
浜田外務大臣政務官演説
第1回東アジア首脳会議(EAS)エネルギー大臣会合における
浜田政務官のスピーチ(仮訳)
平成19年8月23日
於:シンガポール、シャングリラ・ホテル
(英文はこちら)
(冒頭)
- 本日開催となった第1回EASエネルギー大臣会合に当たり、議長国シンガポールのイニシアティブに自分からも謝意を表します。
(エネルギー市場統合)
- 東アジアのエネルギー市場統合において、特に、通過、投資の分野については、議論が緒についたばかりであり、将来の協力の余地が大きいのではないかと思います。
- エネルギー輸送路の安全確保を含む通過の問題は、地域のエネルギー安全保障を強化する上で、非常に重要です。特に、エネルギー輸送の大動脈であるマラッカ・シンガポール海峡の航行安全の確保は我が国にとっても死活的な意義を有しており、先日の安倍総理のインドネシア訪問に際して、総理より、この分野においてより積極的に貢献していく旨表明したところです。また、テロ、海賊、自然災害等の潜在的なリスクの分析や、かかる脅威への安全対策及び緊急時対応の検討も、EAS参加国間で進めていくことが重要であると認識します。今後、我々東アジア諸国がこの分野において果たすべき役割は大きいと確信します。
- 東アジアのエネルギー市場統合を段階的に進めるにあたり、エネルギー憲章条約(ECT)は1つの参考材料になると思います。既に、ロシア、欧州、我が国、豪州等が、ECTの枠組みに参加しており、貿易・通過、投資の自由化が一体となり促進されつつあります。この点で、今般、フィリピンがECTの締結手続きに入ったことは心強いことです。
(安倍総理のエネルギー協力イニシアティブ)
- 我が国はセブでの第2回EASで安倍総理が表明した4つの柱から成るエネルギー協力イニシアティブにおいて、特にエネルギー貧困削減のために3年で20億ドル規模のエネルギー関連ODAを実施することを表明しました。第2回EAS以降、これまでに、インド、ベトナム、インドネシア、カンボジア、フィリピンでの送電網整備や発電所建設の支援のため、既に総額約9.6億ドルの円借款及び無償資金協力の供与を決定したことを報告できることは、私の喜びとするところです。
(環境・気候変動問題)
- また、甘利大臣よりご紹介頂いた我が国の新提案「美しい星50」については、これを支持し、温室効果ガスの排出抑制と経済成長を両立させようとする志の高い途上国に対しては、我が国としても温暖化対策の支援を行っていく考えです。この関連で、EAS参加国が協力してセブ宣言を着実にフォローアップすることは、エネルギー安全保障の強化と気候変動問題の解決を実効的に進めることにつながるものと考えます。
(結語)
- 11月に、ここシンガポールにおいて開催される第3回EASでは、エネルギー安全保障と並んで、環境、気候変動、持続可能な開発が主要テーマとなる予定と承知しており、今次EASエネルギー大臣会合が具体的成果をあげ、これが首脳に報告され、首脳会議プロセスに貢献できることを期待します。そうした活動を通じて、将来的に地域協力枠組みとしてのEASの基礎が強化され、地域の繁栄と安定が一層確かなものとなると確信します。