平成19年3月5日
日本国外務省を代表して、違法伐採国際専門家会議の開催に際し、ご挨拶させていただきます。
本日ここに、主要な木材生産国や木材消費国、また、関係国際機関から、違法伐採問題の責任者の参加いただいたことを心から歓迎するとともに、違法伐採国際専門家会議を開催できることを大変喜ばしく思います。
森林の保護の必要性について、疑問をもつ人はいないと思いますが、古来、森林は経済基盤、伝統や文化の拠り所、森林浴やレクリエーションを行う場などとして、多面的な効果を我々にもたらしてきています。昨今では、環境面でも、温室効果ガスの吸収源の一つとして、気候変動に対処するとの観点から重要性が強調されてきております。
このように重要な森林でありながら、世界レベルでの森林減少が依然として進行し、環境、経済及び社会生活の面で甚大な損害がなおももたらされていることは憂うべきことであります。森林減少の進行を食い止めるには、世界レベルでの、特に熱帯林を中心としての、「持続可能な森林経営」を促進することが重要です。
違法伐採は、「持続可能な森林経営」を阻害する主要な原因の一つであるとの観点から、わが国は、2000年の九州・沖縄サミット以降、「違法に伐採された木材・木材製品は利用しない」との原則の下、途上国支援や、様々な取組を行うとともに、G8やFLEGプロセスにおいてこの問題への国際的議論をリードしてきております。
2005年のグレンイーグルズ・サミットでは、違法伐採問題への国際的取組の必要性が認識されるとともに、G8各国のとるべき措置の方向性が打ち出されております。
違法伐採の問題について、我々は2つの課題に直面していると考えます。
第1に、違法伐採問題について、我々は、これまでの国際的議論を踏まえつつ、今後どのように進むべきか考える時期にさしかかっていると考えます。
また、これまで、違法伐採問題は、地域的かつマルチ・ステークホルダーによる議論が通例でございました。確かに、そのようなアプローチは有意義ですが、第2点目の問題として、地域的枠組を超えた主要木材生産国・消費国政府が、自らの責任と役割について共に議論する視点も重要であると認識しています。
本日からの違法伐採国際専門家会議は、このような2点の課題につき、検討することが目的です。かかる問題意識を念頭に置きつつ、参加者各位が積極的に会議に貢献されることを期待いたします。また、本会議の結論が他の違法伐採問題を議論するプロセスへと反映され、この問題に対する国際的取組の進展に寄与することを、心から祈念いたしまして、私からの開会の挨拶とさせて頂きます。ご静聴ありがとうございました。