演説

武正外務副大臣演説

第7回WTO閣僚会議における武正副大臣ステートメント

平成21年12月1日 於スイス・ジュネーブ

 ベラスコ議長、各国閣僚の皆様、ラミー事務局長、ご列席の皆様、
 9月に日本においては新政権がスタートし、対外経済政策を総括する外務省において最も重要な外交課題の一つがWTOドーハ・ラウンド交渉となっています。日本政府として、ラクイラ及びピッツバーグでも合意された「2010年の妥結」を目指し、各国と協力し全力を尽くすことを表明します。

 この観点から、三点に絞って申し述べたいと思います。
 まず初めに、日本は多角的自由貿易体制の最大の受益国の一つであり、WTO体制の強化に向けて強くコミットしています。WTOの下での多角的貿易体制は、世界貿易の健全な発展の基礎であり、EPAやFTAがこれを補完しています。こうした世界貿易の柱であるWTOのラウンドが停滞している現在の状況は、健全とは云えません。過去のラウンド同様、日本はWTOの機能を一層強化すべく貢献します。

 次に、WTOとドーハ・ラウンドを取り巻く情勢について述べます。WTOは現在の経済・金融危機の下で、保護主義的な機運の台頭を抑える上で、よく機能して来ました。しかし、そのことで満足するものであってはなりません。我々全員の不断の努力なしには、その体制は揺らいでいくおそれがあります。今重要なことは、多角的貿易体制から大きな利益を得ている国々が、ラウンドの交渉を進めるため、新興途上国を含め主導的な役割を果たすことです。このため、各国の閣僚に対し、主要な分野について関係国間でも直接交渉していくべきことを呼びかけたいと思います。

 第三に、「開発ラウンド」の名のとおり、ドーハ・ラウンドの妥結により全ての国、とりわけ途上国に大きな利益がもたらされます。また、昨年秋の金融経済危機以降の困難な状況においては、途上国の世界貿易への更なる統合を後押しし、途上国が貿易を通じて経済発展を実現することが重要です。そのためには、途上国が自由化の果実を享受できる環境をつくらなければなりません。日本は、途上国におけるこうした環境を整えるため、積極的な役割を果たしてまいります。そのために港湾など貿易に直結するインフラの整備、税関職員の研修など、「貿易のための援助(Aid for Trade)」を引き続き着実に進め、今後3年間で120億ドルの貿易関連ODAを供与してまいります。また、後発開発途上国(LDC)に対する市場アクセスの改善にも取り組みます。

 最後になりましたが、明年、日本はAPECの議長を務めます。明年のAPECでは、アジア太平洋地域における更に自由で開かれた貿易・投資のための取組を前進させるための姿を描いて行きたいと考えています。こうした取組もWTOを補完するものであると確信しています。
 ご清聴ありがとうございました。

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