演説

浅野外務副大臣演説

エネルギー安全保障セミナー
浅野外務副大臣 開会挨拶

平成19年1月19日(金曜日)
於:東京

1.冒頭

 本日は、アジア太平洋地域のエネルギー安全保障に関するセミナーを開催できますことを心より嬉しく思います。本日のセミナーには、オーストラリア、カナダ、韓国及びニュージーランドの政府関係者、並びに、国際エネルギー機関(IEA)及びアジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センターの代表の方々から基調講演を得た上で、議論を深めて頂く予定です。

2.世界のエネルギー安全保障

 中国、インド等の経済発展を背景にしたエネルギー需要の急速な拡大や新しい世紀初頭から高水準で推移している原油価格を背景として、エネルギー安全保障に対する関心がこれまで以上に高まっています。
 世界のエネルギー需要は、IEAの予測によれば、現在の各国のエネルギー政策がそのまま続くと仮定した場合、2030年には、2004年の消費量から更に53%も増加するとされており、その需要増加分の5割が中国、インドを含めたアジア地域の開発途上国の需要増加によるものであるとされています。また、今日の世界のエネルギー情勢は、自然災害等の頻発、地政学的リスクの増大、エネルギー輸送に係る不安等、様々な課題やリスクに直面しています。これらに対処するためには、各国それぞれの努力と共に、アジア太平洋地域において、地域的な協力を強化していくことが不可欠であると考えます。

3.アジア太平洋地域における取組

 アジア太平洋地域におけるエネルギー安全保障は、重要性を増しつつあります。この地域のIEA加盟国たる豪州、カナダ、日本、韓国、ニュージーランド、米国6ヵ国のエネルギー需要は、世界の31%を占めています。これに中国、インドの需要を加えると世界の50%を占めることになります。この地域では、APEC首脳会議、ASEAN+3首脳会議、東アジア・サミットのように首脳レベルでの議論を含め、地域協力が進展しています。その中で、エネルギー安全保障は必ずと言っていい程重要な課題の1つとなっています。先週、私は麻生外務大臣の代理としてフィリピンのセブ島で行われた東アジア・サミットの準備のために外務大臣会合に出席し、エネルギー安全保障について地域の外務大臣と意見交換してきました。そして、1月15日、東アジア・サミットにおいて、エネルギー効率の向上や多様化、再生可能エネルギーの開発・利用促進等が盛り込まれたエネルギー安全保障に関するセブ宣言が採択されました。
 このような地域レベルでのエネルギー安全保障への取り組みは、今後とも一層強化されることが必要であり、日本としても積極的に貢献していきたいと考えています。この地域の協力を進めるにあたり、IEAの知見、経験は戦略的に活用できると考えます。本年5月には、2年に1度のIEA閣僚会議が開催の予定です。また、本年9月には、我が国の田中伸男氏が、アジア太平洋地域出身の初めての事務局長として就任する予定です。インド、中国等との関係強化を含め、アジア太平洋地域でのエネルギー効率向上、石油戦略備蓄の強化等に向けて、我々アジア太平洋地域の加盟国はIEAを通じた取組を一層強化して行く必要があります。

4.結語

 本日、アジア太平洋地域のエネルギー安全保障を如何に強化していけるかについて、皆様と一緒に議論していければと考えております。改めて、遠路はるばる日本にお越し頂きました皆様に御礼申し上げるとともに、本日ご参加頂きました皆様にとっても有意義なセミナーとなりますことをお祈り申し上げます。

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