平成19年1月25日
於東京
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ご列席の皆様、
第4回アジア不拡散協議(ASTOP)への参加を心から歓迎いたします。特に、新規参加国のカナダとニュージーランドを歓迎することを喜ばしく思います。これは、ASTOPの重要性についての認識の広がりを反映するものです。
ご列席の皆様、
本日ご参集いただいた目的は、アジアにおける不拡散の強化です。この目的は、昨年の会合以来一層、重要性と緊急性を増しています。
2006年は、極めて遺憾な展開を見た反面、新たな挑戦に対する国際社会の一致した反応が見られた一年でもありました。
本年、我々は、地域及び国際の永続的な平和と安全の達成に向けて、迅速かつ期待できる進展を見る必要があります。
そのためには、関連する国連安保理決議で示された国際社会の意志を、具体的な実施に移していくことが重要です。
不拡散上の挑戦として、まずは北朝鮮について述べなければなりません。昨年の北朝鮮によるミサイル発射と核実験の実施は、東アジアのみならず国際社会全体の平和と安全に対する明白な脅威となるものです。我々の全てにとって重大な懸念のもとであります。
こうした問題を解決するため、我々は協調して行動し、関連の国連安保理決議の実施のため迅速かつ強固な措置をとる必要があります。
同時に、我々は六者会合を大変重視しています。ベルリンにおける米朝の協議では一定の進展があり、近い将来、六者会合が再開される可能性がきわめて高くなっています。我々は、北朝鮮が、すべての核兵器と既存の核計画の放棄に向けて具体的な措置をとるよう強く求めます。
また、この機会に、第2回東アジア・サミットにおいて、各国首脳が北朝鮮に対して、拉致問題を含む国際社会からの人道上の懸念に積極的に応えるよう求めたことについて、想起を促したいと思います。拉致問題の早急な解決に向けて皆様のご理解とご支援を賜りたいと思います。
イランもまた、引き続き我々の関心と懸念の中心にあります。ここでも国際社会は、先月、国連安保理決議の採択を通じて、不拡散のリスクに取り組むとの強固で一致した決意を示しました。
イランが、国際社会の懸念に応えて正しい決断を行い、その核計画の完全な透明性を確保することを、強く希望します。
こうした挑戦への対応に失敗すれば、NPTを礎とする国際的な不拡散体制の信頼性を大きく損なう結果となるでしょう。我々は、そのようなことは許容できません。
安保理はその決議を通じて、事態の緊急性と国際社会が団結していることを示しました。
その決議が真に効果的なものとなるかは我々にかかっています。
こうした問題に取り組むため、不拡散に関する国際的な枠組みの強化に向けた、国際的な支持とコミットメントを広げることが重要です。
この点で、IAEA追加議定書の重要性は、強調してもしすぎることはありません。
また、PSIなど、新たなリスクに対処するための他の補完的な方途が有する意義も、とりわけ注目に値するものです。
結語に入る前に、本日こうした問題を扱う土台となるもの、NPTに、注意を促したいと思います。
2010年のNPT運用検討会議に至るプロセスが、ウィーンで開催されるNPT運用検討会議第1回準備委員会を皮切りに、今年から始まります。2006年に我々が経験したことは、ひとえにこの委員会と国連軍縮局の重要性を加えるものです。
この文脈で、本日、国連安保理決議第1540号に関するプレゼンテーションを行っていただく田中信明・軍縮担当国連事務次長には、とりわけ感謝いたします。
ご列席の皆様、
皆様におかれては、これから一日半、集中的に作業を行っていただきます。このASTOP会合が、議論を深め、我々が直面する大きな共通の課題に取り組む経験を共有する上で、有意義な機会となることを希望しています。
ご静聴ありがとうございました。