(外務大臣)ロシアの退役原潜の解体作業を百億円規模の資金を出して行っていますが、ニュージーランドからそれを支援したいという申し出があって、5900万円程度の支援をするということです。韓国を含めて3ヵ国の共同作業として行うことになります。
(外務大臣)もう一つロシアの話ですが、下院議員選挙に日本から選挙監視員を派遣致します。これはロシアの中央選管から要請があって派遣するものです。選挙運動、投票、開票といったことについて、公正で民主的に行われることに関心を持っています。ロシアとしてもそれを監視して欲しいということですから、そこに派遣するということです。
(問)北朝鮮の関係で、今日から寧辺(ヨンビョン)の核施設に各国から視察が入っていますが、それについては如何でしょうか。
(外務大臣)あれは米国が中心で既に行っているところを、各国もきちんと見ていきたいということですね。視察しに行くということです。
(問)中身に期待されることは。
(外務大臣)それは、きちんと行われているか、北朝鮮がきちんと行うかどうか、米国と北朝鮮が協力して行っている訳ですから、それが間違いなく行われるように監視と言いますか、視察するということです。
(問)日朝協議については今後、六者の首席代表者会合等に向けてどの様に進展させていくのか、また見通しなどは如何でしょうか。
(外務大臣)六者会合の首席代表者会合を出来れば12月の初旬くらいに行いたいということで、先の日中韓の外相会議でもその様な話があったので、そういう方向で今、調整中だと聞いています。
(問)日朝協議については今後進展するでしょうか。
(外務大臣)これは、非核化や米朝といったことと並行して進むことが理想的です。日朝が遅れているとすればそれは問題なので、遅れないようにそれぞれが「行動対行動」の原則と言いますか、やはり北朝鮮側に動いてもらわなくてはいけないことがある訳だから、そういうことを動いてもらって、それに対して日本としても動いていくということで進めていきたいと思っています。
(問)12月初旬に行いたいという首席代表者会合の前に、日朝作業部会を行う方向なのでしょうか。
(外務大臣)そういう報告は今のところ受けていません。
(問)それを無しに各国がテーブルについた場合に、日本のこれまでの主張がある程度薄まってくるのかなという懸念があると思いますが、その辺りは如何でしょうか。
(外務大臣)これを何時行うか、正確な報告を受けていませんが、それは公式なもの、非公式なもの、表で行うもの、水面下のもの、色々なことがあり得ると思います。
(外務大臣)11月25日(日曜日)、国際保健協力に関する政策演説を行います。これは、来年のTICAD IV及び北海道洞爺湖サミットを念頭に置いたものです。
国際保健協力の分野で国際社会が共有する行動指針を作りたいということです。国際社会の様々な関係者が幅広く参加するように、参加と協力を呼びかけていく所存です。
母子保健増進或いは結核対策を中心に戦後、日本はずっと取り組んできて成功を収めてきた訳であります。それから、経済協力でも母子保健手帳の普及等もずっと行ってきた訳ですが、このような我が国の考えを示していきたいと思っております。特に、人材の育成と確保を柱とする保健システムの強化が重要であると私は思っています。
(外務大臣)バングラデシュとパプアニューギニアにおいて大型サイクロンによる甚大な被害が出ていますが、私としても大変心を痛めております。我が国はバングラデシュの被災者救済のために、先日既に約3,500万円相当の緊急援助物資を現地に届けましたが、本日、医薬品、毛布、非常食、簡易トイレ等、約4億2,600万円の緊急無償資金協力を行うことと致しました。これに、NGOによる支援に対する資金協力を加えると支援総額は約4億7,000万円になります。
また、サイクロンの影響によって19日に発生した洪水による被害を受けたパプアニューギニアですが、被災民を救済するために、本日、テント、毛布、スリーピング・マット等、約1,500万円相当の緊急援助物資を供与することを決定しました。
両国の被災者の皆さんが、1日も早く困難な状態から立ち直ることを期待しております。
(外務大臣)エスピノサ・メキシコ合衆国外務大臣が11月24日(土曜日)から訪日されます。25日(日曜日)に外相会談を行います。
我が国とメキシコはEPA等によって経済関係が飛躍的に拡大しており、気候変動問題をはじめ、幅広く戦略的な協力関係を共に推進出来るパートナーであると考えている訳ですが、外相会談で、このような関係に更に弾みをつけたいと思っております。
また、本日の閣議において、メキシコ南部で発生した大規模洪水による被災民支援のために約4,800万円の緊急無償資金協力の実施を決定しました。先に実施した緊急援助物資の供与約1,400万円相当と併せ合計6,200万円の支援となります。
(外務大臣)去る8日(木曜日)付けの日経新聞の記事によると、「高村正彦外相は7日、谷内正太郎外務次官の来年1月の勇退を認め、後任に海老原紳・インドネシア大使を起用する方針を固めた」とありましたが、本件については何も決まっておらず、報道は事実無根なので、この際改めて正式に申し上げたいと思います。
(問)東シナ海のガス田協議ですが、局長級の再協議を月内にもということで調整されていたと思うのですが、その後の見通しについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)私も、国会が許せば中国に行きたいと思っておりますし、そのような中でそれぞれ色々なレベルで話すことになると思っております。
(問)先程、福田総理が小沢代表と会われ、新テロ特措法の成立の協力を要請しましたが、小沢代表はそれを断りました。それについて、何かご感想等あればお聞かせ下さい。
(外務大臣)感想ですか。お国のために、何度でもお願いするということではないでしょうか。
(問)先週のことですが、外務人事審議会が、在外基本手当の引き上げの協力の要請を大臣にされましたが、それについてどのようにお考えになっているのでしょうか。
(外務大臣)35%程度削減されているということもありますし、それから為替もきちんとみてもらえない、或いは物価上昇もきちんとみてもらえない、或いは日本国内では地域手当があるのにそれがない等、そういうことだと実際の活動にも影響を及ぼす点があるので、そのような所はみて欲しいというのは極めて合理的なことだと私は思っております。
(問)一方で、民間企業と在外の総収入を比較すると遜色ないし、或いはそれを上回るものではないかとの指摘もあるようですが。
