記者会見

外務大臣会見記録(要旨)(平成23年5月)


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外務大臣会見記録(平成23年5月31日(火曜日)16時35分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)我が国とペルーとの経済連携協定の署名について

【松本外務大臣】我が国とペルーとの経済連携協定の署名ということでございます。本日の閣議で、我が国政府として「経済上の連携に関する日本国とペルー共和国との間の協定」の署名に関する決定を行いました。これを踏まえて、本日、フェレイロス・ペルー通商観光大臣と私(大臣)が署名を行う予定であります。この協定は、昨年11月の「包括的な経済連携に関する基本方」に基づき、アジア太平洋地域内の二国間EPAを積極的に推進する一環として取り組んできたという位置付けになります。これによって、両国間の貿易投資の自由化・円滑化が促進されるとともに、幅広い分野において、互恵的な経済連携が深化し、両国経済が一段と活性化することを期待したいと思います。

(2)「フェイスブック」及び「ツイッター」の公式アカウント開設について

【大臣】明日、外務省は「フェイスブック」と「ツイッター」に、外務省としての総合的な公式アカウントを開設いたします。今後、このアカウントも利用することで、日本外交全般についての情報をより効果的に発信していきたいと思っております。

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原子力協定

【共同通信 斎藤記者】外務省の条約案件と今後の国会日程についてお伺いします。今、外務省は元々、原子力協定、ヨルダンとか、ヨルダンとの原子力協定は衆院に付託されている、他にベトナムとか、あるいはロシア、期待があると思うのですが、現在の国会情勢が非常に厳しいということと、それから原子力を取り巻く諸情勢も、ご案内のような状況であります。そうした中で、原子力に関する条約案件、どのように外務省としては取り組んでいくお考えなのか、抱負をお聞かせ下さい。

【大臣】原子力協定そのものは、皆さんもよくご存じのように、原子力に関する資機材の利用目的を平和利用に限定をするということが、協定の主たる目的であります。その意味で、私(大臣)自身としても、また外務省としても、双方の間で合意が出来て、署名ができている原子力協定については、原子力の、いわば技術を平和利用しようという趣旨の協定でありますので、是非とも国会でご承認をいただくことが望ましいというように、いずれの協定についても思っております。もちろん、今後の協力をするに当たっては、今回の事故を踏まえて、従来以上に、いわば相手国も安全に関心が高まっていることは事実だろうと思いますので、安全面からの協力というのを強化するということは、考えていきたいと思っておりますが、協定の枠組みそのものとは、新たに何かしなければいけないということには、直接はならないというように考えております。もちろん、協定の中にも、いくつか今後の安全性についての双方の考え方が記されていますが、この基本的考え方を変えなければいけないということもないと思っています。相手側の希望なども踏まえて、そもそも多くの協定は既に署名されているものでありますし、案件によっては、すでに先方は国会というか、議会等の国内手続きを終了しているものも多くありまして、締結について前向きでないという反応は、今のところ、私(大臣)もお聞きをしておりませんので、国会の方には是非とも今お出しをしているものについては、お諮りをして審議をしていただきたいと思っております。私(大臣)も、議運の委員長をしておりましたので、この段階になってまいりますと、すでに日程はかなりタイトになってきているという認識は一定程度持っておりますが、引き続き、国会対応については、私どもの政務を含めて、現場の委員会、国対ともご相談をいただいていると思いますので、是非引き続きの努力をお願いしたいと思っている状況です。

【共同通信 斎藤記者】今の協定そのものの意義というのは切り離して、菅政権が元々掲げている成長戦略の柱の中にある原発を含めたインフラの海外輸出戦略の点でお伺いしたいのですが、先もベトナムの副首相、確か大臣はお会いになられたと思います。ベトナム、あるいはヨルダンを含めた関係国は、現時点でどれくらい日本の原発技術に対して期待感を表明しているのか。そして、それに対して、こういう事故があったけれども、こうした中で日本側として、どういう形でコミットをしていく考えをお伝えになられているのか、全体的な基本姿勢でも結構です、お示し頂ければと思います。

【大臣】もちろん、今回の事故についての検証が、まさに今行われ始めているというか、行われようとしているところでありますから、これを見なければいけない部分がありますので、必ずしも全て確定的なことは申し上げられませんが、一般的に申し上げれば、我が国の大変進んでいると言われる原子力の技術については、引き続き国際的に有用なものも少なからずあるというように、私どもは思っております。また、そのことを踏まえて各国の期待があるのではないかと思っています。
 例えば、ベトナムは、4月の初めに、日ASEANの特別外相会合でベトナム側とお会いしたときも、引き続き日本を原子力についてのパートナーだと考えているという趣旨のご発言がありました。また、今回の副首相が来日された際も、是非協定の早期締結をしてほしいというご発言がありましたので、引き続き日本とそういった資機材を動かして、技術的な協力を得たいというお考えであるというように理解をしております。ヨルダンについても、現地からの報告によれば、是非とも早く協定を締結してほしいというのが、先方政府の意向であるというようにお聞きをいたしておりますので、私どもとしては、そういった期待に応えつつ、他方で協力が具体化していく段階では、まさに今回の事故から得られる知見等も生かして、いわば、最先端の安全性についても協力できるようなことで臨むことが必要だろうと思っております。

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内政

【NHK 稲田記者】内政についてお伺いします。いよいよ野党の方が不信任案提出ということが現実味を増してきました。改めてお伺いしますが、大臣として不信任案決議が出された場合にどのような対応をされますでしょうか。

【大臣】私(大臣)はこの職をお受けをして二日後に震災が発生して以降は、政府の一員として復興に全力を傾けること、そして、震災発生以降の、いわば危機の中においても、国際社会の一員としての日本の外交をしっかり担い続けることが私(大臣)の責務であると思っておりましたので、今、私(大臣)自身はあまり政局に関わっているという余裕が率直に言って私(大臣)の中には担っている責務から考えてないというのが率直なところです。

【NHK 稲田記者】それは当然、不信任案に反対されるという理解でよろしいですね。

【大臣】しっかりと政府としての仕事を行わなければいけない環境ということを考えるべきだろうと思っておりますが、いずれにせよ案が出されたら、どういう案かを見て判断するのが議員の責任だと思っております。

【NHK 稲田記者】民主党の方から不信任案に対する賛否だけではなくて、山岡さんら一部の間では、その前に執行部の責任をとって菅総理が自発的に辞めるべきだという声も高まっています。野党からも与党からもこのような状況にある中に、何故そういうことが起きていると大臣はお考えなのか、また、こうした状況を打破するために菅内閣としてどのような対応が必要というようにお考えか、お聞かせください。

【大臣】与党の中において復興という仕事も大きかったこともあって、さらに与党内での自由闊達な議論とか、そういったものをする時間がもし十分でなかったというのがさまざまな声の背景にあるのだとすれば、なかなか簡単に今、私(大臣)自身のスケジュールの中からもまとまった時間を見つけるということは、さまざまな業務がある中で簡単ではありませんけれども、与党の中において、与党における議論をしっかり吸収して、さまざまな意見を吸収した党運営が行われることが望まれるというようには思っております。もちろん、現執行部の皆様もそういうご努力をこれまでしていただいていると思いますので、いろいろな声が党運営の中では、特に大きくなるといろいろな声があるのが、どのくらいの大きな声があって、どういう形で応えるべきなのかということは執行部がご判断をさせることではないかと思っております。
 また、与党内の話とは別に与野党という意味では、野党というのは逆に申しますと与党、政権をチェックをするのが役割でありますから、常により良くするべきだ、もしくは最もあるべき姿からみて、こういうものが欠けているのではないかという指摘をされるのは、ある意味で野党の皆さんのお仕事だろうと思っております。私どもも、そう思って野党時代は国会などでも質問してまいりました。他方で、不信任を出すというのは大変な重みのあることですので、どのような大義でお出しになるのかということは、まさに案が出てくればお示しになられるのだろうと思いますけれど、現段階で私(大臣)自身は、何らかの思いつくような大義は見あたらないのではないかというように思っております。

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中東・北アフリカに対する支援

【フリーランス 小山氏】G8では、欧米諸国がエジプトとチュニジアに対するかなり大きい経済援助を約束しまして、それが欧米紙に大々的に載っているわけでございますが、そこには日本の名前が出てきていないところを見ると援助はしないのかなという印象を受けるのですが、日本側としては今後、援助をするという予定はないのでしょうか。

【大臣】エジプトとチュニジアに対しては、これまでも両国の経済的な面の発展を支援するような形での援助というのは行ってきておりますし、これからもチュニジアにおいても、正確には案件は記憶をしておりませんけれども、経済発展に資するような援助を改めて、チュニジアの今後の政治状況の進捗、チュニジアもまだ選挙もこれからだったというように理解をしていますので、政治状況の進捗に併せて行っていきたいということは私どもも考えておりますし、対外的にもそういった趣旨のことはお話をしていると思います。
 また、エジプトについてもほぼ同様のことが申し上げられると思いますので、私どもとして、国際社会の一員として、エジプト、チュニジアに援助をしないということを申し上げたことはないと思いますし、G8の場面、私(大臣)自身も直接その場にいたわけではありませんけれども、申し上げていないと思います。
 他方で、ヨーロッパなどがまさに北アフリカの問題について取り組むのと、すべてが私どもも同じように取り組んでいるかというと、少し考え方や立場が違う部分というのもあると思いますので、今おっしゃった報道というのがどれを指しているのか明確にわかりませんが、私どもとして、国際社会の一員として、すべき支援はしていくということの考えは基本は変わらないというように申し上げられると思います。

【フリーランス 小山氏】欧米諸国もこれまで援助はしてきたのですが、それにプラス、今、エジプト、チュニジアだけではなくて中東全体が民主化運動で非常に危機的な状況にあるということから特別の経済援助をすることを決めたわけでございます。また、日本が欧米諸国と比べると中東から離れているということはわかるのでございますが、原油の9割を中東から輸入していると。更に中東の今の状況、非常に危険な状況が更に悪化した場合は原油が入ってこなくなる危険性もあるわけでして、日本は距離的に遠いものの、経済的には非常に近い関係にあるわけですから、距離があるからということで欧米諸国と対応が異なるというのは少しあれなのではないでしょうか。

【大臣】距離があるからというように申し上げた記憶は、今ないのですけれども、欧米諸国全体ということではなくて、各国それぞれ対応が異なる中で、すべて同じでないという意味でお話をさせていただきました。私どもとして、報道そのものはどれを指しているのかわからないので何とも申し上げられませんけれども、私どもとして中東は大変関心を持って取り組んでおりますし、必要な援助はしていくつもりであるということを申し上げたつもりです。

【フリーランス 小山氏】欧米諸国では今、援助しないと、これが将来的に2倍、3倍になって返ってくると。非常に危機的な状況にあるという判断ですけれども、日本ではそういう認識は余りないわけでございますか。

【大臣】中東といっても、それぞれの国によって状況が違って、それぞれの国が非常に時間がない状況で切迫した判断を求められている状況の国もあれば、ある中東のすべての国を見たときには、これまでと大きく状況が変わっていない国もあるわけでありますし、欧米諸国といってもすべて同じ考えで同じように行動をしているわけではありません。各国それぞれある中で、私どもとしてもG8の国々も含めてよく議論をして、日本は日本の役割をしっかり果たしていくということで、欧米諸国と書いてあって、日本は離れているから全く違うことをしようとしているというように見ておられるのだとすれば、必ずしもそれは当たらないと思います。

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原子力安全

【毎日新聞 犬飼記者】先週末にG8ありまして、いわゆる原子力安全について議論をされていまして、安全基準を高めるということについての重要性であったりとか、あるいは地震国に対して厳格な基準づくりといったようなことについての認識が首脳宣言で共有されたと思います。
ただ一方で、各国それぞれで多様なアプローチがあるというような文言が盛り込まれたりとか、玉虫色というような指摘もあるのですけれども、今後6月にはIAEA、また秋にG20というものもありまして、当然これは中国とかの新興国も取り込んでいかなければいけないのですけれども、そういったことについて、そのG8を踏まえた上で、今後、IAEAあるいはG20に向けて、どういうように日本として取り組んでいくかということについてお伺いしたいと思います。

【大臣】私どもとしても、原子力安全の議論には積極的に取り組んでいきたいと考えております。もちろん、今の世界の仕組みはそれぞれ主権国家ということでありますから、特別にEUのような何らかの主権もある意味で一定の範囲で合意をして、1つの国家の連合体に、例えば通貨などを委ねているケースはありますけれども、基本的には各国が主権でありますから、最終的には各国の判断ということを念のため記載したと言ってもいいのではないかと思いますし、逆に言うとG8ですべての国を縛るという性格ではないということが確認されたということだと思います。
 その上で我が国としては、先進国であろうと新興国であろうと途上国であろうと、原子力発電所についての安全性は、これまでも言われてきたことではありますけれども、今回の事故を通して、改めてこれについてはしっかりと取り組まなければいけないという認識は、国際的に共有をされていると思います。
 そういう意味で私(大臣)自身は、例えば地震の話がありましたが、地震は我が国は議論はさまざまありますけれども、恐らくどれだけの地震があったときに、どういう影響があるというような研究とか実績については、最も進んでいる方だと言っても過言ではないと思います。今回も私(大臣)が承知をしている限りでは、福島第一は地震の揺れに対する対応は一定程度、技術的には行われたと思っておりますので、何が足りていて、何が足りていなかったのかということを考えることが必要であるし、そういうまさに情報であり、こういったことをしておく必要があるということを、もしそれが基準だと言うのであれば、または水準・標準だと言うのであれば、そういったことの議論をまさに深めていく主導的な役割を、我々は果たせると思っています。
 総理が来年の後半ということで国際会議の話もさせていただきました。ある意味ではG8でこういったことの必要性が確認をされて、来月のIAEA閣僚会合でかなり専門家の方も集まってまいりますから、課題と論点というものが、場合によって、議論によっては方向性というのがそこで見えてくる中で、その議論が恐らく積み重なっていく中で、私どもの考えている国際会議において、今後の将来の安全性に大きく資するような1つの何らかの成果が出せれば望ましいのではないかと。そういう形で取り組んでいくことになるのではないかと思っています。

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「フェイスブック」及び「ツイッター」の公式アカウント開設

【NHK 稲田記者】冒頭のフェイスブックとツイッターに関してお伺いしたいのですが、これの有用性については、例えばニュージーランド地震のときの安否確認であるとか、東日本大震災後の風評被害の防止等について役立てられることができるのではないかという指摘、いろいろあったと思います。
 なぜこの時期になって、ある程度各国への要請がひと段落した段階で、このフェイスブックとツイッターという情報発信を始められたのか。また、これらのツールを使って、大臣個人として何か発信させるお考えはあるのかということをお聞かせください。

