの時、インドネシアの外相、タイの外相、マレーシアの外相をはじめ様々な方とコーヒーブレイクのときに意見交換したりしましたので、やはりマルチの場を活用して、今回は同行した方が良いという判断をいたしました。そういうことで、本日また行ってまいります。

(2)平成25年度予算概算要求について

【玄葉外務大臣】本日、平成25年度の予算概算要求を財務省に提出する予定であります。今回の概算要求は、「実のある外交」を推進するため、日本再生戦略の実現にも資する形で「ODAの戦略的・効果的な活用」として「世界における日本のプレゼンスの強化」といった考え方を念頭にまとめたところです。
 平成25年度予算におきましては、日本再生戦略の特別重点分野、いわゆる特別枠と、私(大臣)も政調会長時代に予算をやっておりましたけれども、エネルギー・環境・医療分野での日本企業の海外展開をODAを使って支援したいと。これは世界の成長を取り込むという観点で非常に大事ですし、先般、私(大臣)からパッケージ型インフラ海外展開の会合で、例えば一千億の円借款を活用して海外支援したときに、どのくらいの国内への需要創出効果があるのかとか、いわゆる波及効果があるのかというのは、実は調べてもらっています。一定の効果が出てきていまして、やはり円借というのは、ご存じのとおり、戻ってくるのですけれども、そもそも一千億出したら、戻ってくる一千億ですけれども、一千億をはるかに上回る形で国内への波及効果があるというのがわかってきておりますので、そういう意味でODAを上手に活用して、世界の成長を取り込みたいと。さらにはODA予算の反転基調の端緒を昨年開いたと私(大臣)申し上げましたけれども、この基調を確実なものにしたいというように考えています。
 また、実のある外交推進のためには、外交の実施体制の強化ということで、かつて150という話をしましたけれども、なんとか在外拠点の拡充、人的体制の強化というものを図っていきたいというように思っています。

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日露関係

【日本テレビ 菊池記者】日露の首脳会談ですが、やはり領土問題が一つ大きなテーマになると思うのですけれども、どのような結果に結び付けたいか、成果をみたいとお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】結論から申し上げると、次の総理の訪露につなげたいということですね。やはり、たぶん、ロシアのプーチン大統領は、各国と首脳会談を行うと思いますけれども、日本だけは時間が特別に長いのです。多分、他国とは20分とかそういうレベルですけれども、日本はおそらく40分とか45分とかなのです。日本ともう一つだけはちょっと特別にしていると言っておりましたけれども、やはり、次官レベル、外相レベル、そして、首脳レベルで実質的な議論をしていくということが大事だと思うのです。
 40分、45分では、さすがに実質的な議論というのはやりにくいところはありますので、当然領土問題は話しますけれども、まさに時間をかけて議論する次の訪露に確実につなげるということが一番大事だというように思っています。
 シュヴァロフさんにも、国民感情への配慮、相互信頼というのは、大変大事だということを何回も言いましたけれども、やはり、総理からも言っていただこうと思っています。

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日韓及び日中関係

【日本テレビ 菊池記者】中国、韓国とのコミュニケーションを、この機に図るおつもりはあるのかどうか、その辺りのお見通しをお聞かせください。

【玄葉外務大臣】わかりません、まだ。いわゆる閣僚も、いわゆる首脳の夕食会に各閣僚というより外相が同席をするということになれば、それは自然発生的な形で意見交換を行える可能性はあるというように思います。

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内政

【日本テレビ 菊池記者】党内の動きですけれども、細野大臣の出馬する、しないが取沙汰されております。民主党の一議員として、はたまた野田政権の一員として、この一連の動きをどのようにご覧になっていたのか、お聞かせください。

【玄葉外務大臣】まだ、昨日帰ってきて今日また行くので、十分政局の状況を把握しているということではありませんけれども、私(大臣)はどういう代表選挙になっても、首相をくるくる代えてはいけませんし、野田総理はしっかりと仕事を進めてきていると考えていますし、やはり総理というのは重責です。その重責を担う、その真の覚悟と胆力といったものが求められるというように思っています。
 私(大臣)は野田総理をしっかりと支援したいというように思います。