(外務大臣)正に民間企業の方が会長を務めた会で、今仰ったようなことも全て考慮に入れた上でそういう答申を出して頂いたと承知しておりますが、ただ、その答申自体について私はそれ以上言う立場にはありません。正に、民間企業の方も含めた有識者の方からそういうことを言って頂いていると理解しております。
(問)ガンバリ特使とはどのようなお話になったでしょうか。
(外務大臣)ガンバリ特使からは、「ミャンマーの民主化に向けた小さい窓が開いた。この窓を大きくしていくためには、国際社会全体の応援が必要だ。そして、具体的には政権側とアウン・サン・スー・チー女史の対話が2度行われたが、今後その対話をより実質的な意義のあるものにしていくことが必要である」と言っておられました。私からは、日本としてもガンバリ特使の努力を全面的に支援していくと申し上げました。また、ヤンゴンで個人事務所を立ち上げるというお話も聞きましたので、そういったことに対しても、人的貢献を含むお手伝いを日本政府としても行っていきたいと申し上げました。
(問)(EASでの)報告が出来なかったことについて、何かやりとりはありましたか。
(外務大臣)残念だということです。最初ミャンマー側も認めていたのですが、途中から困ると言い出して残念だと。ただ、ほとんどのASEANの首脳もしくは外相と会うことが出来たし、これからラオス、カンボジア、ベトナムと三カ国を回るので、実質的にはASEAN諸国それぞれの方と会えて、メッセージを伝えることが出来たと言っていました。
(問)その本来すべき報告の中身については、こんなことを言うつもりだったとか、何か言っていましたか。
(外務大臣)それは、私が冒頭言ったようなことだと思います。
11月20日、シンガポール訪問中の高村外務大臣は、日ミャンマー外相会談後、ぶら下がり会見を行ったところ、概要以下のとおり
(外務大臣) この会談では、長井さんの話とミャンマーの民主化・人権状況の話をした。長井さんの件については、重ねて真相究明とビデオカメラを含めた遺留品の返還を求めた。先方からは在ミャンマー日本大使館に対して、ミャンマーの警察から詳しく説明させる、そしてどさくさの中で見つからない遺留品もあるけれどもこれもあらゆる手段を投じて見つけるように、自分(ニャン・ウイン外相)からも警察に強く言うと言っていた。自分(大臣)より、この長井さん問題についてどう解決するかは、これは日本の対ミャンマー政策にも影響せざるを得ないと述べたところ、そういうことを言っておられた。
民主化・人権についての進展については、自分(大臣)より、ガンバリ特使をミャンマー側がどういう風に評価しているか知らないが、あの人(ガンバリ特使)は友人であると述べ、強く言う点がたくさんあるだろうけれど、それと同時にアウン・サン・スー・チーさん側にも働きかけを行っている、そして、日本政府に対しても、ミャンマーが良い方向に大きな変化があった場合、支援してやってくださいねと言っている。もう彼(ガンバリ特使)は友人なのだから彼の言うことを精一杯取り入れろと言った。日本政府はガンバリ特使の努力を全面的に支援している、それは国連の一員として当然のことだし、同時にそれがミャンマー国民のためになると思っているから、ガンバリ特使を支援しているのだと述べた。それに対して、先方(ニャン・ウイン外相)よりガンバリ特使の提言については取り入れられるものは全て取り入れてきた、これからもできるだけ取り入れていきたい、ただ、直ちに全部取り入れられないということは理解して頂きたいと言っていたので、自分(大臣)より、とにかくガンバリ特使の言うことがミャンマーのためには一番良いことなのだと言った。
先方は、ミャンマーは貧しい国であり民主化を進めるといっても限界があるのだと述べていた。だから、もう少し豊かになるように協力してくれとおっしゃったが、自分(大臣)より、鶏と卵のような話もあるかもしれないが、やはり国際社会として支援していくためには、今の政府側に民主化を進めるんだという強い意志を感じない限り難しい、そしてそういう観点からミャンマーが大きく変わったと見えた時にはそれなりの応援をすると述べた。
来年、日本で日メコン外相会談が開かれる際にまた会おうという話をして別れた。
(問)長井さんの件では、具体的に真相究明や展開に繋がることはなかったということになると思うが率直な感想をお聞きしたい。
(外務大臣)その言葉をどう評価するかは別にして、どさくさの中で亡くなってしまったが、警察がそれを在ミャンマー大使館に説明する、その中で、ニャン・ウイン外務大臣から警察に遺留品を探すように強く指示すると言っていた。その言葉がどういう形で実現していくかは分からないが、一定の期待を持って見守りたいと思っている。
(問)日本大使館への警察から説明というのは、時期はいつ頃と言っていたか。
(外務大臣)近くということである。
(問)ガンバリ特使については中国を始め複数の国から東アジアサミットに出ないようにとの声が出たようで欠席するとの話があったが、それについての日本政府の対応と今回の会談の中でどのような議論がされたのか。
(外務大臣)その事自体の話は出ていない。ASEANでそういう風に決めたと聞いている。自分(大臣)個人の考えとしては、あらゆる場で国際場裡のあらゆる場で説明した方がミャンマーのためにはいいのではないかと思うが、それはASEANが決めたことなので。
(問)日本の対ミャンマー支援については、ミャンマー側の対応を見てとご説明され、複数のプロジェクトの一時停止に踏み切っているが、今後新たな措置というものは何かあるのか。
(外務大臣)誰が見ても、真に民衆のためということであるとわかることだけに絞るということである。長い目で見れば民主のためだけれども、とりあえず政府を支援することになるのではないかと思われることは止める、例えばポリオのワクチンをただでさえ苦しんでいる民衆のためにあげていたものを止めることはいけないであろうというのが日本政府の立場である。
11月20日08時35分(シンガポール時間)より、シンガポール訪問中の高村外務大臣は日中韓外相三者委員会終了後、宿舎においてぶら下がり会見を行ったところ、概要は次のとおり。
(問)日中韓外相会議の概要はいかがですか。
(外務大臣)この会議の意味合いは、日中韓首脳会議の準備会合であり、最終的な成果は首脳会議後に発表されることになると思います。来年、日本で日中韓外相会談が行われることに向け、あるいは、三者でアフリカの問題ついての協議を立ち上げていこうということが首脳会議の結果として発表されることになると思います。もっと多くの十数項目のことが発表されることになると思います。
