記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成24年8月)


INDEX

















外務大臣会見記録(平成24年8月31日(金曜日)8時41分~ 於:官邸エントランスホール)

日朝予備協議

【フジテレビ 清水記者】本日も引き続き協議ということですけれども、特に拉致問題について協議が進んでいるというような認識をお持ちでしょうか。

【玄葉外務大臣】協議を、今、行っていますので、協議が終わるまでは何も申し上げない方がいいと思います。いずれにしても、私(大臣)の指示どおり実務者は、今、お互いに仕事をしているというように思っています。

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拉致問題

【フジテレビ 清水記者】一部報道で、横田めぐみさんが1994年以降に再婚して男児を出産し、2001年までは、少なくとも生存していたという情報を政府が把握していたという報道がありますけれども、事実関係をお願いします。

【玄葉外務大臣】横田めぐみさんを含めて、全ての拉致被害者の生存を前提に、我々は拉致被害者の一刻も早い帰国のために全力を尽くしているということです。様々な情報収集を当然ながらしておりますけれども、その具体的内容について申し上げるわけにはいかないことはご理解をいただきたいというように思います。

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駐中国日本大使車車旗の持ち去り事案

【フジテレビ 清水記者】丹羽大使の車が襲撃されて、国旗が奪われた事件に関してですけれども、一部報道で、男は起訴されない方針だということですけれども、こういった処分についてはいかがでしょうか。

【玄葉外務大臣】私(大臣)のところにきているのは、全ての被疑者が割り出されたということで、今、中国の公安当局が捜査中であるということできています。いずれにしても、厳正な捜査、そして再発防止、邦人の安全確保、このことは非常に大事だというように思います。

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日朝予備協議

【毎日新聞 横田記者】昨日終わる予定が本日一日、繰り延べになっていますけれども、本日中には何らかの課長級協議の結論が出るというように考えてよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】これは予断は許しませんけれども、多分、課長級協議は本日で終了ではないかと想像しますが、まだわかりません。いずれにしても、以前から申し上げておりますけれども、何回かかかるだろうと。根気強く我々の主張が通るように交渉しなければならないと考えています。

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尖閣諸島

【香港フェニックステレビ リー記者】中国の方から、尖閣に関して、上陸しない、調査しない、開発しないといった提案があったと一部報道にありました。これに関しての事実関係を教えてください。それから、日本側は、もし中国の提案があったとしたら、どのように対応していくのでしょうか。

【玄葉外務大臣】それは聞いておりません。当然、さまざまなやり取りは日中間で常に行われています。

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駐中国日本大使車車旗の持ち去り事案

【NHK 大谷記者】中国の容疑者確保について、拘束していない段階での通報というのは異例だと思うのですけれども、中国側の姿勢をどういうふうに思ってらっしゃいますか。

【玄葉外務大臣】本件被疑者を全て割り出したと。そして、捜査を進めているというように通報があったということであります。ですから、捜査がいずれにしても迅速に進展することを期待しています。

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日露関係

【テレビ朝日 高松記者】APECが近いですが、ロシアに強い森元総理にどんな役割とかを期待されていたりというのはありませんか。

【玄葉外務大臣】以前からも申し上げておりますけれども、森元総理にロシアへ行っていただくことで調整をしています。

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外務大臣会見記録(平成24年8月29日(水曜日)14時30分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

駐中国日本大使車車旗の持ち去り事案

【朝日新聞 松村記者】北京の丹羽大使の車から国旗が奪われた件ですけれども、容疑者と思われる男性が拘束されて事情聴取が進んでいるというような報道がありますけれども、今のところ把握されている事実関係についてお願いします。

【玄葉外務大臣】結論から申し上げると、容疑者を拘束したという通報は受けておりません。いずれにしても、国旗、または国章、こういったものは国の、いわば尊厳の象徴になりますので、極めて遺憾なことなので厳正な捜査を望みたいと思いますし、中国側もこれに対しては厳正な捜査を行うというように言っているということでございます。

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慰安婦問題

【共同通信 斎藤記者】慰安婦問題についてお伺いしたいと思います。野田総理が一昨日の参院予算委員会で、慰安婦問題に関連して、強制連行したとの記述を文書で確認できなかったと、日本側からそういった証言もないと、だけれども、従軍慰安婦の聞き取りを含めて、いわゆる河野談話ができたことが背景にあるという旨の答弁をされました。これに対して昨日、韓国の外交通商部の報道官が記者会見で、「過去の日本のお詫びや反省を再び無効にする行為と見るしかない」と、こう発言したと聞き及んでいます。そこでお伺いしたいのですが、1つは、野田総理の、私が紹介させていただいたこの答弁に何らかの問題があるのかどうか。韓国側の総理発言批判をどう受け止めるか、これが1点です。
 2点目は、大臣ご自身は、いわゆる慰安婦問題を巡って日本が慰安婦と言われる方々を強制連行したという事実があると認識しているのかどうか、玄葉大臣ご自身がです。この点について、2点目お伺いしたいと思います。

【玄葉外務大臣】1点目は、先般の野田総理の発言に問題があるのかと言われれば、問題はないというように思います。それは、すなわちこの間の河野談話ができる経緯、さらにはその後、安倍内閣等で行った答弁、そして質問主意書に対する答え、こういったものをあわせて発言をされたものというように理解をしています。つまりは、証拠はないけれども、いわば慰安婦の皆さんの聞き取り等々によって、そういった心証を得たといったことに基づいて、河野談話がつくられたということを語ったものであるというように思います。河野談話それ自体、野田内閣として、これまでの歴代の自民党政権と同様に受け継いでいるというか、引き継いでいるというように思います。したがって、韓国側はこの間の経緯について良く調べて、正確に理解をしてもらいたいというように思います、野田総理の発言につきましてはですね。
 それでは、斎藤さんの2つ目の質問の、玄葉光一郎はどう思っているのかということでございますけれども、私(大臣)も外務大臣という立場でありますから、河野談話を踏襲しているということでご理解いただければというように思っています。つまり、今のご質問は、強制連行があったのかなかったのか、その事実関係をということですけれども、これは私(大臣)一人で、今、証拠を集めて調べるということは無理な話でありますから、この間、政府として調べてきたことを基本的に踏襲するということでございます。あわせて申し上げれば、私(大臣)は証拠の議論というのも大事ですけれども、やはり、女性の尊厳を傷つける行為ということに対しては、私(大臣)は心を寄せなければならないというように思っています。

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オスプレイの日本配備

【フリーランス 上出氏】既に国会、それから防衛大臣が言っていることで、オスプレイのことでお伺いします。
 いろいろな論議があるのですけれども、結局、この計画が先にあって、日本の専門家たちが調べてOKだというお墨付きを出しているのですが、そもそもは、オスプレイに最初から参加していないのに無理があるのではないかという、結局は米国のそのまま報告を鵜呑みにせざるを得なかったのではないかという、常識的にみたらそうなのですが、計画が先にありきだったのではないかということについて、改めてお伺いしたいのが一点と、もう一つは、本来事前協議の対象になってもいいのではないかと、他にもいろいろな事前協議の対象があるのですが、もし、今後事前協議が行われるとしたらどういうものが対象になるのかという、その辺をお聞かせいただければと思うのですが。
 
【玄葉外務大臣】まず後者の方から申し上げると、岸・ハーター交換公文並びに、藤山・マッカーサー口頭了解というのがございますけれども、その中の事前協議の対象にはならないというように考えています。ただ、その分、事実上の事前協議、やり取り、調整、そういったものを日米間で行っていくべきであるし、この間も行ってきているということでございます。
 一点目のご質問は、昨日、森本大臣がモロッコのMV22の事故について報告をされたわけでありますけれども、いわば二つのミス、マニュアル違反というものが重なったのであるという説明だったのではないかというように承知をしています。一つは確か、Avoid、避けるべき領域に入ってしまった。もう一つはナセルの操作を間違えた。こういった内容ではなかったかというように思います。
 鵜呑みにしたのかということでありますが、私(大臣)は部外の有識者も含めて日本としての独自の分析を行っているというように考えています。ただ、大事なことはこれからだと思います。これで終わりにしてはいけないと思います。本日、沖縄と山口を森本大臣が訪問されるということでありますけれども、これで終わりにしてはいけないと思うのです。日本として、部外の有識者も含め、専門家がしっかり分析をし評価をし、その中でこれはもっと詰めなければいけないな、そう思った点、そして、再発防止としてとらなければならないのではないかと思われる点、そういった点をしっかりと米国側にぶつけていくということが大事なのであって、これからそういったことを米国側とやり取りを行っていく、キャッチボールをしていく、そういうことを私(大臣)は行っていくべきであるというように考えています。
 これは、おそらく、出てくるであろうフロリダのCV22の方も同じことでありまして、やはりそういったことをきちんと行って、また、日米合同委員会でいわゆる低空飛行も含めた運用についてしっかりと日米間で議論をして、その結果として、改めて沖縄県、山口県の皆様はじめ、関係の皆さまに丁寧に説明をしていくということが大切であるというように思います。
 同時に、そういった安全性を日本が主体的に確認をして説明をすると同時に、決して追随ではなく、本当に疑問なところはしっかりぶつけていくことが大事だと思うのです。始めにスケジュールありきではなくて、そういった安全性を自分たちで丁寧にやはり確認をしていく、そして、説明をしていく、そのことが大事。併せて、いつも申し上げますけれども、これは自衛隊でもCH46Eは退役をさせている機種であります。20年以上前から私(大臣)の記憶ではCH46Eは製造していない、そういった古い機種をいつまで使うのかといったことも併せて考えなければならないし、皆さまも耳にタコができているほど聞いていると思いますけれども、オスプレイのいわば行動半径が4倍になって、積載量が3倍になって、速度が2倍になるという我が国の安全保障、南西諸島防衛を含めた安全保障、東アジアの安全保障、そして災害救援、人道支援、こういったことに対して我々の要請に応えるものである、そういう部分も含めて説明をしていかなければならないと思っています。

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慰安婦問題

【朝日新聞 東岡記者】先ほどの慰安婦問題の河野談話については、野田内閣としてもまた外務大臣としても踏襲をしているということでした。その上でお尋ねしますが、松原大臣が閣僚懇での議論を提起したいという趣旨の発言をされています。こうした閣僚間での議論の必要性について、どうお考えなのか。一方で踏襲をしていると言いながらも議論を提起するとした松原大臣の発言について、どう評価されるのかという点がまず一つ。
 もう一つは昨年12月の京都での日韓首脳会談において、慰安婦問題について知恵を絞っていくということを野田総理の方から李明博大統領に伝えております。この知恵を絞るという作業については引き続き続けるのかどうか、あわせてお聞かせください。

【玄葉外務大臣】閣僚会議というのは正式にはなくて、閣議があって、その後、閣僚懇というのがあります。その閣僚懇の中で各閣僚は自由に発言できるようになっているわけです。かつて自民党政権では、自らの所掌のみだったかもしれませんけれども、民主党政権になって、自らの所掌を越えて発言をすることができるようになったというように承知していますけれども、そういう中で、議論が提起されること自体を否定する必要はないと思います。ただ、既にもう方針として野田内閣としては、先ほど申し上げたような方針であるということに変わりはないだろうというように思っています。
 それと、知恵を絞る云々ということでございますけれども、言うまでもなく65年の日韓請求権・経済協力協定で法的に解決済みである。そして、政治的にも解決をしているのであるが、人道面の措置ということで御存じのようにアジア女性基金はじめ、その後のフォローアップ事業も行っている、そういう状況にあるというように思います。それ以上でもそれ以下でも現時点ではございません。

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竹島問題

【フリーランス 安積氏】大臣が昨日もおっしゃいましたけれども、竹島について不法占拠とおっしゃった件についてお伺いいたします。
 野田首相も大臣も不法占拠とおっしゃいましたけれども、これは非常に強いメッセージを韓国に伝えたものと思っております。これについて、もし、閣僚の中に不法占拠という言葉を否定する閣僚がいる場合は、これは閣内不一致になるのでしょうか。
 