【大臣】フェイスブックとツイッターというのは、別に震災対策ということではなくて、そもそも私(大臣)自身が副大臣のときから、やはり外務省、外交政策、日本外交の発信というのは強化をしていきたいと考えてきておりまして、直接には高橋副大臣の方で発信の強化ということでいろいろ事務方と政務と一緒になって検討していただいた結論が、ちょうどここで出たということであります。
 やはり実際にはアカウントを設けた場合には、どういうように対応するのか、そういったこともあらかじめある程度決めておかないと、役所としてアカウントを設ける以上は、個人で設けてやってみましたということで始めるわけにはいきませんので、そういったことで区切りとして明日(6月)1日から始めたいという位置づけになっているということであります。
 おっしゃったように災害におけるインターネットの有用性が実感されたのが、恐らく阪神・淡路大震災のときだったと思います。固定電話とか、普及しかけている携帯電話とかがほとんど通じない中で、あの時点でもパソコン・レベルでしたけれどもネットは通じるという状況があったりいたしましたので、更には無線とかそういったことも含めて、今、ネットの環境が更に進化していることを思えば、非常に有用だと思いますし、さまざまな情報の伝達手段が多様化している中では、大変有力な手段でありますので、外務省としても新しい手段からでもしっかり発信していきたいということで、今後の効果を期待したいという位置づけで思っているということであります。

【NHK 稲田記者】大臣自身は。

【大臣】私(大臣)自身について何かお書きするかというと、私(大臣)はどちらかというと、申し訳ありませんがフェイスブックもツイッターも全くアカウントを開設しておりませんので、ある程度私(大臣)自身も責任ある立場で発言するときは、一応言葉を考えて記さなければいけないと思っていますので、ちょっとフェイスブックやツイッターに、その場で書くというのが私(大臣)自身が発言するのに適しているかどうか考えるところがあるので、今のところアカウントを設けるつもりはありません。

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外務大臣会見記録(平成23年5月27日(金曜日)16時10分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)チュオン・タン・サン・ベトナム共産党書記局常務の訪日について

【松本大臣】ベトナムのチュオン・タン・サン・ベトナム共産党書記局常務が来日をされることとなりました。6月1日(水曜日)から6月4日(土曜日)までの4日間、外務省賓客として訪日をいたします。本年3月に訪日が予定をされていたところでありますが、大震災発生に伴って、日程が延期をされておりまして、調整の結果、今回改めて訪日ということになりました。
 滞在中、私(大臣)と会談を行って、政治・経済両面での二国間協力について戦略的パートナーシップを強化する観点から対話を行います。また、菅総理をはじめとする我が国政府要人、財界関係者との間で意見交換を行う予定でございます。同書記局常務は,震災からの復興に対する両国の連帯を示すため,津波による被害を受けた千葉県旭市を訪問する予定です。その後、大阪の訪問が計画されております。
 今回の訪日を通じて、日ベトナム関係が一層深化することを期待しております。

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米軍再編問題

【時事通信 西垣記者】明日、大臣は沖縄に行かれることになると思うのですが、明日で普天間移設先を名護市辺野古と決めた昨年5月の日米合意から1年になりますけれども、1年になることにあたって大臣としてどのような所感を持っていらっしゃるでしょうか。

【大臣】明日の沖縄というのは、日程調整の結果でありますので、昨年の合意からちょうど1年というのは、ある意味では巡り合わせだと思っております。この間、私どもとしても、さまざまな努力をしてきておりまして、一つ一つ、それが沖縄の皆様に届けばという気持ちで活動をしてきているところであります。他方で昨年5月の日米合意に至るまでの間の経緯、これについては私どもから沖縄の皆様にもお詫びをしているところでありますが、その経緯を十分に考え、私どもとしてもお詫びをした趣旨をしっかり考えて、沖縄の皆様との話を続けていきたいと考えております。明日が1年という一つの区切りではありますけれども、沖縄の皆様の気持ちを考えれば、1年だからどうということを私(大臣)が申し上げる立場にはないのではないかと思っております。

【毎日新聞 西田記者】辺野古への移設については、沖縄側の猛反発に加えて、5月の頭から出ているようにアメリカの議会の方からも「不可能ではないか」という話が出ています。その一方で、普天間移設とパッケージとされているグアム移転についても、アメリカ議会の政府監査院が移設費について、日米の合意のおよそ2倍、1.9倍に膨らむのではないかという試算を発表するなど、パッケージ全体が揺らいでいるともとれるのですが、このパッケージ全体を見直す必要性が今後出てくるのではないかと思うのですが、そこはどのように大臣は考えているのでしょうか。

【大臣】米国の政府監査院、いわゆるGAOが議会に提出した報告書というのを私どもの承知をしている範囲では申し上げていかなければいけないというように思っておりますが、これはあくまでGAOが議会に提出をしたという位置付けであろうと思っております。加えて申し上げれば、私どもとして日本の予算などは予算化する立場でありますけれども、さまざまな角度からおやりになっているのだろうというように思いますけれども、GAOのおっしゃっている数字の中には、いわゆるグアム移転経費についての指摘もありますし、それ以外の我が方の予算についても、根拠を把握しておりませんけれども、示しているものがありますので、何倍とかいう報道もさまざまありますけれども、ベースが必ずしも揃っているのかどうかというのは精査をしなければいけないと思っております。また、記述だけですのでわかりませんけども、追加的に費用が必要であるといった中には、装備品なども含まれているという記述もありますので、そういった点については、内容を拝見させていただいているというように申し上げたいと思いますが、いずれにせよ、私ども政府と政府の間では引き続き昨年5月の合意を着実に実施をするという立場に双方変わりはないと理解をいたしております。我が国においても、米国においても施策の推進にあたっては財政当局、ないしは財政との調整というのは必ず必要になってくるというようには思っておりますが、政府として日米の合意を双方とも着実に推進をする立場であるということは確認をされていると理解しております。

【NHK 市原記者】今回、GAOから報告書が出たことについて、先日提言をした米国上院のレヴィン軍事委員長は声明を出されて、これまでの提言が正しいことが証明されたという発言もされているのですけれども、大臣は明日沖縄に行かれて、米国の議会でこういった意見が出されていることについては、どういうように説明をするお考えでしょうか。

【大臣】有力な上院議員の方の提言ということで、しっかりと見ていきたいということは、これまでも記者会見で申し上げたと思いますが、こういった提言が出た後も米国政府の考え方は変わらないというメッセージが出されているというように私どもは理解をしております。
 政府と議会の間で今後どのようなご議論があるかということは、米国も開かれた国でありますので、私どもも拝見する機会があるだろうと思いますけれども、私どものいわばカウンターパートである米国政府が昨年5月の合意というものを着実に推進をしていくという立場であることに変わりないことが確認をされていると理解しておりますので、私どもとしてもしっかり日米間の信頼関係に基づいて、この合意が推進できるように努力をしていきたいと思っています。

【琉球新報 松堂記者】先ほど日米両政府で着実に合意を実施していく立場であるとおっしゃったのですけれども、沖縄を説得するに当たって、いつまでどれくらいの時間をかけてというようなプランはありますでしょうか。次の知事選、市長選まで待つというおつもりかをお聞かせください。

【大臣】これまで知事、市長がどのようにご発言されているかということは私どもも承知をしておりますし、また、沖縄の皆様からの意見もいただいておりますので、この場においても沖縄の状況は決して簡単なものではないということは認識をしていると申し上げてきたつもりでありますけれども、私どもとして是非ご理解をいただきたいということで、誠意をもってお話をすることは、待つことなく積極的にお話を申し上げていきたいと、このように思っているところであります。

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日韓図書協定

【毎日新聞 犬飼記者】本日午前中の参院本会議で日韓図書協定が可決、承認されたのですけれども、これについて、大臣として、今後の日韓関係にとってどういう意味づけになるのか。また、鳩山政権以来、過去を直視するということを言ってきた民主党政権の特殊性の一つが表れた承認だと思うのですけれども、そういったことについても大臣としてどういうお考えを持っているか、お聞かせください。

【大臣】本日、(日韓)図書協定が成立をいたしました。昨日の委員会においては反対をされた自民党においても日韓関係は重視するということをわざわざ討論ではおっしゃっておられたところでありまして、重要かつ日本にとって極めて近いところにある隣国である日韓関係との連携というのは、大変重要であります。そういう意味では、本日、全会一致でもし通していただくことができていれば、大変望ましかったのではないかと思うところではありますけれども、多くの政党の賛成をいただいて成立をしたということには、大変意義があると思っております。
 図書協定によって、朝鮮王朝儀軌など、1,205点の図書が、今後手続を進めることで韓国側に引き渡されることになるというように考えておりますが、これについては、韓国側の皆さんの関心も期待も大変高いと思っておりますし、この自発的にお渡しすることそのものについては、大統領を始め、政府の要人も評価をするメッセージをこれまでも出していただいていると思っておりますので、今年は日韓併合101年目に当たるわけですけれども、日韓の新たな100年のスタートを切るにふさわしい1つのポイントになるのではないかと考えております。

【共同通信 橋本記者】日韓図書協定ですけれども、先ほど、全会一致で通していただければよかったという趣旨のことをおっしゃられたのですけれども、本日、与党の国民新党の亀井政調会長が反対されたわけなのですが、それについてどういうご所見をお持ちかというのを聞かせていただけますか。

【大臣】誤解を与えるといけませんので、当然、賛否は各政党の判断でありますので、そのことを私(大臣)がどうこう申し上げているつもりはないということを改めて申し上げておきたいと思います。その上で、私どもからすれば、提出する以上は、すべての皆様に賛成をしていただきたいということで、そのようにお話をさせていただきました。
 亀井政調会長については、申し訳ありませんが、正確には確認をとれておりませんので、個々にはコメントをすることが難しいと思いますが、先ほどと同じ趣旨で、どなたにも賛成をしていただきたかったということからすれば、もしそうであるとすれば、大変残念だというように思いますし、与党でありますので、これは党内においてお話をされることだろうと思いますので、与党内の話については、私(大臣)からコメントするのは差し控えたいと思います。

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日米関係

【読売新聞 石田記者】日米首脳会談で2+2の開催について、6月の下旬で改めて一致したと思いますけれども、今、もう国会は会期が近づいています。6月はASEMもIAEAの閣僚会議とか外交日程もあると思うのですが、国内的にどのように調整されていくお考えでしょうか。

【大臣】おっしゃったように、さまざま重要な外交日程がある中でありますけれども、この2+2も我が国にとっては大変重要な会合になるというように理解しておりますので、私どもとしては、米国としっかり調整をする。その際には、さまざまな外交をにらみながらということは、当然のことではないかと思いますが、是非2+2は国会の了解をいただいた上でありますが、しっかり実現をしたいと思っております。

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内政

【NHK 稲田記者】本日の自民党、公明の幹事長会議で、来週にも内閣不信任案を提出という方向は確認されました。大臣としては、今まで何度も伺ってはいるものの、今この時期で野党側が不信任を出すということをどのように評価していらっしゃるのか。また、松木前政務官を含め、与党内からも半ば公然と不信任に同調するという声がありますけれども、そのような民主党の同志に対してはどのような評価を持ってらっしゃるのか、お聞かせください。

【大臣】今、政府としては復興に全力を挙げて取り組んでおります。復興の道筋についてもまだまだ課題がある。これまでもできるだけスピードを上げて取り組んできたところでありますけれども、未曾有の大震災でありまして、引き続き政府として手を打っていかなければいけないことがあることは言うまでもないことであります。
 また、大変残念なことでありますけれども、原子力発電所の対応もまだ進行中であるわけでありますから、すべての時間を復旧・復興に当てることができるようにしていくことが望ましいと、そういうように思っております。
 その意味で、野党側には野党側のお考えがあると思いますので、野党側のお考えを我々がそん度してコメントする立場にはないというように思いますが、是非復旧・復興に資するにはどういった点が肝要かということをすべての国会議員にお考えをいただけたらありがたいと思っております。

【NHK 稲田記者】後段の方の与党内からも不信任に賛成すると言っている人がいるということについては。

【大臣】すべての国会議員へということでそこでお答えをしたつもりではありましたが、松木議員は昨年は同じ議員運営委員会でともに委員長理事で一緒に働いた仲間でありますので、仲間としてさまざまな発言は報道を通しては聞いておりますが、最近直接お話しする機会はありません。常に政党もさまざまな議論を重ねていく中で、より良い政策の実現であったりに至るのだろうと思いますので、党内での議論がしっかり行われるということは常に必要なことではないかと思っております。

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福島第一原子力発電所の事故等

【フリーランス 上出氏】まず、日韓図書協定について、日韓併合101年と大臣も言われたのですけれども、そういう言い方について韓国側から見た場合、併合そのものが否定的なイメージで、日本側で普通に使われているということに対して抵抗があるという声を聞いたことがあります。韓国政府は一体それをどう受け止めているかが1点。
 もう一つは、本日の閣議後会見でいろいろな大臣が質問を受けていたのですけれども、例の福島原発の対応、一番最初のときの海水注入について意見が分かれているということに関して、原発の吉田所長が判断したということに関して、野党から、それは菅首相に責任があるとか、いろいろなことが言われていることについてご所見がもしございましたら言っていただきたい。
 その2点、よろしくお願いします。

【大臣】1点目については、別に私どもも日韓併合からずっと年号を数えているわけではないので、もしそういうように伝わったとすれば、それは本意ではないと申し上げたいと思います。昨年、菅総理の談話が発出をされたという1つの背景には、昨年が日韓併合から100年であったということは紛れもない1つの事実であったと理解しておりますし、その点は日韓両国とも共通の理解に立っているのではないかと思います。その談話の発出に基づいて、図書の引き渡しということが、いわば企画をされて、必要な手続として(日韓)図書協定が行われたという位置づけでありまして、私どもとしては昨年の国会に提出して、談話発出と同じ100年のうちにご了解をいただけないだろうかということで国会にお諮りをしたわけでありますけれども、1年とは申しませんが、6か月ぐらい国会でご審議をいただくことになりましたので、翌年になりました。
100年という節目で1つの区切りをつけるというのが談話の考え方でありましたけれども、先ほど申し上げたのは100年という区切りで成立をしませんでしたので、次の100年に入った最初の年でそういうことになったのをスタートとしたいという趣旨でお話をしたとご理解をいただければと思います。
 海水注入の話については、私(大臣)が承知をしている限りでお話をさせていただきたいと思いますが、当時、その折には官邸において、いわば淡水の注入が淡水の量から考えて切れると言うのでしょうか、淡水がなくなってくることが考えられるので、その場合はその後、海水を入れなければいけないと。これは共通認識であったと聞いております。
海水を入れた場合に何が起こり得るのかということの議論がいつか報道されて、専門家の方が可能性について言及をしたとかしないとかいうことがあることは、私(大臣)も承知をしておりますけれども、官邸においてはそういった可能性があるという意見があったことも踏まえつつだろうと思いますが、一貫して冷却が必要である、淡水が切れたら海水を入れるということにいて、それほど大きなぶれがあったとは聞いておりません。
 他方で、官邸において海水を入れることについて議論をしているという情報が届けられたのか、得たのか、東京電力の本社においては官邸で議論をしているようだから、その議論を待ってから海水を入れた方がいいのではないかという議論が出たやに我々も聞いておりまして、そのことが更に現場に伝わって、本社としてはそういう議論を伝えたので止めていると思ったけれども、現場は冷却を続ける必要があるということで冷却を行っていたというのが、今、私どもが聞いている限りでの内容であります。
 したがって、総理が冷却を中断したといった報道なり指摘というのは、事実の確認をする限りでは全く事実と異なる指摘であったということは、言わざるを得ないのではないかと思いますし、最も現場に近いところで冷却が必要であるという判断をしたということと、官邸においても海水を注入してでも冷却が必要であるという判断をしたということは、結果としては一致をしていたということであります。それによって冷却が続けられたこと、これは今まさに検証されていますから、そのことがどういう効果があったのかということは、今まさに検証されていくだろうと思いますけれども、恐らく冷却が必要であるという認識は正しかったのではないかと考えております。

