平成19年12月5日
国際穀物フォーラム開催に際し、一言ご挨拶申し上げます。国際穀物理事会は、通常ロンドンにおいて、年に2回、年次総会を開催しておりますが、昨年2月、ここにおられる北原事務局長が、アジア地域から初めてその職に選出されたことを受けて、この度、日本において、第26回理事会を開催する運びとなりました。現在、国際穀物理事会には、アジア地域からは、日本の他、インド、韓国が加盟しておりますが、日本で理事会を開催することをきっかけに、広くアジア諸国の参加を促進して参りたいと考えており、その一環として、本日、フォーラムを開催する次第です。
コメ、とうもろこし、小麦といった穀物は、国民の安心と健康の維持を図る上で不可欠ですが、現在その需要面では、世界的な人口増加や、バイオ燃料利用の広がり、投機資金の流入など、供給面においては、地球温暖化による諸影響、新興経済国の旺盛な船腹需要による海上運賃の高止まりといった構造的変化が生じております。本日、基調講演を行う柴田丸紅経済研究所所長は、2004年以降、一次産品市場の構造転換を、早い段階から指摘されております。この点について、柴田所長より鋭い着眼点が示され、それをもとに有意義な議論が行われることを確信しております。
我が国の食料自給率は、40%を下回っており、世界における食料需給の安定は、我が国にとって死活的に重要な課題です。また、WFP(世界食糧計画)によれば、世界を見渡すと、8億5千万人もの人々が、極度の、もしくは慢性的な飢餓状態にあるといわれております。我が国も、食糧援助を実施しておりますが、国際穀物理事会が事務局を兼任している食糧援助委員会において、これは取り扱われております。
本日のパネル・ディスカッションのテーマの一つとなっているバイオ燃料の普及は、エネルギー安全保障体制の強化につながりますが、既に、原料となるとうもろこしの需給逼迫など、食料との競合が現実の問題となっております。今後、こういった問題を回避できる第二世代技術開発の促進が期待されるところです。
本フォーラムにおいて、これら問題につき、国内外よりお集まり頂いた専門的知見を有する方々による活発な討論が行われ、今後の穀物需給の安定に向けた有益な提案等が行われることを期待し、もって、私の挨拶と致します。