演説

山花外務大臣政務官演説

JICAシンポジウム「科学技術による国際協力の新しい挑戦
~アジアから中東・アフリカへ展開する大学の国際協力~」

山花郁夫外務大臣政務官開会挨拶

平成22年11月17日

  • (写真1)JICAシンポジウム山花郁夫外務大臣政務官開会挨拶
  • (写真2)JICAシンポジウム山花郁夫外務大臣政務官開会挨拶

ユースリ・エルガマル・エジプト国エジプト日本科学技術大学理事会議長殿、
プラキット・タンティンサノン・ASEAN大学ネットワーク/ASEAN工学系高等教育ネットワーク事務局長殿、
御列席の皆様、
御来場の皆様、

(冒頭)

 御紹介にあずかりました、外務大臣政務官の山花郁夫です。本日、エジプト及びタイから賓客をお迎えして「科学技術による国際協力」をテーマとしたシンポジウムが開催されますことを、心よりお慶び申し上げますとともに、JICAの緒方貞子理事長をはじめ、日頃から国際協力に携わっておられる御列席の皆様に敬意を表します。

(基本認識)

 我が国の国際協力の中でも科学技術分野の協力は重要な役割を担ってきました。開発途上国が、直面する様々な課題に対処し経済を成長させていくためには、科学技術分野や教育分野を含む開発途上国自身の能力を高めることが不可欠です。

 先月、二人の日本人がノーベル化学賞を受賞したことからわかるように、我が国の科学技術のレベルは世界有数のものでございます。我が国の今日の繁栄も、こうしたトップレベルの科学技術によって支えられているものであり、また、多くの科学者・技術者の方々の献身なくしてはあり得なかったことは申すまでもありません。

(科学技術外交)

 先月、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開催され、今月末には、メキシコで気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)が開催される予定でございます。環境問題やエネルギー問題など地球規模の課題には、このように国際社会全体で取り組んでいく必要があります。その取組に当たっては、私は、我が国が世界に誇る科学技術力を活かすことができると考えます。

 9月末に行われたMDGs(エムディージーズ)国連首脳会合では、我が国は開発援助政策として新たな教育協力政策を発表し、その中の取組の一つとして、日本の大学の協力を得て、共通・類似の教育課題に取り組んでいくための地域内及び地域間のネットワークの構築を促進することといたしました。

 また、先月末に行われた東アジア首脳会議におきましては、菅総理より、地域内の科学技術・イノベーション力の向上と科学技術協力を通じた防災、感染症、気候変動等の共通課題への対処を目的とした、「東アジア・サイエンス&イノベーション・エリア」構想を長期的に推進していくことを提案したところです。

(教育分野での協力)

 日本の経済発展を支えた技術者達のエンジニアスピリットは、日本の大学の実験室ではぐくまれてきたものです。

 本年6月には、本日ご来席のユースリ・エルガマル先生のご尽力もあり、エジプトにおいて、我が国の協力により日本式工学教育・研究活動等を行うエジプト日本科学技術大学(E-JUST(イージャスト))が開校しました。同大学は、中東及びアラブ世界における中核的研究教育拠点に発展することが期待されます。マレーシアやインドにおいても、同様のプロジェクトが進められております。

 また、本日は、タイ王国モンクット王工科大学カラバン校の元学長でいらっしゃいますプランキット・タンティンサノン先生にご列席いただいておりますので、後ほど詳しいお話を伺えるかと存じますが、同校は、現在では、タイを代表する工学系総合大学に成長したと伺っております。我が国は、40年あまりにわたり同校に対する無償資金協力や技術協力により、同校の発展を支援してまいりました。

(結び)

 今後もオールジャパンとして企業や大学、NGO等の国際協力への積極的な参画を期待し、外務省としてもこうした科学技術協力の動きを後押ししていく考えです。

 本シンポジウムでの活発な議論が、我が国と多くの途上国との間のより良い科学技術協力につながることを期待して、挨拶の言葉とさせていただきます。

 ご静聴ありがとうございました。



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