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外務大臣会見記録(平成23年5月24日(火曜日)16時17分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)マレー・マカリー・ニュージーランド外務大臣の来日について

【松本大臣】ニュージーランドのマレー・マカリー外務大臣が来日をされます。5月26日(木曜日)から28日(土曜日)の日程で、27日に私(大臣)と会談、それからワーキングディナーを行う予定です。
 ニュージーランドの地震、そして我が国の震災に関しての協力支援について、私の方からお礼を申し上げる。また、二国間関係、太平洋島嶼地域など両国が関心を有する地域・国際情勢などについて意見交換を行っていきたいと思っています。
 今回の訪問が、両国関係を進めるものとして歓迎したいと思っています。

(2)松本外務大臣の沖縄訪問について

【大臣】今週末の28日(土曜日)に沖縄を訪問して、仲井眞沖縄県知事と会談したいと思っています。沖縄の皆様の声をしっかりお伺いするとともに、負担軽減について取り組むという思いを、決意を申し上げて参りたいと思っています。

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韓国国会議員の北方領土訪問計画

【朝日新聞 大島記者】韓国の国会議員の北方領土訪問の計画について、大きく分けて三点お伺いします。既に報道ではユジノサハリンスクを出発したと報じられていますが、まず、日本政府として確認している事実関係を教えていただきたいということ。二点目が、この行動に対して日本政府として、国会議員に対する抗議なども含めてどういった対応をとられるのか、お願いします。三点目ですが、この件に関して本日、自民党の外交部会が開かれまして、そこで外務省の職員が政府としての対応を説明している際、自民党の衛藤晟一議員が外務省の対応を批判する中で、コップの水を外務省の職員にかけたのですが、この件については松本大臣としては、自民党、あるいは衛藤議員への何らかの対応というのはお考えなのかどうか、この三点をお願いします。

【大臣】まず、状況でありますが、現段階で私(大臣)自身のところに報告がきているのは、ユジノサハリンスクから国後島に向かう飛行機に搭乗したということまでは報告を受けております。
 二つ目は、北方領土は我が国固有の領土で、今回のように韓国の国会議員がロシアの領土であるということを、いわば前提にしたような、ロシアのビザを取得して北方領土に入陸する、第三国の国民が北方領土においてロシア側の管轄権に服するということは、我が国の基本的な立場から容認できるものではないと思っております。政府としては大変遺憾であり、韓国側に申し入れを行うことを考えております。
 三つ目の件についても、先ほど私(大臣)も報告を受けたところであります。私どもはまさに言論の府の議員でありますので、水をかけられたというように報告を聞いておりますが、物理的な力を行使するということは遺憾なことであると思っておりますし、今の段階で外務省として、どういう形かということもあれですけれども、自民党側に対しては、何らかの形でしっかり申し入れをさせていただきたいと思っております。

【朝日新聞 大島記者】北方領土行きの件について、韓国側に申し入れを行うということでしたが、これは政府に対して行うということなのか、それとも、議員に対して行うということなのでしょうか。もう一つ、事前には中止というのを要請したのかどうかというのを教えてください。中止を求めたとか、申し入れたとか。

【大臣】順序から行けば20日の日韓外相会談で、既にこのような意図表明は当該議員からなされておりましたので、これについては、実施をされれば我が国政府の立場とは相容れないということはお話をさせていただきました。それから、誰に対してということでありますが、政府に対してと本人に対しては、いずれも考えられる申し入れの対象であるということは間違いないと思いますが、誰にいつどのように行うかというのは、現在調整を行っているところです。

【共同通信 斎藤記者】今、大臣のお話をお伺いしたところでは、現在、ロシアが実効支配している北方領土に、ロシアの管轄権だということを知りながら、第三国の方が入っていくという指摘だったと認識したのですが、一方でこの野党議員は、ご案内のとおりでいわゆる竹島、彼らが「独島」と呼んでおりますが、これを韓国政府による実効支配強化を強く求めている議員であるということは、これまでも何度も韓国メディアを通じては報道されています。彼らが竹島について、あのような強硬な姿勢をとっているという点は、今回、日本側の措置の中に加味されているのかどうか、政府対応の中に加味すべきなのかどうか、この点についてお願いします。

【大臣】私どもとしては、事実として今回、我が国の固有の領土である北方領土に対して、ロシア側の管轄権に服する形で第三国の国民、それも韓国の国会議員という然るべき立場にある方が行かれるということで容認をできないと考えております。竹島の問題については竹島の問題として、私どもとして申し上げるべきことは申し上げてきていると考えているところです。

【共同通信 斎藤記者】今回どういう対応を取るかは調整中だということですが、今回の対応については、すなわち第三国の議員が北方領土に行ったという点を問うているわけで、竹島とは切り離して別の問題として考えるという認識でよろしいでしょうか。

【大臣】竹島に関して、私どもの立場と相容れない言動に対しては、それについてはしっかりと申しあげていきたいと思いますが、今回は、私どもが承知をしている限りは、国後島に訪問するという行動ですから、それに対して申し上げるべきことを申し上げたいと思います。

【NHK 稲田記者】本日の参議院外交防衛委員会の中で、菅総理大臣の指示を基に、さきの日韓外相会談でこのことに関して申し入れをされたというようにご答弁されたと記憶しています。外相会談後、そういった申し入れがあったということを私どもは理解はしていなかったのですが、総理から具体的にどのような指示があったのか。また、日中韓サミットを控えて、なぜ外相会談で触れて、首脳会談で触れないという判断をされたのかをお聞かせください。

【大臣】総理からの指示があって、今、お話しさせていただいたように、韓国の国会議員がロシアの管轄権に服する形で我が国固有の領土である北方領土を訪問するということが我が国の立場から相容れないものであるということは総理と確認をさせていただいた上、政府として対応する必要があるということで、その部分は私(大臣)がいわば責任を持って対応させていただいたというように考えております。
 他方で日中韓のサミットそのものは、今回の震災に対するこれまでの協力に対する謝意と今後の協力、復興に資する活動を改めて強化をしていくこと、更には防災、原子力安全、そして環境などの三国間の協力、またそれにつながる二国間の協力を確認する場でありますので、首脳会談ではその点について意見交換をしていただくと同時に、話を進めていただくということで行わせていただいたものと理解をしております。
 したがって政府としては、私どもが責任を持って申し入れをさせていただいたというようにご理解をいただきたく思います。

【NHK 稲田記者】そうすると菅総理大臣が行うサミットであり、二国間会談というものは、震災の協力への謝意と、また協力に資するということであって、そのようなことを申し合わすのはふさわしくないという判断をされたという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】会談の目的に照らして、会談の目的にかなった議題でご議論をいただいたということでありますが、他方で韓国国会議員の北方領土そのものは、我が国の基本的な立場から容認できないものであるということは私(大臣)も総理も認識を共有いたしましたので、私(大臣)が政府として申し入れをさせていただくということにした、このようなことでございます。

【時事通信 西垣記者】20日の日韓外相会談で、外務大臣の方から我が国政府の立場と相容れないということをおっしゃったということですけれども、先ほども質問にありましたが、中止を求めるといっても、相手は政府なので立場が違うという点もあるとは思うのですけれども、中止に向けて何らかの措置を取るように求めたということはなかったのかということと、先方からどのような反応があったのかということの2点をお願いします。

【大臣】私どもとしては、受け入れられないということは行われるべきでないということの私どもの考え方をしっかり申し入れをさせていただいたと思っております。先方からは、韓国政府は、今回の訪問については政府とは関係がない旨の表明がありましたが、それ以上のやりとりについてはそれぞれのやりとりですので、申し上げるのはご容赦いただきたいと思います。

【共同通信 斎藤記者】今のお話ですけれども、結局大臣としては、向こうの金星煥長官に対しては、やはりできれば彼らが行かないように善処してくれという趣旨のことを一応申し入れているのかどうか、この点を確認したいということと、もう一つは、今回、今のお話にもありましたが、韓国政府は無関係だと言われていると。しかも、議員は野党議員です。したがって、韓国側では、これは非常に今回の件で李明博大統領も困っているというような指摘も出ております。
 これは確かに韓国の内政問題ではありますが、大臣もこの点については恐らくいろいろと情報も集められているし、ご関心もあるかと思います。何かこの点について受け止めがあればお願いします。

【大臣】もちろん韓国の国内というか、今おっしゃったようなことについても考えれば、まず議会と政府の関係というものがありますし、おっしゃったように、確かに野党の議員ということであるわけでありますけれども、先ほど、抗議の対象として本人なのか、政府なのかというご質問も大島さんからいただいたかというように思いますが、私どもとしては、やはり受け入れられないものである以上は、カウンターパートである、いわば政府に対して、申し上げるべきことは申し上げなければいけないということで、私(大臣)自身は金星煥長官に申し上げたということでございます。

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北方領土問題

【毎日新聞 犬飼記者】ロシア関係ですけれども、先般、イワノフ副首相が北方領土を訪問しました。その後、大臣からベールィ大使に遺憾の意を伝えたということであります。今度、G8で日露首脳会談があるのですが、大臣だけではなくて、首脳レベルでそうした遺憾の意を伝えるのか、あるいはそういう必要性があるのかということについて1点お伺いしたいと思います。
 また一方で、改めてであるのですが、震災の関係でロシアから支援がいろいろあって、友好ムードもあったのですけれども、またこうした要人訪問が再開されるということで、大臣としては、どのように日露関係を構築していくかということについて、改めてお伺いしたいと思います。

【大臣】現段階で何をお話しするかということは、まだこれから行われる首脳会談ですから、私(大臣)が申し上げるのは、必ずしも適切ではないと思っております。
 先ほどお話がありました、ロシア副首相の北方領土訪問については、私(大臣)が日本政府の立場でロシア大使に対して申し入れを行ったというように、私(大臣)自身は考えているということをまず申し上げたいと思います。
 震災での協力は多とするわけでありますけれども、この北方領土の問題について、私たちの立場は一貫をしておりますし、これについて何ら変わるものではもちろんないということをまず申し上げなければいけないというように思っております。
 また、日露関係を進展させる、そして、この北方領土の問題を解決して、平和条約を締結することこそが、日露関係の大きな進展であって、また、今後将来に向けての構築に最も必要なことであると思っておりますが、私(大臣)自身から大使に申し入れを行わせていただいたように、このような、今お話がありましたような訪問というのは、決してそういったことに資するものではないということは申し上げてきているところであります。

【毎日新聞 犬飼記者】今のお答えですと、大臣レベルではもう言ったから、首脳レベルでは改めて言う必要はないというようにも聞き取れるのですけれども、それは首脳としてやはりそういった、今回の韓国の議員とか、日中韓とは全然話が違う問題だと思うのですが、バイの会談ですし、その辺はいかがでしょうか。

【大臣】首脳会談の内容を今から予断するつもりはありませんので、その点の部分については、今のような解釈を今されることは、私(大臣)としても適切ではないと思いますが、私(大臣)としては、政府の外交に責任ある者として、私(大臣)が大使に抗議をさせていただいたということは、日本政府として意思をしっかり伝えたことになると考えているという趣旨でお話をさせていただきました。

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米国による新型核性能実験の実施

【中国新聞 岡田記者】先日、米国が新しいタイプの核実験をやっていたということが明らかになりましたが、被曝地では市長が大統領あてに抗議文を送ったり、被曝者が座り込んだりと抗議を続けております。政府としての今回の実験の受け止めと、政府として抗議する意思があるのかないのか、お聞かせください。

【大臣】私どもとしては、オバマ政権としては核軍縮・非核化に向けてというお話があったわけですから、我々としても歓迎をすべき方向だろうと考えております。
そういう中で、核実験というようにお話がありましたけれども、少なくともこれまでの条約などで議論をしてきたものに、直接該当はしないと私たちは理解をいたしておりますので、これ自身がどのような位置づけに当たるのかということをきちんと見極めた上で対応をしなければいけないと思っておりまして、現段階で条約等の核実験等に該当をするとは考えられないことに対して、抗議などを行うことは考えておりません。

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沖縄訪問

【テレビ朝日 花村記者】今週末の沖縄訪問ですが、仲井眞知事が再三、辺野古への移設は受け入れないと言っている中で、どのように理解を求めていくお考えか、改めてお聞かせください。

【大臣】知事を始めとして、沖縄の皆様の状況は大変厳しいものと認識をいたしております。他方で政府としては昨年5月の合意を着実に進めていきたいと考えております。一度お会いをしたからといって、一遍に物事が前へ進むとは思っておりませんが、私(大臣)自身は外務大臣に就任してまだ今まで一度も訪問する機会がありませんでしたので、まず沖縄をお伺いして、そしてしっかりお話を伺ってくるという位置づけで、今回は沖縄へまいろうと思っております。

【NHK 市原記者】この月曜日に沖縄の負担軽減部会が開かれたところではありますけれども、大臣ご自身が沖縄に行かれて改めて示す決意というのは、どういったことをお伝えしようと考えていらっしゃるのかということと、沖縄の話をよくお聞きしたいということですけれども、お会いになられるお相手としては仲井眞知事のみをお考えなのでしょうか。

【大臣】日程上、今回は知事とグラック四軍調整官とお会いすることを考えております。もちろんたくさんの方にお会いをすべきときには、お会いをしていきたいと思いますけれども、今回は限られた日程の中で、まずは県民を代表する立場でいらっしゃる知事とお話をさせていただきたい。同時に沖縄の米軍については、さまざまな課題なども沖縄の皆様から指摘を受けているところでありますので、四軍調整官ともしっかり意見交換をしてまいりたいと思っております。

