演説

西村外務大臣政務官演説

シンポジウム「日本への第三国定住:よりよい保護と社会統合のもとへ難民を迎える」における西村外務大臣政務官による開会挨拶

平成22年8月25日

ヨハン・セルス国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日代表,
御来席の皆様,

 ただ今御紹介にあずかりました,外務大臣政務官の西村智奈美です。本日このような発言の機会をいただき,主催者であるUNHCR駐日事務所に御礼申し上げるとともに,外務省を代表しまして,一言開会の御挨拶を申し上げます。

 日本ではまだ,第三国定住という言葉は聞き慣れないかもしれませんが,国際社会においては,難民問題の恒久的解決策の一つとして,重視されてきています。

 今日の世界において,難民問題は,紛争やテロ,貧困などと並ぶ,地球的規摸の課題の一つになっています。紛争や迫害により,避難を余儀なくされている難民,国内避難民,庇護申請者の数は,昨年末時点で約4,330万人と言われております。これらの方々は,やむなく故郷を去り,不慣れな土地で厳しく不安定な生活を強いられています。

 こうした状況下,難民の自発的帰還や第一次庇護国への定住のみでは難民問題を解決することが困難であることは言うまでもありません。また,これらの方々のうち,自ら欧米諸国や日本まできて難民認定申請を行い,庇護を受けることができるのは一部に限られているのが現実ではないかと思います。

 我が国は,平成20年12月,難民問題への取組における国際貢献及び人道支援の観点から,パイロットケースとして,タイの難民キャンプで避難生活を送られているミャンマー難民の方々を第三国定住により受け入れることを決定しました。その規摸は今年度から3年間,毎年約30名ずつ受け入れる予定であり,毎年数万・数千人といった規模で受け入れている欧米諸国とは桁が違うことは否めません。しかしながら,今回の取組は,我が国の難民政策の試金石であると同時に,他のアジア諸国との関係でもモデルケースとなりうるものです。我が国がアジア地域で初の試みとして第三国定住による難民の受入れを開始するに当たって,国際社会からは大変高く評価・注目されていますし,また,日本国内でも関心が高まりつつあると感じています。今回の取組は,小さいながらも大きな一歩であると思います。

 難民の方々を受け入れる以上,難民の方々が安心して暮らしていくことができるための生活環境を整備することが大切であり,そのためには,しっかりとした定住支援策を実施していく必要があります。外務省としては,関係省庁及び機関と緊密に連携しつつ,準備を進めているところであり,現地のタイのメーラ難民キャンプにおいては,既に今年度の受入予定者の選定を終え,現在は,日本語や日本での基本的な生活習慣などを学ぶ出国前研修を行っています。

 今後,いよいよ9月末に難民の方々が来日し,定住支援施設にて約180日間,政府が実施する日本語教育,生活ガイダンス,職業紹介などの総合的な定住支援プログラムを受講していただくこととなります。その後,第三国定住難民それぞれが地域社会において自立生活を営むこととなります。

 ただし,約180日間の定住支援プログラムだけでは十分でなく,例えば,日本語については,実際に人と接し,仕事をする中で本当に使える日本語を習得していくことが必要となりますし,仕事についても,人によって向いている仕事が異なりますので,少しずつ自分に合った仕事を見つけ,慣れていくことが必要となります。
 そのため,定住支援施設を退所してからも,職場適応訓練,日本語教育相談員による定期的な指導・助言,生活指導員による定期的な指導・助言などを受けられるよう,継続的な支援を予定しております。

 第三国定住難民の方々は,今後,文化や習慣がまったく異なる日本社会に定着し,安定した生活を営む必要があります。来日に当たり,様々な不安を抱えていることは想像に難くありません。彼らが,一つ一つの不安や問題に向き合い,解決して行くに当たって,地域社会や職場における関係者の皆様の御理解と御支援をいただくことが不可欠です。

 外務省としては,まずは第三国定住についての国内の幅広い理解と協力が得られるよう努めることが重要であり,そのためにも,難民の方々の来日を,来月に控えたタイミングで行われる本日のシンポジウムは,非常に良い機会であると考えています。この観点から,本日のシンポジウムを後援させていただきました。

 本日は,関係機関,NGO,有識者等様々な方々から,第三国定住に関するこれまでの取組や,今後の在り方について,有意義かつ活発な意見交換が行われることを期待しております。御静聴ありがとうございました。

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