平成19年5月15日
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各国政府・機関代表の皆様、大使閣下、ご列席の皆様、
日本政府を代表して、皆様を心より歓迎したいと思います。
今日、国際社会は一致団結して取り組まなくてはならない数々の新たな課題に直面しておりますが、中でも、国境を越えるテロの脅威への対処は優先課題であります。今回、ASEMテロ対策会議を東京で開催できましたことは主催国として欣快であり、皆様の協力に感謝申し上げます。
世界のテロ情勢を俯瞰すると、国際社会によるテロとの闘いの結果、多くの進展が見られました。しかしながら、先月のアルジェにおける同時爆弾テロ事件、昨年7月のムンバイにおける列車爆弾テロ事件、同8月の英国における航空機爆破計画未遂事件、各地におけるホーム・グロウン・テロの増加等、国際テロの脅威は依然として深刻です。こうした状況の中で、テロリストから国民と国家の安全を守るためには、テロ対策の強化と国際協力が一層重要となっております。
テロに対処する上では、テロ防止関連条約の締結及び国内法の整備、インテリジェンス情報の共有、出入国管理や資金対策等を総合的に進めることが必要であります。同時に、各国のテロ対処能力を向上させ、更には、テロリストを生み出しにくい土壌作り、テロの根本原因への対処、異なる文化・宗教・文明間での相互理解の促進といった中長期的な視点も不可欠であります。
ASEMは、冷戦後、ダイナミックな変容と発展をとげるアジアと欧州両地域間の関係を強化することを目的として、1996年に開始されました。これまで、政治、経済、社会、文化や環境の分野で取組を着実に進めてきましたが、テロ対策については、国際的な取組が不可欠である中、アジアと欧州が一同に会し、それぞれの視点から情報を付き合わせて議論する意義は極めて大きいと考えます。先程申し上げましたテロ対策の諸課題について、本日、そして明日の議論を通じ、アジア・欧州間の相互理解、協力関係の強化が図られることを期待しております。
最後に、新たなASEMパートナーとして初参加頂いたブルガリア、インド、モンゴル、ルーマニア、パキスタンを含め全てのASEM参加国・機関の皆様、関係機関として協力頂いたUNCTED、UNODC、国際法執行アカデミー(ILEA)、ジャカルタ法執行センター(JCLEC)及び東南アジア地域テロ対策センター(SEARCCT)の皆様を改めて歓迎し、会議の成功を祈念したいと思います。
初来日という方や、既に何度も訪日されている方もいらっしゃるかと思いますが、この機会にテロ対策のみならず、日本の様々な面をご覧頂き、皆様との友好関係の増進にも繋がれば幸いに存じます。
有り難うございました。