平成22年1月15日(月曜日) 10時00分~10時10分
於:UNハウス
写真:国連広報センター
パネリストの皆様、
ご列席の皆様
外務副大臣を拝命しております福山哲郎でございます。
本日は私どもの主催するシンポジウムにご参加いただきまして、ありがとうございます。
本日は、ウィーンやニューヨークから、様々なご知見をお持ちのパネリストの皆様にお集まりいただきました。また、国内からも学識者やジャーナリストの皆様にご出席いただいております。心から御礼申し上げます。
国際社会ではこれまで、さまざまな形で大量破壊兵器の拡散問題に取り組んでまいりました。本日は、国際原子力機関(IAEA)の事務次長にも議論にご参加いただいておりますが、NPT(核兵器不拡散条約)やIAEAは、国際的な核軍縮・核不拡散努力の礎でございます。
また、1970年代から80年代にかけて、核、ミサイル、生物・化学兵器関連物資などに関する輸出管理制度が次々と設立され、輸出管理の面からも積極的に取り組んでまいりました。
更に、より最近では、2003年より、拡散に対する安全保障構想(PSI)の下で、大量破壊兵器などがテロリスト等の手に渡るのを防止する努力が行われています。国連安保理も、同じような目的で、2004年、大量破壊兵器の不拡散に関する決議を採択しております。
しかし、一方で、こうした国際社会による取組にもかかわらず、大量破壊兵器を巡る不安定要因は、ますます増えております。昨年1年間だけでも、北朝鮮によるミサイル発射や核実験、イランの核問題など、国際社会は困難な課題に直面しました。
こうした問題に対し、国連安保理は精力的に対応されています。昨年4月の北朝鮮によるミサイル発射の際には、より強い内容の安保理議長声明を発出しました。また、5月の核実験の際には、これを強く非難し、北朝鮮及び各国が取るべき追加的な措置の決定を含む決議を採択いたしました。その際、我が国は、安保理メンバーとして、これらの議論において積極的な役割を果たすことができました。さらにイランについても、安保理は、累次の決議をもって、濃縮関連・再処理活動等の停止を求め、核・弾道ミサイル関連物資の禁輸などの措置を取ってきています。
国連安保理というと、地域紛争における平和維持といった役割が一般的かと思います。しかし、今後は大量破壊兵器の拡散といった問題についても、国際の平和と安全に対する主要な責任を担う機関として、国連安保理は一層重要な役割を果たしていくべきではないかと考えています。
昨年4月、オバマ大統領が、プラハにおいて「核兵器のない世界」を追求するとの演説を行ったことは、皆さんのご記憶にも新しいものと思いますし、私も政治家として大変感銘をもってそれを受け止めました。その後、9月に開催された安保理の首脳会合で、オバマ大統領の議長の下、核軍縮・核不拡散といった核関連の主要分野を包括的にカバーする安保理決議が採択されました。この首脳会合で、鳩山総理は、唯一の被爆国としての我が国の道義的責任として、非核三原則を堅持することを改めて誓い、日本が核廃絶に向けて先頭に立つことを表明させていただきました。
とりわけ本年は4月に核セキュリティ・サミットが、また5月にはNPT運用検討会議が行われるなど、核軍縮・核不拡散において大変重要な年となっております。そういう意味でも、本日のシンポジウムは時宜を得たものであり、パネリストの皆様におかれましては、これから申し上げる点を中心に、ぜひ有意義なご議論を行っていただければ大変ありがたく存じます。
1)まず最初に、大量破壊兵器の拡散問題における安保理の機能と限界につき検討していただきたいと思います。
2)その上で、安保理がより効果的・効率的に対応するためには何が必要か、皆様のご知見をお示しいただきたいと考えます。
3)そして、我が国の更なる貢献として、特に安保理における我が国の役割を中心に、どのようなことが考えられうるのか、もし政策提言をいただけましたら、今後の我が国の大量破壊兵器拡散問題への対応において、大いに参考にさせていただきたく存じます。
岡田大臣と私共政務三役の年頭の会議でも、この核軍縮と不拡散の問題については積極的に一年間の大きな課題として対応していきたいということを確認いたしました。ぜひそういったことも含めまして、本日は、パネリストの皆様とご列席の皆様により、忌憚のない活発な議論が行われますことを期待しつつ、大変雑駁ではございますが、私の冒頭のご挨拶とさせていただきたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。よろしくお願いいたします。