フン・セン首相閣下,
トラム・イウテック公共事業運輸大臣閣下
本日ここにご出席の全ての皆さま,
チョムリアップ・スオ(こんにちは)
本日,ネアックルン橋梁の起工式に参加できることは私にとって大変大きな喜びです。カンボジア国民が長らく待ち望んだ橋が,我が国の無償資金協力により現実に建設されることになりました。
菅総理大臣もこの橋梁の起工を喜んでおり,メッセージを託されておりますので,まず紹介させていただきたいと思います。
『ネアックルン架橋の起工式に際し,日・カンボジア関係の強化に向けての私のメッセージを伴野外務副大臣に託します。
今から10年前に我が国の支援によりコンポンチャム州に建設されたメコン河に架かる橋は,両国国民が友情のもとに結びつけられること,またカンボジア国民の間のつながりやメコン地域全体の人や物のつながりを祈念し「きずな橋」と名付けられています。その後10年の時を経て,メコン河に架かるもう一つの橋を,我が国の支援により,南部経済回廊の要衝に位置するここネアックルンに建設するに至ったことを喜ばしく思います。
1993年,私は衆議院外務委員長として貴国を訪問し,貴国の平和構築の取り組みについて伺い,我が国として貴国の努力に対する支援を行うことの重要性を再認識しました。パリ和平協定20周年にあたる本年に至る間に,貴国が政治的安定を達成し,経済開発や各種改革に邁進してきていることに敬意を表するとともに,我が国としても貴国にあらゆる分野で支援できたことを誇りに思います。特に,日本カンボジア友好条約調印55周年にあたる昨年,我が民主党政権が,まさに両国の友好の架け橋として支援を決定できたことを大変うれしく思います。
昨年,第2回日本・メコン地域諸国首脳会議でフン・セン首相ともお会いし,ASEAN域内の格差是正や一体性強化の観点からも,特にメコン地域の連結性向上に資するネアックルン架橋建設が重要であることを改めて感じました。日本とカンボジア両国間の信頼と友好協力関係を象徴するネアックルン架橋の起工式が,両国関係の新たなページを開くことを共に祝福するとともに,この橋が,貴国を始めとしたメコン地域全体の開発と発展に貢献し,両国の友好の歴史を体現する橋となることを心から期待します。
平成23年2月12日 日本国 内閣総理大臣 菅直人』
また,この他にも,齋藤勁 民主党日カンボジア友好議員連盟会長からも祝辞を託されております。
この橋梁とつながる国道一号線は,ホーチミン,プノンペン,バンコクを結ぶ南部経済回廊の一部であり,メコン地域の大動脈です。昨年10月の第2回日メコン首脳会議においても,メコン地域の連結性向上の重要性が確認されていますが,この橋が地域全体における経済・文化の交流を促進し,その要衝に位置するカンボジア国の発展につながることを期待しています。
この事業で建設される橋は,「斜張橋」と呼ばれるタイプのものです。これは,大河に架ける橋としての十分な長さと,橋の下を大型貨物船が航行できるだけの十分な高さなどを踏まえ最適な工法として選ばれたものです。
この橋は2015年に完成する予定ですが,完成後はメコン河の渡河時間が大幅に短縮し,人や物の流れが活発になることが期待されています。貴国を中心とするメコン地域南部の経済圏の発展につれて,我が国から貴国への投資が増え,両国間の経済交流が活発化していくことも,心から期待しています。
また,完成に至る約4年間,工事の安全確保については細心の注意を払っていただきたいと思います。
この橋が,メコン河西岸と東岸をつなぎ,メコン地域全体をつなぎ,カンボジアの現在と未来をつなぎ,さらにカンボジアと日本との友好をつなぐ橋となり両国の友好のシンボルとして,長く親しまれる橋となることを,とりわけ両国の子どもたちにいつまでも語り継がれる橋となるよう,最後に祈念して,お祝いの言葉に代えさせていただきたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。