会議の内容についてですが、まず、六者会合については、自分から、非核化の問題を含む拉致問題、過去の清算の問題の両方に取り組みつつ、日朝関係の進展も図りたいと述べました。韓国・中国側からそれぞれ、是非拉致問題を含む日朝関係を進めて欲しい、協力していきたいとの発言がありました。
国連改革の問題で、安保理改革だけがおいてきぼりになっているようなので、この安保理改革を進めることについては、中国・韓国も当面この問題を進めるように協力して欲しいと述べたところ、中国・韓国側も当然この安保理改革は進めなくてはならない、色々緊密に協議していきましょうとこういうことになりました。
また、会議冒頭に、議長である宋旻淳外交部長より、どんな大事な事があっても、「まず食事をすることから始めましょう」ということわざが韓国にあるとの発言があり、自分より、日本では「腹が減っては戦は出来ぬ」と言うんですと言ったら、中国の外相が、中国では「人は鉄、食事は鋼鉄」ということわざがあるという発言がありました。鋼鉄の方が鉄より価値があるという話かなと聞いていましたが、基本的には和やかな会談でした。
(問)会談の中でミャンマー情勢についてのやりとりはあったのでしょうか。
(外務大臣)ミャンマー情勢について、直接はありませんでした。
(問)三カ国の協力関係については、外相レベルでは確認出来たのでしょうか。
(外務大臣)それは出来たと思います。十数項目の合意事項が出来て、それが首脳会議で討議されることになると思います。
(問)日本にとって大事な核や拉致問題について、中国、韓国が理解を示したということについて、大臣はどのように受け止められましたか。
(外務大臣)期待します、協力しますという返事を得られました。それはそれで、結構なことですが、具体的にどういった協力をしていただけるのかはこれからの話です。
(問)北朝鮮の各施設の無能力化について着手したわけですが、日本としてはまだ予断を許さないわけですがそのあたりはいかがでしょうか。
(外務大臣)そうですね。北朝鮮が12月末日という期限を切って一定の行動をすると約束したことは、過去の色々なことに比べて非常に大きなことであると思います。ただし、徹底的にそれを実施するかということはまだ注意深く見ていかなければいけないし、それを実施したとしても更に非核化の道は険しいし、追求していかなければいけない。まず約束したことをきっちりとやってもらわなければなりません。
(問)これからミャンマーの外務大臣と会談しますが、その会談ではどういうことを。
(外務大臣)亡くなった長井さんのことを含めてミャンマーが民主化すること、そして人権を大事にする国になることを期待しているし、それを強く要請します。そして、長井さんの問題については、まだ真相解明もとても充分とは言えないし、返してもらうべきものも返していただいていないので、そういったことは強く言いたいと思います。(ミャンマー外相とは)ニューヨークで会談した際に「Extreamly sorry」と一番強い言葉だったと思いますが、そう言っていたので、実際に行ってもらうように言い、私は「国会でもしつこく要求しています」と発言していますし、今日もそう要求していきたいと思います。
(問)近く日中ハイレベル会合が行われますが、これについて中国の外相から何か発言がありましたか。
(外務大臣)先ほどの三者会合の帰り際に中国外相が中国でお待ちしていますという発言がありました。私からは「国会の了承が得られれば行きます」、と言いました。
(問)アフリカについて協議の場を設けるという話がありますが、具体的にはアフリカ支援をしていくということでしょうか。
(外務大臣)支援も含め、例えば気候変動などアフリカで問題になっていること。両者間、三者間でどういう考え方で行っていくか話をしていきたいと思っています。
(外務大臣)国会の了承を得られれば、19日(月曜日)から21日(水曜日)までシンガポールに参ります。日中韓外相三者委員会に出席したいと思います。三国間協力或いは地域国際情勢等について話し合いたいと思います。また同じ日に、東アジア首脳会議が開かれますが、6ヵ国の首脳或いは外相が来られますので、出来る限り個別の外相会合をしたいと思っております。私達とすれば、安定した豊かで開かれたアジアは日本の国益にも適うと思いますので、そういう方向にアジア全体が向かうように、或いは東アジア統合等の将来を見据えてアジア外交を強化していきたいと考えております。
(問)3日間のシンガポール訪問の中で、バイ会談を積極的に行いたいということですが、中国、韓国と行うと思うのですが、仮に中国とバイ会談を行った場合、ガス田についてはどのような感じで臨むのでしょうか。
(外務大臣)仮に中国と会談を行った場合、ガス田の話が全く出ないということはないと思いますが、そこで交渉するというよりも、「こんなにちんたらやっていたら駄目ですね。政治的決断をして下さいよ」ということを促すということになると思います。行うとすればですが。
ただ、日中韓があって首脳会談があって、その首脳会談には私も多分同席することになると思います。それと別に日中を行うかは未だ決まっておりません。未だ、個別会談は具体的に決めていません。というのは、国会から良いという話が現時点では出ていないということがありますので。国会の了承を得られれば、早急に個別会談を入れる努力をしていきたいと思っております。
(外務大臣)TICAD IV事務局を今日午後立ち上げます。TICAD IVは洞爺湖サミットと同時に、来年度最も重要な外交行事ですので是非とも成功させたいと思います。
最近、アフリカは政治の面、或いは経済の面でも進展が見られてきていて、こういう機会を捉えて世界中の知恵と資金を結集して、元気なアフリカ作りといった枠組みを日本がリードしていきたい、そして洞爺湖サミットに繋げていきたいと考えております。会議の成功に全力を尽くす所存でございます。
(問)12月27日から総理が訪中することで調整しているという一部報道がありましたが、現在の調整状況は如何ですか。
(外務大臣)総理は出来るだけ早く中国に行きたいと考えておられますが、未だ具体的にどうとは固まっていません。年内か年明けかということも含めて調整している状況です。
(問)先日の町村官房長官の記者会見で、ガス田問題が総理訪中に影響するのではないかとの考えを述べられたのですが、大臣は、総理の訪中とガス田の問題についてどのような認識でしょうか。
