(仮訳)
平成22年3月5日
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議長、
初めに、ハイチ及びチリで発生した大地震に関し、被災されたハイチ及びチリ国民及び同国政府に対し、深甚なるお見舞いとお悔やみを申し上げます。
議長、
日本国政府を代表して、議長をはじめとするビューローメンバーとこの会合の準備に献身的な努力をされたすべての関係者に心からの謝意と敬意を表します。
議長、
1975年にメキシコで第1回世界女性会議が開催されて以来、国際社会は女性の地位向上に向けた取組を続けてきました「北京行動綱領」実施15年目の節目となる本年、我が国は、北京行動綱領の実施に一層努める所存です。
日本では、昨年9月に新政権が発足しました。鳩山総理のリーダーシップの下、すべての人が孤立することなく能力を活かし、生きがいや誇りを持って社会に参加できる環境を整えるため、社会のあらゆる面での男女共同参画を一層推進しています。私は、外務大臣政務官に就任する以前から、NGOをはじめとする市民社会の方々との連携に重きをおき、市民生活に密接する様々な課題について彼らとの意見交換を積極的に行ってきました。こうした経験も踏まえ、男女共同参画社会の実現のためには、国際機関やNGOを含む多様な主体が相互に連携・協働していくことが重要であると確信しています。
本日は、このような私の考えも踏まえ、我が国の方針と取組、また我が国における男女共同参画の実現に向けた具体的取組と今後の方向性について紹介させていただきます。
議長、
ジェンダー平等と女性の地位向上を達成することは、それ自体がMDGsの8つの目標の1つであるのみならず、それ以外の目標の達成にも不可欠な要素です。しかし、その進展は必ずしも十分ではありません。
我が国は、2005年にODAにおけるジェンダー配慮の基本政策として「ジェンダーと開発(GAD)イニシアティブ」を策定し、北京行動綱領を踏まえ、ジェンダー主流化をその核となる概念としました。このイニシアティブの下、法制度整備を含むODAのすべての分野および段階にジェンダーの視点を適切に反映するよう努めてまいります。
議長、
続いて、我が国自身の男女共同参画社会の実現に向けた取組を紹介します。
もちろん日本政府にとってもジェンダー主流化は長年の課題です。
我が国は、これまで男女共同参画社会の形成の促進に政府全体で取り組んできました。しかも男女平等社会の形成という目標に達するため、社会の中の見えない壁やガラスの天井を突破するのは容易なことではありません。さまざまな社会の幅広い構成員の努力により、就業分野における男女共同参画等各分野で不十分ながら一定の前進が見られます。
また、我が国は本年、更なる男女共同参画社会の形成の促進に向けて、第3次男女共同参画基本計画を策定します。計画策定においては、できる限り具体的な数値目標を設定し、メリハリをつけ、実効性のある計画にしていきたいと考えております。
政府のみならず、社会の幅広い構成員が参加する取組があります。こうした取組の一例として、例えば、2007年に、関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等からなる会議において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「行動指針」が策定されました。労働時間や男性の育児休業取得率等に関する数値目標を設定し、制度の整備や利用しやすい職場風土づくりを推進していきます。
女性に対する暴力の根絶では、議員立法による「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」を2度にわたって改正し、配偶者による暴力の定義の拡大や保護命令の拡充等を行いました。昨年12月には、新たな「人身取引対策行動計画」を策定し、内外からの指摘を踏まえ、日本政府としても重視する人身取引を取り巻く情勢に真摯に対応してまいります。
議長、
我が国は、国際社会との協調も重視しています。現在、国連において、ジェンダー関係の4機関を統合する新たな機関を設立するための議論が行われていますが、我が国は新機関の設立によって国連における女性分野の活動が有機的な連携を図り、より効率的・効果的に実施されるよう、議論に積極的に貢献していく考えです。
さらに、女子差別撤廃条約との関係では、我が国は昨年7月に女子差別撤廃委員会による審査を受け、8月に最終見解を受け取りました。現在、政府一丸となってフォローアップに努めているところです。なお、女子差別撤廃条約委員会では、日本人委員である林陽子弁護士が委員を務めております。私は林委員のその機知に富んだ活躍と貢献を誇りに思っております。林委員が本年6月の選挙で再選を果たし、引き続き女性の地位向上に大きく貢献されることを強く希望しております。
また、本年、我が国はAPEC議長を務めます。男女共同参画の関連では、9月に、APEC女性リーダーズネットワーク(Women Leaders Network)会合と男女共同参画担当者ネットワーク(Gender Focal Point Network)会合を我が国において初めて開催します。女性の経済的エンパワーメントを促進するため女性リーダーのネットワークを深める契機としたいと考えています。
議長、
最後に、私は、今次会合の成果を我が国における男女共同参画社会の実現に向けた取組の中に反映させていきたいと思います。女性の地位向上のために、今後とも国際社会、国際機関、そしてNGOを含む市民社会との協力を一層強化していく決意を表明して、私のステートメントを締めくくりたいと思います。
ありがとうございました。