演説

西村外務大臣政務官演説

「日本ロシア経済フォーラム」における西村外務大臣政務官による挨拶

平成21年5月12日

(写真)


御列席の皆様、

 日本政府を代表しまして、日本ロシア経済フォーラムの開催について、心からのお祝いを申し上げます。

 最近の日露経済関係は目覚ましい発展を見せており、日露間の貿易高は昨年約300億ドル、5年間で5倍に達しています。私自身、ここ2年間でモスクワのみならず、サンクトペテルブルク、サハリン、ハバロフスクやイルクーツクなど、計4回ロシアを訪問し、ロシア経済の発展ぶりを自分の目で見る機会がありました。日本企業のロシア進出が日露経済関係へのプラス要素となっていることをこの目で確認してきております。一方で、世界的な経済危機、金融危機は、日露の経済関係にも影響を及ぼしています。日本とロシアが共にこの危機を乗り切るためにも、日本とロシアの政府・経済関係者が一体となって協力をしあいながらこの難局に立ち向かっていく必要があります。

 ただいまプーチン首相と森元総理との会談に同席しました。プーチン首相は、大統領時代に、極東・東シベリア地域をアジア太平洋へ統合させることによって、極東・東シベリア地域を開発していくとの決定を行いました。これに応える形で、一昨年、我が国より「極東・東シベリアにおける日露間協力強化に関するイニシアティブ」を提案しました。これは、エネルギー、運輸、情報通信、環境、安全保障、保健・医療、貿易投資環境、地域間交流の8つの分野で、民間同士の協力を政府としても後押ししていく用意があることを表明したものです。今、まさに日本とロシアは、アジア太平洋を舞台として互恵的な協力関係を進めようとしています。

 そのような中で、2012年には御存知のとおりウラジオストクでAPECが開催されます。既に、会場となる島への橋梁建設に、日本企業が参加することとなっています。これは西のボスポラス海峡に架かる橋に匹敵するとも言われています。こうした橋梁建設の技術に加え、新エネルギーや省エネ技術を含め、日本企業が優位な力を持つ技術が活用されることによって、ウラジオストクAPECの成功に日露協力が貢献できることを願ってやみません。

 一方、我が国については、2016年のオリンピック開催都市として東京が立候補しています。オリンピック開催に当たっては、最新の環境・エネルギー技術を活用する予定です。是非、このオリンピック開催にあたっては、ロシア側より大きな協力をいただきたいと考えています。

 今や、こうした最新の技術を活用して、新しい時代、経済、社会を日本とロシアが共同して作り上げていく時代になっていると考えます。日本企業は、昨今の世界経済危機の中、厳しい状況にあると思いますが、新しい時代を日露間で築いていくためにも、是非ともロシアとの関係を重視していただいて、引き続き、ロシアでのビジネスに、これまで以上に努力していただければと思っております。

 こうした観点から、近々、極東に経済ミッションを派遣します。是非、本日お越しの企業の皆様方の多くが参加されることを期待しています。

 今回のフォーラムでは、今後の日露経済協力の方向性について大所高所から議論が行われるものと承知しています。両国の経済界を代表する皆様の活発な議論を通じて、さらなる互恵的協力が実現されることを祈念しています。そして、こうした中で、日露間の唯一の懸案事項である領土問題が解決されれば、両国間関係が高い次元に引き上げられることとなるでしょう。

 最後になりますが、本フォーラムの成功のために尽力をいただいた日本経団連の皆様、ロシア経済発展省、産業家企業家同盟の皆様に敬意を表して、私の挨拶といたします。

 ありがとうございました。

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