【日本テレビ 菊池記者】今回、ご自身は御出馬するということは考えませんでしたか。

【玄葉外務大臣】考えていません。

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日韓及び日中関係

【TBS 西川記者】中国と韓国とは、APECの場で、例えば偶発的な立ち話とか以外には、調整はしていないということでしょうか。

【玄葉外務大臣】そうですね。外交上のやり取りなので申し上げませんけれど、基本的にはそういうことです。
 ただ、この間、中国、韓国はともかく、改めて思いましたけれど、かなりいろいろな人と、先方も大分声をかけてくれましたし、私(大臣)も声をかけたりして、いろいろな方とかなり意味のある話をできる場ですね、APECの場というのはですね。それは感じますね、APECに出席したのは二回目ですけれども。

【西日本新聞 吉田記者】中国と韓国と、正式な会談をしない理由というのは。正式に申し入れていない理由は何でしょうか。

【玄葉外務大臣】理由ですか。特に今回正式な会談をするということが、良い結果をもたらすことになるのかどうかということを、総合的に勘案しなければいけないというように思うのですね。お互いにとって、どういう形での意思疎通が良いのか、意思疎通は私(大臣)は中国とも韓国とも非常に大切だというように思っています。
 ただ、どういう形の意思疎通、つまり公式な場での意思疎通が大事なのか、そうではないのか、また違う形での意思疎通が大事なのか、それはさまざま外交ですからございますので、私(大臣)は今回はそういった形、公式という形はとらない方がいいと思っています。

【西日本新聞 吉田記者】中国、韓国側からもそういう要請はなかったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】外交上のやり取りなので、そういうことは差し控えます。

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日本アカデメイヤの提言

【共同通信社 池田記者】先日、大臣が以前に講演されました、日本アカデメイヤの一部の有志の方々が国会改革について緊急提言をまとめて発表されましたけれども、改めてこの評価と大臣が考える国益に資する国会改革というのはどういうものか、お考えを伺えますでしょうか。

【玄葉外務大臣】今、池田さんが(質問した)アカデメイヤの提言、これは私(大臣)も熟読しました。
 一言で言うと、素晴らしい提言だというように思っていますし、問題意識を共有するところがあります。数字を見て驚いたのは、外務大臣が国会に出席している日にちが他の先進国と比べると10倍くらいあるという数字になっていて、私(大臣)もいろいろな外相と懇談をする中で少し感じてはいたのですが、改めて数字で出てきて驚きました。 ただ、これは党派を超えて大臣とか総理の国会出席日数の問題であるとか、あるいは、政と官の関係であるとか、あと先般質問が出たと思いますけれども、予算と財源はセットで通すべきであるとか、ああいったことは非常に大切な視点だと思うのですね。つくづくやはり考えるのは、将来世代のための政治が必要だ、豊かさを引き継ぐためにどうするかということに私(大臣)は尽きると思いますし、日本の総合的な国力というものをどうやってつけていくのかということが、政治に与えられた使命だと思いますけれども、そのためにはやはり、ガバナンスの問題、統治機構の問題、政府と立法府の関係で、やはり改革すべきところは改革しなければいけないと、党派を超えてですね、そう思っていますので、そういう意味で今回の提言というのは非常に貴重なものじゃないかと思います。
 党派を超えて、これは私(大臣)も野党を長く経験し、一回生の時は与党、あと野党、そして今回閣僚を2年3か月くらいずっとやっているのですけれども、両方経験してみて、感じますね。これはやはり、日本の国益のためにやはり、ここは国会改革も含めて、政府と国会の関係を含めて、党派を超えて考えるべきところ、そういう時期にいよいよ来たなという感じがします。

