演説

藤村外務副大臣演説

UNIDOアフリカ・セミナー「アフリカの可能性とビジネスチャンス」における藤村外務副大臣挨拶

平成22年6月15日

於:国連大学

  • (写真)UNIDOアフリカ・セミナーにおける藤村外務副大臣挨拶

カンデ・ユムケラー事務局長
ワッスワ・ロッキー・ビリッグワ アフリカ外交団代表
並びに御列席の皆様

 本日、日本とアフリカのビジネス界を支える皆様の前で、御挨拶の機会を頂いたことを嬉しく思います。

 今日のセミナーでは、巨大な市場を擁するアフリカに焦点を当てて、その潜在的可能性とビジネスチャンスの現状や将来の展望について、活発な議論が行われると伺っております。

 我が国は、冷戦終結後の1993年、国際社会のアフリカへの関心が低下する中、アフリカ問題の重要性を喚起するためにアフリカ開発会議(TICAD)のプロセスを立ち上げました。それ以来、5年に1度の首脳級会合の開催は4回を数えます。一昨年のTICAD IVでは、我が国は、2000年以降めざましい経済成長を遂げるアフリカを「機会と希望の大陸」と捉え、アフリカが持続可能な真の成長を実現するため、2012年までのアフリカ向けODA倍増、民間投資倍増支援等を打ち出し、その実行に努めています。このように我が国は、日・アフリカ間の貿易投資関係強化のため、民間企業と密接に連携し、積極的な支援を行っています。

 このような観点から、今次セミナーの主題である「アフリカの可能性とビジネスチャンス」というテーマは、大変時宜を得ていると考えます。アフリカの開発・成長において、民間企業の果たす役割は極めて重要です。また、近年、産業界においても、新たな市場として、BOP(Base of the pyramid)が注目されていると聞いており、本日御列席の関係者におかれては、アフリカにおけるBOPビジネスについて、関心が高いものと想像します。日本政府としても、アフリカにおける官民連携を重視しており、本年秋にはハイレベルの官民合同ミッションを派遣すべく準備を進めております。今後ともBOPビジネスへの支援を始め、民間企業との協力を進めていく考えです。

 UNIDO(国連工業開発機関)は、アフリカにおいて、ヒューレッド・パッカード社、マイクロソフト社、独小売り大手メトロ社等、欧米企業とのパートナーシップ事業を展開していると承知しています。また、UNIDO東京投資・技術移転促進事務所を通じて、我が国民間企業のアフリカにおける投資成功例も徐々に蓄積されつつあると聞いており、本日のセミナーが、UNIDOの具体的な産業協力の手法について学ぶ有益な機会となることを期待しています。

 アフリカの開発・成長のためには、気候変動問題は避けて通れないアジェンダです。ユムケラー事務局長は、国連エネルギー議長、及び国連事務総長が設置した気候変動・エネルギーに関する諮問グループ議長を務めており、本年4月には、2030年までに普遍的なエネルギーアクセスを確保すること、また、2030年までにエネルギー効率を40%改善するとの野心的な目標を掲げた報告書を公表し、注目を集めたと承知しています。我が国としても、エネルギー分野でも日本の技術などを活用しつつ、アフリカに貢献したいと考えており、UNIDOと歩む方向性は一致していると確信しています。

 アフリカの人口増加率は世界一で、2050年には世界人口の20%を占めると推定されており、アフリカは大きな潜在能力を持つ市場として注目されています。しかし、紛争を経験し未だに高い失業率に悩まされている国も多い中、今後、国を支えていく若者が、ビジネスを展開するスキルを得ることは重要です。アフリカの産業が発展し、貧困削減、ひいては国や地域の平和と安定につながることが重要であるとの観点から、我が国はUNIDOの西アフリカにおける若者雇用創出事業に拠出しています。UNIDOによるこの分野での活動に引き続き期待します。また、我が国としても、アフリカがオーナーシップを発揮し、民主化の推進、ガバナンスの改善に努め、引き続き、適切なマクロ経済運営、資金の貧困層への配分、ビジネス環境改善等に邁進していくことを期待しています。

 今回のセミナーにおいて、有益かつ建設的な議論が展開され、日本とアフリカとのビジネスが更に発展することを祈念し、私の挨拶とさせて頂きます。

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