演説

山根外務副大臣挨拶

第21回AU閣僚執行理事会における山根外務副大臣メッセージ

平成24年7月12日
英語版仏語版

ナシル・バコ・アリファリAU閣僚執行理事会議長,
ジャン・ピンAU委員会委員長,
AU加盟国大臣・代表団長の皆様,

1.冒頭

 第21回AU閣僚執行理事会開催に当たり,心からお祝い申し上げます。
 AU発足10周年の記念すべき年に,人類の起源であるのみならず,我々の未来の可能性を秘めた大陸,ここアフリカで,前回会合に引き続き皆様にお会いできることを嬉しく思います

 AUは発足以来,アフリカに残された課題の解決と更なる飛躍のため,アフリカ統合の象徴として,活発な取組を行ってきました。その結果,今やアフリカは,アジアの次の経済フロンティアとして世界の注目を集める「機会と希望の大陸」となっています。この10年で,大きく成長したAUの積極的取組を,アフリカ自身のオーナーシップの現れとして,我が国としても力強く後押ししていきます。

2.第5回アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)に向けて

 来年6月1日~3日に日本で開催されるTICAD Ⅴまで,1年を切りました。来年は,AUの前身であるアフリカ統一機構(OAU)発足50年にあたる年であり,TICADプロセス20周年の年でもあります。日本は,この記念すべきアフリカの年に行われるTICAD Ⅴを,アフリカ自身の変化を踏まえ,日・アフリカ関係を新たなステージに引き上げる会合としたいと考えています。また併せて,第2回野口英世アフリカ賞の授賞式も開催されます。

 TICAD Ⅴに向けた議論の出発点として5月にモロッコで開催した第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合では,多くの参加者を得て,有意義な議論を行うことができました。皆様の御協力に感謝致します。この中で,TICAD Ⅴでは,成長の加速化に一層重点を置き,包摂的かつ持続的成長と強靱な社会を目指すこと,また平和と安定の達成のための取組を強化することで一致しました。

 今後,TICAD Ⅴまでの1年間は,SOM準備会合,閣僚級準備会合と続くTICADの年です。AU委員会を始めとするTICAD共催者,アフリカ各国,国際社会との議論を更に深めていきたいと思っています。会議の成功に向け,皆様方の御協力,特にTICAD Ⅴへの各国首脳の御参加を是非とも宜しくお願いいたします。

3.日本の対アフリカ外交

 昨年我が国は,未曾有の震災に見舞われました。その際,自らも困難に直面している国を含むアフリカ各国の国民の皆様からも直接多数の激励と御支援をいただき,我々は,その連帯の気持ちに,深い感動と勇気を覚えました。震災から1年が経ち,我が国は,力強い復興・復旧を続けています。我が国は困難を乗り越え,震災の際実感した,アフリカとの連帯を大切にしながら,TICAD Ⅴに向け,(1)平和と安定への貢献,(2)開発支援と貿易投資の拡大,(3)グローバルな課題への対応を三本柱とする対アフリカ外交を力強く推進していきます。

(平和と安定への貢献)

 日本は,開発と成長の土台である平和と安定の達成を一貫して重視し,支援を行ってきました。近年,武力紛争・政情不安の多くが解決したことで,アフリカの開発と成長が可能となりました。しかし,アフリカでは,依然紛争・暴力を伴う政治的混乱等が存続し,テロや海賊等新たな問題も出現しています。我が国は,更なる発展のため,平和で安定したアフリカ大陸の実現を目指すアフリカ自身の取組を後押ししていきます。

(開発支援と貿易投資の拡大)

 近年,アフリカは著しい経済成長を実現している大陸として,国際社会の期待と注目を集めています。我が国は,TICADプロセスを基軸とした開発支援に積極的に取り組むとともに,ビジネス・パートナーとしてのアフリカにも注目しています。この観点から,我が国はこれまで5回にわたり,多くの企業が参加する貿易投資促進官民合同ミッションをアフリカ大陸の各地域に派遣しました。私自身,昨年10月に同ミッションの団長として南北スーダン,ケニアを訪問し,大きな可能性を実感しました。

(グローバルな課題への対応)

 また,我が国は,アフリカとの間にある絆を土台にして,グローバルな課題の解決のため共に取り組んでいく所存です。

 気候変動問題に関し,我が国は,アフリカを始めとする脆弱国に重点を置いた支援を着実に実施していきます。また,「アフリカ・グリーン成長戦略」の最終報告策定に向け,アフリカ諸国及びTICAD共催者等と緊密に協力しつつ進めていきたいと考えています。

 国連安保理改革については,進展がみられない現状を危惧しています。このままでは,現状は何も変わりません。改革を実現するためには,「何が望ましいか」ではなく,「何が実現可能な改革案なのか」というリアリズムの観点に立つことが不可欠です。日本は改革の実現に向けてアフリカと引き続き協力していきます。

4.結語

 昨年の大震災に際し,我が国は,日本とアフリカが,これまでのTICADプロセス20年を通じ,共に様々な困難を乗り越える中で,強い連帯感で結ばれてきたことを改めて実感しました。我が国は,そのアフリカとの絆をさらに深めつつ,希望に満ちた未来に向かって協力して進んでいくことを,そしてTICAD Ⅴがそのための新たな時代を開く出発点となることを心から願うものであります。ありがとうございました。

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