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内政

【朝日新聞 松村記者】昨日、中野譲政務官が細野さんの代表選擁立に伴って辞意を伝えられたということなのですけれども、いつどのような形で伝えられたのかということと、万が一細野さんが立候補されない場合に、このまま続けていただくことを要請されるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】昨日、電話で話したのですけれど、私(大臣)がウラジオストクに行く直前にちょっと聞いたので、預からせてくれという話をして、これから会います。それで、もう1年間一緒に汗を流してきた同士でありますから、もう一回きちんと考え方を聞きたいというように思っています。
 非常に一本気で素晴らしい男なので、もう一回きちんと考え方を聞いて、一緒に考えたいと思っています。

【朝日新聞 松村記者】理由は何とおっしゃっているのですか。

【玄葉外務大臣】それはこれからもう一回きちんと聞きます。理由は基本的には、代表選でけじめをつけたいのだというような話ですけれど、ただ、それが本当に良いのかどうかも含めて、一緒に考えたいと思っています。

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日韓及び日中関係

【読売新聞 松浦記者】今度、APECで日中の首脳会談についてはありそうなのでしょうか。もう1つ、韓国は本日、竹島への上陸訓練を予定されていますけれども、これが実施された場合は、なにか抗議のようなものは予定されていますか。

【玄葉外務大臣】首脳会談はさっき申し上げた形になるのではないでしょうか。こういう首脳会談が予定されていると冒頭申し上げたと、私(大臣)は思いますけれども。
 それと竹島ですが、マリーンの着上陸の訓練を予定していたということですけれども、恐らく、それはやらなくなったのではないかというように思います。毎年やっているような訓練ということではないでしょうか。ただ、毎年やっているような訓練でも、それは望ましくないので、当然、我々から申し入れもそのことについてもしていますし、まだこれからということですから、その後のことは、仮にそうなったら、そうなったなりの対応をしたいと。ただ、今までやっていなかった上陸しての訓練という話だったから、これまでは。それは、私(大臣)はやらなくなったのではないかと思います。

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外務大臣会見記録(平成24年9月4日(火曜日)11時10分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)大臣就任1周年について

