演説

西村外務大臣政務官演説

日本ブラジル環境セミナーにおける西村外務政務官による開会の辞

平成21年3月13日

(写真)


 おはようございます。外務大臣政務官の西村康稔です。外務省、国際協力機構(JICA)、米州開発銀行(IDB)アジア事務所共催による「日本ブラジル環境セミナー」の開催に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

 本日は、皆様ご多忙の中、本セミナーにご参加いただき、誠にありがとうございます。また、本日講師としてご出席くださっている国内有識者の方々、及び、外務省の招待により遠路お越し下さいましたブラジルの関係者の方々に感謝申し上げます。さらに、本セミナーをご後援いただきました朝日新聞社に感謝いたします。

 私は、昨年から今年にかけて3回南米を訪問しています。最近のオーストラリアの山火事では200人以上の方々が命を落とされたということですが、私が訪問していた最中にも、南米でも、南部のアルゼンチンやウルグアイ、パラグアイでは旱魃や山火事により大きな被害が出ていた一方で、北のコロンビアなどでは洪水による被害を被っているなどの様々な異常気象がおきていました。こうした気候変動は私たち人類や自然生態系にとって大きな脅威となっています。この気候変動問題に対しては、早急かつ世界規模での取り組みの強化が求められており、世界各国は、本年12月にコペンハーゲンで開催予定の気候変動枠組条約第15回締約国会議での合意を目指し、2013年以降の枠組み作りの議論を行っているところです。

 このような中、我が国は、「クールアース推進構想」などの提案を発表し、世界の議論に貢献しています。昨年のG8北海道洞爺湖サミットでも、議長国として、2050年までに世界全体での温室効果ガス排出量を少なくとも半減するという合意の形成に貢献しました。

 一方、ブラジルは、生物多様性に恵まれた世界最大の熱帯雨林であるアマゾンをはじめとする雄大な森林資源を有し、豊富な水資源や広大かつ肥沃な国土とともに、食料とバイオ燃料の世界的供給基地となり得る環境資源大国です。1992年には、私自身も参加しました、いわゆる「地球環境サミット」を主催するなど、世界の議論において主要な役割を果たしています。

 以上を背景に、本日のセミナーでは、今後、この気候変動問題に日本とブラジルがともに、如何に取り組んでいくべきかについて議論を深めたいと思っております。午前の第1部では、基調講演として、気候変動対策における日本、ブラジル両国の役割について、国内での取り組みや国際的取組みの中における位置付けなどにつきお話いただきます。続いて第2部では、バイオ燃料の問題を取り上げ、その気候変動対策としての有効性や持続性確保のための要件を、技術面や規格・認証などの観点を踏まえ議論していただきます。また、午後からの第3部では、気候変動対策としての森林の役割に焦点を当て、その保全と持続可能な利用のために有効な森林経営のあり方につき、世界的に議論されているREDD(アール・イー・ディー・ディー)、すなわち、「森林減少及び森林の劣化に由来する排出削減」の観点を踏まえ議論していただきます。最後に、第4部のラウンドテーブルで、第2部・第3部の議論も踏まえ、経済成長を阻害しない持続可能な気候変動対策を推進するため、日本とブラジル両国が協力して如何なる役割を果たすことができるか、また、民間企業の果たす役割も含め、どのようなことに取り組んでいくべきかにつき、本日お集まりの皆様にも一緒に考えていただき、議論していただきたいと思っております。

 昨年2008年は、日本人ブラジル移住100周年を記念し、「日本ブラジル交流年」として、日本・ブラジル両国にて盛大にお祝いをしました。私自身も、6月に麻生現総理と共に慶祝議員団の一員としてブラジルを訪問しました。

 本日のセミナーが、日本ブラジル交流年で高まった気運を生かし、次の100年に向けた両国関係の発展の一歩となることを祈念するとともに、日本とブラジルの両国が環境・気候変動分野における世界的取組みに貢献し、地球規模の課題に共同で対処するパートナーシップを一層強化する契機になることを期待して、私の挨拶といたします。

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