演説

山花外務大臣政務官演説

第四回NGO海外安全セミナー
山花外務大臣政務官ご挨拶

平成23年2月24日

1 パネリストの皆様、世界各地で国際援助活動に尽力されているNGOの皆様、ご参加の皆様、本日は、ご多用の中、お越しいただきまして大変ありがとうございます。外務大臣政務官の山花でございます。外務大臣政務官は3人いますが、私は、地域としては北米と中南米を担当しておりまして、今朝方メキシコ・コロンビアの出張から帰ってきました。また、所掌する事項で言いますと、今回のセミナーの関係では、領事局と国際協力局の両方を担当しています。

2 実は、私自身、かつてフィリピンのダバオにおいてボランティアの活動をしておりました。ダバオはミンダナオに比べてより危険なところもあるのですが、そういった経験もございまして、NGOの活動であるとか、事業仕分けで取り上げられた青年海外協力隊などを含めまして、現場に行って活動することの意義や重要性については認識しているつもりでございます。特に、日本のNGOの皆様が行っておられる国際援助活動は、本当に幅広い分野に渡っていまして、その意義も極めて大きなものであると思っております。

 人道支援であるとか、開発支援という国際協力につきましては、日本が世界に誇れるものであると私は思っています。日本の国際協力と言いますと、国の機関に限らないで、NGO、NPOの方々を始めとしまして、国民が、必要に応じて互いに連携しながら、それぞれ力を合わせることが重要ではないかと思っております。政府としても、国際協力におけるNGOとの連携を重視していまして、NGOの事業に政府資金を提供する「日本NGO連携無償資金協力」や、緊急人道支援活動における連携を目的とした「ジャパン・プラットフォーム」への政府資金の提供などを行っているところでございます。

3 一方、国際援助活動を行う地域は、危険な地域であるケースも少なくありません。危険な地域で活動するジャーナリスト、国連職員、NGO関係者を含む援助関係者は、誘拐やテロなどのターゲットにならない、ということも言われておりました。「言われておりました」と、残念ながら過去形になってしまうかもしれません。かつては「現地の人のためになる援助活動をしている訳ですから狙われるはずはない。」ということだったのだと思いますが、残念ながらそうあってほしいという思いが裏切られるケースがここのところ多数発生してしまっています。すなわち、アフガニスタンなどの危険な地域において、日本を含むNGOの方々が誘拐やテロの脅威などに晒され、実際に被害に遭うという事例があります。

4 こうしたことに鑑みましても、皆様が国際援助活動に従事されるに当たりましては、活動が安全に実施されるということを強く希望するところでございます。先ほど、私は、現場で活動することの重要性や意義を承知しているつもりであると申し上げました。他方で、私が担当している領事局としましては、端的にいいますと、海外における日本国民の生命身体の保護ということを、国の責務として負っています。私としては、その責務を果たすべく、皆様に安全対策を取って頂くよう希望する立場にあります。

5 危険地域におけるNGOの皆様の安全確保につきましては、現地で活動するに当たっては、十分な情報収集を行い、情報を踏まえて危険を回避するという「危機に遭遇しない」ための危機管理(リスクコントロール)の側面と、「実際に危機に直面した際にいかに対処・対応するか」という意味での危機管理、すなわち、クライシスマネジメントの側面があります。

 ご案内のとおり、外務省では、海外に渡航・滞在する日本人の皆様に対して「渡航情報」を発出しております。この「渡航情報」は、日本人の皆様が、海外に渡航・滞在される際に参考にしていただくものでありまして、政府として、渡航・滞在中の安全を保証するものでもありませんし、また、渡航を禁止したり制限するものでもありません。海外における安全は、何よりも、国民の皆様がご自身で確保することが必要であると考えております。

 ただ、そのことは、外務省として、偏狭な意味での「自己責任論」という偏った考え方に立つことを意味するものではありません。日本の国際協力の重要な担い手として危険地域で活動に励んでおられる我が国NGOの皆様が行う安全対策に対しまして、様々な形でサポートしていきたいと考えております。

 今回で4回目を迎える本セミナーは、そうしたサポートの一環として、パネリストの皆様、ご参加の皆様の、また、ご参加の皆様の豊富な経験や取り組み、グッドプラクティスをご紹介いただき、互いに共有し、ともに議論する場を提供することを目的としております。

6 本日は、こうした機会を十分に活用いただきまして、有意義な議論をしていただければと思います。また、今日は、NGOの皆様に加え、海外で事業を展開されている企業の方など様々な分野で海外での活動に携わっておられる方々にもご参加いただいており、非常に貴重な機会であると思っています。皆様方の今後のネットワーク作りにも活かしていただければ幸いだと思っています。

 ご清聴ありがとうございました。

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