【玄葉外務大臣】ちょうど就任1周年ということで、一言申し上げたいというように思います。
 1年前の就任会見で、「兵・食・信」という言葉を使って国益の最大化に全力を尽くしたいというように述べたわけでありますけれども、この一年間で努力した点を若干振り返りたいというように思います。
 まず、最近は領土をめぐる問題がございます。竹島につきましては、ご存じのとおり、国際司法裁判所への付託の提案を含め、これから堂々と国際法に則った主張を日本として行って、国際社会の理解を、今、まさに求め始めたところでありますし、これからも求め続けたいというように考えております。
 また、尖閣諸島に関する中国独自の主張に基づく言動に対しては、適切に対応しているつもりでございます。また、北方領土でありますが、これはいつも申し上げているとおり、諸合意・諸文書、法と正義の原則を基礎にして、静かで建設的な環境の下でロシアとの交渉を進めるべく取り組んできたし、これからも取り組んでいきたいというように考えております。
 「兵・食・信」と申し上げましたので、「兵」、すなわち安全保障の分野でありますけれども、まず日米同盟の深化に全力・注力をしてきたところであります。クリントン国務長官とは7回、会談をいたしたようでありますけれども、本年4月の「2+2」では、在日米軍の再編に一定の成果を得たと考えております。昨年には、米軍属に対する裁判権の行使などについて、日米地位協定の運用を改善いたしました。
 また、近隣諸国とも、協力関係が着実に強化されている分野があるというように思っていまして、特に、東アジアの首脳会議(EAS)であるとか、ARF等の場を通じて国際法に基づくネットワークの構築の必要性を強調、この間してきたところでありますし、ASEANというものを大変重視をしてきたところであります。そういう意味で、海洋における協力等の分野について成果があったと思っています。
 また、中国とは、先ほど申し上げた尖閣をめぐる事態についての中国独自の主張はありますけれども、昨年12月の野田総理訪中の際の「6つのイニシアティブ」に基づいて、戦略的互恵関係の深化に努めているところでもあります。特に、海洋協議、海洋機関間同士の協議というものが第一歩を踏み出したというのは、私(大臣)は非常に意味のあることであるというように考えています。
 北朝鮮の問題では、日米韓の連携、さらには中露との協力というものをしっかりと行っていると考えていまして、現在、日朝の政府間協議の実施というものを調整中でございます。
 民主化が進むミャンマーにつきましては、昨年12月に私(大臣)が訪問しまして、また、4月には28年ぶりに大統領が来日をしたところであります。7月にも再度、外相会談を行って、民主化、国民和解、経済改革の配当を国民が実感できるよう支援を強化するという旨、伝達したところであります。
 国際社会の課題でありますけれども、南スーダンへの自衛隊部隊の派遣、これは就任直後に決定をいたしました。また、防衛装備品等の海外移転に関する基準の策定、また、アフガニスタンに関する東京会合は成功裡に開催できたというように考えています。さらに申し上げれば、新たなフロンティアとして、宇宙・サイバー、こういった分野で態勢を整えて、取り組みを強化をしているところであります。
 また、日本とイランの外相会談(7月8日)も行ったのですけれども、核問題の解決に向けた働きかけを現在、実施をしているところであります。ホルムズ海峡をめぐる問題についても、挑発的な言動を控えるように働きかけをしているところであります。
 「食」、すなわち繁栄でありますが、過去15年間で半減したODAを反転させる端緒を開いたというように思っていまして、何とか来年度の予算の編成におきましても、このODAにつきましては、この反転を確かなものにしたいというように考えています。
 経済連携強化を推進をしてきました。日中韓のFTAは年内の交渉開始に合意をしたところであります。EUとは、EPA交渉のためのプロセスの開始を完了いたしました。TPPはご存じのように、関係国との協議というものを現在、推進しているところです。東アジア包括的な経済連携(RCEP)、これは11月に交渉立ち上げを目指しているところであります。
 「信」、すなわち価値の問題では、フルキャストで「日本的な価値」を発信する外交ということで、今、外務省の機構改革を実施をしているところでありますし、例えば、ASEAN向けのODAの中身なども、内容をこういった観点から、今、見直しをしているところです。
 また、3月に、国家戦略担当大臣と共に「国際広報連絡会議」を立ち上げて、国家戦略として日本の文化というものを海外展開させて、日本的な「価値」に対する理解の増進に積極的に取り組んでいきたいと考えています。
 引き続き日本の国益の最大化のため全力を尽くしたいというように思っています。

(2)APEC閣僚会議への出席について

【玄葉外務大臣】第24回のAPECの閣僚会議に出席するため、本日9月4日(火曜日)から6日(木曜日)までウラジオストクを訪問する予定であります。
 APECは、アジア太平洋地域の開かれた貿易・投資を推進して、地域の更なる繁栄に向けて参加エコノミーが協力する場として、我が国がその創設以来、主導してきた地域経済統合の試みであります。
 私(大臣)が出席するAPEC閣僚会議は、アジア太平洋地域における開かれた市場に基づく貿易・投資の体制の確立を目指して、APEC参加エコノミーの外務・貿易担当閣僚が域内の共通の課題解決に向けて直接議論を行う非常に重要な場でもあります。
 今回の会議の主要課題は、議長であるロシアが重視する食料安全保障の強化、緊急事態への備えの強化、多角的貿易体制への支持、貿易・投資の自由化及び地域経済統合、信頼できるサプライチェーンの構築、イノベーション促進のための緊密な協力等ということになります。
 地域経済統合、経済成長促進に向けて、昨年のホノルルAPECでの首脳合意である環境物品リストの作成を始めとする具体的な成果が得られるよう、枝野経産大臣とともに議論に積極的に貢献していきたいというように考えているところです。

