(外務大臣)閣議の報告から述べます。外務省からはパキスタンに対して総選挙のための資金を国連開発計画に基づいて、350万ドルの緊急無償資金援助を行うこととしております。
(外務大臣)7月2日に発表する国際漫画賞受賞作品が決定しています。最優秀作品「孫子兵法」を描いたのは香港の李志清という人で43歳。既に日本語版が出ています。この他にも、香港のKAIという人の描いた「十五二十」、マレーシアの「LeGardenie」、それからオーストラリアのマデリーン・ロスカという女性が描いた作品、これらが入賞しました。7月2日に飯倉公館で受賞式を行う予定ですが、直接受賞者に対して私からトロフィーを渡すことにしています。
今回、この件で幾つか調べてみましたが、「MANGA」という独特のジャンルが完全に国境を超えています。フランスでも漫画の売り上げというものが、出版業界の市場ではもう無視できないということになり、3年前からフランス国立出版協会の統計に「MANGA」というカテゴリーが上がってきています。
今回の受賞作品も「コミック」ではなく、「MANGA」という形で上がることになります。146作品の応募がありました。色々な方々の応募に感謝すると共に、こうしてポップカルチャーを通じて様々な発信がされていき、先方からも、同じように漫画というのものを使っての発信等が出来れば良いと思います。漫画によって、色々な意味での絆が出来ていけば、言うことはないと思います。
(問)ロイター通信で、昨日、北朝鮮の金正日総書記が、拉致問題の再調査を指示したと報道されたのですが、日本政府は北朝鮮が拉致問題に前向きな姿勢をとりつつあるという情報は得ているのでしょうか。
(外務大臣)報道があったということは知っています。ただ、それが実際に、具体的にどのような行動に移っていくのかに関しては、やることと言うことが必ずしも一致しないというのは頻繁にある話ですから、その種の話を聞いて、直ちにそれが然るべき行動に移っている、という実感を我々が持っている訳ではありません。
(問)大臣のお考えで結構ですが、仮にその報道が事実だった場合、もし北朝鮮側が再調査に着手、または、それを表明した場合、「進展」と捉えるものなのでしょうか。
(外務大臣)進展の一つではあるでしょうね。ただ、言うだけで、実際どうなのかは分かりませんから。進展が見られるというのは、こちらで色々調べた結果、本当にやっているのか否かは、こちらもわかるようにしてもらわないと。本当にやったか否か、我々はしっかりとした裏をとりたい。それが基本的な姿勢です。「やりました」と言って、「何もありませんでした」と言うだけでは、なかなか説得力を持ちにくい。ただ、それが実際に言ったということが事実だとしても、今までのように「拉致問題は既に解決済み」というのでは、違ったことになります。
(問)北朝鮮が一昨日、短距離の弾道ミサイルを発射し、しかも、前3回も実は短距離の弾道ミサイルであったということですが、六者のプロセスを再開しようとしている過程で、このような行為を続けているというのは、どのように受け止めていますか。
(外務大臣)もし、そうであるとするならば、少なくとも拘束力を持った国連安保理決議1718への違反であることは、はっきりしています。従って、そういう意味では日朝平壌宣言にも違反しているという事実になると思いますので、基本的には問題です。ただ片方で外交が進んだら、こちらは全然別の行動が出てくるというのは、軍に対しての統制がついていないのか、意図的にやっているのか、意図的とするなら何のためなのか等、推測の域を出ません。
(問)これからイランのサファリ外務次官とお会いになると思いますが、イランについては、北朝鮮とミサイル技術をやりとりしているといった情報もある中で、日本政府としては、改めて核開発について、どういう立場を伝えるおつもりですか。
(外務大臣)今まではイランのモッタキ外務大臣、それからアラグチ外務次官がよく日本に来ており、片方が駐日大使でもあったので電話等よくあったのですが、このアラグチ次官と同じランクの別の次官が日本に来るというのは、何を意味するのか。正直、全然別の案を持っているのか、今の段階ではわかりません。これは会ってみた上での話かなと思っています。
(問)従軍慰安婦の問題ですが、今日、米国議会で採決が行われます。このことが与える日米関係、それから日韓関係への影響について、どうお考えでしょうか。
(外務大臣)米議会で決まっている話なので、日本として特に言うことはないと思います。
(問)送金問題について北朝鮮側もこれで解決したと初めて表明し、今日、IAEAが北朝鮮に査察の件で打ち合わせに入りますが、今後期待されること、実際、初期段階の措置を北朝鮮は履行するとお考えでしょうか。
