平成21年4月23日
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議長、
各国閣僚閣下、
ご列席の皆様、
ソマリア情勢の安定と持続的な和平の実現は、長年希求されてきた重要問題です。また、現下のソマリア沖海賊問題の根本的な解決のためにも、国際社会が一致して取り組むべき喫緊の課題であります。本日私の前に話された方々と同じく、我々は、シェイク・シャリフ・ソマリア暫定連邦「政府」大統領に代表される暫定連邦「政府」の取組みを力強く後押しし、今後のソマリアにおける安定や和平の結実に向けて最大限の努力をすべきものと考えます。
非常に不安定な情勢にあるソマリアにおいて、現在アクセスが限られている人道支援活動をより円滑にならしめるためにも、また、今後本格的な復旧・復興を進める上でも、治安を確保することは最優先課題です。それに向けて必要な措置を議論する今回の支援国会合は、実に時宜を得た現実的なものと考えます。イニシアティブをとられたパン・ギムン国連事務総長をはじめとして、AU、EU他、関係の方々に敬意を表します。
我が国の中曽根外務大臣は、先月、ボツワナにおいてソマリア暫定連邦「政府」のワルサム計画・国際協力大臣より、ソマリアが直面する緊急の課題を直接お聞きしました。
これまで我が国は、ソマリア情勢の安定化に資するために、難民・国内避難民等に対する人道面における支援や治安向上のための支援を、国際機関を通じて実施してきました。具体的には、前者の人道支援として、食料、保健、水・衛生、教育等の分野での支援が含まれる他、後者の治安向上のための支援には、人身取引・不正規移住対策、国境管理強化、ソマリア警察支援、「アフリカの角(つの)」地域における小型武器の回収・廃棄計画等が含まれています。これらの過去2年間の支援総計は、約6700万ドルに上ります。
また、国連においては、先般安保理決議第1863号に基づき、国連PKOの展開に関して漸進的アプローチを取ることを勧告する事務総長報告書が安保理に対して提出されました。これを受け、今後安保理において対応につき検討が行われる予定です。安保理では特に、政治プロセスの進展、治安の改善、復興支援についての戦略的目標を達成するための国連の支援のあり方について総合的な議論を行うことが重要であり、我が国としてもこれに積極的に貢献する所存です。PKO化に関しては、現状ではAMISOM(アミソム)を一層強化しつつ、ソマリア国内の治安当局の能力強化を図るとともに、現地の政治及び治安の状況をフォローしていくことが適切と考えます。
我が国は、以上の現状認識の下、これまで行ってきた支援実績の上に立ちつつ、ソマリア情勢の安定、和平推進に資する支援を積極的に実施していきます。そして、我が国と欧州・中東を結ぶ重要な海上交通路であるソマリア沖・アデン湾における海賊対策の強化の一環としてAMISOMの強化のために応分の支援をすべく鋭意検討中です。また、人道支援のアクセス改善、若者のまっとうな生計手段の確保等の支援についても鋭意検討中です。
なお、海賊対策として重要な周辺国の海上保安能力向上については、イエメン及びオマーンの海上保安機関職員の研修等を行ってきましたが、現在、イエメン及びジブチに対し、調査団を派遣しており、両国の海上保安能力の向上や経済・社会開発のため、今後如何なる協力が可能か、調査を行っています。また、ソマリア沖・アデン湾に派遣中の海上自衛隊艦船に加え、P-3C哨戒機の派遣についても準備を進めています。さらに、現在、国会において、海賊を処罰し、それへの対処について規定した海賊対処法案を審議しているところです。
本会合では、ソマリアの安定と和平の基礎となる治安を如何に確保するかにつき、ご列席の皆様と有意義な議論を行い、具体的成果が生まれることを期待します。その上で近い将来、国家制度の構築や民生の改善等を含むソマリアのより幅広い開発・復興ニーズを議論するための国際会議を開催する機運が醸成されることを切に願います。このために我が国は、ソマリア暫定連邦「政府」や関係諸国・機関と緊密に連携していく用意があることを強調し、私の発言といたします。
ご清聴ありがとうございました。