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APEC首脳・閣僚会議

【テレビ朝日 花村記者】APEC閣僚会議の際に、大臣のバイ会談の調整状況はいかがでしょうか。

【玄葉外務大臣】バイ会談は実は私(大臣)が行っているその日にち、一日しかないのですけれども、あまり外相が来ていない。どちらかというと首脳が集まる場に外相が来るということになっているようでありますので、現在調整中ですけれども、あまり行う予定はありません。一部あります。

【テレビ朝日 花村記者】ロシアとは。

【玄葉外務大臣】今、調整中です。

【テレビ朝日 花村記者】その後のAPECの首脳会議ですけれども、野田総理は中国の胡錦濤国家主席との会談を調整されているところだと思いますけれども、今、尖閣の話で都の調査に対して中国は抑制的ながらも、やはり反発をしていますし、一方、国は国有化に向けて大詰めの調整をされているところだと思います。
 首脳会談が行われる場合、その意味合いとどのような会談にされたいと思いますか。

【玄葉外務大臣】仮定の質問なので、首脳会談が行われるかどうかは、まだわかりません。
 総理がどなたと首脳会談を行うかということについては、調整中ということでございます。
 尖閣に関する我が国の立場は、ご存じのとおりであります。その上で尖閣を巡る事態が、いわば日中の今後の発展、大局に影響を与えないようにするための意思疎通というのは、私(大臣)は大事であるというように考えているところであります。

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日朝協議

【テレビ朝日 花村記者】日朝ですけれども、少し日にちが経ちましたが、先週の予備協議について改めて受け止めと、今月17日で日朝平壌宣言から10年ということで、予備協議の中ではお互いにそれを念頭にした発言もあったということですけれども、次に行われる高いレベルの会議をこの17日までに行いたいというようなお考えはございますか。

【玄葉外務大臣】先般、課長レベルの実務的で突っ込んだやり取りがあったことは、すぐ電報や電話等で、あるいは杉山局長から刻々と報告があったところであります。
 一定の前進はあったというように思いますが、実質的な前進を勝ち取らなければなりませんし、日朝間のいわば双方が関心を有する事項ということでありますので、当然、我が国からすれば、遺骨の問題に限らず、最も重視する拉致の問題をはじめ、安全保障等の問題も含めて、しっかり適切に確固たる姿勢で対応しなければならないというように思っています。
 9月17日というのは確かにおっしゃる通り、日朝平壌宣言から10周年ということもありますので、それは一つのでありますけれども、次の協議の目安になり得る可能性があるだろうというように思っています。

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日韓関係

【産経新聞 杉本記者】1年の外交を振り返った中での安全保障についてお伺いしたいのですけれども、大臣と総理は日米韓の安全保障上の連携を重視したいということで今まで努力をされていらっしゃったと思いますけれども、特に韓国との二国間関係においては、GSOMIAの締結等も進めておりました、ところがGSOMIAは未だ締結されておりませんし、最近の日韓関係の悪化に伴って安全保障上の交流も停滞しているというように思いますけれども、一連の日韓関係の悪化が日米韓の連携、あるいは日韓の連携に安全保障上影響を及ぼしているのか、及ぼしているとしたら、どのように打開したいというように考えていらっしゃるのか、考えを伺ってもよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】まず、今回の竹島上陸に関しては、やはり毅然と対応しないといけません。その上で、冷静さを保たなければならない理由は、今、杉本さんが言うように安全保障上、日米韓の連携、そして、日韓の連携というものは非常に大切であるということは大きな一つの理由なわけです。ですから、北朝鮮の問題一つとっても、私(大臣)はこういう事態にあっても、必ず韓国に連絡をするようにと、しかも事前にということで指示をしています。ですから、こういったところについて、互いに冷静になっていかないといけないというように思います。ですから、そこをきちんと分けて考えられるようになるのが、やはり、新しい日韓関係の一つのあり方なのだろうというように思うのです。
 これからも、我々は竹島についての主張をしていきますから、ですから、ここはそう簡単にお互い折り合えないところだろうと思うのです。ですから、そういうことがありながらも、冷静に必要な協力というものを確固たるものにしていく、そういう日韓関係にこれからしていかないといけないと思いますし、やはり、韓国の次期政権にできるだけ影響を与えないような方法というものも、考えていかないといけないというように私(大臣)は考えています。

