平成18年4月10日
議長、
事務局長、
各国代表団の皆様、
ご列席の皆様、
日本が国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の前身である国連アジア極東経済委員会(ECAFE)に正式に加盟したのは1954年のことでした。ESCAPへの加盟は、当時まだ国連に加盟していなかった我が国にとって、大きな意味を持ちました。以来、我が国は、ESCAPを通じて地域協力の恩恵を受け、引き続き地域協力の向上のためにあらゆる努力を行っていく考えです。
昨年、地域の経済社会開発は津波災害によって深刻な打撃を受けました。我が国は、被災地付近を航行中の海上自衛隊の艦船を活用して直ちに救助活動を開始することができました。我々は、あの悲劇に対する対応に貢献することができたことを誇りに思っています。現在、我々は鳥及び新型インフルエンザという新たな脅威に直面しています。我が国は、この感染症を世界共通の脅威と捉え、対策に取り組んでいます。我が国は、去る1月、世界保健機関(WHO)との共催で「新型インフルエンザ早期対応に関する東京会議」を開催し、また、地域における対策のために約1.55億ドルの貢献を行うことを表明しました。
昨年9月、国連首脳会合において、世界の指導者たちはミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けての強いコミットメントを再確認しました。我が国は特に次の3つの点について、引き続きMDGsの達成のための努力を行っていきたいと考えております。
第1に、我々は、開発途上国のオーナーシップとそれらの国々とドナー国・国際機関とのパートナーシップの有機的な連携はMDGsの達成のための鍵となると信じています。我が国は、人材育成が開発途上国のオーナーシップを促進することを強調しています。我々は、政府開発援助、いわゆるODAを通じ地域の開発途上国のキャパシティー・ビルディングや教育を支援しています。我々は、また、このような努力が地域の失業問題を軽減することを望んでいます。
第2に、我が国は、WTO・ドーハ開発アジェンダに基づき開発途上国の能力強化の促進のために包括的な「貿易のための開発イニシアティブ」を立ち上げ、これらの国々が多角的貿易体制から利益を享受できるよう支援しています。このイニシアティブにおいて、我が国は、後発開発途上国(LDC)からの輸入品に対し無税・無枠の市場アクセスの供与及び開発途上国の輸出能力向上に向けた活動への支援等、包括的な開発支援のパッケージを提供するというコミットメントを表明しています。
第3に、我々は、MDGsの達成において小島嶼国への支援を重視しています。我々は、1997年より「日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議」を開催し、あらゆる分野において太平洋島嶼国への協力を行っています。
地域でのMDGsの達成のための指針を提示するために、我々は「ESCAP地域におけるミレニアム開発目標の達成」と題する決議案を本総会に提出しており、メンバー各国からのご支持をお願いしたいと思います。
議長、
地域における自然災害及び人災に関する災害管理も含め、地域のインフラ開発は重要です。この目的を達成するためには、貿易、民間投資、人材育成等様々な資源や手段を動員する必要があります。政策金融について、アジア開発銀行(ADB)は重要な役割を果たしてきており、我が国はその活動の重要性を認識し、ODAを通じてADBに大いに貢献してきました。我々は、既存の機関や手段を活用し、可能であれば強化していくべきです。我が国は、アジア投資銀行という新たな機関を創設するとの構想については、明らかにADBの活動と重複することから慎重なアプローチをとっています。日本代表団の首席代表及び選挙により選ばれた衆議院議員として、私は二つの類似の金融機関に貢献する必要性を我が国の有権者或いは納税者に対して説明することは困難であると考えます。
災害管理については、我が国は数多くの災害を体験してきた国として、多くの有用なノウ・ハウや経験を蓄積しており、去る1月には自然災害及び人災に対処するために「防災協力イニシアティブ」を発表しました。私は、我が国はこの分野での地域協力の強化に貢献することができると信じています。
国連は業務の見直しを含めマネージメント及び事務局の改革に取り組み重大な時期を迎えています。ESCAPを含む地域委員会の役割も見直されており、疑問を投げかけられることもあります。このような背景の下で、我々はESCAPが他の国際機関の機能との重複を回避し、新たな存在理由を見出し、比較優位のある分野に集中していくことの重要性を改めて指摘します。この観点から、我が国は、外部専門家によるESCAPの評価についてのキム事務局長によるイニシャティブを完全に支持し、喜んで支援を行う考えです。
ご列席の皆様、
我々にはなすべきことが数多くあります。共に歩み、取り組んで行きましょう。
ご清聴ありがとうございました。