(外務大臣)封印するだけのことですから、それから先はともかく、一応、初期段階措置まではスタートできるところまで来たかなという感じはしますが、相手が相手ですからよく分かりません。今までよりは前向きに、向こうの言う台詞が少し変わってきていますから、そこまではいくのかもしれませんね。
(問)ヒル米国務次官補はARF(ASEAN地域フォーラム)の時に、六ヵ国の外相会合を開きたいといった見通しを持っておられますが、これについては如何でしょうか。
(外務大臣)これだけ六人集めるというのは、そこそこ大変な作業ですから、ARFは8月2日ですが、それくらいに出来れば、上出来と思わなくてはいけないでしょうね。その前に、六者の実務者会議をやるでしょう。その結果を見ての話になりますね。
(問)選挙の件ですが、安倍総理が自分は総理・総裁であり、選挙についても全ての責任は私にあるといった発言をされましたが、大臣としては選挙、参院選での責任は総理にあるとお考えですか。
(外務大臣)選挙というのは、基本的には自由民主党という党が選挙をしますので、党の責任は、選挙については、基本的には幹事長ということになると思いますが、最終的には総裁ということになる。ただ、それだからといって、すぐ「一人減ったから選挙で負けた、一人勝ったから選挙で勝った、だから政局だ。」という風にしたがるのは違うと思います。
(外務大臣)閣議の報告から述べます。各担当大臣からそれぞれ規制改革3カ年計画の話、平成19年度の中小企業者の特定補助金の交付の方針の話、男女共同参画週間実施の話、むつ小川原開発に関連する話がなされ、また、農林水産大臣が欧州訪問の中止、例の今回のG4が決裂した話をしておられました。
(外務大臣)まず、以前のスピーチでも提案した平和構築の人材育成について申し上げます。平和構築のプロフェッショナルを作るということで、然るべき所に依頼と協力を得てやっていかないと、これは外務省だけで出来る話ではありません。色々なところに話をした結果、最終的に広島大学の協力を得て開設することになり、いよいよ寺子屋が始まるということです。今夕、広島大学の学長がお見えになり、会うことにしています。
(問)WTOのG4会合が決裂したということで、日本が参加する予定だったG6も開かれない見通しとなりました。WTOの交渉においてはこの2つの会合が非常に重要と見られていた訳ですが、交渉決裂したことについて日本政府としてどのように受け止めてらっしゃいますでしょうか。
(外務大臣)米国の例の農業補助金の話がつかなかった。それから、ブラジルとインドの工業品の関税引き下げがダメだったというところが多分、決裂した背景ではないのでしょうか。容易に想像がつくところですので、この協議の当事者ではないのでよくわかりませんが、多分そうなのだと思います。この後は、G4はダメだったけれども、ドーハ・ラウンドとしては再開することになりますので、G4とは別に全体としては7月末くらいからドーハのWTOの会議を再開することになるだろうと思います。問題は、いわゆる4項目あるわけです。上限関税とか、関税品目の比率とか、数とか補助金とか。色々言うけれど各国その4つが引っかかったことなのだから、日本の話も農業の話も、ウチはこっちを譲ってもいいよという話をすると、向こうはそれは譲られても困るという部分もある。これは交渉をしますので、恐らくかなり時間がかかることになるだろうと思います。各国それぞれの思惑は違いますが、まとめようとする気持ちにおいては同じだと思いますので、暑い夏になるのではないでしょうか。
(問)ヒル米国務次官補が北朝鮮を訪問されましたが、現時点での北朝鮮とヒル次官補との話し合いで、今我々にご説明頂けることはないでしょうか。
(外務大臣)ないです。平壌というのはそんな連絡が簡単にとれる所ではないし、盗聴されるかもしれないし、そんな迂闊にやっていられないです。どこかの二の舞にならないようにしないといけないですから、ありません。
