演説

松島外務大臣政務官演説

クロアチア・サミット2007における松島みどり外務大臣政務官ステートメント(和訳)

平成19年7月7日、於:ドゥブロブニク
英語版はこちら

閣下、御出席の皆様

 まず最初に、自己紹介をさせて頂きたいと思います。私の名前は松島みどりです。外務大臣政務官として、本日、日本政府を代表し、この会合に出席出来ましたことを大変光栄に存じます。クロアチア共和国政府が、この重要なサミットを主催されたことに対し敬意を表します。

 初めてのドゥブロブニク訪問ですが、この平和で繁栄した街の光景に大変感銘を受けました。今や90年代にこの街が経験した辛い時期を想像することが困難なほどです。同様の印象は昨年にサラエボを訪問した時にも受けました。

 昨年11月、麻生外務大臣は、日本外交の新機軸として「自由と繁栄の弧」を提唱しました。我が国は、第二次世界大戦により東京を含めた主要都市が灰燼に帰しましたが、自由、民主主義、市場経済、人権及び法の支配と言った普遍的価値に基づき、目覚ましい復興を果たしました。まさに、「自由と繁栄の弧」とは、我が国の経験を踏まえ、ユーラシア大陸の外縁に位置する国々の繁栄と安定を築いていくために外交努力を強化していくという意味です。その中で、我が国は「弧」の東端に位置し、南東欧地域は西端を構成しています。我が国は、南東欧地域諸国を「自由と繁栄の弧」の形成に向けた取り組みにおける戦略的パートナーと認識しております。

 地域の持続的な経済発展のためには外国からの直接投資(FDI)が重要であります。投資環境の整備は地域の国々が行うべき重要な課題です。この観点から、我が国は、本年3月には南東欧及びV4諸国のFDI促進担当者を招待し、東京において投資誘致についてのセミナーを開催し、私自身も政府を代表して歓迎することが出来ました。参加者は、日本からの投資誘致に成功しているV4諸国の責任者の経験談を聞き、特に投資誘致に際する政府の役割につき意見交換を行いました。我が国は、南東欧諸国との間でこうした協力を継続していきたいと考えます。

 また、我が国は、これまでに南東欧諸国で先に述べた普遍的価値観の普及のために、政府開発援助(ODA)を通じて大いに貢献してまいりましたが、今後は、各国の発展のレベルを考慮しつつ、持続的な経済発展の促進に繋がるような支援を中心とした協力を継続していきたいと考えます。

 我が国は、南東欧諸国による、経済・社会的発展及び法の支配を促進するための地域協力を通じた取り組みを強く支持します。この観点から、我が国は、地域協力評議会(RCC)の創設を歓迎するとともに、ビシュチェビッチ氏が初代事務局長に任命されたことに祝意を表明したいと思います。

 現在、クロアチアを始めとする南東欧地域諸国は、EU及びNATO加盟を目指し、様々な改革努力を行っていると承知しており、我が国としてもこれを歓迎します。我が国も、本年1月、安倍総理がブリュッセルのNATO本部を訪問し、北大西洋理事会でのスピーチにおいて、安全保障分野においてNATOと協力を促進していくとの強い決意を表明しました。また、EUとの間でも、欧州との間で共有する自由・民主主義・法の支配といった共通の基本的価値を基礎として、国際社会の諸課題の解決に向け、戦略的パートナーとして協力しています。

 最後に、本件サミットの開催に際し、クロアチア政府に感謝の意を表明致します。

 ご清聴ありがとうございました。

このページのトップへ戻る
政務官演説平成19年演説目次へ戻る