【朝日新聞 松村記者】今おっしゃった米軍との間のさまざまな課題ということですけれども、地位協定の見直しということに関しては、何らかの結論なり提案なりを持っていかれるご予定はあるのでしょうか。どのようなお話をされるのでしょうか。

【大臣】地位協定の改定を提起するというのが、民主党のマニフェストであるわけでありますけれども、これまでも事件事故、地位協定に関連する環境も含めて、個別具体的な問題をまず解決すべきということで、外務大臣の先輩方も取り組んでこられたところであります。そういう中で、今お話がありましたように四軍調整官とも直接お話をすることで、そういった課題について今後一つひとつ改善の方策といったものを見出す端緒となるような意見交換ができればと考えております。
 地位協定の改定そのものというのは、私たちが問題提起をするということを申し上げてきているということは、米国側にもお伝えをして認識をしていただけるように、これまでも積み重ねを先輩方がしてきていただいていると理解をしておりますけれども、現段階ではまだ改定交渉を始めるというような申し入れをしているところには至っていないというのが率直なところです。

【NHK 稲田記者】土曜日に訪問されると、さきの日米両政府の合意からちょうど1年目となります。この間、仲井眞知事を始め沖縄県民は当初、政権交代を果たした総選挙で少なくとも県外もしくは国外と位置づけたが、辺野古に戻ってきた、なぜ戻ってきたのかということに対しての具体的な説明がないということを、沖縄が一貫して言い続けています。そのことに対して大臣として、なぜそのようなことに陥ってしまっているのかということと、改めて当然知事にその件についておわびをされると思うのですが、なぜ交渉が進んでいないと大臣は思っていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】県外ということを申し上げながら、結果として実現をできる道筋を見出すことができなかったがゆえに、昨年5月に改めて日米で合意をして確認をし、沖縄の皆様にその形でお願いを、ある意味でせざるを得ない状況になった。そのこと自身を菅政権としてもおわびを申し上げていると私(大臣)は理解をいたしております。
 その点については、なぜというより結果として実現をする道筋を付けることができなかったとおわびを申し上げるほかないのではないかと私(大臣)自身は思っておりますが、今、おっしゃったように、問題意識をどのように持っておられるかということは昨日と本日の部会などでも、その前後での知事等のお話を伺っていても、私(大臣)も実感をするところでありますので、どういったお話を申し上げるか、またどのような形で私どもが誠意を見せていけば沖縄の宮古の理解が進むのかということもしっかり沖縄へ行く中で感じ取れるような努力をしていきたい、こう思っております。

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1956年の日米合同委員会合意の見直し

【朝日新聞 鶴岡記者】日米合同委員会の1956年の公務の範囲に関する合意について伺います。大臣の国会答弁のとおり、既に死文化している記録があるにもかかわらず、大臣が先ほどおっしゃった外務大臣の先輩たちという方も取り組んで協議をしてから大分久しいと思うのですけれども、いまだ改正の合意に至る段階とは承知していなくて、米国が応じていない理由というのはどのように認識されているでしょうか。

【大臣】個別の交渉の内容については申し上げられないところがありますので、ご容赦をいただきたいと思っております。今お話がありましたように、これまでも多くの方が取り組んでこられたことだろうと思っておりますが、私(大臣)としても引継ぎを受けた中で、これについては是非とも前向きに取り組んでほしいということで、担当する部局にも求めているところでありますので、しっかりと米側と交渉してくれると考えております。

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日米地位協定

【琉球新報 松堂記者】日米地域協定についてお伺いします。4月29日に沖縄市で発生した強盗事件で、米軍の少年に対して沖縄県警が逮捕状を取って執行しようとしているのですけれども、米軍が応じていないということになっているそうです。地域協定では、捜査について相互協力義務があると思うのですけれども、これについて何か米軍に対して申し入れなどしたかお伺いしたいと思います。

【大臣】私どもとしては協力して事情聴取が実現したというように本件については理解しております。逮捕状の執行そのものについては捜査当局のご判断ですので、私どもからコメント申し上げることはありません。

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ウサマ・ビン・ラーディンの殺害

【フリーランス 上出氏】先週の初めに聞いたことの確認です。ビン・ラーディン殺害の問題で事実関係ですけれども、その後、パキスタンが実際には了承していたというような報道もありまして、主権侵害の問題というのは賛否あるのですけれども、米国の方が行為の正当性を主張している報道を見ますと、国連憲章の第51条で自衛権というのを主張しています。その場合には手続の中には安保理に報告をしなければならないというのが出ているのですけれども、あの問題について日本政府はコメントしない、評価しないと言っていましたけれども、どういうようになっているかということを、その後については非常に大事な問題ですけれども、なかなか調べようと思っても難しくて、外務省として、あるいは大臣としては、どういうようにその後の米国の措置がなって、国連との関係でどういうようなことになっているのか教えていただければと思います。

【大臣】私どもとしては、上出さんと先週お話をしたように、評価をする立場にないということでお話をさせていただいております。米側の主張と国連の対応については、情報が入ってきてご報告できるものがありましたら、ご照会に対しては回答を申し上げていきたいと思っております。

【フリーランス 上出氏】今のところでは、そういうところはつかんではおられないということですか。

【大臣】今、私どもとしてここでご報告をすべきものはございません。

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内政

【NHK 稲田記者】自民党の谷垣総裁が内閣不信任案についてどのような状況、時期で出すか全力を尽くすと述べて、またその提出については総裁に対して自民党役員会で一任をされました。谷垣総裁はどういった状況になればということで民主党、与党内からも同調する動きがないかということを必死になって探るべきだというように発言していますけれども、今、震災後のこのような状況で最大野党から不信任案の提出を総裁が明言するといったことをどのように受け止めていらっしゃるのか。また、野党側が与党内からも同調者を求めているというような状況に、現在、民主党は置かれているということについてどのように考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は現在、政府の一員として震災の対応、そして外交の責任者として職務を全うすべき立場にあると思っております。その上で、私(大臣)自身もさまざまな報道に接している限りでありますし、今、稲田さんがおっしゃったようなお話も漏れ聞こえてくるわけでありますが、現在のところ、不信任案について政局的な観点からいつなのか、だれが賛成をするのかというお話はよくお伺いをしますが、いかなる大義を持ってこのような国家的危機状況のときにお出しになるのかというお話はまだ寡聞にして詳しく聞いておりませんので、コメントいたしかねると思っています。

【NHK 稲田記者】すると、それは大義なき不信任案の提出だというように理解していらっしゃるということなのでしょうか。

【大臣】聞いていないというのとないということは、直結はしないと思いますが、少なくとも現段階ではお聞きをせずに政局的なお話がもし先行しているとすれば、これはいかがなものかと思います。

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外務大臣会見記録(平成23年5月20日(金曜日)15時57分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)日中韓サミットの開催について

【松本外務大臣】5月21日から22日、東京にて日中韓サミットを開催いたします。また、開催に先立って、温家宝総理、李明博大統領は仙台と福島を訪問されます。菅総理とともに、被災地の方へのお見舞いを行うことになります。被災地の方々を励まそうという両首脳の温かい心遣いに感謝を申し上げたいと思います。大変大きな励みになると思っております。また、福島を訪れるということで、安全性に関して適切な情報発信をする良い機会になると思っております。今回のサミットでは、私(大臣)が3月の外相会議で合意をしたとおり、大震災を受けての原子力安全・防災についての具体的な成果を出すことを目指していくことになります。また、原発事故を受けて、原子力安全を徹底すると同時に、再生可能エネルギーや省エネ、エネルギー効率の向上も極めて重要なテーマとなっていると思います。もちろん、サミットにおいては、三ヵ国間の協力関係、投資協定やFTAといった経済連携を含めて進めることを目指しております。こういったことが地域の平和と安定にとって資するものだと思いますし、我が国がしっかり主導的な役割を果たす重要な機会となり、また復興にも貢献するというように考えております。中国、韓国との二国間の首脳会談も予定されております。

(2)オバマ大統領の中東・北アフリカ情勢に関する演説について

【大臣】5月19日、オバマ大統領が中東・北アフリカ地域に関して演説をされました。当該地域の政治・経済改革、民主化への移行を後押しするという方針を、私どもも強く支持をいたします。中東和平については、二国家解決に向けた交渉の指針が示されるとともに、米国として現状を打開するためのあらゆる努力を継続するという意思が示されました。出来るだけ早期に二国家解決に向けた交渉が再開されることを強く期待いたします。我が国としても、この地域の国々が民主的、平和的で寛容な社会、持続的に発展する経済を実現していくよう、米国を始め、国際社会と連携しながら、各国の諸改革、安定的な体制移行への自助努力を後押ししてまいりたいと思っております。

(3)ハーグ条約について

【大臣】いわゆるハーグ条約に関してでありますが、本日、政府として、ハーグ条約の締結に向けた準備を進め、条約を実施するために必要となる法律案を作成することについて閣議了解をいたしました。これについては、子の福祉の観点から、各方面から寄せられる意見も踏まえつつ、副大臣会議を7回重ねてまいりまして、その結果を昨日19日に関係閣僚会議で確認をいたしたところであります。内容は、お手元に資料が配布されていると承知しております。また、資料にありますとおり、条約に基づいて設置されることになる中央当局は外務省におかれることになりました。条約を適切に実施する、子の福祉を最大限に実現するということのために、法務省などの協力も得ながら、しっかりと体制を整備してまいりたいと思っております。

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韓国国会議員の北方領土訪問計画

【産経新聞 酒井記者】本日、国会でも議論がありましたが、韓国の国会議員が北方領土の訪問を計画していると。「事実を確認中だ」という答弁だったと思うのですが、その後事実は確認されましたでしょうか、というのが一点と、首脳会談、二国間会談が近く予定されていると。その場で、菅総理が何かしらの抗議なりを申し入れるかどうか、現段階の考えをお聞かせ下さい。

【大臣】事実は現在確認中でございます。報道が事実であるとすれば、我が国政府としては、遺憾であり適切に対応したいと、このように考えております。

【毎日新聞 西田記者】「適切に対応したい」というのは、事前に行かないように要請するという対応なのか、行くかどうかを待って、それから抗議するなりの対応なのか、どちらでしょうか。

【大臣】事実を確認中でございます。

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米軍再編問題

【時事通信 西垣記者】普天間飛行場の移設問題に関してですが、少し前から2014年の移設完了期限をどうするかということが、いろいろなところで報道等も出ていたところですが、昨日、北澤大臣が国会での答弁で「難しいものは難しいという認識を日米で共有して、2+2で新たにどうするかという議論があってもいいのではないか」ということをおっしゃったと思うのですが、これに関して、大臣としては、いかがお考えになっていますでしょうか。

【大臣】まず、現状の認識について、私(大臣)も国会でご答弁を申し上げてまいりました。当初から考えられていたスケジュールが後ろに行きつつあることは、率直に事実として認めてまいりたいと思っております。他方で、現在は日米両国間で2014年というのが合意されておりますし、やはり一つの目標に向けて作業を進めていくことが必要でありますので、我々としてはしっかり目標を立てて目指していく、そしてまた、現状もしっかり踏まえていくと、このことを考えていくことが重要であります。北澤大臣のご発言は、そのまま受け止めれば、それはそれで一つの考え方だと思いますけれども、しっかりと目標があるということが大事ではないかと私(大臣)自身は思っております。

【時事通信 西垣記者】今、お話のあった「目標に向けて作業を進めていくことが大事だ」ということですけれども、目標というのは2014年という目標を掲げ続けることが大事だということなのか、あるいはそれを見直す場合でも新しい目標を立ててやっていく、いかなる場合でも目標があることが大事だという意味なのか、どちらなのでしょうか。

【大臣】今、私たちにある合意された目標は、2014年というように理解いたしております。

【NHK 市原記者】近く2+2の開催を予定して調整をされているかと思うのですが、2007年の2+2の時に出された文書では、再編についての部分も含まれた文書を出されていますけれども、次回の2+2で目指される目標の文書としては、目標の新しい期限を盛り込むお考えがありますでしょうか。

【大臣】新しい期限というのはわかりませんけれども、いずれにせよ2+2はできるだけ早く日程を確定すると同時に、共通戦略目標、そして再編といったこと、昨年の5月の合意もありますし、そういったことについて、これまでの議論の積み上げを最終的に2+2でしっかりと議論して文書にして発出をすることになると思います。

【NHK 市原記者】北澤大臣は、「難しいものは難しい。率直に議論があってもいい」とおっしゃているわけですけれども、2+2でも新しい目標について2014年ではない新たな期限について議論し、また文書にされるお考えはありますか。

【大臣】今、私(大臣)のところにある目標は2014年の合意した内容です。

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ハーグ条約

【星条旗新聞 杉山記者】条約承認案と関係法案ですが、国会にはいつ提出される予定でしょうか。

【大臣】本日、国会でもご答弁申し上げましたけれど、できるだけ早く提出をしたいと思っております。法案の方も、本日お配りをした中にもあると思いますが、中央当局の任務は私ども(外務省)、そして、子の返還に関する手続きは法務省、そして、とりまとめは法務省ということで作業を進めていくことになると思いますが、子の返還手続きに関しては、法務省の方は法制審議会といったようなところに諮問をしていくというようなステップもありますので、現段階で全てのプロセスが確定をしている訳ではありませんので具体的な日にちは申し上げにくいところがありますが、方針を定めておりますので、できるだけ早くやっていきたいと思っています。同時に家族の問題であり、子供さんの問題であり、ひいてはそれぞれの方の人に関する問題になってきますので、できるだけ早くと申し上げましたけれども、必要な議論や必要なご意見を聞くということはしっかりやっていきたいと思っています。

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内政

【NHK 稲田記者】内政に関してお伺いしたいと思います。大臣も既にご承知だと思いますけれども、西岡参議院議長が会見や更に寄稿という形で、菅総理大臣の退陣を要求しました。三権の長として、別の権の長に対して、そのような退陣という行動を取られることについて、大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。

【大臣】私(大臣)も議員運営委員長を務めておりました。議会の長としては中立の立場だと思いますので、西岡先生自身、私(大臣)も民主党が野党時代、日本国教育基本法の策定は、当時、西岡先生にこの議論の座長をしていただきまして、私(大臣)は政調会長であったりして、よく議論をいたしました。大変尊敬をすべき方でいらっしゃいますが、議長としてではなく、議員としてのご発言だと私(大臣)は理解をいたしております。