(問)ヒル次官補が訪朝したのを始め、7月に六者会合、その後でARF(ASEAN地域フォーラム)閣僚レベル会合を開くという話が出るなど、どんどん進んでいくような印象も受けますが、大臣はこうした見通しも含めてどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)最低限、ヒル次官補も一応今回行って、新しく代わった外務大臣と会ったでしょう。その上で話をして、きちんとまとまっているかね。楽観的な記事を書くつもりはないからね。この種の話というのは前から言っているように、この1月から「そんな簡単に行かない」と言うのを、あなた方はみんな行く行くと書いてあった。私は「そんな簡単に行くような話ではないのではないか」と言い続けて、その通りになっている。私は今度行って、すんなりまとまるかねという感じはします。一応、IAEA の監視員を呼ぶところまでは来ましたが、送金が終わっていないでしょう。送金を完全に受領しましたという話を北朝鮮は、まだしていないと思います。ということは、米国はFRB(米連邦準備制度理事会)まで使ってきちんと送ったということは確かですが、「米国の労には感謝すれど、まだ入っていませんから」という話から、今からどうなるかというのは正直、六者会合にすぐつながっていくような話なのかと私は思います。だから、8月にマニラで開かれるARFまでに、実務者会議が開ければ御の字ではないでしょうか。ただ、そのIAEAの査察にかかる時間というのは、前にその中の施設に入っているから、そんなに無茶苦茶に時間がかかるというものではない。
(問)そもそもBDA(バンコ・デルタ・アジア)というのは、六者の非核化の話とは関係なく、また、それがここまで遅れたにも関わらず、ヒル次官補が訪朝したり、支援の話が出てくるということに違和感を覚える外交関係者も多いのですが、麻生大臣としては如何ですか。
(外務大臣)米国務省としては、「予定していたこととはかなり違った方向に行ってしまった。上手く行かなかったかな」という反省みたいな認識があるのではないでしょうか。私共から見ると何となく銀行の為替とか、送金とか、取引を米国の銀行やFRBが敢えてしないという発言の主旨が金融業界に与える影響の凄まじさに関して、理解ができていなかったので、もの凄い反応になってしまった、必要以上に反応が出たというところが、そもそもの政策判断としては少し違った。
1回決めてしまった後、また「じゃあ、止めるわ」という話にはできず、元々マネー・ロンダリングの話だから、それをOKするかの如き話は、財務省としては呑めない。その財務省にしゃにむに言ったら、今度は司法省としてはとんでもないという話になって、1回決めてしまったためにこうなってしまったので、もう少しという話を含めて、少々時間がかかり過ぎてますよね、この話は。だから、他の国からして見れば何だと、二ヵ国の話で他の4ヵ国が待たされている訳ですから。それで焦ってまた行くのだろうけど、焦って行って足下を見られるくらいアホらしい話はありませんから、その点では安易に譲ってもらいたくはないという感じです。報告は来るでしょうから、その報告を見た上で詰めなければいけないということでしょう。
(問)その報告についてですが、日本側はヒル国務次官補からいつ頃説明を受ける予定ですか。
(外務大臣)ヒル次官補も、そんなに長く居たくないでしょう。だから、早く帰ってくるのではないですか。帰ってきたら、ソウルと東京に寄ると思いますので、その時に報告があると思います。
(問)何日のいつ頃、説明を受けるのですか。
(外務大臣)分かりません。
(問)クラスター弾の一連の問題で、現在、ジュネーブのCCW(特定通常兵器使用禁止制限条約)の専門家会合が19日から開かれています。日本政府が、今回初めてクラスター弾禁止条約の交渉入りということで賛成を表明していますが、今回初めてそれを表明したことについて、もう一度お立場と今後の認識を説明して頂けるでしょうか。
(外務大臣)これは前から一貫しています。人道面の話と安全保障面のバランスを考えた上でと、ずっと同じことしか言っていないと思います。国際約束というものを検討すべきであるという話なので、検討するのであれば、これは作っている国、持っている国、使っている国等々によって、色々意見が違います。
基本的に日本のクラスター弾の話も、我々は他国で使うのではなく自国で使うので、これは不発弾処理の話ですが、地雷と同じような話になりました。そういった意味では、この種の話は非常に効果のある、防御的な意味でも、攻撃的な意味でも使える武器であることはハッキリしていますから、その武器というものをどう使ってどうするかという話と人道面の話と両方あります。こういった国際交渉を行うのは、前回のように、一部の人だけ「わーっ」と突っ走って先に行ってしまっているから全然効果が上がらない、ということになるのはあまり意味がないというのも前から言っているところです。
(問)北朝鮮が初期段階措置の履行に向けて、来週、IAEA側と接触に入ると、前向きな対応とも取れますが、その受け止めをお願いします。
