(冒頭)
外務大臣政務官の徳永久志です。私が政務官として各地を訪問し,肌身を持って感じるのは,日本や日本人が暖かく,敬意や親近感を持って迎えられているということです。これはNGOを始めとする様々な方々が,様々な分野でお力を結集していただいた成果であり,お礼を申し上げたいと思います。国連をはじめ世界が抱える地球規模の課題の解決は,一人一人の力でなし得るものではなく,すべての英知を結集することが必要です。また,地球規模の課題に対する市民の理解や関心を高めることも不可欠であり,その際,教育が重要な役割を果たすことは言うまでもありません。こうした観点から,本日,このフォーラムの場で,国連やグローバルな課題に関わる教育について議論を深めることは大変意義のあることだと考えます。
(「国連持続可能な開発のための教育の10年」と日本の取組)
このパブリック・フォーラムが創設された2005年は,日本政府が提唱した「国連持続可能な開発のための教育の10年」が始まった年でもあります。将来の世代にわたり,経済開発,環境保全,社会,文化の発展を調和的に進めていくために必要なことがあります。それは,社会を構成する市民一人ひとりが,国境を越えた世界の人々や次世代の人々,そして周囲を取り巻く環境と調和をはかり生きていることを自覚し,日々の行動に反映させていくことです。これが「国連持続可能な開発のための教育の10年」の根底にある考え方です。
このような考え方に基づき,日本政府は,様々な取組を行っています。例えば,環境分野におけるアジア地域での取組としては,昨年12月に,アジア協力対話という枠組みの下,第7回環境教育推進対話を開催しました。この対話には,アジア各国で環境教育に携わる専門家が多数参加し,埼玉県所沢市における生物多様性の保全の現状を視察するとともに,アジア各国が直面する課題について,活発な議論が行われたところです。
(人権教育,軍縮教育)
人権教育については,国連の場での取組が着実に進展しており,日本政府も人権教育の促進に積極的に取り組んできています。昨年10月,国連「人権教育のための世界計画」第2フェーズ行動計画が採択され,また来月には第16回人権理事会において国連人権教育研修宣言が採択される見通しです。
軍縮教育も重要な課題です。我が国は,特に核兵器の問題に関しては,唯一の戦争被爆国として,国境と世代を超えて核兵器の惨禍の実相を将来の世代に継承していく責任を有しています。先般の海外テレビ番組で長崎市の二重被爆者の方が不適切な形で取り上げられた一件は,この分野での軍縮教育の重要性を強く認識させる事案となりました。日本政府は,来月17日から2日間にわたり,長崎において「軍縮・不拡散教育グローバル・フォーラム」を国連大学と共催します。こうした場を通じて,官,民,学,それぞれの知識と経験を集約し,共に考え,共に取り組んでいくための環境づくりに貢献します。
(結論)
本日の場で,自由闊達な意見交換が行われ,すばらしい成果があがることを祈念して,私の挨拶とさせていただきます。