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ウィリアム・ヘーグ国連安全保障理事会議長,
潘基文国連事務総長,
ご列席の皆様,
はじめに,安全保障理事会議長として今回の会合を招集されたヘーグ英国外務大臣のイニシアチブに敬意を表します。現在,重要な局面を迎えているスーダン問題について安保理の場で議論することは,極めて時宜を得たものです。また,国連事務総長,国連関係者,ムベキAUハイレベル履行パネル議長,アフリカ連合(AU),CPA当事者の方々の努力を歓迎します。先程ケルティ外務大臣及びパガン・アマム南部スーダン政府和平・CPA履行担当大臣双方から,CPAの誠実な履行,特に来年1月の予定通りの住民投票実施について力強いコミットメントの表明があったことを高く評価します。
議長,
アフリカで最も長い内戦を経験したスーダンにおける平和の実現は,アフリカ全体の平和と安定を実現していく上で不可欠の要素であり,国際社会の喫緊の課題です。また,スーダンは,国連とAUが緊密に協力して平和維持に取り組んでいるケースとして,その成功が期待されています。 南北和平実現に向け,何よりまず南北当事者が強い意志を持って和平合意を履行していくことが必要です。中でも今,最も重要なことは,住民投票が予定通り1月9日に自由かつ公正に実施されることであり,安保理をはじめとする国際社会が高い関心をもって,しっかりと見守っていくことです。その意味で,現在和平合意履行支援を行っている国連スーダン・ミッション(UNMIS)や潘事務総長が設置された国連ハイレベル監視パネルが果たす役割は極めて大きいと考えます。
その上で,住民投票の結果については,どのような結果になるにせよ,全ての関係者がこれを受け入れることが重要です。そして,南北の協調の下,スーダンが有する潜在的な豊かさや政治的安定の果実が全ての住民に還元されるよう,南北当事者間の対話を促していくことが肝心です。この点に関し,ムベキ議長のハイレベル履行パネル(AUHIP)を通じたAUや,政府間開発協力機構(IGAD)からの協力が引き続き不可欠です。この関連で,先日,私はマブーブ・マーリムIGAD事務局長が訪日された際,IGADのスーダンに対する取組についても意見交換を行いました。今後,和平合意暫定期間後の国連の関わり方についても検討を深めていく必要があります。
また,スーダンの平和はダルフールの安定無くして実現しません。そのため,ダルフール紛争に関わる全ての当事者が,和平プロセスに参加することを強く求めます。同時に,現在展開中のダルフール国連AU合同ミッション(UNAMID)が,文民保護を含めその任務を一層効果的に遂行できることが重要です。
スーダンにおける平和の構築のために,国際社会は引き続き,積極的に支援していくべきと考えます。和平合意成立以降,これまで我が国は,スーダンに対して約4億4千万ドルの支援を実施してきました。来年初めに行われる住民投票については,投票に必要な資材調達や有権者教育を目的とする約817万ドルの支援を既に実施したのに加え,現在南部スーダン住民投票への監視団の派遣に向けて準備を行っているところです。我が国はスーダンの平和と安定のために今後とも協力を惜しまない考えです。
議長,
本日,スーダン和平の実現のため安全保障理事会がハイレベルで一致したメッセージを発することは大変有意義と考えます。我が国は,南北両当事者が忍耐と寛容の精神をもって信頼を築くことこそが将来のスーダン和平の礎となることを,粘り強く両当事者に訴えたいと思います。スーダンにおける平和と安定の実現に向けて,我が国もアフリカの真の友人として引き続き積極的に関与していく決意を表明し,結びとさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。