平成21年5月11日
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議長、
日本国政府を代表して、ロシア連邦政府に対し、この重要な会議の準備に関し謝意を表明します。また、事務総長及びカルテットのこれまでの活動に対する謝意を表明します。
中東和平プロセスは、多くの点で新たな政治的局面を迎え、重要な時期にあります。我が国は、安全保障理事会が、引き続き中東和平プロセスにおいて建設的役割を果たしていくべきと考えます。
議長、
我々は、新しいイスラエル政府が二国家解決に基づく中東和平を実現すべく努力することを心から希望します。我々は、イスラエル政府に対し、ロードマップと安保理決議第1850号の下での義務を履行するよう強く求めます。日本は、イスラエル政府が、国際社会と協力し現在の障害を克服することにより、中東和平の達成のため真摯な努力を払うことを期待します。
ガザにおける人道状況の改善は我々皆にとり最優先事項です。この観点から、通行所の継続的開放が必要です。同時に、我々は、イスラエルに向けられた散発的なロケット攻撃を非難します。このロケット攻撃はイスラエル市民の安全のみならず、ガザの復興に向けた努力及び和平プロセスも損なうものです。ここで、私は再度、関係者に安保理決議第1860号の下での義務の履行を求めます。
包括的で公正かつ永続的な和平を実現するためには、アラブ諸国が更に活発な役割を果たすことも不可欠です。アラブ和平イニシアティブは、包括的な中東和平の一つの堅固な基礎となり得るものです。
議長、
私が出席した「ガザ復興のためのパレスチナ経済支援に関する国際会議」では、我が国はパレスチナ支援のため2億ドルをプレッジしました。日本は、西岸及びガザ地区により構成されるパレスチナ国家樹立の実現のため、「平和と繁栄の回廊」構想やその他のプロジェクトを通じて、パレスチナの人々が、アッバース大統領率いるパレスチナ自治政府のもと進めている、自立可能な「国家」経済を建設する努力を支援しています。
我が国は、また、外交努力を通じて中東和平プロセスに積極的に関与してきています。中曽根外務大臣は先週、中東地域を訪問し、エジプトにおいて、二国家解決に基づく和平実現に向けたエジプトの努力を変わることなく支援すると改めて述べました。また、有馬中東和平担当特使も、先週、和平プロセスの再活性化を支援すべく、イスラエル及びパレスチナ自治区を訪問しました。
議長、
昨年11月、歴史的な国連総会ハイレベル会合がニューヨークにおいて開催され、イスラエル、パレスチナ自治政府も含め世界中から指導者が出席し、我が国からも高村特使が出席しました。この会合において、各指導者は、対話と寛容を通じてのみ平和が涵養されることを強調しました。
これに関連し、私は、平和の追求にあたって均衡のとれたアプローチをとることの重要性を強調したいと思います。紛争の背景には、貧困や絶望などの多くの要因があります。武力に頼ることは、こうした問題の最終的な解決にはなりません。我々は、悲惨な状況にある人々に適当な生活水準が確保されるよう支援し、経済的繁栄を達成し、教育の質を向上させるために努力する必要があります。平和を実現するためには、多元主義、多文化主義、寛容、中庸といった価値が必要です。これらは文明間の対話を通じて達成されるものであり、私は、こうした我々の努力が将来幾世代にも亘って恩恵をもたらすものと信じます。
日本は、古来より相違を受け入れ、共存を学ぶことを求めてきました。相違は、他者の排斥に繋がるべきでなく、むしろ社会の豊かさを促進する触媒となるべきです。我々は、確信をもって、外交の究極の目標とは、異なる文化、宗教、イデオロギーをもつ人々が平和裡に共存できるような地球社会を創ることにあると考えます。
我々は、中東和平プロセスの当事者にとって信頼されるパートナーとなることを希望します。日本は、自らが中東地域における平和と繁栄の実現に向け建設的な役割を果たせると信じます。我々は財政的貢献・知的貢献の双方において、可能な限り貢献を行います。我々は、イスラエル人とパレスチナ人が平和裡に共存することを可能とする二国家解決へのコミットメントを維持して参ります。
ありがとうございました。