アブダッラー外務大臣,スルタン総会議長,アミンIRENA(アイリーナ)事務局長,各国代表並びに御在席の関係者の皆様,
本日は,日本国政府を代表して,この記念すべきIRENA第1回総会に参加できますことを,大変光栄に存じます。
第1回総会の開催に当たりまして,アブダッラー大臣及びスルタン議長を始めアラブ首長国連邦の皆様の御厚意に心より感謝申し上げます。また、アドナン・アミンさんの事務局長御就任をお祝い申し上げるとともに、一層のご活躍を祈念申し上げます。
3月11日,日本はマグニチュード9.0という巨大な地震と津波災害に見舞われました。
この未曾有の災害に被災した日本国民に対し,各国政府より温かなお見舞いと励ましの言葉を頂きましたことに,心より御礼申し上げます。日本国民は,各国及び暫定事務局の皆様から頂いた御支援によって大変勇気づけられております。また、本日の総会の冒頭において、一分間の黙祷を捧げて頂いたことに感謝致します。
日本といたしましては,エネルギー安全保障を確保しつつ,気候変動対策に効果的に取り組んでいくためには,再生可能エネルギーの利用の促進・普及を一層加速していくことが不可欠であると考えております。再生可能エネルギーの重要性は,今後高まりこそすれ,決して減じることはないでしょう。日本は,そのような認識に立ち,今後一層IRENAの活動に積極的に取り組んでまいります。
日本はこれまでも,IRENAの立上げのための作業部会に積極的に参画し,また,事務局に対しても優れた能力を有する出向者を派遣するなど,IRENAに対する貢献を積極的に行ってまいりました。
この2月には,アミン事務局長を日本に招待し,IRENAに関するワークショップを開催いたしました。このワークショップでは,特に企業関係者から,再生可能エネルギー技術の国際標準化が進む中で,国ごとに異なる政策が採用されていることが各国で再生可能エネルギーを推進する際の障害となっているといった問題点などが指摘されました。また,そのような状況を改善するため,IRENAが果たす政策助言機能に期待が寄せられました。
今後,日本は,加盟国のみならず,非加盟国の関係者に対しても,IRENAの果たす役割を広報していくとともに,IRENAに対する期待や要望を吸い上げることで,IRENAの活動強化に貢献してまいります。
IRENAはこれから本格的に活動を開始いたしますが,この機会に,日本として思い描くIRENAのあるべき姿と期待を申し述べたいと思います。
第1に,IRENAの運営についてです。IRENAは,開発援助機関ではなく,あくまでも再生可能エネルギーの卓越した中核拠点(Center of excellence)となるべきであります。その観点から,予算規律の重視を徹底した上で,事務局は簡素で効率的な組織とすることが重要です。
国際機関はともすれば肥大化する傾向にあります。IRENAは,スリムで効率的な機関となるよう努力しなければなりません。
第2に,他の国際機関との関係です。IRENAは、再生可能エネルギーに関する中心的な国際機関として、他の国際的な機関との関係で、重複を避けて協力ネットワークを構築するなど十分に連携して、相乗効果を高めることが重要です。
関係する国際機関としては,例えば,エネルギー分野では国際エネルギー機関(IEA),環境分野では国連環境計画(UNEP。ユネップ),援助分野では世界銀行,NPOではREN21(レンにじゅういち)等がありますが,こうした様々な機関と緊密に連携していくことが必要です。
第3に,アウトリーチです。IRENAがより普遍的な機関(universal organization)となるよう,積極的にアウトリーチを進めていく必要があります。特にアジア地域は,目覚ましい経済成長を遂げる一方で,日本と同様にエネルギーの太宗を輸入に依存しています。
アジアを始め各地で再生可能エネルギーの利用を促進・普及することは,それらの国々でのエネルギー自給率を高め,エネルギー安全保障を確保することに貢献するほか,地球温暖化対策を促進する上でも極めて重要であると言えます。
議長,
最後に,再生可能エネルギーが世界のエネルギー安全保障と気候変動問題の解決策となり、世界に繁栄と発展をもたらすよう,我々は,知恵を出し合い,IRENAを再生可能エネルギーの利用促進・普及に役立つ機関としていかなければなりません。私は,これが我々に与えられた使命であると信じています。
御静聴ありがとうございました。