平成24年5月25日
於:国連大学
御列席の皆様,ただいま御紹介いただきました外務大臣政務官の加藤敏幸です。本シンポジウムを後援している外務省を代表し,御挨拶申し上げます。
まずは,「2012アフリカ・デー・シンポジウム」の開催を心からお喜び申し上げます。開催に御尽力された駐日アフリカ外交団,国連大学の皆様に敬意を表します。
アフリカの地域統合を掲げるAUが果たす役割は,年々,その重要性を増してきました。来年は,AUの前身のOAU設立から50周年かつ第1回TICADの開催から20周年という節目に当たります。我が国は来年,AU委員会を共催者に迎えてTICAD Vを開催し,引き続き国際社会でアフリカ開発を主導していく考えです。
来年6月のTICAD Vに向けた出発点として,我が国は,今月初め,第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合をモロッコにおいて開催しました。会合には,玄葉大臣が共同議長として参加しました。その際,TICAD Vでは,「アジアの次の経済フロンティア」として存在感を高めているアフリカの現状や現下の国際情勢を踏まえ,「成長の加速化」に重点を置きつつ,アフリカに暮らす全ての人々が成長の恩恵を受けられるように,また,環境面でも持続可能な成長の実現と,自然災害をはじめとする外部からの影響に強靱な社会づくりを重視することでアフリカ諸国と一致し,玄葉大臣から,日本とアフリカの関係を新たなステージに引き上げる考えを表明したところです。
アフリカが強固な成長を維持していくためには,TICADプロセスが提唱してきたとおり,民間セクターが主導する多角的な産業構造に支えられた自律的な成長を達成する必要があります。そのための最優先課題は,本日のシンポジウムのメイン・テーマである,民間投資の呼び水としての「インフラ開発」です。これは,TICAD Vの重要な論点の一つです。
アフリカにおけるインフラ需要は膨大です。需要に対応するためには,国際機関や地域機関とも協力しつつ,譲許的な借款をより大きく,かつ効果的に活用する必要があります。我が国は2006年,アフリカ開発銀行と共に,アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブとしてEPSA(Enhanced Private Sector Assistance)を立ち上げ,道路などの経済インフラの整備をはじめ,アフリカの民間主導の経済成長の促進を図ってきました。今般,新たに5年間で10億ドルの円借款を供与することを決定したところです。今後もEPSAを活用しつつ,開発効果の高い案件の推進に努めていきたいと考えています。
こうしたODAと並んで,官民連携(PPP)の仕組みを通じて,開発の担い手としての民間資金を積極的に動員することが不可欠です。そのためには,商業的に成立するインフラ投資案件の発掘・形成に努める必要があります。我が国は,今後とも民間投資の拡大に向けた協力の方途を検討してまいります。日本企業の皆様には,ぜひアフリカのインフラ需要をビジネス・チャンスとして捉えていただきたいと思います。
他方,ハード面のインフラのみならず,ソフト面,すなわち政策・制度改善や企業が活動しやすい環境づくりも同様に重要です。我が国としても,国際機関と協力しつつ,アフリカ諸国の投資政策,投資円滑化,インフラ開発等の分野における取組を積極的に支援してまいります。
昨年3月の東日本大震災に際し,我が国国民は,アフリカから寄せられた支援やお見舞いを通じ,アフリカとの連帯を強く感じました。引き続き,この連帯に応えるべく,皆様の御協力を得ながら,力強い外交を進めていく考えです。
本日のシンポジウムにおいて,有益かつ建設的な議論が展開されることを期待します。シンポジウムの御成功を心より祈念申し上げ,私の挨拶といたします。
御清聴ありがとうございました。