平成19年9月20日
「サハリン・フォーラム(2007)」の開催に当たり、日本政府を代表して一言御挨拶申し上げます。また、この機会に、ベールィ駐日ロシア連邦大使閣下、カーチェルヌィ団長を始めとするご来日のロシア側参加者の皆様に歓迎の言葉を申し上げます。
これまでも様々な機会で申し上げているとおり、我が国は、重要な隣国であるロシアとの関係を重視しております。2003年に両国の首脳により採択された「日露行動計画」に基づいて幅広い分野で関係が順調に進展しており、今後とも一層協力を進めていく考えです。
中でも、サハリンを含めた極東・東シベリアにおける協力が首脳間での主要な議題の一つとなっています。ロシア政府は、近年の経済成長を背景に、極東及び東シベリア地域開発に力を傾注することを決め、「極東・ザバイカル・連邦特別プログラム」を承認しました。このようなロシアの問題意識に応えつつ、「日露行動計画」に新たな方向性と弾みを与える観点から、安倍総理は、8つの協力分野からなる「極東・東シベリア・イニシアティブ」を提案し、プーチン大統領もこれを支持しました。
このイニシアティブは、日露間の新たな可能性を開くものであり、これをきっかけにして、ロシアがアジア・太平洋地域への建設的統合を推進し、極東・東シベリア地域での日露の互恵的な協力が進んでいくことを期待しています。特に、皆さんの地元であるサハリン州との間では、既に行われているエネルギー分野や情報通信分野における協力に加え、来年G8サミットが開催される北海道との地域間協力がさらに強まることを期待しており、日本政府としても後押ししていく考えです。
このように、日露関係は大きな可能性を秘めていますが、その関係を次の次元に引き上げるためには、平和条約の締結が不可欠です。北方領土問題が未解決のまま残されていることが、両国の戦略的利益に合致しないことは明らかです。今後、「日露行動計画」の重要な柱の一つである平和条約交渉についても、具体的な進展を図っていかなければなりません。今月8日に行われた日露首脳会談においても、具体的な進展が得られるよう両国首脳がそれぞれ指示を出し、努力していくことで一致しました。
同時に、平和条約交渉の環境を整えていかなければなりません。その一環として、両国政府は、北方四島を含む隣接地域において、防災及び生態系保全の分野で協力を進めようとしているところです。また、この関連で、我が国とサハリン州のオピニオン・リーダーである皆様には、どのようにすればこの問題に風穴を開け、双方に受入可能な解決策を見いだせるかについて、専門家としての見地から忌憚のない意見交換を行うとともに、日露関係を更に発展させるためにも、領土問題を最終的に解決すべき時期に来ていることを、是非とも世論に訴えていただきますよう、お願いしたいと思います。
領土問題を含むあらゆる障害を取り除き、両国の間に相互利益に基づく真の戦略的パートナーシップが構築されるとともに、我が国とサハリンを含む極東との結びつきが飛躍的に強まるよう、ご列席の皆様のご支援を賜りたいと思います。
本日から始まる会議において有益な意見交換が行われ、大きな成功を収められることを祈念し、私の挨拶とさせていただきます。