(外務大臣)出来ればガス田が決着して、或いは決着までいかなくても、良い方向に向いている中で総理に訪中して頂きたいと当然考えています。影響するかしないかということについてですが、「影響する」というのがどの程度影響し、どの程度影響しないというのは取り方によって違いますから、コメントは差し控えます。
(問)守屋氏の証人喚問で、宴席に同席したということで久間元防衛大臣と額賀財務大臣の名前が上がりましたが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)証人喚問自体、私は見たいと思っていたのに見れなかったのですが、新聞報道でそのようなことを知りました。どうでしょうか、世の中の人は、記憶にないと言うと疑わしいと思うかもしれませんが、例えば何年か前にほとんど毎日何人かの会合があって、ほんの少人数であったときは覚えていることが多いかなと思いますが、例えば10人とか30人とかの会合に出席した人に、この人がいたよと言われても、そうですか、というのはまんざら理解出来ない話ではないかなと思います。
また、ジム・アワー氏が来た時に、たくさんいた会合に行ったと、どちらの人だったか忘れましたが、たくさんいた会合でたまたまというのは別に悪いことではないのではないかという感じはします。
中身が分からないと、なかなかコメントし難いですね。
(問)久間元防衛大臣と額賀財務大臣の件で、野党側は証人喚問を求めており、またテロ特措法の審議が遅れるという見通しですが、このような野党側の対応についてどのようにお考えですか。
(外務大臣)国会で決めることですから、現職の閣僚があまりコメントすべき話ではないと思いますが、我が国に国益に適うと我々は思って法案を提出して衆議院でも可決されましたので、出来るだけ早く行って頂きたいと希望・願望は持っています。
(問)パキスタンのムシャラフ大統領が、今月内に軍籍を離れて総選挙を目指していると表明していますが、これについて御所見があればお聞かせ下さい。
(外務大臣)パキスタン情勢は注意深く見守ってきている訳であります。民主主義の定着は、テロとの闘いの基盤を作ることになりますし、民主主義の定着それ自体も大切なことですから是非、進めて頂きたいと思うのですが、総選挙を実施すること、それから軍籍を離脱することは前向きに捉えられることだと思います。ただ総選挙を行う時に、本当に政治的自由が対立候補に与えられないまま選挙が行われても、それは民主主義の定着と評価出来るかは疑問ですが、全候補者について政治活動の自由が認められる中で総選挙が速やかに行われるということが必要だと思います。
(問)イランで、遠心分離器3,000台が稼働し始めたというIAEAの報告がありましたが、それについて何か御所見はありますか。
(外務大臣)国際社会が一致したメッセージを出していくこと、このメッセージに対してイランが従うということが大切なことですが、今国際社会の一致したメッセージである安保理決議に十分に従っていないというのは非常に残念なことです。是非、従ってもらいたいと思っております。
IAEAの報告では、一定の評価をする面も一部あり、また十分でないということも言っていると思いますが、一定の評価を受けるだけではなく、全面的な評価を受けるような行動をイランには取ってもらいたいと思っております。
(問)東アジアサミットにおいて、日本は環境支援のために2,000億円を拠出するという報道があるのですが、実際にその額に決まったのでしょうか。
(外務大臣)総理が具体的な提案をするということで今、最後の調整に入っているところだと承知しております。
(問)金額以外で具体的なことは決まっているのでしょうか。
(外務大臣)環境に対して積極的に支援していきましょうということで、具体的な調整に入っているということです。今日はそれぐらいにして下さい。
(問)ヒル米国務次官補は、テロ支援国家指定解除について年内の解除は厳しいという趣旨の発言をしておりますが、日本政府として、外務大臣として、北朝鮮の指定解除はどういう情勢にあると見ていますか。
(外務大臣)米国が決めることですが、米国は解除するかどうかは北朝鮮の非核化の進展次第で、そしてその際には、拉致問題を含む日朝の進み具合も考慮されるということを日本に対してだけではなく公に言っています。そのような中で今、進めていると思っています。そして現実に、拉致問題を含む日朝関係は進展しておりませんから、日本とすれば解除しないで下さいとね、ということを米国側に申し上げているところです。
(問)今回の日米首脳会談でも、その点は焦点になってくるとお考えでしょうか。
(外務大臣)どのような言い方を総理がされるかは分かりませんが、この問題についても触れると私は認識しております。
(問)米国の言う非核化の進み具合は、無能力化に併せて申告の内容も指定解除に関係するという理解で良いのでしょうか。
(外務大臣)北朝鮮が12月末までに行うと約束した全てが入るということは、当然そうだと思います。
(外務大臣)閣議、閣僚懇では特別御報告することはありませんでした。
(外務大臣)パキスタン情勢ですが、私達はパキスタンがテロとの闘いの最前線国家としてテロとの闘いを一生懸命行っていたこと、行っていること、それから民主化プロセスを進めているといったことを評価し、支援してきました。その民主化というのは正にテロとの闘いの基盤になるものですが、その民主化の方向が少しおかしくなっていることに懸念を持ち、同時に民主化プロセスに復帰することを心から願っている訳です。
そういう中で、ムシャラフ大統領から総選挙の日程が発表され、軍籍離脱するということも発表されたことは民主化プロセスへの復帰の第一歩として評価している訳ですが、一方でまたブット元首相が軟禁されたという情報にも接しており、非常に懸念を持って注視しているところです。
民主化プロセスを進めているパキスタン、テロの闘いで頑張っているパキスタンに、私達はODA経済協力の大幅増額を検討してきた訳ですが、少し慎重に考えなければいけないなと考えているところです。ただ一方で、テロのとの闘いとか、或いはテロの温床になる貧困撲滅といったことへの支援は、長期的な視点から必要ではあると思っていますが、重ねて申し上げると、今まで考えていた大幅増額については少し立ち止まって考えなければいけないな、現時点でこれからパキスタンの民主化プロセスへの復帰を注意深く見守りながら考えていきたいと思っております。私の方から申し上げることは以上です。
(問)今のお話に関連して、増額については検討というお話でしたが、減額ということについては如何でしょう。