【NHK 稲田記者】そうすると、今回の発言は容認できる発言だという理解をしていらっしゃるということでよろしいでしょうか。

【大臣】容認する、しないというより、各議員の発言の自由は保証されていると思いますので、それについて、閣僚としてコメントするという立場にはないと思っています。

【共同通信 橋本記者】さはさりながら、一応西岡さんは参議院の議長であって、三権分立の観点からいうと、どう考えられますか。

【大臣】三権分立の話を私(大臣)の持論を申し上げると少し長くなるのですが、議院内閣制における三権分立とは何かという根幹に関わってくると、更に首班指名の最終的な権限がある衆議院と参議院をどう考えるか、そういったことを全部整理をした上で、三権分立なのに言うのはどうかという一言で解決する問題ではないということは、あえて言えば申し上げられると思います。
ただ、先ほど申し上げたように、これまでの議会の運営の慣例としては、議長、議運委員長の立場というものは、少なくとも中立の立場として行うということになっていると思いますし、また、そのようにされていると思いますので、今回の西岡議長のご発言はこれまでも政権交代を目指して共に歩んできた、今、民主党には籍を置いていらっしゃらないと思いますので、あえて申し上げれば、そういう言い方になると思いますけれども、そういう議員としてのご発言だと思っております。
西岡先生自身は先ほど申し上げましたように、恐らく政界入りされてからは40年どころか50年に近いキャリアであろうと思っておりますので、そういった方がお話をされているということ自身は、私(大臣)も真剣に聞くべきことであろうと思いますし、だからこそ皆さんも大きく取り上げているのだろうと思いますけれども、そのことに対して評価をするのか、同意するのか、そうでないのかといったことは、閣僚としては、コメントは差し控えさせていただきたいと思っています。

【NHK 稲田記者】西岡議長がそのようなことをしていること自体、真剣に聞くべきだというのは、それは菅総理の在り方自体についても、そういうことを言われても仕方がないという、それだけのキャリアの人だからということだけで真剣に聞くべきなのか。それとも、それ以外のことがあって、西岡議長の言うことを真剣にみんな聞くべきだとおっしゃったのか。どうなのでしょうか。

【大臣】しかるべき人物の話は、すべて真剣に聞くべきだと思っています。

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日中韓サミット

【共同通信 斎藤記者】日中韓首脳会談の関係でお伺いします。
 1つ大きなテーマとして、風評被害対策があるということは、これまでも政府は何度もおっしゃられてきているのですが、今回の中国と韓国の首脳に対して、具体的にどういうメッセージを発信していくのか。そして、今回の首脳会談は、日本の風評被害防止に向けて、どのような役割を首脳会談に求めていくのか。この点について、外務大臣としての所見をお願いします。

【大臣】今回の会談そのものでも、まさに首脳レベルで現状をしっかりとお話しさせていただくことによって、風評被害というよりは、的確な情報が意思決定をされるレベルに入ることによって、今後一層適切な対応をしていただいて、輸入規制強化などというのが緩和をされてくる。日本が安全性のために、安全を確保すべくやっている措置というのに理解をしていただいて、追加的な強化とか措置が緩和されるように、我々としては努力をしていく機会だと思っています。
 同時に、やはり1つのこういった首脳会談というのが節目でありますので、さまざまなレベルでも、当然働きかけも行ってきておりますので、いくつかの協議というのは、前進も見られてきているようでありますけれども、具体的な最終的な決定には至っておりませんので、こういった会談を通じて、更にそういったものが最終的な決定になって、措置が具体的に緩和されていくようにつながっていく。加速させる契機にもなってくれればなと思っておりますし、そうなるように努力をしたいと思っています。

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原発事故を受けた各国・地域の輸出入など関連措置への対応

【共同通信 斎藤記者】今の関連ですが、今、お話の中にもありました中国、韓国それぞれ日本の食品に対する輸入規制を現在実施しております。もちろん、日本として、なかなかほめたり、批判したりする対象ではないかもしれませんが、少なくとも日本の持っている安全基準というのがあると思うのですが、これに照らして、現在の中国、そして韓国の基準というものはどのように受け止めたらいいのか。この点についてご説明願いたいと思います。これが1つ目です。
 2つ目が、現在、実務者で原子力安全に関する会合を日中でやっています。この意義づけについても、2つ目の質問としてお伺いしたいと思います。

【大臣】1つ目は、中国、韓国に限らないわけでありますが、今、おっしゃった基準というよりも、多くの場合は、私どもも直接交渉をしている中で、実質的な手続、基準に合致をしている云々というより、合致をしていることを証明するとか、そういった手続が煩雑になることが、結果としてそれにコストがかかるとか、時間がかかるということが事実上の規制になっているというケースが最も多いケースだろうと思っております。そうであればこそ、日本国内でしっかりと既にチェックされている、安全性が担保されているということを理解していただくことが重要な要素になっていると思いますので、その点のご理解をいただきながら、今、申し上げたような実質的なそういうハードルをいかに緩和していくかということが課題になってきていると思っておりまして、交渉のウェートも、かなりその部分の方が、これは中韓に限らないですけれども、あらゆるところでそういった面が大きいのと、また、結果として煩雑な手続きをかけられている対象地域をいかに絞っていただくかということが、大体交渉の大きなポイントになっているのではないかと思いますので、その辺のところ、既に事務レベルでさまざま議論していただいているものを、先ほど申し上げましたように首脳会談を1つの契機に加速化していただいて、最終結論を早く出していただいて、最終的には両国間の経済に資する形で早く還元をしたいと思っています。
 2つ目の原子力については、専門の方が来て今、協議をしていただいていると理解しています。確かに連携をとらせていただいている中で、現在、原子力の事故の対応に当たっている現場というのは、引き続き日々いろいろな事象が発生をしてこれに対応するということでかなり忙しくしていることは事実でありますけれども、他方で、国際社会にも理解をいただくという意味では、専門家レベルで話をしていただくということが最もいい方法のうちの1つであると思いますので、積極的な専門家の受け入れをというのはかねてから私どもとしては、言わば原子力のオペレーションに当たっているチームにはお願いをしてまいりました。今回もそういう意味では、中国の専門家とのそういった意見交換、協議の場が設けられたということは大変有意義であると思っておりますし、例えば外務省が在京大使館などに提供している情報やデータにとどまらず、専門家の方々と協議をしていただいて、一層の理解が深まり、日本が情報を透明性高く出すことに努力していることの理解が広まるということのきっかけになるというか、一助になると期待しています。

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在日米軍によるパラシュート降下訓練

【沖縄タイムス 銘苅記者】本日、沖縄の嘉手納基地の方で米軍のパラシュート訓練が行われているようなのですが、事前に外務省に連絡が入っていたのかというようなことを確認させていただきたいのですが。

【大臣】そういった訓練を行いたいということでありましたけれども、本日、このタイミングで行うということについて事前の連絡は入っておりませんでした。しっかりと連絡を良くしていく必要があると考えております。

【琉球新報 松堂記者】今の訓練の件ですが、先日、米国のレヴィン上院議員が嘉手納統合案を提案して反発を強めている中で強行されたことをどうとらえておられるかが一点と、パラシュートの降下訓練は1996年のさこ合意で伊江島飛行場で行うと合意したはずですが、今回は合意に従っていないと思いますが、その対応について教えてください。

【大臣】パラシュートの降下訓練については、基本的には伊江島補助飛行場で行うことになっていますが、自然条件などの制約により伊江島補助飛行場の使用が困難な例外的な場合には定期的ではない小規模の降下訓練であれば嘉手納飛行場も使用しうるというのが日米両政府の従来からの共通の理解だと考えております。なお、嘉手納においても先ほど申し上げたように、本日、このタイミングで行うという連絡はきておりませんでしたけれども、訓練そのものについて、あり得るというような話はあったと報告を聞いておりますので、特に上院議員の報告があって云々ということの関連性は私どもとしては考えておりません。

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海外との原子力協力

【フリーランス 上出氏】本日、経産省の海江田大臣が言っていたのですが、原発外交について、ベトナムとかトルコとかに対してのより安全な説明をしたり、今までどおりの原発外交とは違うことが必要だというような指摘があったのですが、この原発の問題に絡んで、大臣としてはどのようなご認識でございましょうか。

【大臣】今回の事故について検証が終わってないというか、正確に言えば公式には始まってないということなのかもしれませんので、どこに問題があったのかということがはっきりしなければ最終的なことは申し上げにくいところがあると思いますが、他方で、私どもも海外の方と接する機会が多い中では、全体もしくは部分も含めて原子力に関連する日本の技術については引き続き高い評価と期待があることも事実です。私どもとしてもこういった遺憾な事故が発生をした以上、安全について一層の責任があると思いますので、その辺のところはあらゆる場面で安全性強化に貢献をしていかなければいけないと思っていますけれども、そういったことをよく見ながら今後の対応を考えていきたいと思っています。

【フリーランス 上出氏】相手国から積極的な反応があったわけではないのですか。

【大臣】個別の件についてはご容赦いただきたいと思いますが、従来からの原子力に関する日本の協力の要請というのをいただいている中で、数か国から引き続き協力がほしいという積極的な話やご意向もあるのは事実です。

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外務大臣会見記録(平成23年5月17日(火曜日)15時25分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)政策推進指針の閣議決定について

【松本外務大臣】本日、政策推進指針が閣議決定をされました。危機の中の危機への対応に加えて、震災前から直面していた課題への取り組みを再開するということが決まったと理解をしております。外務省としては、開かれた復興と新たな成長の双方に向けて引き続き、経済外交も含めて、外交全般にしっかり取り組んでいきたいと思っております。経済連携については、包括的経済連携に関する基本方針を維持することが確認されたと理解をしておりまして、これからもその方針に従って個別の取り組みを着実に進めていきたいと、このように考えているところでございます。

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日中韓サミット

【朝日新聞 大島記者】今週末の日中韓首脳会談ですが、首脳の被災地への訪問も含めて現段階でのスケジュールの調整はどのようになっていますか。

【大臣】現段階では結論は調整中ですが、首脳におかれてもお見舞いの気持ちから被災地の訪問ということについて、それぞれの方からもお話があると理解をしております。実際の日程や運営については、まさに今、事務当局がぎりぎりの調整をしていると理解をしております。

【朝日新聞 大島記者】今の「首脳におかれても」というのは、確認ですが、中韓の首脳ということでよろしいのかということと、その場合、菅総理も一緒に被災地に行かれるのか。もう一つは、訪問する被災地というのは福島県なのか、それともそれ以外の地域も含めてなのか、細かいことですけれどお願いします。

【大臣】今おっしゃったことが決まっていれば、調整は終わります。

【毎日新聞 犬飼記者】本日の政務三役会議でも日中韓(サミット)の成功に向けて力を合わせていこうという指示を出されたと思いますけれども、大臣として日中韓(サミット)にどのような思いを抱いているか、どのようなことがあれば成功と言えるのか教えてください。

【大臣】私どもの外交の基軸は、日米というのが大変重要な基軸でありますが、それと同時に、まさに隣国である中韓との関係というのは大変重要な関係であると考えております。そういう意味で、今回震災を受けた後、外相会談がいわばその先に立つものとして行われた訳でありますけれども、日中韓の首脳が一堂に会して今後の三ヵ国の未来のために率直に意見交換をすることができることが一番大きな効果というか、期待されるところだと思っています。加えて、今のご質問もありましたけれども、中韓両国からは支援・お見舞いをいただいている訳で、私どもはお礼を申し上げる立場でありますけれども、今回来られた、またそういった中韓両国を代表する立場の方の気持ち・行動というものを糧にして、復旧・復興にもさらに前進をさせていくようにつながればいいと願っております。

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外務省改革

【NHK 稲田記者】本日の夕方の省議で、大臣のご指示の下で、外務省の改革について話し合うというように、先ほど政務三役会議で話がありましたけれども、政務三役が感じている疑問点の改善等を踏まえてということだったのでしたが、大臣として、何を疑問に思われて、何をどのように変えていこうという形で新たにそういったことに臨まれるのでしょうか。

【大臣】改革というような、別に大きな看板を掲げてやるということではないのですが、やはり、私(大臣)自身は、外交、そして外務省の分野、在外公館も含めて、ますます開かれた国を目指していくという意味では、拠点の拡充も含めて、必要な予算・人員の資源というのは、是非、短期もそうですし中長期的にも、外交に携わる分野を増やすべきだと思っておりますし、増やしていきたいと思っています。ただ、同時に、やはりこういう行政改革を不断に進めていかなければいけない、そして財政状況も厳しい中では、私どもの仕事の仕方というものも常に見直すという気持ちを持つことが必要だというように思っておりまして、私達自身としては、政務の立場から、ひとつはそれぞれ、いわば、半分は民間とかを含めた外から見た目で見て、思っている様々なこと等、改めて外務省の事務方にも提起をして、是非、事務方の皆さんに一緒に考えてもらうというスタートラインにしたいという意味で話をさせていただいるところでございます。

【NHK 稲田記者】例えば、今の段階で大臣の頭の中には、どういった点を見直そうというお考えがあるのでしょうか。

【大臣】いくつかありますけれども、一つは、仕事というのは、私(大臣)も大きな会社に、銀行にいたことがあるから思いますけれども、ずっとやっていることというのは、誰かがボールを投げないと本当に有効なのかどうか、意味のある仕事なのかどうかということの見直しが行われませんので、一度ゼロから見直す気持ちでいろいろなところを見直してほしいという意味でもお話をさせていただきました。外務省の中でも、この間もいくつか機構改革等が行われて、それをきっかけに局内の仕事を見直して大きく前進をしているのではないかと認められるところもありますので、そういったものも考え合わせていきながら、最終的には、やはり我々としては、日本の国の力になる外交をしていかなければいけない訳ですから、そこに全部繋がる仕事がきちんとできているのかどうかということを、もう一遍総点検するという趣旨でお話をさせていただきました。

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米軍再編問題

【毎日新聞 西田記者】先ほど国民新党の下地幹事長とお会いになられていたと思うのですけれども、下地幹事長は、「辺野古はもうやめるべきだ。米国の空気も厳しい」ということを大臣に伝えられたというように説明されておられて、与党の幹事長から日米合意を破棄するかのような考えが示されていることについてのお考えと、もう一つ、「大臣は、国頭村の案も含めて、下地幹事長の説明を興味を持って聞かれていた」というように下地幹事長はおっしゃっているのですが、どの辺に興味を持って聞かれていたのでしょうか。

【大臣】下地議員は、「私(大臣)が真剣に聞いた」というように答えたと記憶が残っていますけれども、「興味を持った」というように答えていますか。下地議員が「興味」という言葉を使われたのですか。私(大臣)は基本的にお話を聞いたということです。
 下地議員とは大変長いつき合いでもありますし、昨年も1年間、幹事長、国対委員長の立場で、私(大臣)は議運委員長の立場でいろいろなことをお話ししてまいりましたので、お人柄と人物はよく理解をしておるつもりでありますし、沖縄の出身の中で、何らかの形でしっかりとやっていきたいという思いでいろいろ行動されているというように理解をしていますので、下地議員がお考えになっていることとか、いろいろご提案をいただいていることは、私(大臣)としては真摯に聞くべきであろうという意味で、与党の幹事長の話ですから聞かせていただきました。