(外務大臣)正式に入るのは25日の週でしたか。「前向き」といっても、別に前向きではないでしょう。2月13日から履行するはずだったのが4ヵ月遅れたとの話で、それが前向きでしょうか。あまり前向きな感じはしないですが。2月13日から4ヵ月遅れでやっとスタート台に立つ可能性が高くなったというものだと思います。
(問)ロシア側は次の六者会合の開催の見通しを7月中という見通しを持っていますが、日本政府としてはどのような見通し、或いは条件等を持っていますか。
(外務大臣)初期段階の措置をどの程度きちんと対応していくかを見て、という話でしょう。
(問)米国で来週26日にも従軍慰安婦の謝罪決議案が採決される見通しとなりました。もし採決された場合、日本政府としてはどのような対応をするのでしょうか。
(外務大臣)それは残念だと思いますが、基本的にこれまで総理の方から申し上げておられました態度でずっと一貫していると思います。
(問)東京地裁が朝鮮総連に対して627億円の返済命令を出しましたが、これが日朝関係に与える影響はどのようにお考えですか。
(外務大臣)国内法に基づいて淡々と職務を執行するだけの話であって、これは司法の話でもありますし、こちらは司法、立法、行政の三権分立となっており、基本的には司法で決まった話ですので、直接行政府がどうこうという話ではないと思います。
(問)BDA(バンコ・デルタ・アジア)の資金ですが、米国の中央銀行を通じてロシアの銀行に送金されたようですが、送金が行われたことについてはどのように受け止めていますか。
(外務大臣)送金が行われたと発表しているのはマカオ当局だけです。私どもはマカオ当局からの連絡を頂戴してもおりませんし、米国やロシアからもその種のことはありませんから送金が実際に行われたというのはN HKの話、若しくは通信社のマカオ発の話であって、我々としては正式に受け取っている訳ではありません。
(問)政府として送金が確認されたということを関係国から連絡は受けていないのでしょうか。
(外務大臣)ありません。
(問)米国、中国からの連絡を待って、今後どのように対応するかということを検討するということでしょうか。
(外務大臣)そうですね、それが確認されなければ、きちんとした話が六者で共有された上でないと話は難しいと思います。
(問)送金された段階で六者会合の協議の再開が見えてくるとお考えでしょうか。
(外務大臣)どうでしょう。この間の5月15日の北朝鮮のスポークスマンの発表、口ぶりは全ての経済制裁がという話になっていますから、凍結から送金、送金からまた、と要求を上げてくる可能性はありますから、六者会合がスタートできるという保証はないと思っております。
(問)パレスチナですが、非常事態宣言が出される事態になりまして、ようやく出来た連立内閣も解散という事態になっておりますが、この事態をどのように受け止めておられますか。
(外務大臣)ファタハとハマスの間の衝突がガザ地区で激化しているということなのですが、この地域の人口は150万人くらいですか、かなり激化していると思いますが、少なくともアッバース大統領を支援していくという姿勢は変えずに行かなければならないのだと思います。ハマスを切ったと言っても、議会はハマスの方が多い訳ですからそのような意味では少数与党みたいな形になりますので、ことはそんなに簡単ではありません。
(問)「平和と繁栄の回廊」構想を日本が支援することにも何らかの影響が出ると考えられますが、如何ですか。
(外務大臣)そうですね、ガザ地区だけの話ではなく西岸の方に影響してくるのか、それは何とも言えませんが、少なくとも、あの種の対立が激しいということが結果としてあの地域の繁栄、利益には繋がらないという理解を自分達でしないと中々難しいですね。
(問)脱北者は今茨城県内の施設にいますが、韓国への移送のメドは外務省として何か把握されていますか。
(外務大臣)メドが立っているわけではありません。この点に関しては、不起訴になったという話とあの人達が難民なのか偽装難民なのか何なのかというのは色々まだまだきちんとした調べが終わっていないと私どもは理解しております。その辺の話がまだ残っているのではないでしょうか。
(外務大臣)今日の閣議で、正式に2008年北海道洞爺湖サミット準備会議が設立されることが決まりました。サミット開催期間は2008年7月7日から9日まで。また、外務省に外務大臣を議長とする2008年北海道洞爺湖サミット準備会議を設けることにしていますので、準備事務局を立ち上げて万全な準備を講じたいと思ってます。
(問)米国財務省の報道官がBDA(バンコ・デルタ・アジア)の問題に関して、ロシアの銀行経由の送金についてマカオ当局やロシアと調整していると昨夜述べたのですが、この実現性はどれくらいあるのでしょうか。