(外務大臣)あらゆる可能性がありますね。これから民主化プロセスが更に後退してしまうのか、或いは民主化プロセスに復帰する方向に行くのかといったことを注意深く見守っていくということです。
(問)今日の午後、衆議院本会議で補給法案が通過しますけれども、それについての所感をお願いします。
(外務大臣)途中段階ではありますが、衆議院を通過するということは、それなりに嬉しいと同時にこれからが大変だということで、今までも一生懸命にやってきましたが、更に一生懸命やらなければいけないなと考えております。
(問)衆議院でのテロ新法の議論を経ての、ご感想とか、今の議論での、審議の中での問題点、課題点、ハードルといったものを大臣は如何お考えでしょうか。
(外務大臣)防衛大臣も一生懸命説明されて、転用疑惑というのは、あくまで疑いたいという人は疑う訳ですが、総体的に言ってほとんど無くなったのではないかと考えています。一時はおどろおどろしいというか、イラク戦争に何割が使われたとかいうことを平気で言う人達がいましたが、そういうことはないということは、ほとんど全て、言っていた人達も理解したと思います。そういうことで、個別的にも防衛省の仕分けで、或いは米国の方も無かったと言っていますし、こういうこともかなり理解が進んでいるのではないかと思います。
それから、必要性については、私から見れば当たり前なのですが、その当たり前のことがまだ国民に十分理解されていない面もあるので、もうこれだけ言ったから分かったろうということではなくて、もっとよく分かって頂けるように、同じことでも何回も繰り返して説明していきたいと思っております。
(問)テロ特措法の関連で、参議院で民主党がイラク特措法廃止法案を提出してこれから審議したいとしていますが、この法案についての対処は如何お考えですか。
(外務大臣)今、航空自衛隊がイラクやっている活動は国連からも評価され、国際社会からも評価されていることですから、法律の裏打ちが無くなれば撤退せざるを得ない訳なので、私としてはそういう撤退法案が成立するのは困るなということに尽きます。
(問)昨日のテロ新法の審議の中で、「思いやり予算」に関する質問があり、「世界的レベルに比べると負担し過ぎではないか」との質疑があったのですが、これに対して大臣は、日米同盟、日米安保は他の世界の国とはまた違うものだから別に考えるべきだとお考えですか。
(外務大臣)他に比べて負担し過ぎだなどということを認めた訳でも何でもないので、要するに安全保障環境がそれぞれ違う訳です。冷戦構造が完全に崩壊したヨーロッパと、今の北東アジアの情勢は安全保障環境が違うということも考えて、そして基本的に日米安全保障条約が円滑かつ効果的に運用されるにはどれだけのことが必要かということと、国民が納得するものでなくてはいけませんねと、その両方から見て、そして米国と交渉しているということを言ったので、日本は特別多くて当たり前なんて、そんな話ではありません。それぞれの安全保障環境とか、あらゆる総合的な要素で日米間で決めているので、私達は他の国がどれだけ負担しているかということを、それぞれ二国間のことをお互いに知っている訳ではありませんからね。そういうことは申し上げていない。
(問)本日、地球温暖化対策の関係閣僚会議が開かれたと思いますが、高村大臣はどのような主張をされたのでしょうか。
(外務大臣)今日開かれたということは皆知っているのですが、一応非公式ということになっており、申し上げないという申し合わせになっておりますので、また改めての機会で私の意見でも聞いてもらえば言うかも知れないけれども、今日どういうことを言ったかということは差し控えさせて頂きたいです。
(問)今の温暖化対策の関連ですが、今日何を言ったかとは別に、来年のサミットに向けて、TICADもありますけれども、資金の手当てというか、ODA予算は減っている訳ですが、それについて外相としてはどうお考えですか。
(外務大臣)やはり途上国を引き込む為に、新たな枠組みが必要なのではないかとは思っています。今日のところはそれくらいにして下さい。
(問)閣議後にあった会議についても、これは非公式で、何もブリーフもしないということになっているのですか。地球温暖化会議と、もう一つの別の会議がありましたが、これについても説明することはないということですか。
(外務大臣)それも説明することになっていないのです。私は忠実なもので。
(問)日朝協議について、先月、中国・瀋陽で非公式協議が行われてから1ヶ月が経過していますが、それ以降、日朝協議には目立った進展が見られませんけれども、現状を大臣はどう御覧になっているかお聞かせ下さい。
(外務大臣)こういうのは公式、非公式、表の場所、水面下、開くべき時は開くということで、私は1ヶ月前瀋陽で開かれたなんてことも認めたことはありませんし、だけどテレビに映っていたりはするけれども、そういうのはあったんですかね。
(問)現状、表立った公式の協議の方も、9月のウランバートルから進んでいないように見受けられるのですが、それについては如何でしょうか。
(外務大臣)それは色々努力をしております。色々考え、色々努力をしているということです。
(問)明日からの東シナ海に関する日中協議に関して、日中外相協議に格上げするいうことも聞いているのですが。
(外務大臣)格上げとかそういうことではなくて、前にここで、外相会談が行われた時はこの問題も議題になりますかと聞かれて、私はこれだけ大きな問題を外相同士が会って話さないということはあり得ないでしょうということを申し上げました。ですから、外相会談が近く行われるかどうかはともかくとして、機会があって日中の外相が会えば、この問題を話さないということはないということです。
(問)具体的に、いつまでに解決したいとお考えですか。
(外務大臣)早ければ早い程良い、だけどなかなか難しいとうことです。日中の基本的な立場異なっているので、なかなか難しい面はありますけれども、もっと基本的なことから言えば、解決すれば両方の利益だということでは一致していますし、それから広い海域で共同開発をしようということも一致しています。但し、その先になると、基本的立場が異なっているということをブレイクスルーしなくてはならない訳ですから、なかなか難しい。私はいつも、中国の外相に前に会った時にも、中国側が政治的決断をしてくれることが大切だ、それがあればこちらも柔軟に対応しますということを申し上げた訳です。
