本日は,両国の有数の大学が集う日墨学長会議に出席させていただきまして,大変ありがとうございます。
メキシコから参加されている政府機関や大学・研究機関の関係者の方々におかれましては,本会議に参加するため,遠路はるばる太平洋を越えて訪日していただき,感謝申し上げます。
また,東日本大震災の被災地を含め,日本全国から数多くの大学・学術機関から参加いただいていることに対し,御礼を申し上げます。
さらに,本会議開催の実現に向け主導的な役割を果たされた,ルイスカバーニャス大使を始めとする在京メキシコ大使館の方々,そして,日本側主催者をお引き受けいただいた東京大学の関係者の方々に敬意を表します。
さて,近年,日本とメキシコは,400年を超える交流の歴史を礎として,益々その友好と協力の関係を強化してきております。
昨年2月,カルデロン大統領が訪日した際に,当時の鳩山総理と「21世紀における戦略的グローバル・パートナーシップ及び経済成長促進に関する日本・メキシコ共同声明」を発表いたしました。この共同声明は,国際社会の平和と安全,気候変動,核軍縮・不拡散,経済成長の促進などの地球規模の課題に両国が一層連携して取り組み,戦略的なグローバル・パートナーシップを確立することによって,二国間の友好関係を更に発展させていくことを意図したものであります。
本日の会議も,この共同声明のフォローアップの一環として開催されるものであります。両国の最高学府間での交流の促進を通じ,日墨間の学術・科学技術交流の一層の発展に資するものと大いに期待しております。
そのほかにも,共同声明でうたわれている科学技術交流として,本年以降3回にわたり,科学技術振興機構と国家科学技術審議会による「ライフサイエンス」に関する共同研究の公募が両国で行われていくものと承知しております。
また,本年40周年を迎える伝統的な交流プログラムである「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」につきましても,両国の現在のニーズを踏まえ,戦略的グローバル・パートナーシップを強化する方向に発展させるべく,努力を行ってきております。例えば,双方で知的財産権や遺伝資源などに関する短期コースを新設するなど,両国の科学・技術交流促進のための重要なプログラムとなってきております。
さらに,両国には,国費による留学制度があり,毎年相互に有為な人材の交流が行われているほか,多くの大学間で活発な学術交流が行われていると承知しております。
両国の間には,学術・科学交流の分野において,こうした多岐に亘る取組や制度が存在しています。本日の日墨学長会議も,両国の新たな取組として,活発な意見交換と相互理解の促進を通じ,協力関係の強化につながるものと考えております。
このように我が国にとって特別な友好国であるメキシコは,私が外務大臣政務官に就任して以来,初めて訪問した国であります。昨年12月にカンクンで行われたCOP16に出席したほか,本年2月には,メキシコ・シティで日墨EPA再協議の実質合意を実現することができました。私自身こうした気候変動といった多国間問題や二国間経済の促進に直接携わり,さらに今回,こうして両国の学術・科学技術交流に関する重要な会議に参加することができ,大変嬉しく思います。本日の会議を通じ,両国の学術・科学技術の分野においても,より一層関係の緊密化が進むことを期待いたします。
さて,今般の東日本大震災に当たりまして,両国の堅固な友好と協力の歴史に新たな1ページが加わりました。
これまで両国は,震災国としてお互いに支援し合ってきました。日本は1985年のメキシコ大地震の際,官民をあげて救援に取り組むとともに,ODAも活用し,メキシコ国立自治大学内に国立防災センターを設立いたしました。この防災センターでは技術協力が行われてきておりますが,こうした防災分野での協力も,両国の科学技術協力の一環としての大きな成果であると考えます。また,メキシコに移転された防災技術が,両国の共同協力,いわゆる三角協力として,広く中南米・カリブ地域に裨益していることは,両国がグローバル・パートナーであることの証左です。
今回の震災に際しまして,メキシコからは,いち早く支援の申し出をいただきました。在京メキシコ大使館の御尽力もあり,救助チームを迅速に派遣していただき,また,様々な支援物資を送付していただきました。菅総理や松本外務大臣からも,メキシコの要人との会談の際には御礼を申し上げてきているところですが,私からも,この場を借りて,我が国政府及び国民を代表し,心より御礼を申し上げたいと思います。
最後になりますが,本日の会議を契機として,400年を超える日墨両国の関係が,学術・科学技術の分野でも発展し,今後の両国関係の発展の大きな幹として成長することを祈念しつつ,私からの挨拶とさせていただきます。