演説

伊藤外務副大臣演説

EPAシンポジウム
伊藤外務副大臣開会挨拶

平成21年2月19日
於:グランドプリンスホテル赤坂

(写真)


ご列席の皆様、

 本日は、お忙しい中、本シンポジウムにご出席を賜り誠にありがとうございます。また、パネリストとしてご参加いただいた皆様、後援をいただいた日本経団連、日本商工会議所の皆様にもこの場を借りて深く御礼申し上げます。

 本日は折しも、夕刻から日・スイス経済連携協定の署名式が予定されております。このあと、スイス政府の代表として協定に署名される、ロイタード スイス連邦副大統領兼経済大臣からもお話をいただくこととなっておりますが、EPA交渉がまた一つ実を結ぶという意義深いこの日に、日本のEPAを支える皆様を迎えてこのようなシンポジウムを開催できることを、大変光栄に思います。

 さて、日本にとって初めてのEPAであるシンガポールとの協定の検討開始に踏み切ったのは、今からちょうど10年前の1999年でした。それ以来、日本は東アジアの国々を中心にEPA交渉を進めてきており、昨年末にはASEAN全体とのEPAも締結するに至りました。現在までに合計9つのEPAが発効しておりますが、このようなEPA交渉の進展を受け、日本は今、その活用について改めて考える段階に来ていると言えます。

 EPAには大きく二つの意義があります。ひとつは、経済関係の強化やルールの調和を通じて国と国との関係をより緊密にすることにより、我が国の安定や地域の安全保障に貢献するといった、政治外交的意義であります。もうひとつは、新たな貿易の創造と、それに促される市場の拡大により、我が国のみならず世界経済の成長が促進されるという、経済的な意義です。しかし、これらの効果は、政府が協定を結ぶだけで実現するものではありません。特に、経済的意義については、まさに今日ここに多数お集まりいただいている産業界の皆様がEPAを活用されることによって、はじめて効果が発揮されるものであります。

 本日この場に、このように多くの方にお集まりいただいているというのは、EPAに対する高い期待と関心の表れだと私は捉えております。また、全世界的に経済が減速するという危機に直面し、保護主義の台頭が懸念されるとの見方もあります。このような時期こそ開かれた貿易・投資を維持、促進していく必要があると思います。EPAを通じた良質なモノ・サービスの自由な移動やルールの共有により、一国では実現が困難な経済改革や、より効率的な産業構造への転換を達成していくことがますます求められています。この点、外務省としても、国内状況に配慮しつつ、バランスのとれた対外経済政策を追求する所存であり、日本の産業界の期待に応え、世界経済の活性化に寄与することができるよう、これからもEPAの活用、改善の促進をはじめとした対外経済政策において一層の努力をして参りたいと思います。

 そのためにも本日は、EPAの利用者である皆様の視点から、その活用について自由闊達に議論を行っていただきたいと思います。そして、この議論がEPAに対する皆様の理解と活用を一層高め、日本企業が、グローバルに活躍し、健全な競争の中で技術を進歩させ、より良い商品、サービスを提供することで社会に新たな価値をもたらすことの一助となれば幸いです。

 本日のシンポジウムが今後のEPA政策、ひいては日本の対外経済政策を刺激する良い機会となることを期待し、私の挨拶とさせていただきます。

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