(問)大臣は現在の日米関係をどのように認識されていますか。テロ支援国家指定解除の問題ですとか、補給活動の中断、また集団的自衛権についての検討が止まっているとか、幾つかあるかと思いますが、現状どのように認識なさっていて、そして今度の福田総理の訪米によってどのような日米関係を考えていますか。
(外務大臣)日米関係は日本外交の要と言いますか、基軸ですから、日米のしっかりした同盟関係を常に確認し合っていくということが大切だと思います。日米関係というのは広く深い関係ですから、個別イシューで色々問題があるから日米関係そのものがおかしくなってしまうということではない訳ですが、ただ個別イシューも一つ一つ解決していくことがある訳で、そういうことは真剣に取り組んでいかなければいけないと思います。日米関係は決して悪くない、大変良好だと基本的には思っています。そして、良い日米関係と対アジア関係が共鳴し合うというのが福田総理の言葉ですし、私が前から使っている言葉で言うと、良い日米関係と良い日本・アジア関係が「良い循環」になる。良い日米関係が良い日本・アジア関係になり、アジアにおいて日本が良い関係があることが、また良い日米関係になる。「良い循環」になるという言葉を私は使っていますが、福田総理は「共鳴し合う」と言っています。言葉の違いだけで、大体同じ考えだと思います。
(外務大臣)閣議、閣僚懇では、特段報告することはありませんでした。
(外務大臣)11月14日(水曜日)に東シナ海資源開発問題に関する11回目の局長級協議が東京で行われます。
解決することが日中双方の利益であり、そして広い範囲で共同開発しようと、ここまでは一致しているのですが、なかなかそれからが詰まらないというのが実情ですが、協議を加速して何とか詰まるようにしたいと思っております。
ニューヨークでの日中外相会談の時も私は、やはり中国側の政治的決断が必要であり、そうすれば我が方も柔軟に対応するということを言っていますが、協議を加速して何らかの中国側の政治的決断を得て、我が方も柔軟に対応して問題を解決させることが大切です。立場に相違があるので非常に困難な問題でありますが、それを乗り越えて双方の政治的意思で解決させなければならない問題だと考えております。
(問)ガス田の問題が解決しないと、或いはある程度道筋がつかないと総理の訪中は難しいという認識でしょうか。
(外務大臣)必ずしもそうではありませんが、何とか総理の訪中までに道筋がつけば良いなとは考えております。逆にそれが出来ないと難しいとは必ずしも言えないと思ってはおります。
そして総理の訪中について一言言えば、年内だ、年明けだ等色々言われていますが、そのようなことは未だ決まっておりません。ただ、出来るだけ早く訪中したいという意向を総理が持っていることは事実です。
(問)秋を目処に報告書をまとめるという形で話を進めて来たと思うのですが、報告書は双方の合意点が見出された段階で作られるものなのでしょうか。それとも、それまでに協議の一定の段階で目処をつけて、やはり隔たりが大きかったというような形でまとめることも有り得るのでしょうか。
(外務大臣)私個人としては、隔たりが大きかったという報告書を両首脳に報告してもあまり意味がないことだと思います。何とか良い報告が出来るように全力を尽くしているということです。
(問)総理の訪中の時には、何かしら報告するというお考えはあるのでしょうか。
(外務大臣)仮に総理が訪中するとして、双方の交渉担当者がこの問題について何の報告もしないということは有り得ないでしょう。ただ、内容が何でもよいから報告すればよいという話を決めたのではなく、良い報告が出来るようにしようということを両首脳で話したのですから、非常に困難な問題ではありますが、良い報告を両首脳に上げられるようにしようと今、全力を尽くしているということを申し上げました。
(問)月末から来月初めにかけて、日中経済ハイレベル対話が予定されているようですが、その際に(ヨウ・ケツチ)外交部長とも会談される見通しですが、ガス田協議の話もされるのですか。
(外務大臣)もし日中外相会談が実現したとすれば、この問題に触れないことは有り得ない話だと思います。国会の状況等色々あり、二国間の公式訪問をするかしないかは未だ決まっておりません。仮に、私が公式訪問して日中外相会談が行われるとすれば、この問題に触れないということは有り得ない話だと思います。
(問)大臣は、経済ハイレベル対話の議長をお務めになられるということですが。
(外務大臣)ハイレベル対話は週末ということで出来るだけ実現しようと思っている訳です。
(問)月末でしょうか。
(外務大臣)国会との関係で、未だ正式に決まっているとは承知しておりませんが、その時に、二国間の公式訪問を付けるかどうか。これは二国間の公式訪問ではない訳です。そこで外相会談を行うかどうかということは特に未だ、これは週末からはみ出る可能性がありますから、そういうことになってくると、国会の承認というのが益々大きくなってくるということでしょう。
(問)今までの対中円借款をどのように評価されますか。また中国が日本政府に対し、感謝の意が足りないのではないかとの見方があるのですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)大平内閣の時に対中円借款が始まった訳ですが、その対中円借款は、貧しくて不安定な中国よりも豊かで安定した中国の方が我が国の国益に適うという観点から対中円借款は始まり、そして対中円借款は、正に中国の改革開放の下支えになって来ました。中国がどんどん力をつけて来ることにおいて、これをピンチと捉える人もいるかもしれませんが、我が国としてはチャンスとして捉えている訳で、このチャンスとして捉えられるような状況になったことの一つの要因として対中円借款があり、そういう意味では総体的にこの対中円借款というのは良かったことだと考えております。
