在留外国人施策関連

第3回 外国人問題に関する国際シンポジウム

平成19年3月16日

  1.  3月9日,外務省と国際移住機関(IOM)の共催により,東京(国連大学,ウ・タント国際会議場)において「外国人問題に関する国際シンポジウム‐移民の社会統合における国際的経験と日本の課題‐」を開催致しました。海外からは,ドイツからケム・エスデミル欧州議会議員,カナダからレザ・シャーバジ・カナダ移民定住セクター同盟(CISSA-ACSEI)議長,また,IOMからマッキンレー事務局長を,国内からは手塚和彰千葉大学大学院教授,鈴木公平豊田市長,島上清明経団連外国人材受入問題部会長,山脇啓造明治大学教授,池上重弘静岡文化芸術大学助教授をお招きし,学界,経済界,地方自治体,NGO・NPO,外交団,国際機関等約230名の方に参加頂きました。
  2.  岩屋副大臣の開会の辞に引き続き,手塚教授及びマッキンレー事務局長よりそれぞれ基調報告が行われ,その後の議論についての背景や問題意識が提示されました。
  3.  第1セッションでは,「各国における移民の社会統合」に関し,シャーバジ議長,エスデミル議員,山脇教授より,カナダ,EU(特にドイツ),日本の外国人・移民の歴史と現状,そして社会統合への取組みについてそれぞれ報告が行われた後,池上助教授をモデレーターとして以下のような意見交換が行われました。
  • (1)社会統合を推進するには,移民と受け入れ社会の双方の努力が必要である。
  • (2)カナダでは国づくりのために移民の受入れが不可欠であるが,移民の受入れのために州のみならず,市町村間で移民のカナダ社会への統合に向けた様々なプログラム・サービス提供の競争が行われている。市町村レベルで「サービス提供組織(SPO)」が存在しており,このSPOが移民に対し,言語習得トレーニング,定住・社会統合サービス,就職支援サービスなど,社会統合に関する様々なプログラムを提供している。SPOは連邦政府から資金(全体資金の90~95%)を得て,効率的に社会統合の施策を実施している。
  • (3)カナダは移民の社会統合が比較的うまくいっている数少ない国であるが,ほとんどの国は移民をどのように社会統合していくかにつき苦闘しており,日本だけが外国人の受入れにあたり困難に直面しているわけではない。
  • (4)トルコ系ドイツ人移民のアイデンティティーに関し,その人に「(受入国か出身国かの)どちらかを選べ」というようなやり方により同化政策を進めることは,移民に対し「自分を捨てろ」ということに等しく,社会統合になじまない。移民のアイデンティティーを尊重することが大事であり,これが社会統合政策の基本である。
  • (5)移民の言語教育は,社会統合の施策の中で重要な要素である。移民が市民社会に根ざすためには,コミュニケーションの手段として言語教育が必要である。 ドイツでは,社会統合コースの中で,600時間がドイツ語教育にあてられている。今後ドイツ政府としては,十分なドイツ語能力を身につけるために,900時間に延長したり,修了試験を課す等の改善策を講じることを検討している。
  • (6)日本では,外国人住民支援や地域づくりの観点にたった「多文化共生」を推進する地方自治体が増えてきている。「多文化共生」という言葉は,2005年以降,国レベルでも用いられるようになったが,基本的な施策体系は,カナダのような多文化主義政策とは必ずしも合致せず,むしろEUで推進されている統合政策の内容に近い。
  • (7)今後日本において社会統合政策の柱として本格的な日本語教育を実施するに際し,十分な学習時間の確保はもちろんのこと,外国人住民の多様なニーズに応じた,きめの細かいプログラムを提供する必要がある。
  1.  第2セッションでは「移民の社会統合に関する社会的取り組みの事例」と題し,鈴木市長,島上経団連部会長,池上助教授より,豊田市の外国人の現状・多文化共生に向けた市の取組み,外国人材受入問題に関する経団連の提言,移民の社会統合に関して取り組むべき施策についてそれぞれ報告が行われた後,山脇教授をモデレーターとして以下のような意見交換が行われました。
  • (1)豊田市では,多文化共生に向けた取組みとして,様々な施策を実施している。教育面では,来日間もない外国人児童生徒のための日本語の集中指導や日本語指導員の小中学校への派遣等を行っている。就労支援の面では,2003年に豊田商工会議所が外国人を雇用する会員に対する「外国人雇用企業ガイドライン」を作成した結果,社会保険加入率の増加(国民保険の加入率の減少からの推察)や企業経営者の意識が変化して外国人を直接雇用する割合が増加するなど,取組みの成果が見られる。
  • (2)企業が直接外国人材を雇用していない場合であっても,子会社や関連会社が外国人材を雇用している場合は,これらとの連携を通じて社会的責任を果たしてゆくことが重要である。また,多文化共生の地域づくりに向けた行政や市民団体の活動を企業が支援するスキームづくりも有益である。
  • (3)ドイツやカナダでは外国人の学齢期のこどもについても公立小中学校への就学義務を課している。就学問題はきわめて重要である。
  • (4)企業の社会的責任として,カナダでは多くの企業が移民のためにオリエンテーション,文化的トレーニング等定住のための説明を行っている。ドイツでは優秀なこどもには奨学金を供与している。
  • (5)社会統合を推進するに際しては,国,州(都道府県),市町村,NPO,企業の役割分担と連携が必要である。そのための国によるイニシアティブが重要である。
  1.  今回の外国人問題に関するシンポジウムで3回目の開催となりましたが,我が国における外国人問題に対する理解が進んできているように感じられます。外務省としても本シンポジウムでの議論を踏まえつつ,政府の取り組みに一層積極的に参画し,引き続きこの重要な議論を深めて行きたいと考えています。

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