(1月21日9時~9時20分(写真撮影を含む。)於:ホテル・ニューオータニ、シリウスの間)
議長、各国代表の皆様、ご列席の皆様
「アジア諸国における核セキュリティ強化のための国際会議」の開会にあたり、日本政府を代表して一言ご挨拶を申し上げます。この会議に出席するために来日された皆様を心より歓迎します。
今次セミナーは、2006年に東京で開催したセミナーのフォローアップ会合であります。2006年以降の核セキュリティに関する国際的な進展を振り返ってみますと、まず、2006年7月には米露両国のイニシアティブの下、「核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ」が提唱され、現在76ヵ国が参加しています。2007年7月には核テロ防止条約が発効し、今日までに62国がこの条約を締結しました。また、昨年、オバマ大統領は今年の4月に核セキュリティ・サミットを開催することを提案しました。昨年9月には、核セキュリティの要素を多く含む安保理決議1887号も採択されています。
近年、地球温暖化、化石燃料の高騰への解決策として、原子力エネルギーがエネルギー源として見直され、新たに40ヵ国以上が原子力発電計画への関心を示しています。アジア諸国についてもそうした動きが顕著であることは、皆さんご承知のとおりです。原子力活動が拡大・増加すれば、核物質及び核関連施設も増加する訳であり、これらの物質を適切に管理し、核関連施設を適切に防護することは、原子力活動を行っていく上で一層重要となります。
このような状況において、核セキュリティ、いわゆる核テロ対策は喫急の課題であり、先進国だけの問題ではありません。原子力の平和利用を行うすべての国にとって、原子力関連施設及び核物質を国際基準に従って適切に防護するための措置を講ずる責任があります。また、この点に関連し、核セキュリティが各国において十分に確保されるための国際協力の重要性についても強調したいと思います。我が国は、IAEAの核セキュリティ基金等を通じて、核セキュリティ強化のための諸事業を実施して来ておりますが、キャパシティ・ビルディング、特に人材育成の分野において、今後とも協力を行って行く所存です。
議長、
今次セミナーでは、IAEAの発案により、パネル・ディスカッションのセッションが設けられています。参加者の皆様におかれては、この機会を捉え、お互いに経験や知見を共有しあい、また核セキュリティ実施面での困難な点等についても、忌憚なく議論して頂ければと思います。今次セミナーの成果が、アジア地域の核セキュリティの強化、核テロの防止につながることを心から念願しております。