演説

吉良外務大臣政務官演説

アグロフォレストリーに関するシンポジウム:吉良外務大臣政務官冒頭挨拶

(2009年12月16日(水曜日)、国連大学 ウタント国際会議場)

 皆様、本日はご多忙の中、本シンポジウムにご参集いただき、誠にありがとうございます。また、シンポジウムの主催者である国連大学の「サステイナビリティと平和研究所」及び「高等研究所」に心から敬意を表するとともに、共催・後援・協賛くださっている各機関・各社、そして本日講師をお務めいただく各界の有識者の皆様に、心から感謝申し上げます。

 アグロフォレストリーは、農業と林業を組み合わせ、両者を持続可能なものにしようとする試みです。既に1970年代からその有効性が注目されていますけれども、近年、地球温暖化対策や生物多様性の保全など地球全体の課題に対する解決策としても期待が高まっています。日本政府が国連大学と協力して進めている「SATOYAMAイニシアティブ」も、このアグロフォレストリーと価値観を共有しています。

 ちょうど現在コペンハーゲンにおいて、気候変動枠組条約COP15が開催中であり、来年10月には愛知県名古屋市で生物多様性条約COP10が開催されます。その意味においても、本シンポジウムの開催は、誠に時宜を得たものだと思います。また、本シンポジウムでは、理論と実践の両面、また、世界の様々な事例を踏まえた、多角的で突っ込んだ議論が行われる予定と聞いております。有意義な成果が生まれることを期待してやみません。

 ここで、皆様にご紹介したいことがございます。先ほど映像でも流され、この後第2部でも発表があるブラジルのアマゾン・トメアスーにおける日系社会の取組に関してですが、今年は、日本人がアマゾンに移住を開始して80年目を迎えます。移住者の方々は、過酷な自然環境や病気など数々の苦難を経験されてきましたが、トメアスーにおけるアグロフォレストリーは大変な成功を収め、高い注目を浴びています。ブラジル・アマゾン地域に移り住んだ日本人とその子孫が、今日、世界の環境問題の鍵を握るアマゾンの熱帯林を守る取組を進めておられることを大変誇りに思います。このシンポジウムを通じて、そのような日本人移住者・日系人が活躍されていますことを日本国内外のより多くの人々に知っていただければと思います。

 最後になりますが、我が国は、来年1月東京で、アジア及び中南米の33か国が参加する国際会議「アジア中南米協力フォーラム(FEALAC)外相会合」を開催します。そこでは、環境、そして持続可能な発展が主要議題の一つとなる予定ですが、世界でも有数の森林を有するアジアと中南米が、アグロフォレストリーの分野でも協力を深めていくことができれば、非常に有意義だと思います。本シンポジウムが、このFEALACにも繋がっていくよう、その成果を期待しております。 

 本シンポジウムが、ご参席の方々、そして日本、世界のすべての方々にとって有意義なものとなることを祈念し、私の挨拶といたします。

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