平成22年11月9日
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クラスター弾に関する条約の第1回締約国会議に出席することができ大変光栄です。主催国のラオス政府に対し,この重要な会議の開催に際しての尽力に心より感謝します。また,ラオス副首相兼外相が議長に就任されたことにお祝いを申し上げるとともに,我が国代表団による議長への全面的な支援をお約束したいと思います。
昨日,自分(政務官)は,シェンクワン県のクラスター弾被害現場を視察しました。現場で,紛争後30年以上経過した現在においても,この美しい国に紛争の傷跡が深く残っていることを実感しました。現場のコミュニティと人々が厳しい現実に直面しているのを目の当たりにして,紛争による惨禍を軽減し,紛争後の復興を早期に実現するためにも,国際社会における強いリーダーシップと,各国や市民社会との協力体制が必要であることを改めて認識しました。
オスロ条約は,3か月前に発効しましたが,今日,私達はこの会議において,条約上のビジョンを現実に転換するための新たな段階に入ろうとしています。私達に期待されているのは,将来の行動に焦点を当て,条約に息を吹き込み,条約の規範の強化に向けて私達の努力を更に結晶化することです。特に,行動計画は,今後5年間にいかなる具体的成果を挙げることができるかにつき指針を示すものです。このため,行動計画は,意欲的,且つ,一般市民と犠牲者の生活にとり,インパクトのある内容となることが重要です。
条約の実効性を確保し,クラスター弾による文民への無差別な被害を防止するため,我が国は条約の根幹を成す2つの要素を特に重視しています。1つは,条約の普遍化促進の取組であり,もう1つは,条約上の義務を履行する上で活用される国際協力・支援への取組です。
我が国は,条約の普遍的な遵守を促進するために,働きかけを実施しています。条約普遍化に関する議長フレンドとして,我が国は,協力国,国際機関,赤十字国際委員会,市民社会とも協力しつつ,主導的な役割を果たしています。条約未締結国への働きかけを通じて,未締結国の中には,締結に際し,人的資源や技術的観点から国際的な協力を必要とする国も存在することが明らかになっています。クラスター弾に関する共通の国際的努力への参加に関心のある国は,締約国による実践的知識及び支援を得つつ,これらの課題に対する解決策を見いだす必要があります。条約の普遍化は,一朝一夕で成し遂げられるものではなく,我が国は,各国の直面する環境にもきめ細かく配慮しつつ,粘り強い働きかけを継続するつもりです。
現在,この条約の締約国は46か国,署名をしている国は108か国です。条約による恩恵を最大化し,現場に良い影響がもたらされるためにも,条約が未締結国からも幅広い支持を得られることが重要です。締約国数は着実に増えており,人道上の懸念を防止するために措置を取るための機運を保ち続けることが必要だと思います。
我が国が重視している2つ目の取組は,国際協力と支援の促進です。これまで,我が国は,クラスター弾を含む不発弾処理及び被害者の支援を実施してきています。クラスター弾に関する条約に署名後,ラオスを含む被害国に対し,クラスター弾の不発弾の処理及び犠牲者への支援をしてきており,その額は,約566万ドル(約5億9千万円)に上ります。署名時に実施していたプロジェクトも含めると,約1200万ドル(約12億9500万円)になります。協力の枠組みの効果的活用を通して締約国により条約上の義務の履行が迅速に進められることにより,条約の実効性が高まることから,今後も我が国にこの分野において積極的な役割を果たしていくつもりです。
今後,オスロ条約により作られた規範が,締約国の実行を通して,一層強固なものとなり,締約国以外の国の賛同を得られるものとなることが重要です。今次会議で,ここに集まった各国の代表が,クラスター弾による人道的被害に迅速に対応するために条約を着実に履行していくとの力強いコミットメントを再確認し,我々が培ってきた叡智と専門知識の結集として今後進むべき道のりを国際社会に明確に示すことを期待しています。
ありがとうございました。