演説

遠山外務大臣政務官演説

AALCO第45回総会
遠山政務官ステートメント原稿(仮訳)

平成18年4月4日

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 AALCO第45回総会ナリンダー・シン議長、AALCO事務局長カミール大使、御列席の皆様、

 はじめに、今次総会におけるナリンダー・シン議長の議長選出をお祝い申し上げるとともに、インド政府による我が国を含む代表団の暖かい受け入れとホスピタリティに対し、また、総会の開催に向けた準備作業を進めてきたAALCO事務局長カミール大使とAALCO事務局に対し謝意を表します。

議長、
 私は、AALCOの設立50周年を祝うこの歴史的な会合に出席する機会を得ましたことを大変光栄に思います。日本政府を代表して、設立50周年をお祝い申し上げます。AALCOは、ご案内のとおり、1955年のバンドン会議の結果として発足し、それ以降、唯一のアジア・アフリカ地域における法律分野のフォーラムとして、国際法の発展に寄与してきました。我が国としては、AALCOが法律分野の実行に関する支援の提供、法律事項に関する協力の促進、国際法の法典化の促進に重要な役割を果たしてきたことを、高く評価したいと思います。また、この50年の歴史の中で、AALCOは47カ国・地域の参加を得ており、また、欧州評議会における国際公法法律顧問委員会(CAHDI)や、米州機構における汎米法律委員会(Inter-American Juridical Committee)と並び、国際的に認められる重要な国際法にかかるフォーラムとして認識されています。
 また、AALCOは国連総会にオブザーバーとしてその参加を認められており、総会の主要な国際法の機関である国際法委員会の法典化事業にアジア・アフリカの立場から貴重な貢献をしています。
 このようなAALCOの発展は、原加盟国たる我が国としても大変喜ばしいことと考えており、我が国としては引き続きこの機関において積極的な役割を果たしていく所存です。

議長、
 1955年のバンドン会議50周年を記念して、昨年4月、インドネシアにおいてアジア・アフリカ首脳会合が開催され、ここで「新たなアジア・アフリカ戦略的パートナーシップ」宣言が採択されました。上記宣言では、国際法の原則の遵守の必要性と、多数国間主義的アプローチの重要性が強調されています。この観点から、AALCOは国際法分野に関する地域的な協力を推進していく場として重要な役割を有しています。

議長、
 テロ、人身取引、環境問題等、国境を越える性質を持つ諸問題への取組は、もはや地域的な協力のみでは解決不可能であることは明らかです。AALCOは、引き続き地域的及び地球的両方の視点からそうした問題を捉え、アジア・アフリカ諸国間の議論を深めていくべきだと考えます。そして、その際には、異なる文化や文明に対する反感ではなく、共通の利益を発見し、地球規模の協力を促進していくことが期待されています。

 これこそが、多様性に富むアジア・アフリカ地域の中で、我々が50年来とってきたアプローチに他ならないのです。このようなアプローチこそ、グローバリゼーションが進展し、自由、民主主義、基本的人権といった普遍的な価値が広まっていく21世紀の国際社会において、AALCOの役割を強化していく上で不可欠であると信じます。

議長、
 このように、AALCOが21世紀においても国際社会においてその存在意義を発揮していくためには、その組織的な基盤を強化する必要がありますが、近年はその財政的な基盤が十分確保されていないと理解しています。残念ながら、分担金の滞納額は増加し続けています。我が国としては、分担金の滞納はAALCOの健全な活動を阻害するものであり、この深刻な問題の早急な解消を願うものです。

議長、
 今次総会の議題は多岐にわたっています。日本代表団としても、全ての議題について有意義な議論が行われることを期待していますし、我が方としても積極的に議論に貢献したいと考えています。
 今後とも、AALCOが国際法分野における主要なフォーラムとしての役割を果たしていくことを心より希望し、結びの言葉と致します。

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