【共同通信 橋本記者】先ほどの下地議員とのやりとりですけれども、大臣としては、説明を受けて、国頭村などの代替の移設案などを聞かれて、一応、真剣に聞いたとして、どのようなことをおっしゃられたのですか。

【大臣】聞いた。しっかり聞かせていただきましたと申し上げました。

【共同通信 橋本記者】ほかに何かおっしゃっていないのですか。

【大臣】私(大臣)の方からは、聞かせていただいたことを申し上げました。

【時事通信 西垣記者】それでは、その会談で話を聞いた上で、現在、大臣として、下地議員からのお話をどのように受け止めていらっしゃるか、どういうように考えていらっしゃるかということを、会見の場でお話を伺えればと思います。

【大臣】私(大臣)も真剣に話を伺いましたし、それだけ下地議員もいろいろお考えになっていることについては真剣に取り組んでいるというように私(大臣)は考えております。
 その上で、私ども政府としては、これまでも、本当にまさにいろいろな過程を経て、ロードマップも策定をされ、更にロードマップが2006年に策定された後も、さまざまな道を経て、現段階ではロードマップを含めて昨年の5月の合意に達しているわけでありますので、その合意を今の段階で私どもはやはりしっかり受け止めて、着実に前進をするというのが私(大臣)の考え方です。

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ウサマ・ビン・ラーディンの殺害

【フリーランス 上出氏】ビン・ラーディン殺害についてですが、最近11日付のニューヨークタイムス等各紙に出ていますが、ビン・ラーディンの生き残った息子が訴えています。皆さんは容疑者と言っていますが、米国は言っているのですけれども、容疑者と言う限りは裁判を前提にした行動であるのですが、実際には裁判なしに無抵抗の家族も含めてビン・ラーディンを殺害したことになりました。
これは国連憲章3条に平和的にやりなさいということが書いてあります。これに対して米国は51条で自衛権があると。でも自衛権があるという前提には安保理にすぐ報告しなければならない。各国で、日本人も武器を持っていない国ですから、違和感を感じています。
ただ、いずれにしてもこのまま米国の正義が全部まかり通ってしまうと北朝鮮でも自由にいけると。それは脅しかもしれませんが、いろいろなお考えがあると思うのですけれども、これについて外務省としては何らかの説明あるいは国際法違反ではないかという確認も含めて、検証などをする必要はないのか。これはジャーナリズムも当然真実の追究、社会正義にとってはおかしいことはおかしいと言うべきだと思うのですが、そういう点についてどういうご見解、今後確認したり検証したりすることについてはどうお考えでございましょうか。

【大臣】ウサマ・ビン・ラーディン容疑者の件については、私どもの方から総理の談話で発表させていただいた評価としては、発表させていただいたとおりであります。
その上で、そのときのやり取りについて、私どもも当然米国との間では情報の提供を受けるべきものは受けていると理解をしておりますし、報告があるものは報告があると理解をしておりますが、その場の状況を私どもがすべて把握する立場にもありませんし、これについて私どもが評価をするという立場にはないと私(大臣)は理解しております。

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日EU・EPA

【NHK 渡部記者】EUとのEPAについて伺いたいのですが、EU側は日本との交渉についてスコーピング・エクササイズという言い方で、事前の協議に合意する用意はあるというような説明をしています。それは交渉そのものではなくて日本の求めているものとはギャップがあると思うのですが、首脳会談までにそのギャップをどのように埋めていこうとお考えでしょうか。

【大臣】13日のEUの外務理事会の後に、デグフト欧州委員が「定期首脳協議は交渉の出発点にはならないが、交渉開始に向けた政治的意義を与える機会になる」と述べて、必要な手続について言及をしたと私どもも承知をしているところであります。
 EUとの交渉開始ということは、当然私どもとして目指していっているところでありますので、是非しっかりと交渉をしていけるような形をとっていくことが必要だろうと思っておりまして、今お話がありましたように定期首脳会議を成功というようにすることができるように、これから両者の間で交渉をして、作業を加速していくということになると考えております。

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外務大臣会見記録(平成23年5月13日(金曜日)16時39分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

日中韓サミット

【共同通信 斎藤記者】予定されています日中韓首脳会談の関係でお伺いしたいと思います。改めてこういう状況の中での韓国、中国の首脳間での会談ということになりますが、前回の3ヵ国の外相会談を踏まえて、どのような首脳会談にしていくお考えがあるのか。改めてこの点についてのご説明をお願いします。

【大臣】外相会談の際には、これまでの日中韓の3ヵ国の協力に加えて、防災、災害対策での協力、原子力安全分野での協力を、具体的な成果を目指して調整をしていきたいということで、今、日中韓の3ヵ国の間で日中韓の首脳会談に向けて、さまざまな調整を行っているところだと理解をしています。
 3ヵ国間協力の中では、環境、低炭素、省エネという言葉がそういうものに当てはまるのかもしれませんし、また、いわゆる再生可能エネルギーなどのそういった部分についても協力という話が広い意味で出てくるのではないかと考えております。
 
【共同通信 斎藤記者】中国、韓国はいずれも日本の原発事故に対して強い関心を持っています。近隣諸国として、さまざまな日本の対策、対処方針について非常に関心を持っているわけですが、事前情報をいかにして、事前情報といいますか、事故に関する、あるいはその対策に関する情報をいかに迅速に両国に伝えるかという点において、今回の首脳会談で何か日本としての立場表明、あるいは何か施策をお考えでしょうか。

【大臣】日中韓というか、中韓については、やはり我が国との関係、そして地理的な距離等も考えれば、この原子力発電所事故に関する情報については、最も正確に、迅速に、丁寧に説明をしなければいけない相手のうちの1つというか、2か国であるということは、私どもとしても認識をいたしております。
 これまでの事故発生以来の間には、さまざまな緊急事態等もあって、すべての情報提供がうまくいっていたと申し上げることは、残念ながらできないかもしれませんけれども、現段階では、さまざまな情報提供をしっかりさせていただいていることができているのではないかというように考えております。

【時事通信 西垣記者】今の日中韓のことに絡んで、原発、震災も絡むのですけれども、開会式を含めた関連行事、どれになるかはちょっとわからないと思うのですが、被災地で開催することを総理が発案されたということのようですが、このことの意義はどうかということと、あと調整状況は現在どうなっていますでしょうか。

【大臣】日中韓のサミットについては、5月21日と22日に、東京において開催すると発表をしたというふうに理解をいたしております。
もちろん、これまで来られた首脳であれば、ギラード・オーストラリア首相がそうでありますけれども、被災地を訪問されたケースというのがあることは事実でありますが、現実には、これまでの方々も、当然お見舞いの趣旨を表すという意味では、被災地の訪問ということをどこかお考えになった方も、それぞれ今までもおられるのではないかと思いますが、現実に来られている、日本におられる間の時間であるとか、被災地へ赴くということそのものについての関係者との段取りとかを考えると、具体的に被災地に行かれた外国首脳という意味では、オーストラリアのギラード首相が、最終的には日本に4日間おられる中で行かれたというように理解をしておりますが、それ以外には、今のところまだ私(大臣)の記憶にもありませんし、日中韓については、今、申し上げられることは、発表させていただいたように、東京でサミットを開催するということまでが皆さんに発表できることとなります。

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米軍再編問題

【新月通信 ペン記者】本日の国民新党下地幹郎氏の普天間基地に関しての発言ですけれども、今までの16年間の普天間移設の考え方をゼロに戻して、もう一回やり直しをすると。それについて同感できるでしょうか。

【大臣】下地国民新党幹事長は与党の幹事長でいらっしゃいますので、下地幹事長の発言は私(大臣)どもも注目をして拝見をさせていただいておりますが、私(大臣)どもの立場は昨年5月に日米で合意をした内容を着実に進める。このことが危険性を除去する普天間の移設にもつながる道であると考えて、今、進めているところであります。
 現段階で沖縄の皆様のご理解を得るには、厳しい状況であるということは十分認識をしておりますが、誠意を持って努力をしていきたいと考えております。

【新月通信 ペン記者】私は沖縄県民と話をする機会で、民主党政権への批判が物すごくされています。例えば民主党政権が自民党政権と同じ政策に戻した。それについてときどきこのような批判がありました。政権交代の意味が沖縄県民にとって全くなかった。そのような批判に関してどう考えますか。

【大臣】私どもとしても、結果として改めて沖縄の皆さんにお願いをすることになった、その間の経緯については沖縄の皆様におわびをしなければいけないと総理もお話をさせていただいておりまして、今お話があったような批判をいただくことになった背景、経緯も真摯に受け止めながらも、今、私たちができることを一生懸命やっていきたいということで、先ほど申し上げたように昨年5月を着実に推進することに努力をしたいと思っております。

【NHK 市原記者】関連してですけれども、11日に米国のレビン委員長らが出された提案に関連して、本日、東京に訪れられている仲井真知事が、負担が減るのであれば、騒音が減るのであれば議論の入り口になるかもしれないという発言をされていますけれども、地元沖縄県が沖縄県内で受け入れ可能ではないかと考える案がもしあるのであれば、更に検討する余地、議論する余地、また米国と交渉する余地があるとはお考えでしょうか。

【大臣】知事の話も、私(大臣)が直接お伺いをしたわけではありませんので、確認をしなければいけないと思っておりますが、報道で見る中では、可能性としてはあるということでお話になったとお聞きしています。他方では、これまで出てきた案というのもさまざまな事情によって、結果としては採用されない案となったけれども、今回の案がその意味でどうなるかというようなことがご趣旨のようなご発言もあったような報道に接した記憶がありますので、知事のお考えそのものもお聞きをしていかなければいけないと思いますけれども、日米との間の合意ということも含めて、今、私どもとしては、私どもにできることというのは、昨年5月の合意を着実に推進する。そのために沖縄の皆様の理解を得られるように誠意を持って努力をすることではないかと考えています。

【NHK 稲田記者】今のに関連して、2点お聞かせください。1つは知事に確認しなければならないと大臣もおっしゃいましたけれども、就任以来、まだ沖縄に訪問してらっしゃいません。どういった形で知事から確認しようとお考えなのかということが1点と、騒音が減るならば議論の入り口になれると仲井真知事はおっしゃっているのですが、大臣ご自身として嘉手納統合案というのは騒音が減ると、もしくは沖縄負担軽減につながるというような認識はお持ちなのでしょうか。

【大臣】2点目から申し上げれば、私(大臣)も今、発表されたものは全部読みましたけれども、どのように嘉手納に統合するのかといった量の問題であるとか、逆に統合された結果は当然増えるわけですけれども、一部を出すとすれば、どの一部がどういうふうになるかもわかっていませんから、減るか増えるかという認識を今の段階で申し上げることはできないと思います。
 前も申し上げましたけれども、私(大臣)自身も政府全体の役割分担の中で、機会があれば沖縄に行きたいという気持ちは私(大臣)自身としては持っていますけれども、今回の発言の確認とかはさまざまな政府と県の間のルートも含めてありますので、それはそういう形で確認はできると思いますが、本日もこうやって会見に応じておりますけれども、知事がどういう場面でどういうスキームでお話をされたかというのもお聞きをしてみないといけませんし、昨日は騒音問題が問題であるとすればなかなか難しいといったような趣旨のお話もあったと思いますので、大きく減るならば可能ですかと言われた場合に、大きく減ることは1つの魅力であるとおっしゃる可能性はあるだろうなと率直に言って思いますけれども、いずれにせよ嘉手納の騒音問題については我々も必要な対応はしていかなければいけない。それはそのように認識しております。

【共同通信 斎藤記者】今の点で二点あります。一つは今回の米議会の提案というものが2+2の日程等に影響しうるのかどうか。そして、日本としては、これは米国内のことということで、引き続き一貫した姿勢で早期開催を求めていくのかどうか、この点についてまず確認をしたいと。もう一点は前回の記者会見で、如何にして沖縄に説明をするかという点で、どの大臣が行くか、あるいは松本大臣が行くかということもあるけれども、政府全体として、どのような形で代表して説明するかということがポイントだとおっしゃられた記憶があります。その点について現時点で松本大臣としてはどのような形で政府が一体としてその意思を誰がきちんと沖縄に伝えるのかと、どのようなイメージをお持ちなのかどうか、この点についてのご認識をお伺いしたいと思います。

【大臣】どの部分を伝えるという話でしょうか。

【共同通信 斎藤記者】この前の会見でも、趣旨としては、自分が行くのはやぶさかではないけれども、問題は要するに菅政権全体としてどういう形で誰が代表して、総理かどうか分かりませんが、どのようにしっかりと政府全体としての認識を沖縄に伝えるべきなのかと、この点について具体的なイメージがあればご説明願いたいという趣旨です。

【大臣】もちろん、誰が行くかということを別にすれば、最終的には政府の全体の責任者は総理ということになると思いますけれども、現段階では官房長官と沖縄担当大臣とは兼ねておいでてありますけれども、政府内の調整をされる官房長官という役割と沖縄担当をされている枝野大臣という役割と、それから日米関係を含む外交担当をする私(大臣)と防衛もしくは米軍施設について担当される北澤大臣と、これはそれぞれ沖縄の中でも、そういう意味では伺う中で担当する分野についてお話をしつつ、その時々の課題に答えることになるのではないかなと思います。
 2+2については、私たちは4者の日程を調整をしていただけたら、一番できるだけ早い時期に開くということが望ましいし、4人が揃うことが望ましいというように申し上げてきましたし、先般のクリントン長官との会談後の会見でもお話をさせていただいたように、その認識は共有できていると思いますし、そのことが特に変わっているとは思いません。

【朝日新聞 鶴岡記者】嘉手納統合に関して伺います。岡田大臣の時に検討しながら採用しなかった経緯がございますが、今は昨年5月の日米合意を実施するお立場と伺っていますので、大臣は今、嘉手納統合について再び検討するというお考えはないでしょうか。

【大臣】嘉手納統合案は先ほど申し上げたように、少なくとも今回ご提案されたものが実際にどういう内容なのか、嘉手納に統合するということは書いてありますけれども、最終的にはいろいろなことを詰めないと案ということにはなってこないと思います。嘉手納統合案も私(大臣)が承知をする限り岡田大臣の時に出たという話も報道されていましたし、その前にも嘉手納統合という話が全く出たことがない訳ではなくて、その前にも出たというように理解していますが、いくつかのハードルがおそらく越えられなかったから最終案にならなかったのだと理解をしておりますし、今度の詳細の中でそのことでかつて越えられなかったハードルが越えられるのかどうかということは議論されてくるだろうと思いますけれども、まず現在は、米国議会が米国政府に対して提案をされたという位置付けだと思います。もちろん、上院の軍事委員長という立場を含む有志の有力な議員の方々の提案ですから、我々もその動向は注目をしていきたいと思いますけれども、私どもとして今、それ以上コメントする立場にないと思っています。

