演説

徳永外務大臣政務官演説

イラクに関する安保理閣僚級会合における
徳永外務大臣政務官ステートメント

平成22年12月15日
英語版はこちら

ジョセフ・バイデン国連安全保障理事会議長,
潘基文(パンギムン)国連事務総長,
ホーシュヤール・ズィバーリー・イラク共和国外務大臣,
ご列席の皆様,

 はじめに,安全保障理事会議長として今回の会合を招集されたバイデン米国副大統領のイニシアティブに敬意を表します。イラクが新政権樹立まであと一歩の重要な局面を迎える中で,イラクの新政権を後押しし,イラク政府・国民による国造りと国際的地位の回復に対し,閣僚レベルで支持表明を行うとともに,安保理としてのイラク問題へのかかわりにつき議論を行うことは,極めて時宜を得たものです。日本政府を代表して,イラク問題に対する日本の基本的立場と取組について述べさせていただきます。

議長,

 イラクの国造りを成功させるためには,何より政治的安定が重要です。我が国は,イラクにおいて,シーア派,スンニー派,クルド人の代表制が確保される包括的政権が早期に樹立されることを期待します。国際社会も,これを引き続き後押ししていくべきです。
 その上で,イラクの新政権が,今後とも,治安状況の改善にしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。今年8月,米軍の戦闘部隊が撤収を完了し,治安維持任務が完全にイラク治安機関に引き継がれたことは大きな転機でした。その後も,イラクにおける治安の改善傾向は維持されており,我が国はこのことを歓迎するとともに,更なる情勢の改善を期待します。

 このように,イラクを巡る情勢は,2003年以降,大きく変化し,現在,イラク政府が1990年の湾岸危機以前と同等の国際的地位の回復を希望していることを支持します。現在,イラクでは,イラク人自身の手で国会選挙が実施され,民主主義国家としての時代を迎えつつあり,その方向性を支持する意味でも,我が国は,イラクの旧政権時代に採択された安保理諸決議を順次整理していく必要があると考えます。安保理決議として,そのための措置を講じることが必要です。
 一方,イラク側においても,湾岸戦争以降のイラク・クウェート関係に関する未解決の問題について,イラクの新政権が,クウェート政府との相互信頼に基づき,早期に解決することを期待します。

 我が国は,イラク人自身による,イラクにおける平和構築への取組を,国際社会が引き続き支援すべきと考えます。その意味で,イラク国内の政治対話,国民融和,人道支援等に取り組む国連イラク支援ミッション(UNAMI)の活動を支持します。
 我が国としても,2003年のマドリッド会議以来,50億ドルの支援パッケージと67億ドルの債務救済をほぼ完了し,この中で,イラクの生活基盤の再建及び治安の改善に重点を置いた分野に対する支援を着実に実施してきました。引き続き,イラクの経済社会開発に必要な支援を継続していきたいと考えます。また,イラク経済の復興を後押しするためにも,イラクにおける復興・開発プロジェクトに,我が国は官民で協力して取り組んでいきたいと思います。

議長,

 本日,イラクの新政権による国造りと国際的地位の回復を後押しするため,安全保障理事会がハイレベルで一致したメッセージを発することは大変有意義と考えます。引き続きイラクの安定と発展が図られるよう,国際社会による粘り強い支援が必要と考えており,我が国も引き続き積極的に関与していく決意を表明し,結びとさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。

このページのトップへ戻る
政務官演説平成22年演説目次へ戻る