【玄葉外務大臣】これは全く仮定の質問ですよね。誰かいるのですか。いそうだという推測があるのですか。以前、外務大臣という立場だった方もいらっしゃるということを連想されたのですかね。これは、私(大臣)としては今後、不法占拠という言葉を使います。ただ、法的根拠のない支配、占拠、こういったものと法的評価は変わらないということでございます。
 今回、一線を越えた対応を韓国の元首が行ったわけです。ですから、それに対して、特に領土の問題には原則として領土の問題で対抗したいというように、原則そう思っておりまして、国際司法裁判所への提訴、それが一つ、そして、ICJへの提訴がなかなか難しいというようなことも含めて考え合わせれば、これもまた簡単ではないかもしれませんけれども、日韓の紛争交換公文による調停の提案、更には今申し上げたような表現ぶりも当初から考えておりました。その上で領土の体制強化、つまり政府のこの問題における教育、あるいは在外公館を通じたPR等々も含めた体制の強化、こういった措置を次々と取り始めているというか、取ってきていると、こういう状況にあるというように考えております。
 不法占拠という言葉は、今後も使い続けます。

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日朝予備協議

【共同 斎藤記者】本日から日朝協議が始まりますけれども、大臣として、北朝鮮に対して、拉致問題解決に向けて何を求めるか、何を期待するのか。呼びかけるとすれば何を呼びかけるのか、改めてこの場でメッセージを発信していただければと思います。

【玄葉外務大臣】日朝間には様々な諸懸案があります。遺骨の問題が今回、一つのスタートということになりますけれども、この機会に様々な諸懸案、私(大臣)が考えるに拉致の問題は最重要問題の一つである。当然、二者だけでは解決できない核やミサイルの問題もございます。そういった問題に結びつけていかなければならないと私(大臣)は考えております。ただ、簡単に事が運ぶなどと楽観視しているわけではございません。根気強く交渉を行っていかなければならないと考えております。

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TPP

【フリーランス 上出氏】TPPのことで確認です。9月の上旬にAPECがございますが、そこでの日本の態度というものを改めて見解を示していただきたいのですが。APECでは表明しないということでよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】正式にまだ何も決まっていません。ただ、TPPにつきましては、私(大臣)はいつも申し上げておりますけれども、大戦略であって様々な障害を乗り越え、あるいは様々なプレッシャー団体の思いもありますけれども、中長期的に次の世代まで考えたときに、私(大臣)は、このTPPというのは日本にとって、経済的にも安全保障上も非常に大切なテーマになるというように思いますし、あわせて農業の問題をこの機会に正面から取り上げるべきであると思っています。それは、国内的に、農業についてご存じのように、例えば、果樹とか野菜というのは関税がかかっているわけではありませんけれども、いわゆる関税がかかっている品目についてどのようにしていくのか。それは除外と例外がどの程度認められるかによりますけれども、除外や例外が簡単に認められない品目も出てくるだろうと。
 そういったことに対して、日本の農業政策が制度的変更を伴うような改革を、私(大臣)は行っていかなければならないと思っています。そのことが実は、中長期的に日本の農業を成長産業化させることにつながると。そして輸出産業化させることにつながるというように考えています。APECでの態度はまだ決めているわけではありません。

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外務大臣会見記録(平成24年8月28日(火曜日)9時31分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

駐中国日本大使車車旗の持ち去り事案

【テレビ東京 山口記者】昨日夕方に、丹羽大使を乗せた車が中国人と見られる男に襲われて、日本の国旗が結果的に奪い去られるという事案が発生しました。受け止めと今後の対応についてよろしくお願いします。

【玄葉外務大臣】これは、一言で言えば大変遺憾ですけれども、まず国旗というのは、これは国の、いわば威厳を尊重しなければならない。そのことに対して相当の注意を払わなければならないというのが、まず国際法上の原則なわけです。また、ウィーン条約上も外交官に対して身体の自由などをきちんと守っていかなければいけないということでありますから、厳正に抗議をしたところであります。
 事案が発生して、たしか1時間後でありますけれども、厳正な抗議をし、再発防止、そして、あわせてこの事件に関しての刑事捜査というものを強く求めたところであります。先ほどの厳正な抗議に対して中国側として、まさに極めて遺憾なことなので、これはしっかりと法に基づいて対処する。また、中国に滞在をしている在留邦人、日本人の、また企業の安全確保をしっかり図っていきたいという話があったところであります。本日、もう既に高いレベルで抗議をしていますけれども、本日、正式にそのとき撮った写真だとか、ナンバープレートなども写真を撮れているみたいなので、そういったことを携行しながら抗議するということになります。

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山口副大臣の訪中

【朝日新聞 東岡記者】一部報道で、野田総理から胡錦濤国家主席宛の親書を山口副大臣が訪中する際に持参するという報道がありましたけれども、事実関係はどうなのでしょうか。

【玄葉外務大臣】今のご質問は、副大臣の訪中ということでありますけれども、今、そういう方向で調整をしています。現下の日中の情勢、地域全体の情勢、これは朝鮮半島も含めてということになります。また、グローバルな情勢を踏まえての意見交換、意思疎通というものを、今、私(大臣)は図っておかなければならないというように考えています。

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日朝予備協議

【産経新聞 杉本記者】明日から、北京で日朝協議が始まりますけれども、議題を整理する前提の予備協議という位置づけだと思いますが、これに対する期待と見通しと、海外メディアの報道で、シンガポールで日朝の政府の実務者が接触をして、経済協力等について話をしたという報道がありますけれども、その事実関係も含めてお願いします。

【玄葉外務大臣】シンガポールで協議したという事実はまったくありません。それはもう間違いです。
 北京での予備協議でありますが、以前から申し上げていますけれども、まず議題を整理するということで、何回かかかるかなというように思っています。私(大臣)は、しっかりと我々が考えていることというものがきちんと整理されるように、しっかりと対応したいというように考えています。

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駐中国日本大使車車旗の持ち去り事案

【香港フェニックステレビ リー記者】大使の件ですけれども、改めて本日、中国側に対して抗議をする予定ということでしょうか。

【玄葉外務大臣】既に抗議をしていますので、昨日の時点でですね。いわば、先ほど申し上げたように、その現場で写真を撮ったりしたのだそうです、犯人のナンバープレートだとか。そういったものを持っているので、その時に改めて北京の方で、そのことを言うということであります。

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山口副大臣の訪中

【毎日新聞 横田記者】親書の件で確認ですけれども、この前の尖閣の事件については、親書の中で触れるようなお考えというのはあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】親書の中身を手渡す以前に、内容の話をするというのは避けなければならないと、そう思っています。先般だって手渡しをした後、概要を発表したのだと思います。今、内容について申し上げるわけにはまいりません。

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日朝予備協議

【産経新聞 杉本記者】日朝協議についてですけれども、今回4年ぶりに協議が再開するという点で、拉致の問題が再調査につながる、あるいは拉致の被害者が新たに帰国するという可能性はあるというように、大臣は考えていらっしゃるでしょうか。

【玄葉外務大臣】今、私(大臣)が申し上げられることは、先般も委員会でやり取りがありましたけれども、やはり日朝間には諸懸案があって、私(大臣)は拉致の問題が含まれると当然に考えているのです。その上で遺骨の問題も重要、さまざまな諸懸案があって、私(大臣)は拉致の問題が最重要であるという観点で対応したいと考えております。

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山口副大臣の訪中

【AFP通信 長谷川記者】親書の件ですけれども、山口副大臣はいつ訪中のご予定でしょうか。

【玄葉外務大臣】国会とかもあるので調整をしています。事情が許せば、本日からということになると思います。

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オスプレイの日本配備

【西日本新聞 吉田記者】オスプレイのモロッコの事故の分析結果がでましたけれども、沖縄、山口の理解につながるものだという御認識でしょうか。

【玄葉外務大臣】日本政府として、やはり主体的に分析評価をして、その安全性を確認する必要がある、まずモロッコの事故ということであります。その後、フロリダのCVの方でありますけれども、しっかりと確認をしたいというように思います。
 本日、それは防衛大臣の方から分析結果については発表があるだろうというように思います。それを踏まえて、単純に分析結果がでたから「はい、分かりました」ということでは必ずしもないと私(大臣)は思います。ですから、その分析結果を踏まえて、日米でどうするのかというやり取りを私(大臣)はやるべきだというように思うのです。そして、米側からやはり一定の回答を得ながらこの安全性の確認というものを行っていくべきであると。ですから、私(大臣)は元から申し上げておりますけれども、はじめにスケジュールありきという立場はとりません。ただ、これもいつも申し上げて恐縮ですけれども、CH46Eというのは自衛隊も退役させているのです。20年前に製造をやめているのですよね。今、海兵隊はもうMVに換装していると、オスプレイにです。
 我が国の安全保障と東アジアの安全保障、南西諸島を含めて、しっかりと対応する。それもやはり我が国として必要なことである。ですから、そのことをきちんと踏まえつつも、ただ安全性について、皆さんなかなか懸念があるというのが現状でありますから、それに対してやはり日本政府が独自の分析を加えて米国側にさまざまな疑問点があるのであれば、それについてきちんと問いただしながら安全性を確保していくということは私(大臣)は大事だと思います。そして、日米合同委員会で、そういった場があるわけでありますから、そういった中でさまざまなやり取りを現時点でもしている、今、週一回くらいやっていますから、そういったことをやりたいなと思っています。

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竹島問題

【山陰中央新報社 藤原記者】竹島の問題についてですが、ここにきて地元では今後の展望に関して聞きたいというか、関心というのが高まりつつあるのですけれども、今後第三国へアピールするための手法だとか手立て、あるいは省内で体制を、例えばチームを作ったりとか、あるいは地元の自治体と連携をしたりとか、そういったところを含めて、どういうように情報発信の強化をしたりとか、あるいはロジックを強化していくのか。

【玄葉外務大臣】地元の自治体と連携を取ることはまず大事だというように思います。
 既にパンフレットは10の言語に訳してまして、それぞれの在外公館に広報PRを既に指示をしているところであります。
 やはり、この間、日本政府として、竹島について管轄権の一部が行使できない状況にあったわけです。全斗煥政権、もっと言うと李承晩政権以降ずっとそうだったのに何もして来なかったと言ってもいいかもしれません。そういう状況の中で、初めて本格的なアクションを取り始めるということだというように考えています。

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外務大臣会見記録(平成24年8月24日(金曜日)19時45分~ 於:大臣接見室前)

冒頭発言-申ガク秀駐日韓国大使への申し入れ

【玄葉外務大臣】本日、在京韓国大使館から8月17日付けの野田総理の親書の郵送での返送があったので、申ガク秀(シン・ガクス)駐日韓国大使を召致したところです。私(大臣)から申大使に対して5点伝えました。
 一つは、最近の韓国の外交慣例上あってはならない言動は極めて遺憾であるけれども、今回また首脳間の親書を返すという外交慣例上あり得ない行為に及んだことは、大変遺憾であり、強く抗議をする。
 二つ目は、仮に、親書に韓国として受け入れられない内容が含まれているのであれば、堂々と韓国側の主張を返信等で述べるのが通常であると考える。しかしながら、竹島との文言が含まれているがために、今回のように首脳間の親書を返すということは受け入れられない。我が国は、国際社会で竹島の領有権を堂々と、その主張を正々堂々と行っていく。
 三つ目は、さらに李大統領及び金外交通商部長官の天皇陛下に対する発言については、改めて抗議するとともに、韓国政府に謝罪と撤回を強く求めたところであります。
 四つ目、同時に、自分(大臣)としては、韓国が我が国にとって重要な隣国であり、難しい問題があっても、大局的な観点から冷静に対応すべきとの考えに立ち、安定的な日韓関係に向け取り組んでいきたいということ。
 また最後に、五点目に、どんなことがあっても対話の扉を閉じてはいけない。本日も国会で電話に出なかったということが取り上げられましたけど、こういうことはないようにしようと。特に外交当局間は、冷静に対応すべきところは対応しなければならないはずだということを伝えたところであります。

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日韓関係

【テレビ東京 山口記者】5点、申ガク秀大使に伝えられたということですけれども、それに対して大使の方から具体的な反応等々あったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】具体的な反応というのは、もちろん韓国側の主張に基づく言動はありました。でも、詳細はつまびらかにする必要はないと思います。対話の扉をとにかく閉じちゃいけないというのは同意していましたし、最終的には、冷静に対応しましょうということについて、大使は、それは同感であるということを言っていました。