【NHK 市原記者】今回、この提案が発表される前、また、されてから、米国政府はこの提案をどう受け止めているかという話を米国政府とはされているのでしょうか。

【大臣】国防総省の方から2006年、そして昨年の合意というのが私たちの間にはあるし、その事が最もいいというか、ためになるものであるという趣旨の発言があったと理解をしております。それについては米国政府も合意を推進するという立場であると私どもは理解をしております。

【テレビ朝日 花村記者】嘉手納統合案は、かつても出て消えた案ですが、今回、政治状況や年数が経つことなど、さまざまな状況が変わってきているという中で、提案があるということ、そして、また実際に大臣がおっしゃったように、どういう内容なのかよくわからないという辺りを、米国政府なりから実際に話があるかもしれませんが、それ以前に日本政府として探ってみようというお考えにはならないのでしょうか。

【大臣】政府の提案だとは理解しておりません。少なくとも議会が提案された内容というものは、文書も含めて、私どもも全て拝見しました。

【テレビ朝日 花村記者】米国政府から何かしら実際に伝わってきた場合は、それに対して照会していくということはあるのでしょうか。

【大臣】米国政府は、先程お話ししたように、私どもが承知している限りは2006年からスタートした合意を推進する立場であると理解しています。

【朝日新聞 小村田記者】先程、米議会が米国政府に出された提案は注目していきたいということでしたが、提案を注目するということはどういうことなのでしょうか。今後どこに注目するということなのか、北澤大臣も「動向に注目する」というようなことをおっしゃられていたと思うのですが、今後、米国側の動きのどういう点に注目していきたいと思っているのかということがお伺いしたいのと、もし、それによって、仮定の質問にはなりますが、米政府側が態度を転換した場合は、どういうことになっていくのか。そこをお伺いしたいのですが。

【大臣】注目するというのは、視線をそそぐとしか申し上げようがないのですが、提案されて、今、国防総省の少なくとも反応はそのようなお話であったと思いますし、私どもとの間の合意でもありますから、米国政府の立場がそのような立場であるということが、まず確認をされたということであろうかと思います。ただ、ご案内のとおり米国の上院の軍事委員会というのは大きな権限を持っておられますから、それについてどのようなご発言があるのかということはしっかり見ていきたいという意味で、注目をしていると申し上げました。

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外務大臣会見記録(平成23年5月10日(火曜日)16時12分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

北朝鮮情勢

【共同通信 出口記者】昨日、韓国の李明博大統領がドイツのメルケル首相との首脳会談を行った際に、北朝鮮が非核化について合意すれば、来年韓国で開かれる核安全保障サミットに金正日総書記を招待する考えがあるということを表明しましたが、大臣として、この提案についてのお考えをお聞かせください。

【大臣】六者会合も含めて、私どもとしては、北朝鮮がこれまでの約束を果たす意思と具体的な行動を是非示していただきたいということを申し上げました。現段階でそれがなされているとは考えられない段階でありますから、まずそのことをしっかりと求めていき、また、それを見極めていきたい。ですから、今お話がありました件についても、まずそのことが見極められない段階では、私(大臣)の方からコメントを申し上げる段階にないのではないかと思っています。

【共同通信 出口記者】昨日、李明博大統領は、非核化に対して北朝鮮が合意すればという、あくまで約束をすれば招待するという前提のお話をされているのですけれども、今の大臣のお話などを伺うと、北が非核化に向けた行動を取らない限り、前向きな進展というのは望めないとお考えなのでしょうか。

【大臣】ウラン濃縮も含めて、非核化も六者声明の一つの課題でありますから、そのことがしっかり実現されるようなことが、私どもとして、どうやって見極められるかという趣旨で我々としては申し上げていますので、そのことを見極められるような状況ができることが重要だと思っています。

【共同通信 斎藤記者】今の点に関連してですが、2点あります。1つは、今、大臣の方からもお話がありましたけれども、北朝鮮の誠意ある行動、具体的な行動。これはまさに具体的な行動というのはどういう行動なのか。どういうものを彼らにやらせることによって、その前提がクリアされるのかどうか。その点についてお伺いしたいということと、それから、これまで歴代政権、いわゆる拉致・核・ミサイル、これの包括的解決を目指すというのが日本の一貫した立場だと承知をしているのですが、この立場に今のところいささかの変化もないのかどうか。あるいは今後、何らかの政策見直しを考える余地があるのかどうか。この点についてのご認識も併せてお願いします。

【大臣】六者会合を開くに当たってということで今までも申し上げてまいりました。六者会合そのものが1つの場として、私どもとしても、これまでも六者会合そのものを認めてきたわけでありますから、それを1つの場として行われるようになることが望ましいわけでありますし、そのこと自身に必要なことを申し上げてまいりました。
 どのようなことであればというのは、これは率直に申し上げて、総合的に判断せざるを得ないので、今、私どもの方から、これとこれをすればOKであるとかいうことを申し上げられる性格のものではないと思いますので、具体的に北朝鮮がどのような言動をするかをしっかり我々としては見極めていきたいということでありまして、言動にあらかじめこちらからラインを設けるという性格のものではないと思っています。
 最終的な解決の在り方という第2点については、おっしゃるとおりに私どもの立場は変わっていないという理解で結構だと思います。

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日米関係

【毎日新聞 西田記者】本日、閣議の後、総理、官房長官を含めて、残って協議をしていらっしゃいましたけれども、そこで今後の日米関係の在り方、いわゆる2+2とか、総理訪米も含めて、その辺の日程についてどのような話し合い、結論を得られたのかお願いします。

【大臣】きちんとお話しできるようなことができれば、すぐ皆さんにお話をさせていただくというのが私(大臣)の基本的な考え方ですので、今の段階でまとまったものとしてお話しできるものはまだなくて、調整中であるとご理解をいただけたらと思っております。
 個別には私(大臣)自身も、米国の訪問の経過などを総理、官房長官に、官房長官は率直に言えばほとんど時間がなくて、ご報告をする間がなかったのですけれども、改めて4人のところでご報告をさせていただきました。
 まず総理訪米に先立つ2+2は、4者がそろうということは大変意義があるということで、日米双方の認識は一致していると。ただ、そもそも日程調整の難しい4者でありますし、率直に申し上げれば、具体的に改めて日程の調整がスタートできたのは震災から1か月経って以降ぐらいからでありますので、その間でなかなか調整にまだ苦労しているというのが率直な実態でありますけれども、何とか4者の日程をまず合わせなければいけないという認識で共有されているので、今、その調整を行っているという現状などがお話をされているというように理解をしていただけたらと思っています。
 総理訪米についても、大統領も総理もたくさん仕事を抱えておられますから、日程調整がなかなか詰まらなければ詰まらないほどどんどん日程が埋まってくるので、簡単ではなくなってくることは事実でありますけれども、やはりできるだけ早いうちに行うということが重要ではないかとは思っています。
 総理と大統領自身は、恐らくフランスのG8でも顔を合わせていただく機会はあるだろうとは思っておりますけれども、そういう意味で日米関係そのものは、震災の協力も含めて、またそれ以降のやりとりも含めてですけれども、連携・コミュニケーションとしては大変いい、良好なレベルで推移をしているとは思っていますけれども、具体的なことで、今、ご報告できる段階に至っているものはないということでございます。
 北澤大臣からは、沖縄を訪問したということについてのご報告もありましたので、そういったお話をいくつかお聞きしました。

【毎日新聞 西田記者】一部報道で総理の訪米を7月以降に先送りするのではないかという報道もありますが、去年11月のAPEC時に合意した今年前半の総理訪米と、ここ自身が揺らぐというか、先送りされるということなのでしょうか。

【大臣】一部報道というのは私(大臣)も拝見をして、かぎ括弧つきで触れられていますけれども、かぎ括弧は正確に使っていただいた方がいいのではないかなと思いますが、先ほど申し上げたように、率直に申し上げて、それぞれ議会の日程とかそういったものがある中で、調整というのは簡単ではないということは、それは5月、6月、もう既にいろいろな国会日程、向こうも議会日程が入ってきている中で、簡単ではないということは認識をしているとは申し上げましたけれども、今の段階で、私どもとして、できるだけ早い時期にという調整を進めているということには変わりはありませんので、ここにも、私(大臣)が少なくとも同じ報道をもし見ているとすればあれですけれども、こういう発言をかぎ括弧で私(大臣)自身がしたというようにお話をされているとすれば、それはちょっと違うのではないかなと思います。

【NHK 稲田記者】関連して2点お聞かせください。大臣は、5月、6月さまざまな日程があって、非常に簡単ではないということを繰り返しおっしゃっていますけれども、そうなると結果として、普通にカレンダーを見れば今年前半というのは6月末で終わると国民は思うと思うのですが、難しかったならば、会うことは当然大事であって、6月下旬を超えて7月になってもそれはやむを得ないというお考えなのでしょうか。それから、客観的に見て難しいという問題の1つに、2014年までの普天間の移設問題があるわけですけれども、これについては大臣としては特に5月28日に約束した以上は、実現しなければならないとお考えなのでしょうか。

【大臣】まず1点目は、私(大臣)自身は日程を調整するのが役目でありますので、やむを得ないとか、いいとか悪いとかという判断をするのではなくて、どのように早く日程調整を終えることができるかということで、努力をしたいと思っております。今お話がありましたけれども、昨年のAPEC以降ということで申し上げれば、3月11日に本当に未曾有の大震災が発生をして、日程調整その他も先ほど申し上げたように、ある意味ではリスタートをさせていただいているということだけは、事実として申し上げられるのではないかと思っております。
 2014年の普天間でありますが、2014年というのは前政権の額賀さんのときか、正確には確認をしないといけないと思いますけれども、お決めをいただいた基本的な考え方だと理解をしておりますし、ロードマップをしっかりと引き継いで進めていくということでこなしていただいております。皆さんもご存じのとおり、いくつかいろいろな一つひとつクリアをしていかなければいけないステップがあるわけですけれども、すべてが当初2014年と決めたときに考えられていた節目どおりに今、進んでいるかと言えば、後ろへ後ろへ行きつつあることは事実だろうと思います。負担軽減、ロードマップの実現、普天間の移設などの課題を一定の目標を持って行うという意味では大変重要なことではないかと。現実をしっかり見ながらも目標をしっかり掲げていくことが大事だと思っております。

【共同通信 斎藤記者】総理訪米、あるいは2+2いずれも日程調整の問題であるというお話が大臣の方からありました。日程調整もさることながら、サブスタンスのところについては、基本的に日程さえ合えば今は開けるだけの準備ができているのかどうか、普天間も含めてこの点についてご認識をお伺いしたいと思います。

【大臣】今、お話のあった沖縄の問題というのは、私どもとしても沖縄の今の状況は決して容易な状況ではないということは、国会でもご答弁を申し上げさせていただいております。その意味ではできるだけご理解をいただきたいと思っています。今ちょうど2014年のご質問が出ましたけれども、やはり普天間の移設というものも是非進めていきたいと。進めるために行わなければいけないことは、私どもとしても決めなければいけないし、日米の間でも確認をしなければいけないものもあるということは事実だろうと思います。昨年5月の合意を踏まえて、次回の2+2でやらなければいけないことについて、私どもとしても準備をしているわけでありますけれども、他方で7日も北澤大臣が沖縄を訪問されましたように、沖縄の皆さんに誠意を持って理解をいただく作業も途上であります。
 具体的な2+2の日にちが決まっておりませんので、決まるまでに私どもとしても努力をしていきたいと思いますし、決まった2+2の時点で何を中身とすることが適当なのかということも決まってくると思いますし、そのことについては当然、日米の間でも協議をされることにはなると思います。

【時事通信 西垣記者】昨年の5月の合意では、それを踏まえた専門家協議を受けた結果ですけれども、今度行われる2+2において、普天間代替移設の配置、V字案にするのか、I字案にするのかというところを決めることになっていると思うのですけれども、そこについては次回の2+2ではっきり打ち出していく方向で調整を進められていると考えてよろしいでしょうか。

【大臣】まさに今、政府として沖縄の皆さんのご理解をいただくことは容易でないけれども努力をさせていただいている途中でありますので、昨年の5月を踏まえて、私どもとしては2+2の実現を目指していることは、改めて申し上げられると思いますけれども、具体的に2+2の中で何を決めるか、もしくは何が最終的なサブスタンスになるかということを、今の段階から申し上げられることはまだありません。

【共同通信 出口記者】2+2の前で、何が決まるのかはまだはっきりしないとおっしゃっていましたが、決まることはいずれにせよ沖縄に多大な影響を及ぼすことだと思います。2+2の実施の前に、大臣自ら沖縄に出向くなり、沖縄の関係者の方と会って決めることになる内容について説明し、理解を求めるご意欲はおありでしょうか。

【大臣】2+2についても、例えば共通戦略目標であるとか、大変幅広い範囲の日米同盟の深化について、今回の震災に伴う日米協力を含めた、今後の協力のあり方などについても議論する予定になっていますし、そういったものについて、既に議論が進みつつあるものも確かにあります。その中の一つとして、今お話があった沖縄の米軍再編の問題、そしてその中には沖縄の基地の問題も含まれてくるわけです。私(大臣)個人としては、私(大臣)も政府の一員として、どういう努力のあり方があるのかという中では、一つは私(大臣)自身が沖縄に行って説明させていただくというのも、選択肢の中にはあると思っていますが、最終的には、政府全体として沖縄の皆さんにお話をさせていただくのかは、適切な方法というものをそれぞれ関係の閣僚ともよく相談をして、役割分担をどうするかということも含めて、最終的に決めたいと思います。

【NHK 稲田記者】5月28日の代替施設の位置についてですが、5月28日の中では、次回決めるということが盛り込まれていると。ただ先程の大臣のお答えを聞いていると、それを踏まえてやっているけれども、何が最終的に含まれるかは申し上げることではないということですが、そうすると、それだけ聞いていると、必ずしもそこで決める必要はないという選択肢も一つあると聞こえるのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

【大臣】これだけ日程調整に苦労する、大事な2+2でありますから、大事なことはしっかり決めていかなければいけないと思っておりますけれども、今お話にありましたように、関係する皆様方に、よくお話をしなければいけない話がたくさんありますので、そういったものもしっかりお話をさせていただいた上で、最終的に2+2で何を決めるかということが決まってくるということで、お話しさせていただきます。

【共同通信 出口記者】沖縄の理解なしに2+2で決めることはないという理解でよろしいでしょうか。2+2で決まる前には必ず沖縄に理解をもらってから2+2で物事を決めていかれるということでよろしいでしょうか。