感謝の意が足りないということは、私は8年前に外務大臣をして、その前に外務政務次官をしておりますが、その時中国に行って、中国の人達がこの対中円借款についてほとんど知らないということで、それ以来中国の要人に会う度に、「中国の人達に日本の対中円借款のことをもっと知らせてくれ」ということを言い続けて参りました。十分かどうかは別にして中国側もそれを知らせる努力をしてくれてはいる訳です。江沢民国家主席が日本に来られた時も感謝の意を表明しておりますし、その後も感謝の意は表明されていますが、それは出した側から十分かどうかはね。私は中国の要人にも話をしたことがあるのですが、「国民に知らせてくれ」と言ったことはありますが「感謝しろ」と言ったことはありません。お金をあげるなり貸すなりして「感謝しろ、感謝しろ」と面と向かって言うことは、相手に感謝させない最も良い方法であるということを私はよく知っているから、「感謝しろ」という言葉は言いませんと。それと同時に中国側が、「過去について反省しろ、反省しろ」というのは、日本国民を反省させない最も良い方法であるので、「あまり言わない方が良いですよ」と申し上げたことはあります。私はそのように思っております。私は、「中国国民にもっと知らせてくれ」ということは口を酸っぱく中国要人に会う度に言っておりますが、中国要人に対して感謝を強要するということはしないと、中国側にも、日本が過去のことについて反省すべきことがあることは当然ですが、「反省しろ、反省しろ」と会う度に言われれば、折角反省していたのに反省したくなくなることも人間の心理としてはあるのではないかと思っております。
(問)今朝の総合海洋政策本部での議論は、どのようなものであったのでしょうか。
(外務大臣)これは外形的な組織を作る等、そのようなことですので、内閣官房の方から事務的に聞いて頂くことが良いと思います。
(問)今週末に作業部会に向けた非公式の日朝間の接触というのはあるのでしょうか。
(外務大臣)そういうことは聞いておりません。私が聞いていないということは、多分ないのではないでしょうか。
(問)ミャンマーを訪れている国連のガンバリ特別顧問が結局、軍事政権とも会えずに帰国する見通しですが、それについてお聞かせ下さい。
(外務大臣)会えずと言うのか会わずと言うのかはよく分かりませんが、聞くところによると今日、アウン・サン・スー・チー氏と政府側の窓口の代表(大臣)との二度目の会談が行われるということです。これは国営放送がそのようなことを流していますし、アウン・サン・スー・チー氏とNLD(国民民主連盟)の他の指導者達が、また近く会えるようだということも伝わっていますから、タンシュエ議長と会えなかった一事を以て、ガンバリ特別顧問が頑張っていないということにはならないと思います。
(外務大臣)ゲイツ米国防長官との会談についてですが、お互いに日米同盟の重要性を再確認致しました。長官から、日本の防衛のためのコミットメントは不変であるという話がありました。在日米軍再編の問題は、ロードマップに基づいて着実に行っていこうということですし、ジョージ・ワシントンの前方展開については今日、横須賀で地元にも歓迎されて行事が行われているということです。これについても良かったなと思っております。また、ミサイル防衛も着実に進めていこうということです。
テロとの闘いについては、中断したのは残念であるが、再開に向けて全力を尽くすと私が言ったのに対して、今までのことに深甚なる感謝の意が表明されると同時に、是非再開して欲しいという期待が長官から言われました。
北朝鮮問題については、北朝鮮が核の問題について約束したことを確実に実施するように、日米両国で緊密に連携を取り合いながら、これからも働きかけていこうということで一致しました。そして最終的には、核の全面廃棄に繋がるようにしようということでありました。ミサイルについても、これから北朝鮮がミサイル問題に対して然るべく対応するように緊密に連絡を取っていこうということです。また、拉致問題について私から申し上げたところ、長官から、日本の立場はよく分かっているし、そういう立場から米国としても北朝鮮に対して、この問題を進めるように何度も言っているということでした。私の方からは更に、テロ支援国家指定解除がないようにお願いを致しました。それについても、日本の立場はよく分かっているということでした。
長官は中国から帰って来たばかりですが、中国については、国際社会の責任ある一員として、中国に建設的な役割を果たしてもらえるように両国で働きかけていこうということで一致しました。それから、軍事力の透明性についても更に働きかけていこうということで一致しました。
イラクについては、復興支援について日本が米国に次いだ支援をしてくれているのは有難いと、長官からお礼の言葉がありました。
イランについては、日本と米国は勿論ですが、国際社会が一致してウラン濃縮を停止するようメッセージを発出していこうということで一致しました。
大体、ゲイツ長官との会談はそういうことでした。
(問)給油活動の再開の時期や見通しについて、ゲイツ長官からの要望や大臣からどのような話があったのかお聞かせ下さい。
(外務大臣)お互いに時期までは言いませんでした。日本の国会でどうするかということですから、我々は政府としては最善を尽くす、出来るだけ早くということです。
(問)思いやり予算の減額については、どのような意見交換があったのでしょうか。
(外務大臣)出来るだけ早く決着させましょうということで一致しました。中身については当面、事務的協議に委ねて、そして出来るだけ早く決着させましょうと、話があったのはそこまでです。
(問)在日米軍再編ですが、具体的にはどのような項目を言及をされたのでしょうか。
(外務大臣)ロードマップに従って、出来るだけ着実に進めていきましょうという話をしました。長官から、普天間の話について何か出るかなと思っておりましたが、出ませんでした。
(問)横田基地についてのお話はあったのでしょうか。
(外務大臣)横田基地については、日本側から具体的な提案をこれからするということで協議を続行していこうということです。なかなか難しい問題があるのだということは前々から言っていましたが、米国側からは、更に協議を続行していこうということです。
(問)具体的な提案についてですが、軍民共用化のことを大臣から仰ったのでしょうか。
(外務大臣)勿論、軍民共用化のための協議をしている中で、具体的な提案をするということです。
(外務大臣)対中円借款ですが、兼ねてから円満終了させるということで一致していた訳ですが、最後となる2007年度対中円借款は463億円とします。これが最後の円借款であります。昨年度の供与額の623億円と比較して約26%の削減となります。正にオリンピックまでに円満終了させるということでしたが、最後にこの463億円円借款を供与することによって円満終了ということですので、ご報告します。
(問)10日、11日に瀋陽で日朝協議を行い、拉致問題について改めて真相解明するために調査団を派遣するということについては如何でしょうか。
(外務大臣)そのようなことは何ら決まっていません。
(問)昨日、米国が北朝鮮の核の無能力化の作業を始めましたが、それについてお願いします。