(外務大臣)あれで上手くいかず、これで上手くいかず、ロシアにということになってきたのかね。よく分かりませんけれども。この前も上手く行く話が上手く行っていませんから、この話はあまり分からないね。
(問)クラスター弾について、色々な報道が出ています。これまで政府は水際の守りとしてクラスター弾は安保上の価値はあるという立場だったのですが、安全保障上の位置づけの変更はあったのでしょうか。
(外務大臣)基本的にはCCW(特定通常兵器使用禁止制限条約)の一連の話がありますので、今、日本としてこれに代わる、然るべきものがありません。また、あれは他国に落とすのではなく、日本の場合、自国にということになりますので、自国の水際を守るに当たって、その種の不発弾の処理等は自国の話ですからと、一貫して同じことを申し上げてきています。一部報道があり、見出しは確かにそうなっていましたが、内容は従来と同じことが書いてあったと記憶しています。今、防衛省として、また外務省として、これまでの意見を変えるという訳ではありません。
(問)ハイリゲンダム・サミットで、温暖化ガスの削減について日本などが提唱した50・50(2050年までに50%削減)の案が、真剣に検討されることで一致しましたが、それに対する評価をお聞かせ下さい。
(外務大臣)5月24日に安倍総理が出された日本の案を真剣に検討すると文書に入って、あれはEU、カナダ、日本という言葉が入ったのでしたか、そういった意味ではきちんとしたものが出たのは良かったのではないでしょうか。
(問)その中で日本が果たした役割については、どのように評価されますか。
(外務大臣)EU案と違って日本の場合は、新しい資金制度の枠組み等々、いわゆる最貧国等の対応が出来ている案を提案してますので、「俺について来い」みたいなやり方とは違って、良いのではないでしょうか。そのあたりは、発展途上国等々からは高い評価が出されていますから、一つの枠組み造りのためには大きな要素だと思います。
(問)今後、来年の洞爺湖サミットに向けても引き続き日本がイニシアティブをとって、この話題について取り組んでいくということでしょうか。
(外務大臣)そうでしょうね。特に主要排出国であるインド、中国、米国はそこそこきちんと技術革新等を考えているところがありますが、とかく発展途上国の方で経済成長などという話をすると、本当の最貧国で明日、海に沈むかもしれないという話と一緒に、というのは少し違うのではないでしょうか。
(問)日米首脳会談で「我慢にも限界がある」ということで一致したということですが、北朝鮮問題が動かない中で、その日米首脳の一致が何かこの問題を動かすきっかけになるのでしょうか。
(外務大臣)今回のG8サミットにおいて、この北朝鮮の核の問題、拉致の問題を含めて先日のG8外相会議でも提出されたレポートに出ましたので、G8の首脳会談でもほぼ同じものが出てくるのだと思っています。そういったG8から出された北朝鮮に対する非難声明というのは大きいと思います。これで何も動いて来なければ、今、色々動いていますけれども、それがどう反応してくるかいまひとつ分かりませんから、それを見た上でということだと思います。
(問)ロシアのラヴロフ外相がBDA問題について、送金に関してロシアの銀行を使ってもよいと発言をしています。根本的な問題は変わらないような気もするのですが、そのロシアの銀行ということに関して、何か動くきっかけになるのでしょうか。
(外務大臣)凍結を解除したら、次は送金と来ましたから、ハードルを少しずつ上げているような手口に思われないこともないです。しかし、今回ロシアの銀行を使って仮に送金が出来たら、次は制裁解除と言ってこないという保証はありませんから、分かりませんね。あの国ですから。
(問)今日、総理がハイリゲンダムに向けて出発されますが、気候変動で米国、中国がそれぞれ色々な考え方を出している中で、日本はどのようにリーダーシップを発揮して今回のG8首脳会合の成果を出したいとお考えでしょうか。
(外務大臣)今まで中国も米国も枠組みの中に入ってませんでしたから。それぞれの国の事情は違いますが、この枠組みの中に、所謂CO2の主要排出国の米国と中国とインド、そのようなところが入って来るような姿勢になりつつあるということです。後は細目を詰めなくてはならないところはいっぱいあるでしょうけど。
(問)北朝鮮から脱出してきた家族4人ですが、韓国への移送はいつ頃になりそうでしょうか。
(外務大臣)まだ、取り調べ中ですから何とも言えませんが、この話は武装難民でなかったことははっきりしていますが、偽装難民でないという保証はありませんから、そういったものはきちんと捜査当局が調べた上で話をしなければいけないのではないでしょうか。ですから、今の段階でいつかは分かりません。
