演説

福山外務副大臣演説

「国際衛生年フォローアップ会議」開会式
福山外務副大臣挨拶
(於:国際連合大学)

平成22年1月26日


皇太子殿下、
ご列席の皆様、

 本日は、皇太子殿下のご臨席の下、国際衛生年フォローアップ会議を開催することができ、大変光栄です。皇太子殿下におかれましては、2007年から国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁をおつとめになるなど、水と衛生分野にご造詣が深く、これまでも国際会議でご講演され、世界の多くの方々に示唆を与えてこられました。
 ウシ・アイト国連「水と衛生に関する諮問委員会」副議長を始めとする遠路よりお越し下さった有識者の皆様、また、日本水フォーラム会長森元総理、並びに本日の会議の共催者である国際連合大学、アジア開発銀行を始め、ご協力を頂きました各機関の皆様に対し、日本政府を代表して、心より御礼申し上げます。

(水と衛生の意義)

皆様、
 言うまでもなく水は、あらゆる生命の源です。水は、人間の生命・健康の維持はもちろん、生態系の保全や経済社会活動に不可欠な資源であり、人間の安全保障実現の基礎となるものです。そして、我々人間が基礎的な生活をする上で欠かすことのできない衛生の問題も、水と表裏一体の関係にある重要な課題です。
 私事ではございますが、私も約20年前、内戦下のスリランカの農村でトイレや道路を造るお手伝いをわずかながら経験させて頂きました。その時、如何に水を確保することと衛生が大切なことであるかを学びました。

 先日、大規模な地震が発生したハイチにおいては、多数の方々が被災され、水の供給と衛生状態の悪化が伝えられています。我が国としては、一日も早いハイチの復興を祈念し、緊急復興支援のため総額で約7,000万ドルの支援を行うとともに、自衛隊による医療活動を実施しています。

(国際衛生年と我が国の取組)

 水と衛生に関するミレニアム開発目標(MDGs)については、「安全な飲料水へのアクセス」という目標達成に向けた国際社会の取組が進展している一方で、「基礎的な衛生施設へのアクセス」という目標の進捗は大きく遅れています。
 こうした中、我が国は衛生問題に関する豊富な経験、知見や技術を活かし、この分野の取組に、積極的に貢献して参りました。国連の場で我が国が主導した「2008年国際衛生年」は、多くの国、機関、市民による、より良い衛生に向けた議論と行動を促進する契機となりました。
 このような水と衛生の問題に対する国際的な関心の高まりを受け、2008年には、我が国は第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)の主催国及びG8北海道洞爺湖サミットの議長国として、水と衛生の問題を積極的に取り上げました。TICAD IVにおいては、アフリカの成長と発展を支援するために、安全な水と衛生施設の整備を促進し、関係者の能力向上を支援していくことを約束いたしました。また、G8北海道洞爺湖サミットにおいては、G8の首脳が、循環型水資源管理の重要性を訴えるとともに、各国政府に対して衛生施設へのアクセスを優先課題とするよう呼びかけました。
 我が国は、水と衛生分野におけるトップドナーとして引き続きこの分野への責任ある貢献を継続し、人間の安全保障の実現を追求していく考えです。

(本会議の趣旨)

 今回の会議では、「国際衛生年を超えて~世界の隅々まで持続可能な衛生サービスを供給するために~」をテーマに、「2008年国際衛生年」の取組をフォローアップし、衛生に関するMDG達成など、衛生問題の解決に向けた重要な課題が議論されると聞いております。課題別のセッションにおいては、「地域社会と衛生」「適正な衛生技術」「衛生の資金調達」の3つの重要な課題に焦点を当てて、世界の様々な事例を踏まえた議論が予定されています。
 この会議が、今後取り組むべき課題や方向性について共通認識を得ることを期待し、会議で得られた成果を主要な会合で広めていくことにより、我が国として、MDGs達成を始めとする、国際社会での効果的な問題解決に貢献していく考えです。

(結語)

 最後に、本会議において活発な議論が行われ、その成果が世界により良い衛生環境を広めることに貢献するよう祈念いたしまして、私のご挨拶とさせて頂きます。



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