平成18年2月14日
於:アンマン
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議長ありがとうございます。
御列席の各国の代表の皆様
まず初めに、歴史的な節目となる本日の意義深い会合をホストされたアブドッラー国王陛下に敬意を表し、またヨルダン政府の方々、及び本会合の準備関係者の方々のご尽力に感謝申し上げます。
本日、このような会合に参加し、発言の機会をいただいたことに個人的にも特別の感慨を覚えます。と言いますのも、私はかつて国際関係を大学で教えていた頃からこの地域を度々訪問し、中東の友人達とこの地域の未来について語り合ってきたからです。この地域の発展にとり不可欠な投資環境改善の方向を示す宣言が採択されたこと、その採択に日本政府を代表して立ち会うことができたことを心から嬉しく思います。
ご列席の皆様
本会合のテーマとなっている「投資」を端的に表現すると「経済発展の起爆剤」と言うのが適当ではないかと思います。投資は雇用や新規事業の創出、経営資源の移転、新たな技術や経営ノウハウの移転等をもたらすものであり、投資受け入れ国経済に多大な利益をもたらします。
投資誘致のためには、投資家がそこに投資したいと考えるような投資環境の整備が必要です。具体的には、特に、適切な競争、最小限の規制、モノ・ヒト・カネの流れの自由化が基本ベースとなり、加えて人的資源の質の向上といった総合的な施策の中で投資誘致が進展するのだと考えます。
東アジア、東南アジアの近年の発展に民間投資は非常に大きな役割を果たしましたが、これらの地域の国々は早くから民間投資の重要性を認識し、産業政策と民間投資が車の両輪として機能するよう努力を重ねました。その結果、例えば1980年以降2004年までのFDI残高でみると、途上国全体の約2兆ドルのうち東・東南アジアが50%以上を占めています。
私は、数千年にわたり、最高峰の文化と文明を有しているMENA地域においても投資を活用してより豊かな社会が築かれると信じております。
MENA地域では、急速に若年層が増加していると伺っています。若者が手に職を持ち、仕事をしながら「明日は今日より良い日になるだろう」と希望を持てることは、どの社会においてもより良い未来を築くために最善の道だと信じております。
私は本会合に先立ち、一昨日、ドバイを訪問し、政府関係者や日本企業関係者と意見を交わし、また先端的なフリーゾーンを視察しました。それらを通じ、この地域が活気溢れる投資先として、資本・情報・技術を集約できる様々な可能性を有していることを実感しました。
ご列席の皆様
日本政府は前述のアジアの発展に際しては、ODAを供与してインフラを整備するお手伝いをし、また日本企業は約200万人の雇用を創出しました。OECDにおいて「開発のための投資戦略」というプロジェクトを日本が提案したのは、このような経験の基づくものです。MENA-OECDイニシアティブは同プロジェクトも活用しつつ進められているところ、日本が提案したプロジェクトがMENAの経済発展に寄与できれば、提案国として、これ程嬉しいことはありません。
日本はMENA-OECD投資イニシアティブに対し、立ち上げ時から昨年4月まで「運営グループ会合」のOECD加盟国側共同議長を務めた他、本件イニシアティブの円滑な立ち上げ及び第1フェーズ実施のため率先して資金協力を行い、計23万ユーロを拠出してきました。また、本日この場において本イニシアティブの第2フェーズにおいても支援を継続することを明らかにしたいと思います。なお、日本はMENA-OECDイニシアティブのもう一方の柱であるガバナンス・プログラムに対してもUNDPを通じた10万ドルの支援を表明した他、運営グループ会合の共同議長を務めるなど、人的にも資金的にも貢献しています。
さて、日本では、古来より「人は石垣、人は城」と申します。つまり、国造りは一般庶民が参加して実施すると信じて参りました。人々の希望は国造りのための最も強力なエンジンであります。これを今日のコンテキストで述べれば、産業育成・人材育成・産業基盤整備など投資を促進する様々な要素を有機的に連関させることに他なりません。
このような考え方に基づいて、日本は、この地域の中小企業支援のため、国際金融公社(IFC)の基金に対し、1000万ドルの拠出を行いました。雇用問題への対応の一助として、1万人を対象として職業訓練を実施してきたほか、昨年9月にはヨルダンと共催で職業訓練ワークショップを開催しました。また、投資促進に従事する若手の政府関係者の日本での研修、各国が投資を招致する上で重要な電力・道路・鉄道・空港等の基幹インフラ整備への資金協力を行ってきています。
ご列席の皆様
本日採択された閣僚宣言は、MENA諸国のオーナーシップの賜物であること、広範囲なビジネス関係者の貢献もあり、ビジネスの実務的観点が盛り込まれていること、MENAの特色である多様性に配慮したものになっていること等、歴史的な成果であると受け止めております。日本も引き続き、MENA諸国の取り組みに協力を行っていきたいと思います。
MENA地域がさらに発展し、MENA地域が人々の希望のシンボルとなることを心より祈念致します。
ありがとうございました。