【テレビ東京 山口記者】本日、野田総理が、竹島を含めて領土問題を不退転の決意という話をしましたけれども、野田総理の決意について、申大使の方に改めて直接伝えたりされたのでしょうか。総理が領土問題について臨時の会見を開きましたけれども、その内容についてもちろん、総理が会見という形で伝えたということだと思いますけれども、大使に大臣の方から直接、総理の思いというものは伝えたのでしょうか。

【玄葉外務大臣】先ほど申し上げたように、5点、きちんと伝えましたので、それは伝わったと思います。ですから、韓国の話ですから、竹島について当然きちんと、先ほど申し上げた5点を伝えましたし、我々はしっかり国際社会の中で正々堂々と主張を行うし、双方がそれを行うべきだということをきちんと、まさにそれは不退転です。ICJというのは、提訴するのにも覚悟がいるんですね。それは、判決が出たら受け入れるという覚悟がいるわけですから、本日、総理の記者会見は竹島のことだけじゃありませんから、それぞれのことについて、きちんと話をされたということだと思います。

【毎日新聞 西田記者】日本側の冷静な大局に立った行動に対して、韓国側がしてきている反応については、大臣が思っていらっしゃる以上に韓国側は予想以上の反応をしてきているという実感がありますか。

【玄葉外務大臣】外交慣例上あり得ない行為が今回もあったわけですから、非常に残念だし、強く遺憾に思います。ただ、それでも今回、我々、例えば親書を再送しなかったというのは、これは外交の品位、国家の品格にもかかわりますので、やはり冷静に対応すべきところは冷静に対応する。毅然と対応すべきところは毅然と対応する。そのことが大事だと思います。

【時事通信 北條記者】韓国側では、大臣が韓国の竹島領有について不法占拠というように言ったことについて、大変激しい反発が出ていますけれども、本日の大使との会見ではそのことについて大使からどのような表現で出ていましたか。

【玄葉外務大臣】出ていました。大体、予想できると思いますけれども、私(大臣)からは、そういった私(大臣)に対する、いわば抗議のようなものなのでしょうけれども、とても受け入れられないと。これは、我が国の立場に則って私(大臣)は発言したということと、もう一つはICJ(国際司法裁判所)で双方が正々堂々と主張を述べあえばよいと言いました。

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外務大臣会見記録(平成24年8月24日(金曜日)9時15分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-日朝予備協議について

【玄葉外務大臣】日朝政府間協議を近いうちに再開すべく、そのための予備協議を開催することは先般、発表したとおりであります。その後、北京の大使館ルートでさらに調整を行った結果、まずは29日に北京にて課長級の予備協議を開催することになりました。協議は、29日午後から1日、または必要ならば2日間、まずは行うということになりましたので、そのことを冒頭申し上げたいというように思います。

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日朝予備協議

【TBS 西川記者】日朝ですが、もともとは局長級でやられるということだったと思うのですが、なぜ課長級に変更になったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】これは、いわゆる北京の大使館ルートで調整した結果、先方の希望です。ですから、今後、必要に応じて局長級の予備協議を行うことも考えたいというように思っています。

【TBS 西川記者】基本的な質問ですが、局長級が課長級に変わることによって、交渉内容等々、何か変更はあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】特にないと思います。若干その分、時間がかかる可能性があるということだと思います。

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日韓関係

【TBS 西川記者】野田総理の親書についてお聞かせ願いたいと思います。昨日、韓国の大使館職員が外務省に来て、直接返却しようとしたわけですが、外務省の方から受け入れを拒否したということを受けて、今度は親書の返却を郵送で行うということですが、このことに対する政府の対応をお聞かせください。

【玄葉外務大臣】これは言うまでもなく、親書を、いわば送り返すというのは極めて遺憾だし、非礼な行為だというように思います。通常はあり得ない行為だというように考えています。どうも郵送で送ると。まだ来ておりませんけれども、ただ、これを再びまた送るということをしようとは考えていません。
 理由は2つありまして、1つは、先方が受け取らないと言っている理由は、「竹島」という文言が入っているからということなのですね。ということは、内容は全て把握しているということなので、メッセージは伝わっているということが1つ。
 もう1つは、親書の送付のやり取りをめぐって、これ以上、このやり取りが続くというのは、我が国の外交の品位というものを考えたときに好ましいものではない。ですから、再び送るということは、私(大臣)としては考えない方がいいというように思っています。
 ただ、その上で申し上げれば、普通は親書に対して、もし受け入れられないという、何か主張があるということであれば、それは返信という形で届ければいいのであって、本当にどうしたのかなという感じがしているというのが率直なところでありまして、このことに対して、それだけ竹島をめぐる領有権の問題に自信がないのかなと思わざるを得ないところもある。今回のことは、しかるべき形でしかるべきレベルで抗議をして、その際は、天皇陛下に対する発言に対しても、昨日、総理が国会で答弁されましたから、謝罪と撤回を求めるということになろうかと思います。

【TBS 西川記者】大臣は、本日の閣議後に総理と官房長官と残られていたと思うのですが、その対応について総理と官房長官と協議して決められたということでしょうか。

【玄葉外務大臣】そうですね、これは総理の親書でございますので、私(大臣)が出したということではありませんから、やはり特に総理の思いをきちんと確認をしながら対応しなければいけないというように思います。

【TBS 西川記者】李明博大統領の竹島上陸から始まって日韓関係が一気にエスカレートして悪い方向に行っているのかなというように思うのですが、これを改善させ元の良好な関係に戻すためには、政府としてどのようなことを取り組んでいこうと思われますか。

【玄葉外務大臣】私(大臣)もこの間の日韓関係、それぞれの政権の時の日韓関係を調べました。何があって、どの時期が良い時期で安定した時期で良好な時期で悪かった時期で、悪かった時期はたくさんあります。
 李承晩ラインが引かれた時は当然のことでありますし、また、金泳三政権の時もあまり良くなかったように思います。盧武鉉政権、小泉さんでありましたけれど、この時も非常に良くなかったですよね。結局、李明博政権の時も最初は良かったわけですけれども、小渕元総理-金大中元大統領の時も最初は良かった、これは最良の時期だったと思いますけれど、最後はやはり教科書問題で悪くなるのですね。
 だから、良い時もあれば困難な局面を迎える時もあるのが、この日韓関係だと私(大臣)は思っています。それと、やはり時代が変わってきているのですね。私(大臣)は冷戦終結以降の転換点を迎えている。これは日韓関係ということではなくて世界全体が、そう思っていますけれども。ですから、そういう中で大事なことは、やはり毅然と対応する、同時に我々は常に冷静さを保ちながら対応する。そのことが大事だし、そのバランスはしっかり私(大臣)の方でとっていきたいというように思っています。

【週刊金曜日 伊田記者】大臣は常々、日韓両国は死活的利益を共有しているというように言われてきたと思うのですけれども、その認識に御変化はございますでしょうか。

【玄葉外務大臣】いわゆる、特に安全保障上、戦略的な利益を共有しているということは間違いないのです。ですから、今回の日朝の協議でもそうなのですけれども、しっかりと、それはそれとして、連絡を取り合っているという状況にございますし、また同時に日米韓の連携も必要です。ですから、そういった意味での大局は忘れてはいけません。
 ただ、やはり、今まで、そういったことばかり、ある意味考慮・配慮してきた結果、こうなったというところが、私(大臣)は民主党政権ということに限らず、自民党政権時代も含めてそうだったと思います。ですから、やはり毅然とするべき時は、これからの時代毅然とし、しかし、大局を見誤らずに冷静に対応すべきところは冷静に対応するということが大事だ。ただ、おっしゃるように戦略的な利益は共有しています。

【毎日新聞 横田記者】本日、総理が記者会見をされるご予定があるそうなのですけれども、なぜこのタイミングかということと趣旨をお伺いしてよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】昨日、国会で御自分で答弁されたのではないでしょうか。しっかり国民の皆さんに総理自身の言葉で一連のこの間の事態も含めて、尖閣もですね。おそらくそうだと私(大臣)は理解しているのですが、きちんと説明をしたいと、自分の言葉で国民の皆さまに、そういうことだと思います。
 一体改革は自分でよく記者会見したので、今回のこともきちんと自分で自分の言葉で話したいということだと思います。

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エネルギー政策

【朝日新聞 土佐記者】原子力エネルギーのことで質問させていただきたいのですけれども、政府のエネルギー・環境会議では2030年時点で原発比率案を三つの選択肢で検討されていますけれども、大臣自身はどういうお考えをお持ちでしょうかというのがまず一点です。
 二点目が、2030年以降の原発の新設、または方針を認めるべきであるかどうかという点。
 最後の質問が、いわゆる使用済み核燃料の再処理の問題について、今後の方向性として廃止がいいのか、また継続、またそれを併存させていくべきなのか、または別の考え方をお持ちかどうかという点をお聞かせください。

【玄葉外務大臣】これは、私(大臣)が国家戦略担当大臣時代に半ば責任者でエネルギー・環境戦略会議というものを、あの時は副議長を務めておりましたので、大変私(大臣)は関心が高いのですけれども、ただ、今政府がエネルギー・環境戦略会議を開いて私(大臣)もメンバの一人で議論しているときに、私(大臣)が私の結論を公の場で申し上げるというのは控えないといけないというように思っています。
 ですから、そこは敢えて申し上げてないと。先般も国会答弁で若干それに近いことを申し上げたかというように思います。
 あの当時、私(大臣)は減原発ということを言って、ゼロにするかどうか含めて国民的議論をすべきであるということを言いました。あわせて、冷静に中長期的な国力という観点、エネルギー安全保障という観点も含めて最終的には大きな判断が必要であるというように、これは核燃料サイクルも含めてそう思っているということです。

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外務大臣会見記録(平成24年8月22日(水曜日)10時17分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)邦人記者・日本人女子大学生の死亡事案について

【玄葉外務大臣】20日(日本時間)に発生したシリアのアレッポで取材中の邦人記者、山本美香記者の死亡に関して、詳細については確認中でありますけれども、いずれにせよ、銃撃を受けて死亡したということは極めて遺憾であり、かかる行為を強く非難するとともに、ご遺族に心から哀悼の意を表したいというように思います。
 山本記者のご遺体は、現在トルコのキリスに搬送されており、現地には在トルコ日本大使館職員などが赴いて、現地警察等から情報収集を行うとともに、邦人保護の観点からご家族への連絡や遺体の搬送等、必要かつ可能な支援を行っているところでございます。
 シリアの今後の状況は予断を許さず、我が国政府としては、引き続き今後のシリアの情勢を注視していくとともに、シリア政府による弾圧と全ての暴力が直ちに停止され、シリア人主導の政権移行プロセスがスムーズに進むよう、改めて強く求めます。また、新たに任命されたブラヒミ特使の努力を支え、引き続き国際社会と連携しつつ、シリア情勢改善のために取り組む考えであります。
 また、ルーマニアにおきまして、日本語を教えるため現地に赴いた日本人女子大学生が事件に巻き込まれ、命を落とされました。こうした心ない残虐な犯罪を非難するとともに、亡くなられた益野友利香さん及びご家族に対し、心より哀悼の意を表したいと思います。
 外務省としては、海外で活躍される日本人の安全と安心の確保にさらに一層努めてまいりたいと思います。

(2)TICADⅤのロゴの発表について

【玄葉外務大臣】2013年6月1日から3日、横浜にて開催予定の第5回アフリカ開発会議(TICADⅤ)のロゴが決定しました。お手元に配布してありますので、参照していただければと思います。
 TICADは、1993年以降、5年に1度、我が国にアフリカ諸国の首脳を招き開催している、アフリカ開発をテーマとする国際会議です。2008年に行われた前回会議には、41名の国家元首・首脳級を含むアフリカ51カ国からの参加がありました。来年は、TICAD20周年の節目の年です。TICADⅤに向け、日アフリカ関係を新たなステージに引き上げるべく、フルキャストで盛り上げていきたいと思っています。
 国民の皆様や国際社会からも幅広いご参加を賜り、TICADⅤを成功させるために、今後、TICADⅤまで、本ロゴを幅広く使用させて頂きたいと思います。詳細については、外務省のホームページをご覧いただければと思います。

(3)竹島問題について

【玄葉外務大臣】昨日、竹島の領土問題に関する関係閣僚会議が開催され、国際法に則った紛争の平和的解決のための周到な準備と我が国の立場についての対外発信の強化等について、総理のご指示があったところであります。
 このような対応を現地で実施をするため、一時帰国させていた武藤駐韓大使を本日、韓国に戻すことにしたいというように考えています。