【大臣】是非ご理解をいただけるように努力をしたいと思っております。

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原発関連情報の公開・公表

【毎日新聞 大貫記者】8日にタービン建屋と原子炉建屋の間の二重扉を開放するに当たって外務省も事前に各国の大使館などに通報したということですが、これは4月にあった低濃度汚染水を放出する際に連絡が直前であったり事後であったということの批判も一部にありましたけれども、そういったことを受けて外務省内、あるいは政府内で海外に対する情報提供のあり方について何らかいろいろ検討などされた結果、こういった改善措置がとられたという理解でよろしいのでしょうか。

【大臣】そのようにご理解いただいてよろしいかと思いますが、低濃度汚染水の排出については国会でもご報告を上げましたけれども、結果としては説明その他について厳しい評価を受けることもやむを得ないような形になってしまったというように私どもも思っておりますし、改善が必要だということで、すぐその直後に一つは原子力発電所の事故の対応に当たっている最前線の方々は最もいいと思われる方法が決断をされた以上はできるだけ早く実行に移すことが少しでも次の手順に進める、つまりそれは最終的には放射能の拡散量を減らすことにつながるということで、早く実行をしたいという気持ちがある。他方でやはり私どもは外国と直接接しておりますし、また地方自治体の皆さんからも当然発表されれば、例えば自治体など問い合わせを受けるところには、ある程度予め情報が欲しいというお声も当然あったわけであります。また、政府で私どもに限らず各省においても関連するところからの問い合わせなどがくるところは予め知らせて欲しい。早く実行に移して早く効果を上げるということと、一定の範囲には情報共有するということをどのように整理をするかということで、ある程度の整理が行われて、ある程度の時間をもって、ある程度説明すべき方には説明をきちんとした上で対外的にも一般の方々にも公表するということの手順は低濃度汚染水のことのすぐ後から整理されて、既にそれはある意味では一つの手順として確立された形で今行われている、今回もその一つの手順に乗ったというように理解しています。

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ハーグ条約

【西日本新聞 田中記者】ハーグ条約についてお尋ねしたいのですが、本日の午前中の報道で米国の民事裁判でハーグ条約に絡む判決が出ましたが、改めて外務省としての条約への加盟の是非についての考え方を教えてください。

【大臣】ハーグ条約そのものについては、私(大臣)自身も副大臣の時に担当をいたしておりました。これに取り組むにあたっては、私(大臣)自身も相当自分の中でもいろいろ考えましたし、いろいろな方のお話も聞いて議論をさせていただきました。日本に何らかの事情で女性、男性にかかわらないわけですけれども、例えば米国人の男性、もしくは外国人の男性と日本人の女性が結婚して、日本人の女性が何らかの事情で子供を連れて日本に帰ってきているといったようなケースはどうなるのだということが、一つのハーグ条約の例としてある訳ですけれども、やむを得ずそういうようにしていることが、ハーグ条約を締結することによって本来の女性、ないしは子供が守られなくなるとすればそれは避けなければいけない。したがって、そのためにはどうすることができるのかということは考えなければいけない。他方で、これは私(大臣)自身ではありませんけれども、今回いろいろ手分けしてヒアリングする中では、今日本に子供を連れ帰ってきている女性がもしこれが逆だとすると「私が実力で(子供を)連れて行かれたとすると、今度は法的に取り返す方法はないのでしょうね」ということを問いかけられたこともあって、「それは確かにそのとおり、今の状況だとそうなりますよね」ということで、私(自身)もいろいろ考えた末に、先ほどお話しさせていただいたように、今起こっていることとか、ハーグ条約を締結することによって不利になるのではないかと言われている問題についてはどういう解決方法があるかを探しつつ、他方ではやはり国際的にこれだけ人が移動する中で男性女性が婚姻をして何らかの事情でやむを得ず婚姻が破綻をして別れた場合にそれを解決する裁判の管轄権の一種の問題ですから、方法のルールというのが一応国際的なルールが定められているものに、日本が乗らなくていいのかと言えば、私(大臣)は最終的には乗るべきだろうと思って関係の方々とか、どういう問題をなくすことができるのかという方法のあり方とかを探るような検討を一緒に副大臣としてやって参りました。今もそこは問題はどこまでクリアできて、どういうことができるのかということを検討してくれていると思いますし、その一方で日本において具体的に手続きをとるとしたらどういう手続きが必要なのかということが検討されていると思っています。そこが本当にクリアにどういう形でできるのかということが分かれば次のステップ、つまり具体的に条約の締結を決断させるのかされないのかというステップに入ると思いますが、今はまだ手前の段階ではないかと思います。
 本日の報道の判決などもそういう意味では、現在のところではいうなれば法律的には日本と違う土俵に乗っている状況の中で出てきたものでありますけれども、加盟している国々の数とか考えると一定の国際的ルールに我々も乗るべきところと、それから我々の国なりに守るべきものの対策をきちんと早く整えられるように、一生懸命私(大臣)の後任なり、政府全体で考えてくれていると理解しています。

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日米地位協定

【琉球新報 松堂記者】沖縄で米軍人の家族の少年による強盗事件が発生しましたが、逮捕状を取得した警察に対して米軍側が身柄の引き渡しに応じていません。地位協定に照らし合わせてどうとらえているか、お考えを聞かせてください。外務省として米側にどのように対応するかについてもお聞かせ下さい。

【大臣】4月29日に発生した件だと承知をしておりますけれども、これは現在日米の当局の間で事情聴取について具体的に調整をしていただいていると承知をしております。外務省も日本政府の立場からその調整の、いうなればお手伝いをさせていただいているというようにご理解をいただいていいと思います。

【琉球新報 松堂記者】地位協定に違反しているかどうかというのはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】まずは、当局間で事情聴取が具体的に行われるようにすることが必要なのではないかというように考えております。

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外務大臣会見記録(平成23年5月6日(金曜日)15時53分~ 於:本省会見室)(動画版他のサイトヘ

冒頭発言

(1)出張報告

【松本大臣】私(大臣)の方からは、まず出張の報告を申し上げたいと思います。4月29日(金曜日)から5月4日(水曜日)まで出張をいたしました。米国ではクリントン国務長官、スタインバーグ国務副長官、チュー・エネルギー省長官、ドニロン大統領補佐官とお会いしました。また、震災でご支援をいただいた米国政府関係者の方々との懇談も行いました。ご支援に対して直接謝意を申し上げました。また、復興に向けて日米協力・官民のパートナーシップということで、風評被害対策、そしてサプライチェーンの確保ということで協力をしていくことになりました。
 次に、ベルリンで、核軍縮・不拡散に関する外相会合、このグループでは議論の段階から具体的な行動に移っていくということを確認をしまして、「核リスクの低減」のためのリーダーシップを発揮するという力強いモメンタムを醸成をすることができたと思っております。
 次にセネガルでのTICADフォローアップ閣僚級会合、これは高橋副大臣と共に参加をいたしまして、開催国を務めていただいたセネガルの外務大臣と共同議長を務めました。震災に関する各国からの支援に謝意を申し上げたこと、それからTICADⅣの公約、ここまで順調に進んできているのですが、是非誠実に実現するという決意を表明いたしまして、また併せて、防災など今回の震災を踏まえた協力関係の更なる進歩というか進化についても申し上げて、各国からご評価をいただく発言をいただきました。また高橋副大臣と併せて15の二国間会談を行いました。
 その後は、日EU経済閣僚会合では、来る日EU定期首脳協議の成功に向けて、必要な作業を加速させることで一致しました。またEUの輸入規制について、我が国の対応を踏まえて、適切な対応を取るように要請を致しました。日EU定期首脳協議に向けての経済閣僚会合はデグフト通商担当欧州委員ですが、この他にもバローゾ欧州委員会委員長、バルニエ欧州委員、ダッリ欧州委員と意見交換を行い、また当地の、レテルメ・ベルギー首相を表敬、ラスムセンNATO事務総長との会談も行いました。
 英国では、ヘーグ外相と会談、またキャメロン首相も途中から参加して懇談をいたしました。英国には支援に対する謝意を表明すると同時に、これまでも原子力事故について、ある意味では大変客観的かつ冷静な対応と姿勢を出しておられる英国と、これからの原子力安全分野についても協力していきたいというお話をさせていただきました。先方からは日EU・EPAへの支持の表明、そして日英関係を深化させていきたいというお話があって、この点では一致しました。

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「ウィキリークス」における米外交文書の公開

【朝日新聞 大島記者】ウィキリークスが公表した米国政府の公文書の中に、米国の海兵隊のグアム移転について、米側が実際よりも移転費用を水増しして、日本側も後にそれを追認していたという内容の文書があるのですが、これについて事実関係の確認と何かコメントがあればお願いしたいのですが。

【大臣】たいへん面白く朝日新聞を飛行機の中で読みました。

【朝日新聞 大島記者】もう一つ関連ですが、同じように今回の公文書の中に、民主党政権発足当時の外交基本方針について、現在インド大使をされている斎木大使が要するに「民主党政権というのは、官僚を押さえて米国にチャレンジしようというイメージを作ろうとしていて、そうしたことについては愚か」、元の文書では「stupid」という言葉を使っているのですが、これについては何かございますか。

【大臣】同じ言葉になります。ちょうど帰りの飛行機の中でしたから、全部読みました。

【朝日新聞 大島記者】外務省としては、一切この件についてはコメントしないということですか。

【大臣】面白く読みました。
【毎日新聞 犬飼記者】今の面白いの中身に入るかもしれませんけれども、こういう形で外交上のやりとりが出るということについては、どういうように率直に思われますか。

【大臣】一般的に申し上げれば、やはり外交上のやりとりというのは、ビジネスでもそうだと思いますけれども、交渉中のやりとりというのをお互いにどの段階でどのように出していくのかというのは、交渉を成功させる意味で出すことのプラスマイナスというのは、双方にとって両方にプラスマイナスがそろう場合もあれば、双方にとって逆の場合もあると思いますので、そうであればこそ外交文書も、しかし我々も政府ですから、国民に伝えなければいけないということで、年限を区切って、一定の時期が経ったら公開をしようという制度が世界的にも定着をしつつあるし、我が国でもそういう制度をこの政権でもしっかり定着をさせていこうとしているわけでありますけれども、その場合でも、出す出さない、出せる出せない、その事案が今、継続しているしていないなども含めてありますから、そういう意味では、不正な方法で外交上の秘密とそういう文書が公開をされるということは、やはり遺憾だと申し上げたいと思います。

【毎日新聞 犬飼記者】本日午後、それに関連しまして、自民党の外交部会がありまして、外務官僚の方も出て説明されたみたいですが、この文書の中に、報道の中にもありますけれども、自民党政権時代に沖縄県外に対して密約まがいの話があったと。それについて自民党としては、当時の中曽根外務大臣とか、あるいは林芳正防衛大臣とかに対して調査をするということを一応外交部会で表明したみたいですけれども、民主党政権として、自民党時代の話が出ているということについてどう思うかということと、あと、先ほど外務官僚の方の名前も出ていますが、それについて調査はされないのかということについてお伺いしたいと思います。

【大臣】これについては、コメントも確認もする予定はありません。一般的に申し上げれば、民主主義国家でありますから、おのずと政治と行政、官僚の立場というのは決まっているわけでありまして、私どもはしっかりそれをわきまえてやっていただけるものと思っておりますし、やっていただいていると思っています。

【毎日新聞 西田記者】同じ趣旨の話ですけれども、出ている文書が正しいかどうかについてのコメントはされないと思うのですが、外務省の官僚の方の考え方、発言そのものがあるかどうか、その調査もされないということですか。

【大臣】文書について確認もコメントも申し上げない立場でございます。今おっしゃったお話は、その文書の前提に立った上でのその先の話ではないのですか。

【毎日新聞 西田記者】いや、文書そのものが正しいかどうかは別にして、そういった発言をしたかどうかということを確認することもされないということでいいのですか。

【大臣】文書そのものについてコメントも確認もしません。

【時事通信 西垣記者】今のことと押し問答のような、同じやりとりの繰り返しになってしまうかもしれないのですけれども、先ほどの自民党の部会では、自民党政権時代にそういうやりとりというか、日米間でやりとりが交わされていたことを政治サイドとしては知らなかったと。つまり、あそこに出てきたことというのは民主党政権が掲げる政治主導ということにも深く関わってくる話になるのではないかと思うのですけれども、そういった面から調査をしてみるというお考えはないでしょうか。

【大臣】文書について確認もコメントも申し上げる予定はありませんし、文書に基づいて確認なりコメントをするということもないと、ご理解をいただいていいと思います。

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日米関係

【時事通信 西垣記者】全く別件で、大臣の出張報告とも絡むのですけれども、2+2、あるいは総理訪米については、クリントン長官との間で重要性について確認して、日程を引き続き調整していくということだったと思うのですけれども、一部報道では6月下旬の2+2開催を米側が日本側に打診したとの報道もありましたけれども、そのことについての事実関係を教えていただきたいのと、あと、調整の現状は、今どうなっていますでしょうか。

【大臣】報道について確認もコメントもしませんというわけにはいかないのでしょうけれども、それぞれのお立場で、それぞれの取材で、それぞれ正しいと思われるものをお書きになっていると思いますし、各紙並べて見ると全く違うことをお書きになっていることもあるというのが実情だと思います。
 私(大臣)どもとしては、2+2、そして総理訪米というのは、非常に大事だということで米国とも認識を一致いたしました。ただ、現実の問題として、3月そして4月の初旬は、こちら側から日程調整の球を投げられる状況でなかったことは事実でありまして、結果として、ここでも申し上げましたけれども、比較的調整しやすい、ゆとりのあった、いわゆるゴールデンウィークの期間も2+2は行えなかったわけであります。いずれにせよ、前回も申し上げましたけれども、まず2+2の日程調整は非常にこれまでも、単純に物理的な4者の都合をそろえるだけで大変苦労してきているということは、率直に言って4者ともそれなりの仕事と立場がありますので、大変な状況が続いてきておりまして、ただ、今回は是非とも早いうちに4人そろった2+2をやろうということで、やることが望ましいということで一致したということが、重要性で一致したという意味だとご理解いただけたらと思います。現在も私(大臣)も北澤大臣もクリントン国務長官もゲイツ国防長官のスケジュール担当も、必死になってスケジュールを見て、ここが動かせるかどうかということも含めて日程調整してくれていると思っています。決まりましたら、ちゃんとご報告いたします。

【世界日報 山本記者】大臣の帰国のご説明の中で、米国の支援団体との交流をなさったということだったのですが。

【大臣】政府支援関係者です。

【世界日報 山本記者】政府支援の方の関係ですか。民間との関係交流というのはなかったわけですか。

【大臣】時間が限られていましたので、その日は政府のエネルギー省であるとか、原子力規制委員会であるとか、国務省、国防総省で、日本でいうところの対策本部をつくっていただいた方々、トップだけではなくて実際に現場におられた方々も大使館に集まっていただいて、私(大臣)の方から握手を申し上げてお礼を申し上げたという趣旨でお話をいたしました。

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