(問)一方、途中で海上保安庁が探知できなかったり、このような事態に対する準備や対策が必要なのではないかという話も出ているのですが。
(外務大臣)いくらお金をかけさせて頂けるのですかね。膨大なお金がかかりますよ、それを全部やろうと思ったら。民間の協力等をしないと。6、7メートルの木造船の全てが分かるようなレーダー、船、海上保安庁の船というのは膨大な数になりますから、それはちょっと費用対効果の問題から言ってどうですかなと思いますけど。ただ、こういったことが無いに越したことはありませんから、色々民間の方の協力が大事なのではないでしょうか。
(問)プーチン大統領が北方領土の返還は難しいという見解を示されましたが、受け止めをお願いします。
(外務大臣)それは新聞が端折って書いているでしょう。56年宣言を外してまとめるのは難しいという、そのところを抜いてしまっているでしょう。あのような新聞の書き方が一番まずいんですよ。
6月1日、マドリードにて、麻生大臣はスペイン及び日本の記者の前で会見を行ったところ、概要以下のとおり。
1.昨日はモラティノス外務・協力大臣と意見交換させて頂き、本日はサパテロ首相にお会いし、これから国王陛下をお目にかかることにしています。
2.スペインは国際社会の中で、このところ経済成長率が平均4%以上ありますので、そういった意味で、経済・社会の面においても重要な地位を占めつつあり、アジア、特に日本との関係を重視しているように感じています。
3.今回の会談を通じて、自由・民主主義・人権といった基本的価値を共有するパートナーとしての協力関係を一層強化していくことで一致しました。昨日署名した政策協議に関する覚書も踏まえて、両国の外務省間の政策対話を幅広く強化していきたいと思っています。
4.少なくとも現在すでに150社を超える会社がここに進出し、50数社が工場を作っているというのが現実ですし、日産はじめ家電関係の工場も動いていますので、そういった意味では、経済面で貿易等が間違いなく伸びていることを私どもとして、良いことだと思っています。
5.ただ、日本企業駐在員のビザが6ヶ月もかかるという話に皆不満があったのですが、昨日モラティノス外務・協力大臣、並びに本日サパテロ首相にもこの話を申し上げて、これについては善処するという確約を頂いていますので、これは日本の企業、企業関係者に対してはものすごく大きな話であったと思います。
6.それから、安保理改革等についても色々話をさせて頂いて、安保理改革や2008年の日本の非常任理事国選挙についても、スペインの支持のご確約を頂いたり、支持の表明がありましたことを感謝しています。
全体で言えば、そんなところだと思います。
(問)サパテロ首相の訪日、並びに国王夫妻の訪日について、具体的な話をされたかお聞きしたく思います。
(外務大臣)サパテロ首相に対しての訪日の要請は私の方からしました。そして今年の1月に来られるはずが、例の騒ぎでお見えになれなかったものですから、是非という話をしました。
国王陛下については、これまで6回来日頂いていますが、公式なものは1980年が最後で、それ以後は長野オリンピック等々にお見えになりましたが、国賓はそれが最後であったと記憶しますので、是非お見え頂けないかという話を申し上げましたし、これから国王陛下にお目にかかるので、その話をさせて頂こうと思っています。
(問)日本のEEZ内で韓国の調査船が調査活動していたこと、ブッシュ大統領が温室効果ガス削減の設定目標に関する提案を行ったこと、それから農水新大臣就任についての受け止めについてお願いします。
(外務大臣)EEZの話は昨日報告を受けています。日本側が発見し、韓国側にその点を話をし、韓国側に抗議をした結果、韓国側は確か昨日中にそのEEZ区域を離脱したということで、それ以上の騒ぎにはなっていないと思います。
ブッシュ大統領の話は、米国、中国、インドの3つが枠組みの中に入っていないと、実効性のあがる排気ガスの規制の話ができませんから、そういった意味では、米国が入ってくるという話が出て来るのは大きな前進であったと思いますので、この半年間、いろいろ外務省がやってきた成果がそこに出てきたかなと思います。この前の安倍・ブッシュ会談、その後の電話等々、その脈絡の関係では良かったと思います。
赤城さんの話については、農林行政にそこそこ詳しく、若い人でこれからの方で、松岡大臣のもとで農業の輸出の話が出来上がりつつありますので、そういったものを確実に進めていくには良い人材ではないでしょうか。