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日韓関係

【共同通信 斎藤記者】1つは、今お話のあった竹島関係閣僚会議で野田総理は冒頭のあいさつの中で「今後取ることのあり得る措置の検討をしっかり行いたい」と申されています。ご案内のとおりですが。その上で、「韓国側には思慮深く慎重な対応をすることを求めたい」と。ここからはひとつの条件とも受け止められるのですが、そこでお伺いしたいのは、日本政府が韓国に求める、この「思慮深く慎重な対応」というのは具体的にどういうものなのかと。韓国側がこの思慮深く慎重な対応を取らない限り、我が国としては対抗措置を緩めないということなのかどうか、この点について説明願いたいと思います。
 もう1点、9月にロシアでAPEC首脳会議がございますが、そこで李明博大統領との首脳会談を開催する必要性が外務省としてあるというように考えているのかどうか。同時に、日韓シャトル外交があるわけですが、順番からいけば今回、野田総理が韓国を訪問する番ですが、諸般の情勢を鑑みた上で、今、これを実施すべきなのかどうかという認識を伺いたいという2点です。

【玄葉外務大臣】斎藤さんのご質問の2点目はまだ決めておりません。1点目、思慮深い行動とは一体何を意味するのかということでございます。実際に、我々は相応の措置というものをたしかに検討しております。ただ、基本は領土問題は領土問題であるというように考えています。その上で領土の問題を対外的にアピールするための手段としての、いわゆる政府の体制の強化等も含めて先般議論になったと。ICJだけではないと。
 さらに、相応の措置について、とは言えということで、今、検討しているところでございます。まさに韓国側の対応も見ながら、まさにその対応・行動が思慮深いものであるのかどうか、冷静に日韓関係全体の大局、そして未来志向、そういったものを踏まえた上での行動に転ずるという用意があるかどうかというものを見定めながら、最終的に相応の措置というものを判断していきたいというように考えています。

【朝日新聞 東岡記者】武藤大使のソウルに戻る件ですけれども、そもそも日本に一時帰国させたのは、抗議の意志を示すためだったと理解をしております。昨日も金星煥外交通商部長官が天皇陛下の訪韓に関連して発言をしたところですけれども、そういった中で、なぜ今なのかというところについて詳しく説明していただきたいのが1点と、もう1つは、昨日、韓国政府側に口上書を出しました。現時点でそれに対する返事が何か来ているかどうか、あわせてお聞かせください。

【玄葉外務大臣】なぜ今なのかということでありますが、一時帰国は抗議の意を込めているかどうか。それは込めていないと言えば嘘になるわけであります。その中で武藤大使から私(大臣)、そして総理、官房長官等々に現地の状況、あるいはバックグラウンドなどについて説明をしてもらったということでございます。その上で、昨日、関係閣僚会議がございまして、総理の指示が出たわけでありますから、それらを現地でまさに指揮してもらうという立場にあるというように考えていますので、ソウルに戻すということなのですけれども、昨日の金星煥長官の発言は発言としてまったく遺憾なことでありまして、それは当然、我が国政府から先方に対してそういう抗議を行ったということでございます。

【毎日新聞 横田記者】抗議を行ったのは昨日かということとルートをお願いします。

【玄葉外務大臣】昨日の段階で抗議を行ったところでございます。なお、金星煥長官からは、抗議をした際に、先日の李明博大統領の天皇陛下に関わる発言を説明する中で出たのであって、同長官自身の考えを述べたものではないという旨の説明があったところであります。ただ、それにしても非建設的な発言を、理解できない発言を続けているということに対しては、まったく遺憾で、理解できないことでありますので、これは韓国自身のためにもならないというように考えています。

【フリーランス 上出氏】竹島関連ですが、二つあります。先週の金曜日、枝野大臣の会見の時、枝野大臣は、韓国のいろいろな諸問題についてはあるけれども、当然影響は受けるでしょうと言って、主権が優先なのだと、とにかく主権問題が優先ですということを言っています。実際にはいろいろな貿易関連の会議なんかは特に支障なく一応進めているということなのです。そういった主権優先というような、そういう対応というのは、閣議の中で一致してそういうことをメッセージしようということなのかどうか、それから玄葉大臣自身はどうなのか。友好という、未来志向という問題もあるわけですけれども、その辺との関係はどうなのかというのが一点と、もう一点は国民から見たら、尖閣問題も一緒にでていて、とかくそういった反日行動などに対して、過剰反応しやすい、その辺とのバランスというのは、外交的な問題もあるのでしょうけれども、優先順位、この辺をもう少し国民に分かりやすく説明していただけませんでしょうか。

【玄葉外務大臣】枝野大臣の発言は、通商経済の関係全般の可能性について述べたものであるというように私(大臣)自身は考えております。その上で、主権に関わる話について、やはり毅然と対応する必要があります。同時に、大局というものを見失わずに、冷静に対応する必要があるということではないかというように考えております。
 基本的に主権に関わること、領土の問題に関しては竹島のような形、今回のようなケースでは、基本は原則として領土問題で相応の措置を取っていくということでありますけれども、他方、その後の発言等もございますから、相応の措置についてさまざまなメニューについて検討しているのは事実でございますし、現にいくつかの会談等が延期になっているということもございます。
 日韓の関係で言えば、日韓の関係というのは、本来、未来志向であるべきだし、経済の相互依存関係は非常に密接であります。また、文化の交流、人的な交流というものも非常に活発になってきているわけでありまして、そういった日韓関係全体に及ぼす影響も当然勘案をしながら、最終的に相応の措置を決めていきますが、先ほどこれは触れましたけれども、ただ韓国側の対応もきちんと見ながら判断をしていくことが大事であるというように思っています。

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日朝予備協議

【テレビ朝日 花村記者】来週行われる日朝の予備協議ですけれども、4年ぶりに北朝鮮と接触ということで、予備とはいえ本協議につなげるために、しかし、一方で、北朝鮮が拉致に対してどのように反応するかというのは注目だと思うのですが、改めて、どのような予備協議、どのようにして本交渉につなげていくか、その辺をお聞かせください。

【玄葉外務大臣】これはもう先般も申し上げましたけれども、今回8月29日に行われるであろう予備協議は、まさに先般の赤十字間で人道上の重要な問題である遺骨の問題についての議論を経て、政府間の関与というものを両赤十字が求めるということを経て行われるものであります。
 その際、我々から日朝間にはさまざまな諸懸案がありますねということを言っているところであります。そのさまざまな諸懸案には、我々として拉致問題というものは当然に含まれるというように考えていますし、やはり、なんとしても拉致というものを私(大臣)は重要視しているというように申し上げたいと思います。

【東京新聞 五味記者】北朝鮮の中央通信が16日に、日朝政府間協議について、遺骨問題を政治利用する不純な意図があるというようなことを言って拉致問題を取り上げることを牽制するような発言をしております。
 これについて、今回は予備交渉という位置付けですけれども、もしこの拉致の問題で意見がかみ合わなかったら協議を続けられるのか、それとも粘り強く拉致の問題を取り上げるように相手を説得していくのか。一方で遺骨の関係者の方は今月下旬から平壌を訪問、墓参する動きもありますが、その関連でどのように進めていかれるのか、ご説明いただけたらと思います。

【玄葉外務大臣】今のご質問に対しては、私(大臣)は拉致の問題について非常に重要であるというように考えているということを、改めて申し上げたいというように思います。予備協議で議題が設定されていくというのが基本であるというように思っていまして、それは一回で終わるようなものではないかもしれません。何回かかかるかもしれません。私(大臣)は、先ほど申し上げたような認識であるということでございます。
 他方、遺骨の問題等々についてはそれはそれとして、人道上の戦後未解決の問題としてしっかり扱っていかなければいけない。ただ、拉致の問題について、やはりしっかり対応したいという強い思いがございます。

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日米地位協定の見直し

【テレビ東京 山口記者】2002年に横須賀で米軍兵士にオーストラリア人の女性が強姦されるという事件がありまして、これは刑事では不起訴になったのですけれども、民事では勝訴して賠償金支払いが加害者側に命じられたのですけれども、結果として兵士は帰国してしまって、日本政府が見舞金300万円を支払うというようなことになりました。
 この女性は、今回帰国した兵士が裁かれないということに納得できずに、5月に米国の裁判所に判決履行を求めて提訴して、来月のはじめに裁判が始まるというようなことを聞いているのですけれども、これについて二点お伺いしたいのですが、政府として、今回米国で提訴したということへの受け止めと、今後、地位協定、公務外の被害者救済について改めたり、現状の昭和39年に閣議決定された見舞金制度の在り方だとか、SACO合意の差額、穴埋めだとか、そういったものに関して米国に補償を求めるように改善、働きかけ等々する考えはお持ちなのかどうかということと、あと、国内刑法犯の中で米軍の関係者の起訴率が1割強という中で、日本全体の起訴率が4割強と考えると、極めて低い状況になっているのですけれども、この受け止めとこの状況に関して今後改めて新たな手立て等々検討する余地というか、考えはあるのかどうか、それについてよろしくお願いします。

【玄葉外務大臣】これは、米国の裁判所に提訴したことについてはコメントを控えたいと思いますが、結局、本来そういった事件については、当然ながら加害者が支払うべきものだというように私(大臣)も思います。でも、なかなかそうはならないケースというのがこの間起きているということもあって、既にご存じだと思いますけれども、日米地位協定18条の6だったと思いますけれども、米国政府が慰謝料を支払うことによる処理方法を規定をしているということです。また、日米両政府でいわば運用の改善ということでおっしゃったように、いわば前払い制度とか、無利子融資制度とか見舞金であるとか、そういった措置というものをとって何とか被害者が救済をされるようにということで運用の改善を重ねているというように私(大臣)としては理解をしております。
 併せて、起訴率の話ですけれども、手元に私(大臣)も資料があるのですけれども、確かに平成20年から22年までの自動車業務上過失致死傷事件を除く一般刑法犯の起訴率は日本人によるものも含む全事件については29.1%、日本側が、公務外のような時がそうなのですが、まさに第一次裁判権を有する米軍人等による事件については21.5%という意味で言うと後者の方が低いと。他方、平成20年から22年までの全事件の起訴率は34.7%なのに対し、日本側が第一次裁判権を有する米軍人等による事件の起訴率は43.7%ということであります。ですから、結局、毎年刑法犯の処理件数は全国で20万件くらいあると聞いています。米軍人によるもので言えば100件から200件なので、そのパーセンテージを比較することがどこまで有意かということがまず一つあると思います。それと、大事なことは、やはり日本側が第一次裁判権を有する、こうやっていわゆる公務外のまさに今回のような、ご指摘のような事件というのは日本側が第一次裁判権を有するわけですよね。その時にいわゆる加害者が、あるいは容疑者が米軍人であるか、米軍人でないかによって起訴するか否かの判断が違うというようなことがあってはならないということだと考えますし、そういう差は私(大臣)はないものというように承知しています。

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日露関係

【北海道新聞 安藤記者】先日、玄葉大臣がソチに行ったときにプーチンさんとお会いになって森元総理の特使派遣について、改めて検討と協議・調整を進められてきたと思うのですが、弊社の取材によりますと、先週末に特使の派遣は断念したというような報道をさせていただきました。
 その事実関係、ロシアから受け入れられないというような回答があったのかどうか教えてください。更にAPECの際に日露首脳会談が予定されると思うのですけれども、せっかく領土交渉の露払い役として森さんに期待されていたところはあると思うのですが、その影響が何かあるかどうか。更に、もしAPECまで間に合わない場合は、APEC後に特使派遣の調整を進めるかどうか伺えますでしょうか。

【玄葉外務大臣】結論だけ申し上げると、時期はともかく森元総理にはロシアに行っていただこうというように考えておりますし、ロシア側もそれを受け入れるというように思います。時期はともかく。

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外務大臣会見記録(平成24年8月17日(金曜日)12時26分~ 於:大臣接見室前)