(外務大臣)この無能力化の問題については、北朝鮮側に三施設については期限内に行ってもらわなければいけないし、ゆくゆくは全部について行ってもらわなければいけませんが、日本としても将来、その作業に参加するかどうかを検討していきます。
(問)参加国の費用の負担については如何でしょうか。
(外務大臣)これは所謂、北朝鮮支援ではないですから。何の検討もしないという訳にはいかないと思います。
(問)仮に北朝鮮側が調査団の受け入れを了承した場合は、日朝作業部会を開く準備が整ったという理解になるのでしょうか。
(外務大臣)それはどういう手順で行くかよく分かりませんが、日朝作業部会は常に進めていかなければいけないことですから、どういうタイミングでどういう風に開いたら良いかということは常に連絡を取り合っています。今のところどうなっていくかということは一切決まっていません。
(問)日朝の非公式協議ですが、これはかなり近々に開かれそうな感触は持っておられますか。
(外務大臣)今決まっていないことは間違いないし、近々に開かれるかは現時点で何とも言えません。
(問)民主党の小沢代表ですが、一昨日辞意を表明した後、執行部が慰留を続けていますけれども、それについては如何ですか。
(外務大臣)それは民主党内のことですから、私がコメントすべき話ではないと思いますが、補給新法の関連で言えば、元々視界不良だったけれども、益々視界不良になって来たなという印象です。
(問)これから会期延長がひと月ほどあると言われていますが、成立の見通しは如何ですか。
(外務大臣)見通しを言う立場にはありませんが、何とか成立させてもらいたいということです。誠心誠意説明していきます。
(問)恒久法について、長い目で見てやはり政策協議をした方が良いという機運が高まっていると思いますが、国連決議を要件とするかについて改めて大臣のお考えをお聞かせ下さい。
(外務大臣)私は基本的には「国連決議を要件としない方がベターである。但し、国連決議を要件に入れたとしても、無いよりあった方が良いだろう」と思います。恒久法は、まるっきり使い勝手の悪いものでは困るけれども、ある程度使えるものであれば、どういう要件を入れるのか、どういう場合に使えるのかを話し合って、内容を決めれば良いのではありませんか。国連決議を要件に入れたからといって、従前の憲法解釈が変わるとかいうことではないですね。
(問)パキスタンでムシャラフ大統領が非常事態宣言を行い、抗議デモなども相次いでおり、欧米では援助の見直しなども検討しているようですが、日本としてはどのように対応されますか。
(外務大臣)極めて悩ましい問題です。テロとの闘いの最前線にあって頑張っている国であるし、穏健なイスラム国ということで何か支援をしなければいけない要請もあると同時に、一方で民主化に逆行するような顕著な動きが出て来た。そこをどうするか。我々が民主的な国だなという判断が出来るように早くなって欲しいです。
(外務大臣)閣議、閣僚懇では、特にここで御報告することはありませんでした。
(問)自衛隊を海外に派遣する為の恒久法について、大臣のお考えをお聞かせ願えますか。
(外務大臣)何かある度に泥縄式に特措法を作るよりも、恒久法を作って迅速に国際貢献が出来た方が良いということは一般論として当然だと思います。ただ、一方で恒久法を作ると、結果として要件がやたらと厳しくなり、実際に使えないようなものが出来たのでは、あるというだけで問題だということもあります。恒久法が出来ることは良いことですが、どういう内容の恒久法が出来るかということが問題です。良い内容の恒久法が出来れば、それに越したことはないと思っています。
(問)恒久法についての議論で、国連決議が必要だという主張も与野党内にあるようですが、この点に関しては如何でしょうか。
(外務大臣)国連決議がなくとも自衛隊を出さなければいけない場合には、恒久法があっても尚かつ特措法が必要だということになって来る訳です。私の立場から言えば、使い勝手が良いのは必ずしも国連決議に関わらしめない方が良い。但し、恒久法を作る場合に国連決議を要件としないで作るというのは非常に難しいかなとは思っています。国連決議という要件を入れて一般法を作ることに意味が無いかと言えば、それは意味があることです。国連決議がある中でも一般法があり、自衛隊を出すことが出来るということは意味があることだと思います。但し、国連決議が無くとも出したいという場合は、その法律では出せないということなので、そういう場合はもう一切出さないことにするのか、一般法があるにも拘わらず特措法を作って出すことになるのか、それはその時の政府或いは国会の判断だと思いますけれども、国連決議を要件としても一般法が出来ないよりあった方が良い、というのが私の個人的考えですが、まだそれは内閣で相談して決めた訳ではないということです。
(問)その恒久法とも絡むのですが、今日の党首会談では所謂、大連立というような政権の枠組みにまで協議が及ぶのではないかという観測がありますが、それについての善し悪しは大臣はどのようにお考えですか。
(外務大臣)それは一閣僚の分を超えたことですから、コメントを差し控えたいと思います。
(問)恒久法と党首会談とに絡むのですが、党首会談後に与野党の恒久法制定に向けて協議が進んだ場合、先程大臣が仰った使い勝手の良い恒久法が出来るのか、その辺をどうお考えですか。
(外務大臣)分かりません。「絡むのですが」と仰ったけれども、本当に絡むのかどうかも、私は知りません。
(問)新テロ特措法ですが、非常に国会日程が厳しくなって来ており、政府としては延長して何としても通したいというお考えだと思いますが、改めてお聞かせ下さい。
(外務大臣)私個人としてはそうですね。最終的には内閣官房、政府全体として決めるとことだと思います。
(問)来週ロシアのナルィシュキン副首相が来日しますが、どのような協議の対処方針で臨まれるのかお聞かせ下さい。
(外務大臣)外交交渉自体は、先般いらっしゃったラヴロフ外相との間で十分行った訳です。そういったことも含めてということになると思いますが、まだきちんと、どういうことを話し合うか、大体、事前に両国で打ち合わせを行うのですが、まだそれはしていないということです。
(問)今日、米国のヒル国務次官補が佐々江アジア大洋州局長と協議を行います。非核化の方が進んでいる様ですが、懸案の日朝の方は年末に向けてどのような形で進めていくのか、進みそうなのか、その辺の相場観というか、大臣の見方を教えて頂けますか。
(外務大臣)進めたいという願望はありますが、進みそうだという現実を認識はしておりません。