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日露関係

【北海道新聞 安藤記者】APECに関して、今回、ロシアが初めての議長国をされることになります。先ほど、日中の首脳会談の話がありましたが日露も首脳会談を準備されていると思いますが、経済の関係での協力というのを深めていくというのはすごく大事だと思うのですけれども、これをてこに領土交渉にどのようにつなげていってほしいかという御期待があれば伺えますでしょうか。

【玄葉外務大臣】まず、今回のAPECは全体で言えば、一番の焦点は横浜で元々始まったグリーン成長を、いわばAPECというのは貿易投資の体制ですから、その環境物品リストの2015年までの5%下げというのを、昨年私もハワイに行きましたけれども、ハワイのAPECで決めたのです。ですから、その対象物品を今回決めると。例えば風力発電機であるとか、太陽熱ヒーターであるとか、そういったものが関税がどんどん下がっていく、APECエコノミーの中で下がっていくと言えば、それはグリーン成長というのが全体の中で進んでいくわけですし、日本の国益にも大いに適うわけであります。ですから、私(大臣)は今回この点は、しっかり強調したいというように思っています。食料安保とか、もちろんFTAAP全体とか、そういったことはありますけれども、今申し上げたことできちんと成果を得るというのが、今回のAPEC、実はそう簡単ではないのですけれども、まだまだ意見が対立していますから、ですけれども、そのことが大事なのではないかというように思います。
 その上で今回は、ロシアのウラジオストクという極東で行われるということなのです。ロシアというのは、ご存じのように極東の開発に力を注いでいるわけです。私(大臣)はプーチン大統領との会談でも、極東における開発についての日露の協力というのは、非常に潜在的にも可能性を秘めているというように思います。ですから、そういった協力を進めていく中で、これまでプーチン大統領、特に第一期、さまざまな海域や国境を画定するときには、あらゆる経済協力を進展をさせつつ国境や海域を画定しているのですね。ですから、あらゆる分野の協力を進めながら最大の懸案である北方領土問題、四島の帰属の解決、平和条約の締結、そういったものに対して、進展を図っていきたいというように考えています。

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内政

【西日本新聞 吉田記者】民主党の代表選が始まっておりますが、今、党内で細野さんへの待望論もでています。同じ閣僚ということですが、この動きをどのように見ていらっしゃるかというのと、御自身のスタンスを改めて代表選について、よろしくお願いします。

【玄葉外務大臣】私(大臣)は、野田総理をしっかりと支えたいというように考えています。他方、代表選について、やはりしっかりと論争が行われて、それがまた次の責任ある改革の公約、マニフェストにつながるような代表選になるべきであるというように考えています。

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今年度予算の執行

【読売新聞 松浦記者】予算の執行の関係でお伺いしたいのですけれども、このまま、10月、11月と特例公債法案が通らない場合、外務省内でどのような影響が出てくるとお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】それは、今、実はそのことについて整理をさせているところで、まだ報告をもらっているわけではないのです。ただ、それは様々なところに影響が出てくるのではないかというように思います。特に、日本の外務省の予算というのは、大層ODAが占めているという側面がありますので、そういう意味で、ODAなどに有償・無償を問わずに影響が出てくる可能性というのは否定できないのではないか。それが結果として、日本の、いわゆるパッケージ型のインフラ海外展開などに影響が出たり、相手国との信頼関係に影響が出たりということはあり得るので、やはり、どうも報道によれば、民主党は政党交付金をしばらく受けとらないのであるという報道もありましたけれども、やはり、本来、予算と特例公債法案はセットで通すべきであって、それをある意味、日本の慣行にすべきであると思います。私(大臣)は政調会長で、いわゆる去年ですか、大変苦労をしました。これは、やはり予算を通すときにはセットであるという慣行をしっかりつくるべきだと、野党と話し合って、そう思います。

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