冒頭発言-日韓関係

【玄葉外務大臣】私(大臣)が11日にも皆様にお伝えをし,今朝,官房長官からも発表しておりますけれども,李大統領の竹島上陸に対する我が国政府の対応措置について申し上げたいと思います。
 まず,韓国政府に,近日中に国際司法裁判所(ICJ)への提訴としての合意付託及び日韓紛争解決交換公文に基づく調停を提案します。韓国政府は「グローバル・コリア」を標榜しているわけでありますから,仮に自国の竹島に対する領有権の主張が正当なものであるということであるならば,我が国の提案に応じるべきだと考えますし,韓国政府に対して強くそのことを求めたいと思います。
 また,近々,竹島問題について関係する閣僚の会合を開催いただき,今後の体制の強化等も含め,議論をいたします。また,民間分野での竹島問題等の調査研究,国民世論の啓発のための活動を支援する取組みも調整してまいります。
 ただし,明確に申し上げておきたいと思いますけれども,今回の竹島上陸に関連する措置は,必ずしも今申し上げたことに限定されているわけではありません。韓国側の行動に対して,相応する措置の検討は引き続き進めます。そして,韓国側の行動等も勘案しながら,更にいかなる措置を取るか,適切に判断したいと考えております。
 また,先ほど申珏秀大使を外務省に召致し,ただいま申し上げた我が国の対応措置について明確に伝えました。加えて,李大統領の天皇陛下に係る発言について,我が国政府から天皇陛下の韓国ご訪問を取り上げたことはないということ,そして,李大統領の発言は理解に苦しむということ,誠に遺憾であること,李大統領が非建設的な発言を続けることは韓国のためにもならないということを申し入れました。
 最後に,私(大臣)から申大使に,現在の事態を深く憂慮しており,韓国が日韓間の大局に立って,こうした最近の言動を改めること,そして,韓国が思慮深く慎重な対応をとっていただきたいということを伝えたところであります。
 私(大臣)からは以上です。

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日韓関係

【フジテレビ 長谷川記者】先ほどの申大使との面会についてですが,付託と調停を大臣から話されたと思いますが,それに対して申大使からどういった回答があったのでしょうか。それを明確に拒否するような回答があったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】正式に,まだ口上書で言っているというわけではないので,大使から,政府としての現時点での考え方の説明はありました。ただ,私(大臣)としてはICJへの提訴,合意付託に応じるようにということ,そして紛争解決交換公文の調停に応じるべきであることを強く重ねて求めたところであります。先ほど,「グローバルコリア」ということを申し上げましたけれども,54年と62年でしたか,拒否をしている経緯があるんです。ただ,54年と62年と今というのは,もう60年近く経っているわけです。韓国は,確か90年代初期に国連に加盟しているんです。国連というのは法の支配の重要性というものをまさに言っているわけで,国連の重要な加盟国である以上,竹島の領有権を主張するのであれば,まさに堂々とこれに応じるべきであると強く思いますし,そのことを求め続けたいと思います。

【フジテレビ 長谷川記者】韓国側への正式な提案,口上書提出等は時期的にはどのくらいの目処になりますでしょうか。

【玄葉外務大臣】これは検討しているときにも申し上げましたけれども,そう遠くならない内にと思っております。率直に申し上げると,訴状を書くのには時間がかかります。物理的にです。ただ,できるだけ早く正式な意志が伝わるような形も含めて,今考えているということです。

【フジテレビ 長谷川記者】「グローバルコリア」なので韓国側は受けるべきだということですが,韓国側がこの提案を受ける可能性というのは低いのではないかと言われています。韓国側が拒否した場合,次の手段といいますか,次の対応はどのようにお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】このICJの問題で言えば,今後の訴訟戦略に支障を来す恐れがあるんです。今,その後のことをどうだこうだと言うと。ですから,そのことは敢えて差し控えたいと思っています。ただ,大事なことは,国際社会の中でこの問題をきちっと公正な形で,平和的に紛争解決するのであるということをしっかりと訴えていくということだと思います。

【テレビ朝日 花村記者】追加の措置で韓国の国連安保理の非常任理事国入りの不支持ということも検討されていらっしゃるんでしょうか。

【玄葉外務大臣】追加の措置については様々検討中です。今明確に申し上げることは差し控えたいと思いますけれども,先ほども申し上げましたけれども,今日発表したのは当面の措置ということでありますので,様々な検討を引き続き進めたいと思っています。様々なメニューがあり得ると思います。

【産経新聞 杉本記者】ICJについて,過去2回に付託を相手側に対して要望した際は拒否されて,その後日本は単独提訴を見送っていますけれども,今回は単独提訴は排除しているんでしょうか,排除していないんでしょうか。

【玄葉外務大臣】これは先ほど申し上げたように,訴訟戦略に関わる話ですから,今申し上げるということは控えなければならないというように思っています。

【日本テレビ 菊池記者】同じ領土でも,中国に対しては早期の収拾を図ったという状態なんですけども,今回の韓国に対してはかなり強硬な姿勢で臨んでいる。この対応の違いについてはどのようにお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】そもそも状況,経緯が,これは違うと言わざるを得ないのではないでしょうか。一つは国家元首が上陸をしたわけです。それと,そもそもの経緯というのも違うということもありますから,私(大臣)は,当然それぞれに対して違うということはあって然るべきだと思います。それは北方領土だって同じだと思います。北方領土は交渉中なわけです。平和条約を結ぼうではないかということで両首脳が一致をしているわけです。その上でまさに交渉中なわけです。そういうものとそうでないものとを同じように扱うというのはどうかというように思います。

【朝日新聞 東岡記者】ICJの提訴について韓国側が同意した場合,実際審議が始まることになりますが,その上で,日本の領土であると判決を取れる勝算についてどうお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】私(大臣)は,十二分にあると思っています。これまでの歴史的な経緯というものを見た時にもそう思いますし,サンフランシスコ平和条約の時の経緯も含めてもそう思います。私(大臣)は,日本の立場に理があると考えています。

【読売新聞 加藤記者】ICJの提訴ですが,単独で提訴もできる中,あえて合同付託を提案する判断に至ったのはどういうことでしょうか。

【玄葉外務大臣】まずは合意付託するのが本筋だと思います。

【読売新聞 伊藤記者】竹島への上陸から1週間の中で,天皇陛下の訪韓発言や8月15日の発言など,どんどん韓国側が強硬姿勢を強めているというのも今回の提訴の判断には影響しているのでしょうか。

【玄葉外務大臣】国家元首が竹島に上陸した時点で,私(大臣)は次の日に会見したと思うのですけれども,その時からICJのことは私(大臣)としては検討を開始していたということです。その後の発言はその後の発言として,今日も大使に対して抗議をし,言動を改めるべきであるということまで明確に私(大臣)の方から伝えたわけです。領土問題に対しては領土問題でというのは,基本でなくてはならないというようには思います。ただ,やはり相応の措置というのは今後とも引き続き考えていきたいと思います。

【西日本新聞 吉田記者】大統領の天皇陛下に係る発言に関して,野党側からは謝罪・撤回を求めるべきだという声もありますが,今はとりあえず抗議でとどめていると。

【玄葉外務大臣】先ほど申し上げたように,言動を改めるべきであるということを今日は伝えたということです。

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尖閣諸島

【毎日新聞 横田記者】今日強制送還が確認されましたけれども,今回の対応の評価と,これが日中関係に与える影響をどのように考えていらっしゃるかお願いします。

【玄葉外務大臣】国内法に則って,厳正に対処していくということがまず第一だと思います。今回,出入国管理法違反ということで,今日,関係の閣僚会議が開かれた時に,私(大臣)も報告を聞きましたけれども,いわゆる,海上保安官にけが人が出たり,そういったことまではなかった。それと,海上保安庁の船が損傷した部分もあるでしょうけど,それは自分から,止めるがために,ブロックするがために寄っていって損傷したということで,私(大臣)もそのことは今日改めてしつこく聞いたのですが,そうことであります。危機管理室のオペレーションルームにいた人たちは,皆さんビデオを見ていたでしょうから,そういったことも踏まえ,かつ,その都度総理への報告があって,国内法に則って粛々と対応すると同時に,内閣総理大臣がその都度状況の報告を受けて判断をしている。そのことについて,先ほど関係閣僚会議で情報の共有と対処方針の確認をしたということで,私(大臣)は,今回の対応についてはこれで良いのではないかと考えています。

【毎日新聞 横田記者】前回の時には日中関係が尖閣問題でかなりこじれましたけれども,今回の対応で日中関係の影響というのは最小限にとどめられたという認識でしょうか。

【玄葉外務大臣】それはそう思いますけれども,確かにそのことも大事です,お互いに冷静に対処する。ただ,我が国として国内法に則って厳正に対処するということも,これまた大事なことです。ですから,そのことも含めてしっかり対応したのではないかと考えています。

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外務大臣会見記録(平成24年8月15日(水曜日)13時58分~ 於:大臣接見室前)

冒頭発言-韓国大統領の発言について

【玄葉外務大臣】李明博大統領が天皇陛下にかかる発言をしたということを昨日この場で聞かれた段階では,私(大臣)自身内容を確認していなかったので,一言だけ申し上げたいと思います。
 まず,我が国政府からは,韓国政府に対して,天皇陛下の韓国ご訪問について取り上げたことはございません。そのような中で,李明博大統領が昨日のような発言をしたということは理解に苦しみますし,極めて遺憾だということであります。以上です。

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日韓関係

【フジテレビ 古屋記者】李明博大統領に関しては,今日もいわゆる従軍慰安婦問題について,人類の普遍的価値に反する行為との発言がありましたが,これについての受け止めはいかがでしょうか。

【玄葉外務大臣】今日の発言も内容を確認しましたが,日本は価値を共有するパートナーで,共に未来を切り開きたいということも併せて言及をして,その上で従軍慰安婦問題を取り上げているということだと思います。この問題は,これまで繰り返し,我が国政府の一貫した立場は申し上げてきております。それは,従軍慰安婦問題を含めた日韓の請求権,経済協力協定に基づくものであるということであります。それとは別に人道的措置をこれまでも講じてきているということです。

【フジテレビ 古屋記者】竹島訪問以降,大統領は対日強硬とも見える姿勢を続けてきていますが,これについて背景,意図をどのように分析しておられるでしょうか。

【玄葉外務大臣】背景,意図を,推測で私(大臣)が公式な立場で申し上げるのは差し控えたいと思います。ただ,やはり,日韓双方とも冷静に対応しなければならない時に,韓国側が冷静に対応しなければ,韓国のためにならないと思います。

【産経新聞 杉本記者】先ほどのご発言ですと,天皇陛下のご訪韓を日本側から打診したことがないにも関わらず,李明博大統領のあのような発言があったことが遺憾だというご発言だったと思います。天皇陛下に対して謝罪を要求したことに対しての受け止めは如何でしょうか。

【玄葉外務大臣】発言全体に対して,理解に苦しむということであり,極めて遺憾だということです。「まず」ということを先ほど申し上げたはずです。まず,取り上げたことはない,その上で,ということを申し上げたはずです。発言全体です。

【朝日新聞 東岡記者】李明博大統領の天皇陛下にかかる発言について,外交ルートで抗議をしたり,あるいは謝罪,撤回を求めたりするお考えはありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】抗議については既に外交ルートでしております。

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2閣僚の靖国神社参拝

【TBS 井本記者】本日は,2閣僚が靖国神社に参拝しましたけれども,この件の受け止めと,これがどのような影響を与えるかについてお伺いします。

【玄葉外務大臣】野田内閣は,私(大臣)も記者会見で申し上げましたけれども,公式参拝をしないということで立場を統一しているというように理解しておりますので,そういう意味では私的な参拝ということですから,私的なことまで政府として,また私(大臣)が申し上げる立場にないと思います。

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日韓関係

【毎日新聞 横田記者】先ほどの外交ルートでの抗議ですけれども,韓国側から何か反応というのはありましたか。

【玄葉外務大臣】正確には,現時点でアジア大洋州局長から在京韓国大公使,昨日の時点で,在韓国大参事官から韓国外交通商部課長に抗議をしたということでございます。やり取りの詳細は控えます。

【産経新聞 杉本記者】慰安婦の問題について,今まで政府は野田総理をはじめ人道的な観点から知恵を絞りたいというポジションだったと思うのですけれども,今回の一連の李明博大統領の言動を受けて,こうした政府の方針については変わりがあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】人道上の様々な措置を講じてきているというように理解しています。

【朝日新聞 東岡記者】李明博大統領の竹島上陸後,ICJの提訴,それから新たな政府組織の検討などについて表明されておられますが,その後,進捗状況はいかがでしょうか。

【玄葉外務大臣】本日も含めて検討しております。

【朝日新聞 東岡記者】近く決定して発表されるような予定はありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】そういうことも考えております。

【西日本新聞 吉田記者】日韓関係がこういう状態になって,ナショナリズムが高まりかねない事態になっていますが,日韓政府で一番重要なことはどういったことが求められるでしょうか。

【玄葉外務大臣】先ほど申し上げましたけれども,冷静に対応しなければならない難しい問題を,敢えてナショナリズムを煽るような言動,そういったことは,私(大臣)は韓国のためにならないというように思います。

【西日本新聞 吉田記者】日本政府としては。

【玄葉外務大臣】もちろん。ただ,必要な相応の措置というものは取らざるを得ないということになります。毅然と対応していきます。

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尖閣諸島

【香港フェニックステレビ リー記者】本日の午後にも香港の船が尖閣の近くに来る,上陸を目指すということなのですけれども,このことに関して日本政府の受け止めについて教えて下さい。

【玄葉外務大臣】官邸を中心に当然,情報収集をし,各省庁で緊密に連携をして,警戒・監視をするということだと思います。言うまでもなく我が国固有の領土ですから,万が一のことがあったら,当然,適切にしかるべき対応をするということになると思います。

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日韓関係

【NHK 岩田記者】冷静にならないと韓国のためにならないとおっしゃいましたけれども,これは今後,非常に実行力のある追加措置もあり得るとに理解してよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】先ほど来から申し上げているとおりです。

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外務大臣会見記録(平成24年8月14日(火曜日)17時05分~ 於:大臣接見室前)

冒頭発言-日朝協議について

【玄葉外務大臣】先ほど,官房長官から発表がありましたとおり,日本と北朝鮮の諸懸案につき議論をするため,日朝政府間協議を近いうちに再開をすべく,そのための予備協議を8月29日に北京において開催をすることになりました。先週9日,10日,戦後,北朝鮮に残された日本人遺骨の問題について,日朝の赤十字の間で有意義な意見交換が行われました。その中で,政府の関与を要請することで一致をしたということを踏まえて,自分(大臣)としては,この問題についても,またそれ以外の日朝間の諸懸案につきましても,日朝の政府レベルで協議を深める必要があるというように考えています。
 予備協議で本協議の議題を含む詳細を確定をすることになりますけれども,本協議におきましては拉致問題を含めて,こうした諸懸案を幅広く議論をしていく考えであります。政府としては,日朝平壌宣言にのっとって諸懸案を包括的に解決をし,不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく努力するとの従来からの方針の下,しっかりと協議に臨む考えです。 

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日朝協議

【テレビ東京 山口記者】改めて,29日の予備協議について,意義と狙いをお願いします。

【玄葉外務大臣】それは今申し上げたとおりでありまして,日朝間には今回赤十字の間で議論になった遺骨の問題,そして,それのみならず拉致問題を含めた日朝間の諸懸案というのがあるわけでありますから,そういった問題についてしっかりと議論を深める必要があると,そういうタイミングであるというように考えたということです。

【毎日新聞 横田記者】今お話になった諸懸案,拉致を含めてということですけれども,日本として取り上げたいということは,すでに北朝鮮側に伝えていて,北側もこれに同意しているということでよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】そういったやりとりについて申し上げるわけにはいきませんけれども,幅広く日朝間の諸懸案について議論していくということになっていまして,日本側として拉致の問題は当然に議題に含まれると。ただ確定は,予備協議で議題が確定をする,その後速やかに本協議を開催するというようにしたいと考えております。

【産経新聞 杉本記者】北朝鮮との交渉の中で,拉致問題が取り上げられて,なおかつ一定の前進があるという勝算はいかがでしょうか。また,仮に北朝鮮が議題に取り上げない,あるいは議題に取り上げても前進がないといったときの対応はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

【玄葉外務大臣】協議の結果について予断することはできません。ただ私(大臣)としては,拉致の問題について,確固たる姿勢でしっかりと対応したいというように考えておりますし,拉致の問題は最重要の問題であるというように考えています。

【毎日新聞 横田記者】金正恩体制になってからは日朝政府間協議は初めてだと思いますけれども,金正日体制のときとは違うという感触があるのかということと,新たなことが出てくるというような期待感は持っていらっしゃるということでしょうか。

【玄葉外務大臣】はい,もちろん北朝鮮の新しい体制の分析については様々しておりますけれども,その北朝鮮側の意図とかそういったことについて,やはり推測で申し上げるのは差し控えたいというように考えております。併せて,やはり4年間交渉が行われていないわけでありますから,このタイミングで日朝間の諸懸案,この赤十字間で政府に対して要請をすると,政府の関与を要請するという,こういったタイミングで拉致問題を含めた諸懸案を幅広く扱っていくのが,やはり今回はそのタイミングであるというように判断したということです。

【朝日新聞 東岡記者】拉致問題に対する日本政府の方針ですけれども,今後予備協議,更に政府間の本協議が進んだ段階で,2008年の8月の実務者合意で,北朝鮮が再調査をし,その代わりに日本側が一部制裁を解除するという合意がありました。それに基づいて北朝鮮側に再調査を求めていくことが原点になるのか,あるいは2008年の合意とは別に新たな合意を作り直すことになるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】今のご質問はこれまで私(大臣)が委員会で色々な答弁をしています。ただ,今回の協議の中で,まだ結果について予断を持って申し上げるわけにはいかないということです。ただ,先ほど申し上げたように拉致の問題について私(大臣)は最重要の問題であるというように認識をしていますし,拉致の問題について確固たる姿勢でしっかりと対応したいというように考えているということです。

【朝日新聞 東岡記者】諸懸案の範囲の中に,赤十字間で協議が行われた遺骨の問題,墓参の問題,それから拉致が含まれると思いますが,それ以外にどういった問題を想定されてますでしょうか。

【玄葉外務大臣】今具体的に申し上げるのは控えたいと思いますけれども,幅広く様々あり得るのだろうと思っています。ですから,その件は予備協議が8月29日に開催されますけれども,予備協議をもって議題を確定させるというようにしたいと思っています。

【毎日新聞 横田記者】この件で,総理から何か指示なりがありましたかということと,米国側との調整というのは事前に伝えたりということはされているのでしょうか。

【玄葉外務大臣】総理とは常日頃から,当然,この問題について意思疎通をしております。また,米国とはこれもまた緊密に連携を取っております。

【テレビ朝日 花村記者】韓国との連絡はどのように。

【玄葉外務大臣】韓国とも,やはりこの問題は,様々なことが今ありますけれども,協力をしていく必要があると思っておりますので,連携を取っております。

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日韓関係

【朝日新聞 東岡記者】韓国の李明博大統領が本日,天皇陛下が訪韓したがっているけれども,独立運動で亡くなった方々を訪ね,心から謝るなら来なさいと,天皇陛下の訪韓には謝罪が必要であるという発言をしています。これについて大臣,どうお考えですか。

【玄葉外務大臣】そういう報道があったのは承知していますけれども,そういう内容の話は私(大臣)は一切聞いていません。

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外務大臣会見記録(平成24年8月11日(土曜日)9時10分~ 於:大臣接見室前)

冒頭発言-李明博大統領の竹島訪問を受けた我が国の対応

【玄葉外務大臣】昨日の夜遅く一時帰国した武藤駐韓大使から,今回李明博大統領が竹島を訪問した背景,ねらい,そしてその影響等について報告を受けたところであります。 今回の李大統領の竹島訪問を受けた今後の対応につきましては,領土問題については毅然とした対応を取る必要があります。
 まずはICJ(国際司法裁判所)への提訴を含む国際法に基づく紛争の平和的な解決,そのための措置であるとか,領土問題に対する抜本的な政府の体制整備などを検討していきたいというふうに,まずは考えております。

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李大統領の竹島訪問を受けた我が国の対応

【テレビ東京 山口記者】ICJの提訴なんですけれども,時期としてはいつ頃を目処に考えていらっしゃるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】内容,時期については,これから詳細を詰めてまいりたいと思っています。そんなに遠くない時期になると思います。

【テレビ東京 山口記者】本日の協議で,追加的な抗議措置について,ICJへの提訴以外に何か考えられたのでしょうか。

【玄葉外務大臣】様々なことがありうると思いますけれども,先ほど申し上げたように,まずはICJなどいわゆる国際司法裁判所などを活用した紛争の平和的解決,そして国内の体制整備などということで,いろいろなことが考えられると思いますけれど,まずはそのような検討から行いたいというように思っています。

【テレビ東京 山口記者】今回,武藤大使を事実上の召還として一時帰国させたわけですが,韓国へ戻す時期等々,そういった話し合いは行われたのでしょうか。

【玄葉外務大臣】決めていません。

【NHK 及川記者】ICJへの提訴ということでお伺いしたいのですが,竹島問題というのはこれまでずっと日韓の間であったわけですが,今回ICJへの提訴ということを判断する一番大きな動機付けというものはどういうことなんでしょうか。

【玄葉外務大臣】これはやはり,竹島の問題というのは,言うまでもなく,我が国の固有の領土でありますけれども,韓国側の立場は領有権は存在しないという立場なんですね。そういった中で,ICJでいわば日本側の主張というものをより明確に行うことで,やはり国際社会に日本側の主張というものをしっかりと知らしめる,そしてわかっていただく,理解していただく必要があるというように思っています。

【NHK 及川記者】実際にICJの提訴で向こうで手続きが進んだときに,逆に日本の固有の領土であるという日本側の主張が認められないという結果になったり,なかなかリスキーであるとか,選択肢として簡単なものじゃないのではないかという指摘もICJへの提訴についてはこれまでも出てきていると思うのですが,そういうことについての大臣のご認識やご見解はいかがでしょうか。

【玄葉外務大臣】ICJは,実は2回先方が応じていないというのがこれまでの実態なんですね。私たちの主張には十二分の理があるというように思っていますし,これまで応じていない,ではなぜ3度目をやらなかったのか,応じていないから,ということのみならず,日韓関係全体に及ぼす影響に対して一定の配慮というのが日本政府全体にあったと思うんですね。今回の大統領の訪問で,そういった配慮は不要になったということだと思いますから,しっかりと日本の主張を国際社会に知ってもらうという必要がやはりあると思うんですね。そのためにそういったことを検討していくということになります。

【朝日新聞 東岡記者】ICJの提訴についてですけれども,三度韓国側が応じない可能性もあろうかと思いますが,その点についてどうお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】その可能性はもちろん十二分に考えていますけれども,先ほど申し上げたように,それでもこれまで応じないからということではなくて一定の配慮を実はしてきたという経緯があるわけです。ですから,今回はそういった配慮は不要になったので,やはり「グローバル・コリア」というのを標榜しているわけですから,当然ながらこのICJの提訴に対して応える責務というのが,かつての韓国ではなかなか難しかったかもしれませんけど,これからの韓国は「グローバル・コリア」を標榜しているわけですから,当然応じるべきだというように思っています。領土問題の存在も当然国際社会が知るところになるということだと思います。

【朝日新聞 東岡記者】体制整備についてですけれども,かねてより専門の組織を作るべきだという話がありました。体制整備は,外務省内に作ることを念頭に置いてあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】これは先ほど総理と官房長官にも話をしましたけれども,やはり政府全体で体制整備というものを行っていかなければならないので,今後,総理,官房長官並びに関係省庁とよく協議をしてその体制のあり方を固めていきたいというように考えています。

【朝日新聞 東岡記者】念頭にあるのは竹島だけですか。

【玄葉外務大臣】いえ,基本的には領土問題全部です。

【毎日新聞 西田記者】首脳のシャトル外交ですね,こういった要人の往来,この辺りに関しては何らか制限するとかですね,見合わせる,そういったことはあるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】基本的には領土問題には領土問題でというのが基本だと思うのです,私(大臣)は。ただ,先ほど申し上げたように,様々なことがもちろん相応の措置には考えられるとは思います。ですから,まずはICJを始め,いわゆる国際司法の場での紛争の平和的な解決,そして国内の領土問題に対するいわば体制の整備ということを,まずは検討していくということであります。

【産経新聞 杉本記者】大使の帰任の時期なのですけれども,まだ決めていないということなのですが,9月に大きな人事が外務省であるかと思うのですけれども,それまでソウルに大使を帰さないということも選択肢の一つとして検討されるのでしょうか。

【玄葉外務大臣】まだ本当に決めていません。これからやはり色々な韓国側の対応も含めて見ながら検討していきたいと思います。

【ダウ・ジョーンズ 大辺記者】領土問題に対する体制の整備といったときに,なるべく政府のトップなどが出かけるときにしっかりと事前に把握できるようにするというようなことなのか,それともそういったような問題がそもそも起こらないように色々な事前の措置をとるようにするというようなことなのか,どういうような体制をとりたいとお考えでしょうか。

【玄葉外務大臣】基本的には全てです。

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外務大臣会見記録(平成24年8月10日(金曜日)18時45分~ 於:大臣接見室前)

冒頭発言-韓国大統領の竹島訪問について

【玄葉外務大臣】本日、李明博大統領が竹島を訪問したというように承知しています。したがって、我が国の強い抗議の意を示すために、先ほど、申ガク秀(シン・ガクス)在京韓国大使を召致したところであります。李明博大統領の竹島訪問、これは、竹島というのは我が国固有の領土であって、歴史的にも国際法上もそうである。したがって、我が国の立場と相容れないということで、強く抗議をいたしました。
 さらに今回の訪問、これは日韓関係の大局的な観点から難しい問題をマネージするということを、いわば、お互いに述べてきたわけで、そのことと完全に逆行するということを伝えたところであります。なぜ、この時期に訪問をしたのか全く理解できないと、我が国政府として強く抗議をするということを伝えました。さらに今回、李明博大統領が竹島を訪問したということで、抗議の意を示すために、武藤駐韓大使を一時帰国させるということにいたしましたし、これに加えて今後、相応の措置をとらざるを得ないということを大使に明確に伝えたということでございます。

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韓国大統領の竹島訪問

【フジテレビ 長谷川記者】(申ガク秀)大使からはどのような回答があったのでしょうか。

【玄葉外務大臣】大使からは、いわば、韓国の立場に立った発言が短くございました。

【フジテレビ 長谷川記者】武藤大使の一時帰国、召還ということなのでしょうか、それは即日、本日中に行われるという理解でしょうか。

【玄葉外務大臣】本日中に帰ると思います。おそらく遅くなると思いますけれども。やはり、竹島訪問を確認してからということにならざるを得ませんから、本日中に帰して、明日の朝8時にこちらで協議しようというように思っています。いつソウルに帰すかは決めてません。

【フジテレビ 長谷川記者】それ相応の措置を取られるということなのですが、今回の召還以外のさらなる抗議・措置というのは、何か現段階でお考えのことはありますでしょうか。

【玄葉外務大臣】言葉が非常に難しくて、召還は、ウィーン条約上の言葉で言えば、任務の停止そのものになってしまうので、一時帰国ですけれども、いつ戻すかわからないということですね、正確に言うと。明日、武藤大使ともこの間の背景とか、状況の分析であるとか、相応の措置の具体とかを協議したいというように思っています。

【フジテレビ 長谷川記者】これに絡んで、本日、森本防衛大臣が今回のことは韓国の内政の問題だというようなご発言をされているのですけれども、この発言について、大臣、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

【玄葉外務大臣】森本防衛大臣は、おそらく、というより間違いなくと申し上げてもいいと思いますけれども、まさか竹島が韓国の内政の問題であるということを言ったはずはないというように思っています。おそらく、後でもう一度会見をされて、我が国固有の領土であるということを明確におっしゃっているのではないかなと承知しております。

【朝日新聞 東岡記者】相応の措置ですけれども、いつ頃発動するおつもりでしょうか。

【玄葉外務大臣】それは明日話し合って、何をどういうようにするかということについて協議したいというように思います。武藤大使を呼ぶこと自体、まず最初の、措置ということになりますけれども。

【毎日新聞 横田記者】日韓関係全般なのですけれども、野田政権としても大臣本人としても、初めての訪問先を韓国に選びましたし、図書の引き渡し、スワップの拡大、色々日本としては未来志向でということでやってきたと思いますけれども、そういう思いが通じていないというような実感というのはありますでしょうか。

【大臣】ありますね。やはりもっと大局的に物事を考えなければならないこの時期になぜ訪問するのか。極めて遺憾です。

【朝日新聞 東岡記者】今回の竹島訪問について、李明博政権の政権浮揚のために訪問したという分析もありますけれども。

【玄葉外務大臣】色々な分析があると思います。皆さんが書かれているように、色々な分析があると思いますけれども、私(大臣)からは意図を自分から言うつもりはありません。推測してですね。ただ、いずれにしても我が国の立場と相容れませんから、到底受け入れがたいと。相応の措置をとる、毅然とした対応をとりたいというように思います。

【産経新聞 杉本記者】今回の件に限らず、特に野党側からは、政府が竹島について「不法占拠」という言葉を使わなかったり、あるいは韓国に対して融和的な外交政策をとってきた。その結果、こういう事態を招いたという批判もありますけれども、こういった批判に対してどのようにお答えになられますか。

【玄葉外務大臣】それは必ずしも当たらないと思います。もちろん隣国との関係というのは常に難しい側面があります。その難しい問題をどのように大局的にマネージするかということで、この間私(大臣)も努力してきたつもりです。融和的な政策が、こういったことをもたらした、おそらく菅政権の頃の話などですね。様々なこと、あるいは言葉の問題などおっしゃっているのだと思いますけれども、言葉の問題に関して言えば、これは法的評価は全く変わりませんので、私(大臣)はそういうことでは必ずしもないだろうというように思います。

【共同通信 池田記者】今回の件で総理の方から何か対応について指示等ありましたでしょうか。

【玄葉外務大臣】毅然とした対応をとろうということですね。総理も私(大臣)も。

【産経新聞 杉本記者】毅然とした対応をとろうと総理から言葉があったのですか。

【玄葉外務大臣】一言で言えば、そういうことです。

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外務大臣会見記録(平成24年8月8日(水曜日)14時51分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言-軍縮・不拡散教育グローバルフォーラムの開催について

【玄葉外務大臣】8月10日(金曜日)から11日(土曜日)に、外務省と国連大学の共催で長崎市、長崎大学のご協力を得て、「軍縮・不拡散教育グローバルフォーラム」を長崎市で開催いたします。
 軍縮・不拡散の教育は、核兵器使用の惨禍を世代と国境を超えて語り継ぐ上で欠かすことのできない社会基盤であります。我が国が主導する軍縮・不拡散のイニシアティブ(NPDI)におきましても、5月のNPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議第1回準備委員会にこの分野での作業文書を提出するなど、我が国は唯一の戦争被爆国として、一貫してこの分野で国際的リーダーシップを取ってきています。
 このフォーラムでは、専門家、市民社会、マスコミから幅広い参加を得て、軍縮・不拡散教育の重要性について認識を共有し、各主体間の連携を促進していくための方策について議論します。
 被爆地長崎での開催により、原爆投下の悲劇を二度と繰り返してはならないという、長崎の人々、そして我々の思いが世界に広がっていくことを期待します。また、このフォーラムでは、フェイスブックやツイッター等のメディアを活用し、来場者以外に対しても軍縮・不拡散教育のメッセージを発信していく予定であります。

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靖国神社参拝

【共同通信 斎藤記者】8月15日の終戦記念日が近づいてきたことに関連して、靖国神社に関して2点ほどお伺いしたいと思います。1つ目ですけれども、玄葉大臣は大臣就任後、靖国神社を参拝されましたでしょうか。また、この夏を含めて参拝する予定があるかどうか、理由もあわせてお答えいただければと思います。
 もう1点ですが、玄葉大臣ご自身にとって靖国神社とはどのような場所なのか、率直なお気持ちをお聞かせください。

【玄葉外務大臣】今の斎藤さんの靖国神社に関するご質問ですけれども、私(大臣)は一国会議員として時々、靖国神社に参拝するということがございました。それは当然ながら、いわば平和のために亡くなった方々の御霊に哀悼の意を表したいという思いで参拝をしてきたわけであります。それが私(大臣)の思いでありますけれども、内閣として、これは総合的な判断、そして総合的な考慮のもとで総理及び閣僚は公式に参拝するということは控えるということだというように、私(大臣)は承知をしているところであります。

【共同通信 斎藤記者】公式参拝を控えるという申し合わせですが、これは、なぜ公式参拝を控えているのか、改めて大臣のご認識を説明いただきたいと思います。

【玄葉外務大臣】基本的に野田内閣全体、もっと言えば、総理大臣のご判断だということだと思いますけれども、近隣諸国とか、国民感情への配慮といったものがあるというように思います。

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日朝関係

【朝日新聞 東岡記者】北朝鮮の日本人戦没者の遺骨収集や墓参について、明日から北京で、日本赤十字社と朝鮮赤十字会が意見交換をするということが、昨日発表されました。こうした動きについて、大臣としてどう評価するのかという点と、こうした赤十字ルートを通じた交渉によって、将来的には拉致問題の解決につながる動きになればという期待もあるのかどうかもあわせてお聞かせください。

【玄葉外務大臣】今の東岡さんの赤十字間の遺骨の問題でありますけれども、基本的に、赤十字間のやり取りであるということであります。その上で、この間も申し上げてきましたけれども、遺骨の問題というのは、特に墓参について陳情もございます。人道上の重要な問題であるというように認識をしておりまして、その観点から、今回、私(大臣)はこの赤十字間のやり取りというのは、前向きに受け止めたいというように考えています。
 本件は本件として、拉致問題を含む日朝間の諸懸案について、北朝鮮側が前向きに、今後、対応するようにしっかりとこちらとしても対応したいというように考えております。
 あわせて申し上げると、これも変わっていないのですけれども、会談の結果そのものについて予断することはできないと思っていますけれども、適切な時期、適切なやり方、適切な方法で対話というものが効果的に行われるのであれば、行われるべきであるというように考えております。

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尖閣諸島

【フリーランス 小山氏】尖閣諸島の問題について二点お伺いしたいのですが、尖閣諸島が国際法上日本のものであるというのは政府の立場ですけれども、国際法のどの部分を根拠に日本のものだというように考えているのでしょうか。
 二点目は、世界の何か国が日本のこうした立場を支持しているのでしょうか。2、3の例を挙げていただければと思います。

【玄葉外務大臣】今の小山さんの尖閣を巡るご質問ですけれども、歴史的に国際法上も疑いのない事実であるということをこの間も一貫して日本政府として言ってきている。かつ、領有権の問題そのものも存在しないと言ってきている。では、何を根拠にそのことを言っているのだという話だと思いますけれども、いくつかあろうかというように思います。
 例えば、一つは無主地の先占というのがありますよね。1895年だったと思います、今、手元に資料がございませんけれども、清国のいわゆる支配がまったく及んでいないということを再三にわたって確認をした上で、日本はまさに領土に編入をしているという事実がございます。あるいは、その後の様々な経緯を見ても、そういう意味で疑いのない事実なのだろうというように思います。
 それと、先ほど小山さんがおっしゃったのは、他の国が尖閣について支持しているのかということでございますけれども、これは逆にいうと支持していない国というのはほとんど、いわゆる独自の主張がある国以外にないのではないかというように思います。
確かに日米の問題で、よく5条の適用対象になるという話をいたします、その時に5条の対象というのは、いわば領有権の問題というよりは、いわゆる施政下にあるということで対象になるということでありますけれども、ただ、現在領有権の問題について米国は直接言及はしませんけれども、これまで歴史的な経緯の中で、そのような言及がなされているというように承知しています。

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竹島問題

【共同通信社 池田記者】先日、一部の報道で韓国が6月に外交白書を出して、その中で竹島は韓国固有の領土だと指摘していたと。そういった外交文書発行の事実を確認されているのかと、報道ではそれに対して日本政府が抗議をしていないという指摘だったのですが、実際抗議をしていないのか、抗議をする予定があるのかどうか伺えますでしょうか。
 あわせて、竹島については、外務省としては公式のホームページの中でも、韓国が不法占拠をしていると明記しているわけですけれども、これは玄葉大臣ないし野田政権としての見解というように理解してよろしいのでしょうか。

【玄葉外務大臣】竹島の記述については、調べましたらば、この間抗議をしていたり、していなかったりというようなことのようであります、自民党政権時代からですね。
 今回、抗議をするということにして申し入れを行ったところです。その上で竹島にかかわる我が国の立場、これも一貫をしているわけでありますけれども、私(大臣)自身が外交演説で、この竹島の問題に触れているわけです。それをもって私(大臣)の思い、あるいは日本国政府の立場というのはより明確になっているものというように考えております。

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日朝関係

【産経新聞 杉本記者】日本と北朝鮮の赤十字間の交渉の話で関連してお伺いしたいのですけれども、先ほど大臣は赤十字間のやり取りは前向きに受け止めたいというようにおっしゃいましたけれども、具体的にどのような側面、あるいは効果を期待して前向きに受け止めていらっしゃるのかというのが一点と、もう一つ、赤十字間の交渉が政府間の遺骨の取り扱いに波及するか、とりわけ拉致とか核・ミサイルいろいろな問題がある中で、人道上の問題を切り出して政府間で交渉するということが赤十字間の協議の中身次第ではあり得るのかということを、お聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

【玄葉外務大臣】あくまで、今回は赤十字間でまさに人道的な見地からの遺骨の収集・墓参であるというようにまず理解をしていただきたいというように思います。
 そのこと自体、これまでも人道上重要な問題であるというように繰り返し申し上げてきましたから、それ自体やはり前向きなものであると。ただ、さはさりながら、これはこれとして、やはり拉致の問題というのが極めて重要な問題であります。主権にも関わります。ですから、この拉致の問題を含めた日朝間の諸懸案について、北朝鮮が前向きになるようにしっかりと対応したいという思いが私(大臣)の今の強い思いでございます。

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尖閣諸島

【フリーランス 小山氏】尖閣の主権は日本にあるというように、世界の大半の国は思っているというのが外務省の認識であるということですね。

【玄葉外務大臣】そのことは、ちょっと調べさせていただけますか。つまりは、明確に支持表明とか、そういったことについて、もともと我々、領有権の問題は存在しないという立場でありますから、恐らく、領有権の問題が存在しないのに、領土問題という立場ではありませんから、ということは、他国から支持するとか、支持しないとか、そういう問題では基本的にはないところがあると思うのです。ただ、念のため、せっかくの小山さんの質問だから調べさせてください。そういうことを明確に述べている国があるかどうかとについてですね。

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外務大臣会見記録(平成24年8月7日(火曜日)9時30分~ 於:大臣接見室前)(動画版他のサイトヘ

内政(消費税法案)

【NHK 岩田記者】消費税法案ですけれども、消費税引き上げ法案をめぐって自民党側が野田総理に対して、解散の確約を迫って、本日にも問責決議案を提出する構えですけれども、野田内閣の閣僚として受け止めをお願いします。

【玄葉外務大臣】今は、とにかく政局よりも国益優先、それがもう大事だというように思います。政局より、国民の皆さんのため、将来の子供たちのため、それを優先して政治家は行動し、判断していかなければいけないというように思います。昨日も申し上げたのですけれども、三党合意を破棄するということは、政党政治の自殺行為だと私(大臣)は考えておりますので、絶対にあってはならないと思います。
 仮に、三党合意が破棄されて総選挙に突入したら、総選挙後の三党間の協力にも大変大きな影響を与えることになると思います。その結果として、参議院はねじれているわけですから、仮に大きな議席の変更があったとしたって、政治は前に進まなくなるということになりますから、そのことがわかっているわけでありますので、やはり、この三党合意をしたこの間の経緯というものを大事にして、三党合意を守るべく、それぞれが努力をしていくということが大事だと思います。

【NHK 岩田記者】この問題の打開にあたっては、党首会談という手法もあるかと思いますけれども、これについてはどう思われますか。

【玄葉外務大臣】それ以上のことは、ちょっと、私(大臣)が言及しない方がいいと思います。やはり、党幹部なり、官邸なりが判断をされるだろうというように思います。

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オスプレイの日本配備

【NHK 岩田記者】週末、森本防衛大臣がワシントンを訪問して、パネッタ長官と会談をしました。オスプレイの事故調査結果を速やかに提供するように求めましたけれども、パネッタ長官は、懸念は理解しながらも10月からの本格運用については考えを変えていないご様子でしたけれども、これについてはどう思われますでしょうか。

【玄葉外務大臣】始めにスケジュールありきという考え方は、私(大臣)は取りません。あくまで日本政府が主体的に安全を確認し、わかりやすく国民の皆様に、特に沖縄の皆様に、岩国の皆様に説明をできるようにする。安全が確認されるまでは、一切の飛行運用をしない。さらに、運用ルールも日米間でしっかり調整をしていく。このことが大切であるというように思います。
 同時に、これは米国の要請で行っているということではありません。日本の安全保障、東アジアの安全保障上の要請でもあるということをしっかり踏まえながら、安全保障上の要請と非常に大切な安全性の確認作業というものを両立をさせていく。しかし、始めにスケジュールありきという態度を私(大臣)は取りません。

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尖閣諸島

【香港フェニックステレビ リー記者】尖閣に関してお伺いしたいのですが、先週の週末、台湾の馬英九総統が尖閣に関する提言をしました。その提言の内容としては、中国と台湾と日本が一緒に東シナ海の共同開発をすればいいと。これに関して、日本政府はどのように受け止めていらっしゃいますか。

【玄葉外務大臣】馬英九総統のイニシアティブというか発表は概要を読みましたけれども、台湾独自の主張があります。
 尖閣というのは、これは言うまでもなく我が国固有の領土でありますし、国際法上も歴史的にも、もう疑いがない、領有権の問題は存在しないということなので、その点についての台湾独自の主張は受け入れられません。
 ただ、この尖閣を巡る事態が現下の良好な日本と台湾の関係に影響を及ぼさないようにしたいと思いますし、及ぼすことを私(大臣)は全く望んでおりません。
 併せて申し上げれば、東シナ海のいわば平和・安定のために具体的な協力を進めていくということは大切なことだというように思っております。

【香港フェニックステレビ リー記者】その具体的な協力というのは、日本が台湾と一緒に協力するということは、特に日本政府としては検討する可能性はこれからあるのかどうか教えてください。

【玄葉外務大臣】尖閣の独自の主張は全く受け入れられないという大前提の中で、それは東シナ海について、さまざまな協力形態というのは、まだ具体的にはなっておりませんけれども、考えられないわけではないと思います。

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オスプレイの日本配備

【沖縄タイムス 比屋根記者】次回の日米合同委員会の開催のスケジュールというのは、大体の目途がたっていらっしゃるのでしょうか。
 
【玄葉外務大臣】これは頻繁にやっています、というよりやります。週一回とか二週間に一回くらいのペースで、事実上行っているというように考えていただいてよろしいかというように思います。大事なことなので。
 多分、表で発表してやっているのは、もう少し間隔があいているかもしれませんけれども、かなり頻繁にやっています。

【沖縄タイムス 比屋根記者】表のスケジュールというのは。

【玄葉外務大臣】ちょっと今、手元にございませんけども。

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外務大臣会見記録(平成24年8月3日(金曜日)8時34分~ 於:院内閣議室前)(動画版他のサイトヘ

オスプレイの日本配備

【フジテレビ 長谷川記者】本日から森本防衛大臣が訪米されて、オスプレイ試乗も含めて米国側と協議されてくると思うのですけれども、どういった協議、やり取りというものを国民の懸念払拭に向けて期待されますでしょうか。

【玄葉外務大臣】これまでも、日米間の協議ということについて、特にオスプレイについて行われてきました。若干、国民の皆様に誤解を与えているかもしれませんけれども、搬入以前も様々なやり取りを、時には激しく行ってきたわけです。その中で、安全性に対する懸念の払拭と我が国、そして東アジアの安全保障上の要請、この両立をはかる観点の中で、結果として安全性が確認されるまでは飛ばさないということになったわけです。これは、始めにスケジュールありきではないということで、私(大臣)は考えています。
 そういった中で、森本防衛大臣が訪米されるわけでありますけれども、当然ながら、この国民の皆様のオスプレイに対する懸念については、よく伝えなければなりません。その上で、まさに安全保障上の要請と安全性の懸念払拭のための適確な、そして、かつ十分な情報提供、そして再発防止策。我が国自身が主体的に安全性を確認できるための便宜について、しっかり話し合うということが必要ですし、やはり、運用ルールなども既に議論を始めてますけれども、やはり高いレベルでフレキシビリティ、柔軟性についてしっかりと確認をしておく必要があるというように思っています。あとは、様々な話をするかもしれませんけれども、基本はそういったところではないかと思います。

【沖縄タイムス 比屋根記者】昨日、沖縄県の北部、中部、南部の市町村会の代表とお会いされたと思うのですが、改めての確認ですけれども、2つの要請ですが、オスプレイの配備の撤回と、特に、北部に関しては辺野古移設の撤回自体を求めていましたが、改めて大臣の受け止めと今後の対応をお願いします。

【玄葉外務大臣】昨日の要請の受け止めとして、昨日も皆さんの前で申し上げましたけれども、この間、実際は激しいやり取りがあったのです。見えてないかもしれません、確かに。ですけれども、やはり南西諸島を含めた我が国の防衛の問題、安全保障の問題というのもあります。しかし、安全性の問題があるからこそ、本当に、始めにスケジュールありきで考えてませんので、そういう中で、しっかりと安全性を確認したいということです。
 それと、辺野古の問題というのは、私(大臣)は、ぜひコミットしたいというように思っています。それは、日米間で2+2共同発表があった中で、それらについて、着実に実施をするという必要があります。我が国の安全保障環境がこれだけ厳しい中で、誤ったメッセージを送ることになってはいけないというように思っています。
 ただ、私(大臣)も、改めて、2+2をまとめるまで、かなり沖縄の皆様とも関係者の皆様と意思疎通したのですけれども、その後、ほかの案件とかにかかって、なかなか十分なコミュニケーションが取れていないかもしれませんので、そういった意思疎通に努めたいなということを昨日改めて思ったところです。

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外務大臣会見記録(平成24年8月1日(水曜日)14時45分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

尖閣諸島

【共同通信 池田記者】一部の報道で、尖閣諸島への都の上陸申請の件ですけれども、政府の方で容認する方向で検討に入ったという報道があったのですけれども、この事実関係、検討状況をお伺いできますでしょうか。

【玄葉外務大臣】これは内閣官房が本来答えるべきことではないかと思いますけれども、私(大臣)が承知しているかぎり報道のような事実はないというように思います。
 そもそも、近々都から申請されるというようにも聞いておりません。したがって、仮に都から申請があった、そういった場合については、平穏かつ安定的に維持・管理をするために、今、様々な検討を行っていますけれども、もともと国が借りているわけですよね、その借りている目的に照らして、また上陸する必要性が本当にあるのかどうかといったことも含めて、内閣が総合的に判断をするということに尽きるのではないかというように思います。
 私(大臣)は、報道のような事実はないというように思います。

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その他(反原発への取り組み)

【フリーランス 上出氏】外交問題の直接の案件ではないのですが、昨日、枝野経産大臣に同じ質問をしたのですけれども、反原発の取り組みといいますか、大変盛り上がっているのですけれども、これについて枝野大臣の評価は、大変ありがたいことであると、日本の民主主義にとって、そういったはっきり意思表示をするということは良いことだという、御持論かもしれませんけれども、そういう評価をされておりました。
 拡大解釈をしますと、日本人というのは、なかなかあまり行動をしたり意思表示をしないという国民と思われている面もありますが、海外に対して、一種の日本人もこういうことをきちんと、反対なら反対と表明できるのだという海外へのメッセージにもなるかと思うのですけれども、その辺について玄葉大臣はどのような、一連の首相官邸前の反原発への取り組みなどについて、どう評価していますでしょうか。

【玄葉外務大臣】この間、ある記事でなるほどと思った記事があって、オルテガという哲学者の言葉を引用していた記事がございました。その表現が優れているかどうかはともかくとして、結論から申し上げると彼の言葉から私(大臣)自身が思うのは、やはりじっと耳を澄ます必要があるなというように私(大臣)自身考えています。
 おそらく、ソーシャルネットとか、そういった新たな通信手段の発達なども関係をしているというように思いますし、かつてのような、いわゆる動員のようなデモともまた違うわけであります。そういった意味で、このおっしゃるような官邸前のデモについてどう考えるかということについては、私(大臣)もじっと耳を澄まして考えているところだというように申し上げたいと思います。

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